医療一般|page:5

ダラツムマブ配合皮下注、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫に申請/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2025年2月14 日、ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(商品名:ダラキューロ配合皮下注)について、「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫」を効能又は効果として、製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。  今回の申請は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)を対象にダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合皮下注単剤療法の有効性と安全性を検証した国際共同第III相AQUILA試験に基づくもの。

日本における精神科入院に対する向精神薬頓服処方モニタリングプログラムの有用性

 向精神薬の頓服処方は、精神疾患に対する通常の薬物療法に加えて、興奮や不眠などの症状に対し、必要に応じて使用される。しかし、向精神薬頓服処方の有効性は、関連するエビデンスの質が低く、多剤併用につながる懸念がある。北里大学の斉藤 善貴氏らは、精神科入院患者を対象に向精神薬頓服処方モニタリングプログラムを導入し、プログラム実施前後の処方の変化をレトロスペクティブに調査した。BMC Psychiatry誌2025年1月17日号の報告。

OTC類似薬の保険適用除外、日医が示した3つの懸念点

 日本医師会常任理事の宮川 政昭氏が、2月13日の定例記者会見で、OTC医薬品に係る最近の状況について日本医師会の見解を示した。社会保険料の削減を目的に、OTC類似薬の保険適用除外やOTC医薬品化を進めることには重大な危険性が伴うと強調し、その理由として下記を挙げた。 1.医療機関の受診控えによる健康被害の懸念  はた目から見ると軽微な症状であっても、医師の診察を受けることで重篤な疾患の早期発見につながることがある。むしろ、重篤な疾患ではないことの確認こそが診察の大きな役割である。しかし、OTC類似薬の保険適用が除外されると、患者が自己判断で市販薬を使用して、適切な治療が受けられずに重篤化する可能性が高まる。結果として治療が遅れて合併症を引き起こし、かえって高額な医療費が発生するリスクがある。このリスクは「個々人の危険性が少し高まるだけ」という評価もあるが、国全体では多くの人が不幸を背負ってしまうため、政策として容認できるものではない。

血圧測定は騒がしい場所でも問題なし

 もし血圧を測定した場所が騒がしい公共空間であったとしても、心配は無用のようだ。騒がしい場所で測定された血圧値の正確性は、静かな環境で測定された血圧値と同程度であることが新たな研究で示された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院疫学分野のTammy Brady氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に1月28日掲載された。Brady氏は、「公共空間で測定された血圧値と静かな個室で測定された血圧値の差は極めて小さかった。このことから、公共空間は高血圧のスクリーニングの場として妥当であることが示唆された」と結論付けている。

脂肪の多い筋肉は心疾患リスクを高める

 霜降り肉のステーキはグリル料理で高く評価されるが、人間の筋肉に霜降り肉のように脂肪が蓄積していると命取りになるかもしれない。新たな研究で、筋肉中に脂肪が多い人は、心臓に関連した健康問題で死亡するリスクが高いことが明らかになった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院心臓ストレス研究室のViviany Taqueti氏らによる研究で、詳細は「European Heart Journal」に1月20日掲載された。  この研究は、冠動脈疾患(CAD)の評価のために、2007年から2014年の間に同病院で全身PET/CT検査を用いた心臓ストレステストを受けた669人の患者(平均年齢63歳、女性70%)を対象にしたもの。PET/CT検査で左室駆出率(LVEF)、心筋血流量(MBF)、冠血流予備能(CFR)などを評価するとともに、CTで胸部の体組成として、皮下脂肪、骨格筋、筋肉間脂肪組織(IMAT)などを調べ、骨格筋内の脂肪の比率(fatty muscle fraction;FMF)を算出した。対象患者を中央値で5.8年にわたって追跡し、追跡期間中の主要心血管イベント(MACE、死亡または心筋梗塞か心不全による入院と定義)発生の有無を調べた。

