医療一般|page:149

リブタヨは進行または再発の子宮頸がんに対する初の単剤療法/サノフィ

 サノフィは3月30日付のプレスリリースで、「がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌」を効能または効果として、リブタヨ点滴静注350mg(一般名:セミプリマブ、以下「リブタヨ」)の販売を同日より開始したことを発表した。  子宮頸がんは、世界では女性のがん死因の第4位に当たり、35~44歳での診断が最も多い疾患である。大部分はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を原因とし、約80%を扁平上皮がん(子宮頸部の外部を覆う細胞から発生)、残る患者の多くを腺がん(子宮頸部の内部にある腺細胞から発生)が占めている。進行または再発の子宮頸がんの治療選択肢は限られており、世界で毎年約57万人の女性が子宮頸がんと診断されていることから、新たな治療法の登場が望まれていた。

ベンゾジアゼピンや気分安定薬の併用率低下に長時間作用型注射剤は寄与するか

 統合失調症は、再発と寛解を繰り返す慢性疾患である。治療には主に抗精神病薬が用いられ、その剤形には経口剤または長時間作用型注射剤(LAI)がある。さまざまな理由で気分安定薬やベンゾジアゼピンが補助療法として頻用されるが、国際的なガイドラインで推奨されることはめったにない。ルーマニア・トランシルバニア大学のAna Aliana Miron氏らは、慢性期統合失調症患者を対象に、抗精神病薬の剤形が気分安定薬やベンゾジアゼピンの併用に及ぼす影響を明らかにするため、観察的横断研究を実施した。その結果、安定期統合失調症患者に対する気分安定薬およびベンゾジアゼピンの長期併用率は、抗精神病薬の剤形とは関係なく高いままであることが示唆された。

初回化学療法反応後の維持療法としてのCDK4/6阻害薬の有用性/日本臨床腫瘍学会

 切除不能または転移のある乳がん患者(MBC)患者に対する初回化学療法反応後の維持療法としての内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用療法が、有望な有効性と管理可能な安全性プロファイルを示したことを、大阪国際がんセンターの藤澤 文絵氏が第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。  MBC乳がんに対するベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後の維持療法として、内分泌療法(+カペシタビンあるいはベバシズマブ併用)の有用性が国内多施設無作為化第II相試験(KBCSG-TR12141)、BOOSTER試験2))で報告されている。しかし、内分泌療法+CDK4/6阻害薬併用維持療法の有効性と安全性に関するデータは十分ではない。そこで、藤澤氏らはMBC患者における初回化学療法反応後の維持療法としての内分泌療法+CDK4/6阻害薬の安全性と有効性を調査した。

アナモレリン投与、日本人5,000例のリアルワールドデータ/日本臨床腫瘍学会

 グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)は、2021年1月に非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、膵臓がん、大腸がんに伴う悪液質治療として国内で保険承認された。2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)において、室 圭氏 (愛知県がんセンター 副院長/薬物療法部長)が国内の患者約5,000例を対象とした市販後全例調査(PMS)の中間解析結果を発表した。

糖尿病治療による心血管/心不全リスクへの効果の違い~メタ解析

 糖尿病治療による心血管および心不全リスクへの効果は試験により大きく異なる。今回、医学研究所北野病院(大阪市)の長谷部 雅士氏らがランダム化心血管アウトカム試験35試験のメタ解析およびメタ回帰分析により、糖尿病治療は主要有害心血管イベント(MACE)をHbA1cに依存して減少させる一方、心不全リスクは体重に依存して減少することがわかった。Cardiovascular Diabetology誌2023年3月19日号に掲載。  本研究では、2023年1月25日までPubMedとEMBASEで2型糖尿病または前糖尿病患者におけるMACEと心不全アウトカムの両方を報告する糖尿病治療(生活習慣改善、薬剤)のすべてのランダム化比較心血管アウトカム試験を検索し、35試験(計25万6,524例)を同定した。ランダム効果メタ解析に続いてメタ回帰分析を行い、各アウトカムに対するHbA1cまたは体重減少の影響を評価した。

新型コロナワクチン接種ガイダンスを改訂/WHO

 世界保健機関(WHO)は3月28日付のリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種ガイダンスを改訂したことを発表した。今回の改訂は、同機関の予防接種に関する専門家戦略アドバイザリーグループ(SAGE)が3月20~23日に開催した会議を受け、オミクロン株流行期の現在において、ワクチンや感染、またはハイブリッド免疫によって、世界的にすべての年齢層でSARS-CoV-2の抗体保有率が増加していることが考慮されたものとなる。SARS-CoV-2感染による死亡や重症化のリスクが最も高い集団を守ることを優先し、レジリエンスのある保健システムを維持することに重点を置いた、新たなロードマップが提示された。

