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日本における大腸がんの新薬開発状況

 切除不能大腸がんに対する化学療法においては、既に発売されている薬剤のHead to Headの比較試験が実施されている一方で、新たな治療薬の開発治験も進んでいる。7月17~19日に開催された第12回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「切除不能大腸がん治療戦略の展望」をテーマとしたインターナショナルセッションが企画され、そのなかで、日本における切除不能大腸がんに対する新規薬剤の開発状況について、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院消化管内科)が講演した。その内容を紹介する。

乾癬を長く患っている人は骨密度に注意

 乾癬患者と骨密度の関連を調査した結果、骨減少症/骨粗鬆症の被験者では、乾癬の罹患期間が有意に長いことが、ローマ・ラ・サピエンツァ大学のSofia D'Epiro氏らによって報告された。本調査の結果を踏まえて筆者らは、「乾癬患者、とくに長期罹患者では、より早期から骨代謝の評価が必要である」とまとめた。The Journal of Dermatology誌オンライン版2014年7月3日掲載報告。

認知症にスタチンは有用か

 アルツハイマー病(AD)や血管性認知症(VaD)へのスタチン治療は、比較的未開拓の領域である。先行文献において、ADではβ-アミロイド(Aβ)が細胞外プラークとして沈着し、Aβ生成はコレステロールに依存することが確認されている。また、VaDの病因に高コレステロール血症が関与していることも知られている。そこで、英国・Belfast Health and Social Care TrustのBernadette McGuinness氏らは、認知症に対するスタチン治療の有益性について、システマティックレビューとメタ解析により検討を行った。Cochrane Database Systematic Review誌オンライン版2014年7月8日号の掲載報告。

肺がんに分子標的薬の同時併用? 臨床腫瘍学会2014

 非小細胞肺がんの化学療法未治療例に対し、EGFR-TKIと抗VEGF抗体の併用がPFSを延長する可能性が、第二相試験の結果から示された。2014年7月17日~19日まで福岡市で開催された第12回日本臨床腫瘍学会において、国立がん研究センター東病院 後藤功一氏が、再発非小細胞肺がんの一次治療におけるエルロチニブとベバシズマブの併用療法の試験結果を発表した。

うつ寛解のポイントは疲労感

 大うつ病性障害(MMD)患者に対する、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療のアウトカムに、疲労感はどのような影響を及ぼすのだろうか。この疑問を明らかにすべく、M. Ferguson氏らはSTAR*Dの二次解析により検討を行った。その結果、ベースライン時の疲労感が軽度であること、および治療中の疲労回復は、うつ症状の寛解、および良好な機能やQOLと関連していることが示された。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2014年7月4日号掲載の報告。

新規アトピー性皮膚炎治療薬dupilumab、第IIb相試験で肯定的な結果

 サノフィ株式会社とRegeneron社は2014年7月22日、中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者を対象とした dupilumabの第IIb相試験のプレスリリースを発表した。その結果、dupilumab群はいずれの用量においても、用量依存的に主要評価項目を改善したことが示された。今回の結果を踏まえて、Regeneron社のジョージ・D・ヤンコポロス氏は、「本研究は IL-4/IL-13経路がアレルギー疾患の根本的役割を担っている可能性を示した。IL-4/IL-13のシグナル伝達を阻害することにより、アトピー性疾患に対する重要な新しい治療法が生まれる可能性がある」と述べている。

睡眠時持続性棘徐波への対処は

 現在のところ睡眠時持続性棘徐波(CSWS)の治療に関して、エビデンスに基づくアプローチは文献で明らかにされていない。米国ハーバード・メディカル・スクールのIvan Sanchez Fernandez氏らは、CSWSの治療選択について、アメリカてんかん学会(AES)の会員を対象にアンケート調査を実施した。その結果、約8割が「顕著な睡眠-増強てんかん様活動に対して治療を行うべき」と回答し、第1選択薬として最も多く挙げられたのは高用量ベンゾジアゼピン(47%)で、次いでバルプロ酸(26%)、コルチコステロイド(15%)であったという。Epilepsia誌オンライン版2014年6月10日号の掲載報告。

孤独はSSRIの効果を下げる

 米国・ノースカロライナ大学のElyse C Dankosk氏らは、マウスにストレスを与えた場合の選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)の効果への影響を検討した。その結果、社会的孤立というストレスを受けているシングルマウスは、ペアで飼育されているマウスよりもSSRIの効果が弱いことなどを報告した。結果を踏まえて著者は、「うつおよび脅迫性障害の治療において、SSRIの効果は現状のストレッサーに依存することが示唆された」とまとめている。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2014年7月1日号の掲載報告。

スチリペントールの薬物動態 再評価

 スチリペントールは、2007年1月に欧州で承認され、日本国内ではディアコミット ドライシロップ/カプセルとして2012年11月より販売開始となっているドラベ症候群治療薬である。ドラベ症候群は、原因不明のてんかん症候群であり、発生頻度は2~4万人に1人とされ、発達などへの影響を伴う小児てんかんの中でもきわめて治療が困難な疾患である。

統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か

 統合失調症の抗精神病薬中止後の再発予防に、オメガ-3系多価不飽和脂肪酸(ω-3 PUFAs)と代謝抗酸化物質であるα-リポ酸(α-LA)の組み合わせが有効であるというエビデンスは、示されなかったことが報告された。南アフリカ共和国・ステレンボス大学のRobin Emsley氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。検討では、服薬中止後の再発率が75~90%と高かったことから、著者は「統合失調症の単回エピソード後の抗精神病薬の中止は再発のリスクが非常に高く、同プラクティスを支持するガイドラインを改訂すべきであろう」と述べている。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年7月1日号の掲載報告。