10代の若者が自殺に向かう理由―未遂者対象解析

 10代の若者が自殺行動に至る理由やその手段などの特徴が明らかになった。日本医科大学付属病院精神神経科の成重竜一郎氏らの研究の結果であり、詳細は「BMC Psychiatry」に11月6日掲載された。学校や家庭の問題、および自閉スペクトラム症が、この世代の自殺リスクを押し上げている可能性があるという。  国内の自殺者数は近年減少傾向にあるが、10代の若者の自殺者数は変化が乏しく、依然としてこの世代の死因のトップを占めている。10代の自殺は他の世代とは異なる特徴を持つことが海外から報告されている。しかし日本人のデータは少なく詳細が不明。これを背景として成重氏らは、2010~2021年に同院救命救急センターに収容され、救命し得た症例を対象とする詳細な解析を行った。自殺企図の原因・動機や精神疾患の有無などは、2人以上の経験豊富な精神科医の討議により推定・診断した。

重度精神疾患患者における第2世代抗精神病薬の心代謝プロファイルの安全性比較

 重度の精神疾患のマネジメントにおけるアリピプラゾールの心代謝への安全性および有効性の比較に関するエビデンスは限られており、その結果は一貫していない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlvin Richards-Belle氏らは、他の第2世代抗精神病薬と比較したアリピプラゾールの心代謝プロファイルおよび有効性を調査した。PLoS Medicine誌2025年1月23日号の報告。  英国・プライマリケアにおけるアリピプラゾールとオランザピン、クエチアピン、リスペリドンを直接比較した観察エミュレーションを実施した。データは、Clinical Practice Research Datalinkより抽出した。対象は、2005〜17年に新たに抗精神病薬を使用した重度の精神疾患(双極症、統合失調症、その他の非器質性精神病)成人患者。2019年までの2年間、フォローアップを行った。主要アウトカムは、1年後の総コレステロール値(心代謝安全性)とした。主な副次的アウトカムは、精神科入院(有効性)とした。その他のアウトカムには、体重、血圧、すべての原因による治療中止、死亡率などを含めた。分析では、人口統計、診断、併用薬、心血管代謝パラメータなどのベースライン交絡因子で調整を行った。

多枝病変STEMI、完全血行再建術の最適なタイミングは?~ネットワークメタ解析/JACC

 多枝病変を有するST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、完全血行再建術(CR)は責任血管のみの治療より有益であることが、これまでの研究で報告されている。米国・エモリー大学の上山 紘生氏らの研究チームは、ランダム化比較試験のネットワークメタ解析にて、多枝病変を有するSTEMI患者における最適な血行再建術のタイミングを検証した。その結果、CRは責任血管のみの治療より良好な転帰を示し、即時CRが段階的CRより有利な可能性が示された。Journals of the American College of Cardiology誌2025年1月7日号に掲載。

RSV感染症vs.インフル、重症度と転帰を比較~日本の成人5万7千例

 RSウイルス(RSV)は小児だけでなく成人にも重大な影響を及ぼすが、成人のRSV感染症の入院患者の重症度や転帰に関する報告は少ない。今回、東京科学大学の井上 紀彦氏らがRSV感染症とインフルエンザの成人入院患者を比較した後ろ向き観察研究の結果、RSV感染症は入院中だけではなく長期アウトカムにおいてもインフルエンザと同等以上の健康上の脅威が示された。Infectious Diseases誌オンライン版2025年2月4日号に掲載。  本研究では、日本のDPCシステムに基づく358病院の請求データを基に、2010年4月~2022年3月にRSV感染症またはインフルエンザで入院した18歳以上の5万6,980例を対象とした。短期アウトカムは入院中の重症度指標として医療資源(ICU入室、酸素補充、機械的人口換気、体外膜酸素療法)利用率および院内死亡率とし、長期アウトカムは生存者の退院後1年以内の再入院および入院後1年以内の全死亡とした。逆確率重み付けによる調整後、ポアソン回帰を用いてリスクを推定した。

早期乳がんの術後パルボシクリブ、PPI併用の影響は?(PALLAS)/ESMO Open

 抗がん剤とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用は薬物相互作用を引き起こし、抗がん剤の効果に影響を及ぼす可能性がある。今回、ベルギー・Hopital Universitaire de BruxellesのElisa Agostinetto氏らは、HR+/HER2-早期乳がんの術後補助内分泌療法へのパルボシクリブ追加を検討した第III相PALLAS試験の探索的解析として、パルボシクリブ投与患者においてPPI併用が生存転帰に影響するかどうかを検討し、ESMO Open誌2025年1月号に報告した。  PALLAS試験では主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(iDFS)は改善しなかったことが報告されている。今回の探索的解析は、パルボシクリブを1回以上投与された患者を対象に、PPI併用とiDFS、無遠隔再発生存期間(DRFS)、全生存期間(OS)との関連を明らかにすることを目的とした。さらにPPI使用と好中球減少症との関連も調査した。

スポーツで子どもの学力がアップ?