肺がん骨転移へのゾレドロン酸8週ごと投与/日本臨床腫瘍学会

 肺がん骨転移に対するゾレドロン酸8週ごと投与の結果を、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、大阪国際がんセンターの田宮 基裕氏が発表した。  ゾレドロン酸は、固形がんのがん骨関連事象(SRE)や症状緩和には欠かせない薬物である。一方、顎骨壊死などの重篤な有害事象の発現リスクも見逃せない。そのため、投与間隔の長短による、有効性と安全性の違いが研究されている。田宮氏が発表した無作為オープンラベル第II相試験(Hanshin Cancer Group0312)は、添付文書用法である3〜4週ごとと、8週ごとを比較したもの。

DEEPER試験の追加調査でm-FOLFOXIRI+セツキシマブ、RAS/BRAF野生型+左側原発大腸がんに有用/日本臨床腫瘍学会

 DEEPER試験は未治療の切除不能転移RAS野生型大腸がんの患者を対象に、m-FOLFOXIRI+セツキシマブの有効性と安全性をm-FOLFOXIRI+ベバシズマブと比較して検証することを目的とした無作為化第II相試験である。すでにセツキシマブ群が主要評価項目であるDpR(最大腫瘍縮小率)を有意に改善したことが報告されている。2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)のPresidential Session 4(消化器)で、本試験における最終登録から3年後の解析結果を、辻 晃仁氏(香川大学 医学部臨床腫瘍学講座)が発表した。

双極性障害患者の肥満と脳皮質形態との関連~ENIGMA研究

 双極性障害を含む重度の精神疾患患者では、とくに肥満が顕著に認められる。双極性障害と肥満のいずれにおいても標的となりうる器官は脳であると考えられるが、双極性障害における脳皮質の変化と肥満との関係については、これまでよくわかっていなかった。カナダ・ダルハウジー大学のSean R. McWhinney氏らは、双極性障害患者の肥満と脳皮質形態との関連について調査を行った。その結果、双極性障害患者はBMIが高いほど脳の変化が顕著であることが示唆され、双極性障害とも関連する脳領域において、高BMIには大脳皮質全体で表面積ではなく皮質厚の薄さと一貫した関連があることが認められた。Psychological Medicine誌オンライン版2023年2月27日号の報告。

難治転移大腸がんへのfruquintinib、日本人患者にも有用/日本臨床腫瘍学会

 転移のある大腸がん患者に対する血管内皮増殖因子受容体 (VEGFR) -1、2、3を標的とするfruquintinibの有効性を示したFRESCO-2試験。本試験における日本人サブグループの解析結果を、2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)のPresidential Session 4(消化器)で、国立がん研究センター東病院の小谷 大輔氏が発表した。  FRESCO-2試験は米国、欧州、オーストラリア、日本で実施された国際共同第III相試験であり、fruquintinib+最善の支持療法(BSC)またはプラセボ+BSCに2:1で無作為に割り付けられた。fruquintinib(F群)またはプラセボ(P群)を1日1回投与(5mgを28日周期で3週間投与し、1週間休薬)した。主要な患者選択基準には、標準化学療法が不応または不耐であること、抗VEGF 療法歴を有すること、RAS野生型の場合は抗EGFR療法歴を有すること、適応がある場合は免疫チェックポイント阻害薬またはBRAF阻害薬治療歴を有すること、またトリフルリジン/チピラシルとレゴラフェニブの両方もしくはいずれかの治療歴を有することが含まれた。

CDK4/6阻害薬+内分泌療法、HER2低発現乳がんでの有効性/日本臨床腫瘍学会

 HER2低発現とHER2ゼロの進行乳がん患者において、CDK4/6阻害薬および内分泌療法の効果を比較した結果、両群の無増悪生存期間(PFS)中央値や内分泌療法の治療成功期間(TTF)中央値に有意差はなかったことを、大阪市立総合医療センターの大森 怜於氏が、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。  内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用は、ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行・再発乳がんの標準治療となっている。HER2低発現(IHC1+またはIHC2+/ISH-)は新たに注目されている分類だが、HER2低発現乳がんに対する研究はまだ限られている。

不眠症に対する認知療法、行動療法、認知行動療法の長期有効性比較

 不眠症を軽減するためには、長期的な治療が重要である。米国・カリフォルニア大学バークレー校のLaurel D. Sarfan氏らは、不眠症治療に対する認知療法(CT)、行動療法(BT)、認知行動療法(CBT)の長期的な有効性について、相対的に評価した。その結果、セラピストによるCBT、BT、CTの提供は、長期にわたり不眠症による夜間および日中の症状を改善させる可能性が示唆された。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2023年2月23日号の報告。

