抗精神病薬処方に際し、効果や副作用を事前に予測することができるのであろうか。Eric D A Hermes氏らは、第二世代抗精神病薬の選択時に、医療関係者が心血管疾患のリスクを予測できるかを検証した。Psychiatric services (Washington, D.C.)誌オンライン版2012年12月15日号の報告。
本試験はアカデミック・ディテーリングの一環として、2007年10月~2009年5月に行われた。単一の退役軍人医療センターのすべての精神科医療関係者を対象に、第二世代抗精神病薬による新規処方を行ったすべての患者について調査を完了した。調査では、処方薬、患者の社会人口学的データ、精神疾患および併存疾患の診断、処方理由を記述した。肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病と心血管疾患や心血管代謝レベルに応じた抗精神病薬の選択との関係を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・259名の医療関係者から2,613件のデータが集積された。
・心血管代謝リスクの高いオランザピン、中等度のクエチアピン、リスペリドン、これら3剤の処方箋は全体の79%を占めた。
・第二世代抗精神病薬の処方は肥満、脂質異常症、糖尿病との間に有意な相関が認められたが(p<0.001)、高血圧、心血管疾患との相関は認められなかった。
・オランザピンの投与は、心血管疾患の既往がない患者より、既往のある患者において処方割合がわずかに少なかった(平均4%)。
・心血管代謝リスクが低いかほとんどないアリピプラゾールを投与された患者の割合は、心血管代謝疾患既往患者で一貫して高かった(平均2%)。
・医療関係者による統計学的に有意な心血管代謝リスクについてのセンシティビティの存在が明らかになったが、このセンシティビティは強力ではなく統計学的に一様に有意でもなかった。
・治療決定を行う際、薬剤のリスクに関する多くの情報を収集しておくことで、ケアの質を向上させることができると考えられる。
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(ケアネット 鷹野 敦夫)