 10代前半でスポーツを行っている子どもは、10代後半になった時点での学力が良好という有意な関連のあることが報告された。モントリオール大学(カナダ)のLinda Pagani氏らの研究によるもので、論文が「Children」に9月20日掲載され、同大学からニュースリリースが1月16日に発行された。構造化された競技に参加している子どもは性別を問わず、高校卒業資格を取得する割合が高く、また女子については審美系競技に参加している場合に学力も高くなるという関連も示されたという。  スポーツと学力との関連については既に複数の研究報告が存在するが、成績に良い影響を与えるとする結果もあれば、反対に成績の低下と関係しているという結果が混在している。また、これまでの研究の大半は横断研究であり、因果関係が不明。さらに、性別の違いが十分考慮されていないといった、解釈上の限界点があった。これを背景にPagani氏らは、カナダで行われている児童・青少年対象の縦断研究のデータを用いた解析を行った。

毎日のダークチョコレート摂取は心肺機能を向上させる

 ダークチョコレート摂取が、糖尿病や心血管疾患、高血圧に何らかの作用を与える報告が多数されている。では、毎日ダークチョコレート摂取した場合、身体機能に変化を与えることはあるのだろうか。この疑問にギリシャ・テッサロニキのアリストテレス大学体育学部スポーツ医学研究室のZacharias Vordos氏らの研究グループは、マラソンなどの持久力が必要な男性ランナーに、毎日ダークチョコレートを摂取させ、その効果を評価した。その結果、ダークチョコレートは、ランナーの動脈機能を改善し、血管の健康を高めることがわかった。この結果はSports誌2024年12月号に掲載された。

患者さんの血糖管理を楽にする週1回注射のインスリン イコデク/ノボ

 ノボノルディスクファーマは、世界初の週1回投与のインスリンアナログ製剤インスリン イコデク(商品名:アウィクリ)の1月30日の発売に合わせ、「これからの2型糖尿病におけるインスリン治療」をテーマに都内でプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、イコデクの製品説明のほか、専門医によるインスリン治療のアンメットニーズ、イコデクの第III相臨床試験である「ONWARDS試験」の詳しい内容、使用に適する患者像などが説明された。

統合失調症の新治療戦略、マイクロバイオーム治療に関するメタ解析

 統合失調症は、慢性的な精神疾患であり、さまざまな症状が認められる疾患である。その症状は、大きく陽性症状、陰性症状、認知機能に分類される。統合失調症の病因は多因子性であり、遺伝的、神経生物学的、環境的因子が複雑かつ相互に関与しており、神経生物学的因子は、さまざまな神経伝達物質システムの異常と関連していると考えられる。この多因子性の病因および神経生物学的因子により、症状や臨床所見が多種多様となる。現在の抗精神病薬による治療は、依然として課題に直面しており、新たな治療法が求められている。最近の研究では、統合失調症患者と健康対照者における腸内マイクロバイオームの違いが明らかになっており、統合失調症と胃腸の健康に複雑な関連があると報告され、マイクロバイオームを標的とした介入が、臨床症状の改善に寄与する可能性が示唆されている。ブラジル・サンパウロ大学のLucas Hassib氏らは、薬物療法中の統合失調症患者の臨床アウトカムに対するマイクロバイオーム治療の有効性を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Brain,Behavior, & Immunity-Health誌2024年12月11日号の報告。

