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【JSMO2017見どころ】プレナリーセッション、免疫・細胞療法

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。

アトピー性皮膚炎とHBV感染は逆相関する

 韓国・カトリック大学のHee Yeon Kim氏らは、韓国国民健康栄養調査のデータを解析し、B型肝炎抗原(HBs抗原)陽性とアトピー性皮膚炎との間に有意な逆相関があることを報告した。これまで、アトピー性皮膚炎とB型肝炎ウイルス(HBV)感染との関連は明らかになっていない。ある研究ではHBV保有者でアトピー性皮膚炎のリスク増加が報告され、他の研究ではHBV血清陽性はアレルギー疾患と逆の関連があることが示されている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2017年6月24日号掲載の報告。

家族の増加で脳卒中リスクは増える?~JPHC研究

 これまで、家族の増加を含めた家族構成の変化と脳卒中リスクとの関連を検討した研究はなかった。今回、わが国の多目的コホート研究であるJPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study、主任研究者:津金昌一郎氏)で日本人の家族構成の変化と脳卒中発症を検討したところ、家族(とくに配偶者)を喪失した男性は脳梗塞リスクが高く、一方、家族(とくに親)が増えた女性は家族構成が変わっていない女性より脳出血リスクが高かった。PLOS ONE誌2017年4月13日号に掲載。

抗うつ薬の皮膚疾患に関連する抗炎症作用

 モノアミン作動性抗うつ薬の臨床的に関連する抗炎症作用についてのエビデンスが増加している。ノルウェー・オスロ大学のShirin Eskeland氏らは、慢性蕁麻疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、他の湿疹、円形脱毛症の5つの一般的な炎症性皮膚疾患と関連した抗うつ薬の使用および有効性について、PubMedおよびOvidデータベースをシステマティックに検索した。Acta dermato-venereologica誌オンライン版2017年5月17日号の報告。

多くのがん種で開発中、ペムブロリズマブの最新トピックス

 2017年7月4日、MSD株式会社はメディアラウンドテーブルを開催し、同社グローバル研究開発本部オンコロジーサイエンスユニット統括部長の嶋本 隆司氏が、ASCO2017の発表データを中心にキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の最新トピックスを解説するとともに、併用療法を含めた今後の開発戦略について語った。

職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか

 「職場ストレイン」は、職場での高い仕事の要求度と低いコントロールの組み合わせで表される。その職場ストレインにより特徴付けられる、心理社会学的に好ましくない職場環境は、従業員の抑うつ症状リスクの上昇と関連しているが、臨床的にうつ病と診断されたエビデンスは少ない。デンマーク・National Research Centre for the Working EnvironmentのI. E. H. Madsen氏らは、職場ストレインと臨床的なうつ病のリスク因子との関連を検討した。Psychological medicine誌2017年6月号の報告。

ACC/AHAガイドラインの費用対効果を他ガイドラインと比較

 2013年改訂の米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)の脂質異常症管理ガイドラインでは、アテローム性心血管疾患の1次予防のためのスタチン使用の推奨が拡大されたが、その費用対効果について他のガイドラインとの比較はなされていない。今回、米国・マウントサイナイ医科大学のDavid J. Heller氏らが費用対効果を比較したところ、ACC/AHAガイドラインは、集団レベルでは男女共により多くの人々を治療し、より多くの命を救い、費用はATP IIIガイドラインより削減されると推計された。個人レベルではスタチンの長期使用から恩恵を受けるかどうかは、心血管リスクの程度よりも錠剤数の負担(pill burden)による負の効用(disutility)に大きく左右されるという。Circulation誌オンライン版2017年7月7日号に掲載。

血友病患者の高齢化で新たな対応へ

 2017年6月27日、都内においてバイオベラティブ・ジャパン株式会社は、血友病患者啓発ツール“Graphemophilia”の発刊に合わせ、「血友病治療の進歩と今後の課題」をテーマにプレスセミナーを開催した。セミナーでは、血友病治療の現在の状況のほか、高齢の血友病患者への対応など、現下の問題や今後について解説する講演も行われた。