日本化薬のペメトレキセドGE、非小細胞肺がんの術前補助療法の適応取得

 日本化薬は、2023年3月27日、厚生労働省よりペメトレキセド点滴静注液100mg「NK」・同500mg「NK」・同800mg「NK」、ペメトレキセド点滴静注用100mg「NK」・同500mg「NK」・同800mg「NK」について、「扁平上皮癌を除く非小細胞肺癌における術前補助療法」に対する効能・効果、ならびに用法・用量に係る医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。

ICIの継続判断にも有用、日本初のOnco-cardiologyガイドライン発刊

 本邦初となる『Onco-cardiologyガイドライン』が第87回日本循環器学会学術集会の開催に合わせて3月10日に発刊された。これまで欧州ではESC(European Society of Cardiology、欧州心臓病学会)などがガイドラインを作成・改訂しており、国内でもガイドライン発刊が切望されていたことから、日本臨床腫瘍学会と日本腫瘍循環器学会が協働しMindsに準拠したものを作成した。今回、学術集会の会長企画シンポジウム6「OncoCardiology:診断と治療Up-to-Date」において、ガイドライン(以下、GL)のポイントについて発表された。

T-DXd、HER2低発現乳がんに適応拡大/第一三共

 第一三共は2023年3月27日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)について、「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌」の効能又は効果に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  本適応は、2022年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO2022)で発表された、化学療法による前治療を受けたHER2低発現の乳がん患者を対象としたグローバル第III相試験(DESTINY-Breast04)の結果に基づくもので、2022年6月に国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、優先審査品目に指定されていた。国内において初めてHER2低発現の乳がんを対象に承認された抗HER2療法となる。

HER2低発現乳がんへのT-DXd、アジア人集団でも有効性・安全性を確認(DESTINY-Breast04)/日本臨床腫瘍学会

 化学療法歴を有するHER2低発現の切除不能または転移のある乳がん患者(MBC)に対して、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択の化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast04試験のアジア人サブグループ解析において、T-DXd群では全体集団と同様にアジア人集団でも有意に無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が延長し、管理可能な安全性プロファイルであったことを、昭和大学の鶴谷 純司氏が第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。

コロナ疾患後症状患者、1年以内の死亡/重篤心血管リスク増

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染から1年間のコロナ罹患後症状(Post-COVID-19 Condition:PCC[いわゆるコロナ後遺症、long COVID])について、米国の商業保険データベースを用いて未感染者と比較した大規模調査が、保険会社Elevance HealthのAndrea DeVries氏らによって実施された。その結果、PCC患者は心血管疾患や呼吸器疾患のリスクが約2倍上昇し、1年間の追跡期間中の死亡率も約2倍上昇、1,000人あたり16.4人超過したことが明らかとなった。JAMA Health Forum誌2023年3月3日号に掲載の報告。  米国50州の18歳以上の健康保険会員において、2020年4月1日~7月31日の期間にCOVID-19に罹患し、その後PCCと診断された1万3,435例と、未感染者2万6,870例をマッチングし、2021年7月31日まで12ヵ月追跡してケースコントロール研究を実施した。

日本の食事パターンと認知症リスク~NILS-LSAプロジェクト

 日本食の順守が健康に有益である可能性が示唆されている。しかし、認知症発症との関連は、あまりよくわかっていない。国立長寿医療研究センターのShu Zhang氏らは、地域在住の日本人高齢者における食事パターンと認知症発症との関連を、アポリポ蛋白E遺伝子型を考慮して検討した。その結果、日本食の順守は、地域在住の日本人高齢者における認知症発症リスクの低下と関連しており、認知症予防に対する日本食の有益性が示唆された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2023年2月17日号の報告。  本研究データはNILS-LSA(国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究)プロジェクトの一環として収集され、愛知県在住の認知症でない高齢者1,504人(65~82歳)を対象とした20年間のフォローアップコホート調査が実施された。

地中海食が悪性黒色腫の免疫療法への反応を改善か

 オランダ・フローニンゲン大学のLaura A. Bolte氏らは、食事習慣と免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療反応の関連を調べるコホート研究「PRIMM研究」を行い、地中海食(全粒穀物、魚、ナッツ、豆、果物、野菜が豊富)とICI治療反応に正の関連があることを明らかにした。著者は、今回のコホート登録者がオランダと英国の進行悪性黒色腫患者91例であったことを踏まえて、「今回の結果の再現性を確認し、ICIによる治療における食事の役割を解明するためには、さまざまな国や地域での大規模な前向き研究が必要である」としつつ、「習慣的な食事がICIへの反応を改善する役割を果たす可能性があることが示唆された」と述べている。JAMA Oncology誌オンライン版2023年2月16日号掲載の報告。

ニボルマブのNSCLCネオアジュバント、国内承認/小野薬品・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2023年3月27日、ニボルマブについて、化学療法との併用療法で非小細胞肺癌における術前補助療法に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の取得を発表した。  今回の承認は、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、ニボルマブと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate 816試験の結果に基づいている。