タンパク質などの“酸性食品”が要介護リスクに影響か

 2050年までに介護を必要とする高齢者は現在の4倍にまで増加すると言われており、高齢者に対する介護の必要性を低減させる取り組みが喫緊の課題とされている。そのような状況を踏まえ、今回、国立長寿医療研究センターの木下 かほり氏らが酸性食品(タンパク質やリンを多く含むもの)がもたらすdisability(要介護状態)の発生率を調査した結果、食事性酸負荷が高い(=酸性食品の摂取量が高い)ほど、高齢女性では要介護状態の発生率が増加したことを明らかにした。代謝性アシドーシスが筋肉の異化を亢進させることは既知であり、酸性食品が高齢者の筋肉減少を助長させる可能性があったものの、要介護状態発生との関連性はこれまで不明であった。The Journal of Frailty & Aging誌2025年2月号掲載の報告。

ADHDと診断された人の寿命は短い?

 注意欠如・多動症(ADHD)の成人は、同年代のADHDではない人と比べて平均寿命が男性で平均6.8年、女性で8.6年短いと推定されることが、新たな研究で示された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)加齢・臨床心理学分野のJoshua Stott氏らによるこの研究結果は、「The British Journal of Psychiatry」に1月23日掲載された。Stott氏は、「これは大きな数字であり、憂慮すべき状況だ」とNew York Times紙に語っている。  世界でのADHDの有病率は2.8%と推定されている。Stott氏は、ADHDの人は、衝動的な行動を取りがちで、時間や健康をうまく管理できない傾向が強く、それがよりリスクの高い選択につながっている可能性があると説明する。New York Times紙は、このような困難が、ADHDの人での事故率や慢性疾患の罹患率の高さに関連していると報じている。

移植不適格/移植延期の新規診断多発性骨髄腫、D-VRdがVRdより深い持続的なMRD反応(CEPHEUS)

 移植不適格の新規診断多発性骨髄腫(NDMM)患者または初期治療として移植予定のない(移植延期)患者を対象に、ダラツムマブ皮下投与+ボルテゾミブ+レナリドミド+ デキサメタゾン(D-VRd)をボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)と比較した無作為化第III相CEPHEUS試験において、D-VRdがより深い持続的な微小残存病変(MRD)反応をもたらすことが示された。米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのSaad Z. Usmani氏らがNature Medicine誌オンライン版2025年2月5日号に報告した。

混合性うつ病の精神運動興奮に対するトラゾドンIVの有効性

 精神運動興奮は、混合性うつ病の困難な症状であり、多くの場合、臨床アウトカムを悪化させ、治療を複雑化させる。イタリア・シエナ大学のPietro Carmellini氏らは、混合性うつ病患者を対象に、トラゾドン静脈内投与(IV)の有効性および忍容性を評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2025年1月13日号の報告。  対象は、混合性うつ病入院患者97例。症状重症度は、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)、ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)、7項目一般化不安障害質問票(GAD-7)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)を用いて評価した。

家族に糖尿病患者がいるといない家族と比べ20倍の発症リスク/新潟大

 2型糖尿病の発症に家族歴が関係していることが知られているが、その発症や有病リスクはどのくらいになるのだろうか。この疑問に新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野の池田 和泉氏らの研究グループは、健康診断データ約4万例を解析し、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症の有病率および発症率を解析した。その結果、糖尿病有病リスクは、家族に糖尿病がまったくいない人の約20倍という結果が示された。この結果は、Mayo Clinic Proceedings誌オンライン版2025年1月29日号に掲載された。

市中肺炎、ステロイドを検討すべき患者は?

 市中肺炎(CAP)は、過剰な炎症反応が死亡と関連することから、ステロイドの併用が有効である可能性が指摘されている。そこで、複数の無作為化比較試験(RCT)やシステマティックレビュー・メタ解析が実施されているが、ステロイドの併用による死亡率への影響については議論が続いている。そのような背景から、オランダ・エラスムス大学医療センターのJim M. Smit氏らの研究グループは、CAPによる入院患者を対象としたRCTの個別患者データ(IPD)を用いたメタ解析を実施し、ステロイドの併用の30日死亡率への影響を評価した。その結果、ステロイドの併用により30日死亡率が低下し、とくにCRP高値の患者集団で有用である可能性が示された。本研究結果は、Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年1月29日号に掲載された。