統合失調症に対するメマンチン補助療法に関するメタ解析

 NMDA受容体機能不全は、統合失調症の病態生理に関与する。中国・The Affiliated Brain Hospital of Guangzhou Medical UniversityのW. Zheng氏らは、統合失調症治療における非競合的NMDA受容体アンタゴニストであるメマンチンの有効性、安全性を調査するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年5月22日号の報告。

ピロリ除菌療法、エソメプラゾール vs.ラベプラゾール

 CYP2C19代謝活性は、PPIを含むHelicobacter pylori除菌療法の有効性に影響する。弘前大学の下山 克氏らは、異なるCYP2C19遺伝子型を有する日本人において、CYP2C19による代謝を受けないラベプラゾールあるいはエソメプラゾールを用いた3剤併用1次除菌の有効性を比較する無作為化試験を実施した。その結果、除菌率は共に80%未満であったが、各CYP2C19遺伝子型群において同等に有効であることが示された。Internal Medicine誌オンライン版に2017年7月1日に掲載。

認知症の家族による終末期ケア、初期段階でやっておくべきこと

 認知症は、機能低下や認知機能低下を特徴とする進行性の神経変性疾患である。英国において、認知症者への終末期ケアの質は良くないといわれている。認知症者へのケアに関して、たとえば合併症のマネジメントのために、終末期においていくつかの困難な決断が生じることがある。英国・ロンドン大学のKethakie Lamahewa氏らは、認知症者の終末期における医師や家族の介護者による意思決定の困難さについて検討を行った。Health expectations誌オンライン版2017年6月22日号の報告。

レーベル遺伝性視神経症、遺伝子治療が有望

 レーベル遺伝性視神経症(LHON)患者を対象とした低~中用量のAAV2(Y444,500,730F)-P1ND4v2単回硝子体内注射の安全性および有効性を検討する非盲検臨床試験が行われ、LHONに対する遺伝子治療は安全で外側網膜神経線維層に悪影響を及ぼさないことが認められた。検討を行った米国・マイアミ大学ミラー医学校のJohn Guy氏らは、「本剤の高用量での臨床試験への道が開かれた」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月21日号掲載の報告。

PD-L1高発現NSCLCの初回治療はペムブロリズマブ?KEYNOTE-024のPFS2データ/ASCO2017

 PD-L1高発現(TPS50%以上)SageIV非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ペムブロリズマブ単剤と化学療法を比較したKEYNOTE-024試験。初回解析で、無増悪生存期間(PFS)のハザードレシオ(HR)は0.50(p<0.001)、全生存期間(OS)のHRは0.60(p=0.005)と、ペムブロリズマブの優越性が示された。ASCO2017では、その後の追跡によるPFS2と、アップデートされたOSについて、米国The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのJulie Brahmer氏が発表した。

高力価スタチンで糖尿病発症リスク2.6倍

 脂質降下薬が糖尿病発症に関連するかどうか調べるために、日本大学薬学部の大場 延浩氏らが、脂質異常症の日本人労働者約7万例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、糖尿病の臨床的危険因子の調整後も、スタチン使用により糖尿病発症リスクが1.9~2.6倍に増加したことが示された。BMJ open誌2017年6月30日号に掲載。

統合失調症患者のワーキングメモリ改善のために

 口頭による指示に従う能力は、日々の機能において重要であるが、統合失調症患者ではほとんど研究されていない。最近の研究によると、行動ベースのプロセスは、主にワーキングメモリに依存する指示に従う能力を促進する可能性が示唆されている。中国・Castle Peak HospitalのSimon S. Y. Lui氏らは、統合失調症患者が指示に従うことで行動ベースの利点を得るかを検証した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2017年5月22日号の報告。