医療一般|page:101

冬季入浴での突然死、気温の影響は?/鹿児島大学

 冬季に向かい入浴する機会が増えてきている。わが国では入浴関連死が諸外国に比べて頻度が高いという報告もある。そこで、その疫学的特徴を明らかにし予防につなげるために、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科法医学分野の勝山 碧氏らの研究グループは、鹿児島県における入浴関連死の検案記録を調査した。その結果、入浴関連死の90%以上が65歳以上の高齢者であり、16~20時と通常の入浴時間の死亡が約半数を占めていた。Scientific Reports誌2023年2月8日に掲載。

統合失調症患者のアルコール使用と自殺関連アウトカム~メタ解析

 自殺は統合失調症患者における不自然死の主な原因である。アルコール使用は統合失調症患者の併存疾患として一般的に認められ、自殺に対する修正可能なリスク因子である。英国・マンチェスター大学のLee D. Mulligan氏らは、統合失調症患者におけるアルコール使用と自殺関連アウトカムとの関係を定量的に調査するため、プロスペクティブ研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、統合失調症患者においてアルコール使用は、自殺関連アウトカムと大きく関連していることが示された。Psychological Medicine誌オンライン版2023年10月11日号の報告。

再発性UTIに高周波電気療法が有効性を示す

 米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのPhilippe Zimmern氏らの研究で、再発性尿路感染症(UTI)に対する治療法の有効性が示された。この治療法は、高周波電気療法(electrofulguration)と呼ばれるもので、炎症を伴う感染した膀胱組織に電気刺激を加えて破壊する。研究では、再発性UTIに苦しんでいる多くの女性でこの治療法の効果が確認された。詳細は、「The Journal of Urology」10月号に掲載された。  一部の高齢女性は膀胱炎などのUTIの再発を繰り返し、そのたびに抗菌薬の処方を受けている。しかし、抗菌薬を継続的に、あるいは繰り返し使用すると耐性菌が増加し、UTIの治療がますます難しくなることがある。こうした状況が、敗血症として知られる危険な血液感染を招き、膀胱の外科的な切除に至る場合もある。

がん検診で見つかった異常、フォローアップ率向上の鍵を握るのはプライマリケア医

 乳がん、子宮頸がん、大腸がん、および肺がんの検診で異常が見つかり、経過観察(フォローアップ)が必要になった患者に対してプライマリケア医が介入することで、患者が必要なフォローアップを推奨通りのタイミングで受ける可能性の高まることが、新たな臨床試験で示された。米マサチューセッツ総合病院(MGH)一般内科のSteven Atlas氏らが、米国立がん研究所(NCI)と米国がん協会(ACS)の支援を受けて実施したこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月10日号に発表された。

植物性食品が豊富な食料支援が若年者の肥満解消・予防に寄与

 植物性食品を豊富に含む家族向けの食料支援サービスは、その家庭の子どもの肥満予防に有用な方策となる可能性が、「Preventing Chronic Disease」に6月22日掲載された研究から示唆された。  米ボストン小児病院のAllison J. Wu氏らは、2021年1月から2022年2月の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下において、米マサチューセッツ総合病院のリビア・フードパントリー(Revere Food Pantry;食料配給所)からの、植物性食品を中心とする家庭向けの食料支援が、その家庭の子どものBMIの変化に与える影響について検討した。対象とされた家庭には、新鮮な野菜と果物、ナッツ類、全粒穀物を含む食料品を、家族全員が1日3回摂取できるように毎週配給した。食料支援を受けた93世帯の子ども107人のうち、2~18歳の若年者計35人を対象に分析した。分析には線形回帰を使用した。

オンコマインDx、カプマチニブのMETエクソン14スキッピング非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断として追加申請/サーモフィッシャー

 サーモフィッシャーは、オンコマインTM Dx Target Test マルチ CDxシステム(以下、オンコマインDx)について、カプマチニブ塩酸塩水和物(以下、カプマチニブ)のMETエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断として、2023年11月1日付で厚生労働省に医療機器製造販売承認事項一部変更申請を行ったと発表。  カプマチニブに対するコンパニオン診断システムとしての適応追加の承認が得られれば、オンコマインDxは、非小細胞肺がんの7ドライバー遺伝子(BRAF、EGFR、HER2、ALK、ROS1、RET、MET)、甲状腺がんの1ドライバー遺伝子(RET)、甲状腺髄様がんの1ドライバー遺伝子(RET)を網羅するコンパニオン診断システムとなる。

抗精神病薬の推奨用量のコンセンサス、最も高い製剤は~ICSAD-2

 専門家のコンセンサスに基づいた臨床的に同等の推定用量や推奨用量は、臨床診療および研究において、精神疾患に対する薬物治療をサポートする貴重な情報となりうる。カナダ・ダルハウジー大学のMatthew Kt McAdam氏らは、精神疾患に対する新規薬剤と過去に報告されているコンセンサスの低い薬剤について、用量の同等性と推奨用量の確立および更新を目的に、第2回となる抗精神病薬投与に関する国際的なコンセンサス確立のための研究「Second International Consensus Study of Antipsychotic Dosing:ICSAD-2」を行った。Journal of Psychopharmacology誌2023年10月号の報告。

ざ瘡に期待できる栄養補助食品は?

 ざ瘡(にきび)治療の補助としてビタミン剤やそのほかの栄養補助食品に関心を示す患者は多い。しかし、それらの有効性や安全性は明らかではなく、推奨する十分な根拠は乏しい。そこで、米国・Brigham and Women's HospitalのAli Shields氏らの研究グループは、ざ瘡治療における栄養補助食品のエビデンスを評価することを目的にシステマティックレビューを行った。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年10月25日号の報告。  研究グループは、PubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceの各データベースを開設から2023年1月30日まで検索した。ざ瘡患者を対象に栄養補助食品(ビタミンやミネラル、植物抽出物、プレバイオティクス、プロバイオティクスなど)の摂取を評価した無作為化比較試験を解析し、臨床医が報告したアウトカム(全体評価や病変数など)、患者が報告したアウトカム(QOLなど)、有害事象を抽出した。試験のバイアスリスクはCochrane risk of bias toolを用いて、論文の質をGood、Fair、Poorに分類した。

一人暮らしでペットを飼っている人は、うつ病リスクが高い?

 ペットを飼っている独居者には、うつ症状のある人が多いことを示すデータが報告された。ペットのいない独居者よりも、そのような人の割合が高い可能性があるという。国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学・予防研究部の三宅遥氏らの研究結果であり、詳細は「BMC Public Health」に9月11日掲載された。  うつ病は各国で増加しており、世界的な公衆衛生上の問題となっている。抗うつ薬で寛解に至るのは患者の3分の1程度にとどまるため、うつ病の発症を予防する因子の特定は喫緊の課題である。これまでに行われた複数の研究からは、独居がうつ病のリスク因子の一つであることが示唆されている。一方で、家族の一員としても捉えられることもあるペットを飼育することが、独居によるうつ病リスクを押し下げるかどうかについて、詳細な検討はされていない。三宅氏らは、一人暮らしの人はうつ病リスクが高いとしても、ペットを飼育している場合は、その関連が減弱されるのではないかとの仮説を立て、同居家族やペットの有無別に、うつ症状のある人の割合を比較検討した。

肝臓と腎臓の慢性疾患の併存で心臓病リスクが上昇する

 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(IHD)のリスク抑制には、肝臓と腎臓の病気の予防が肝腎であることを示唆する研究結果が報告された。代謝異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)と慢性腎臓病(CKD)が併存している人は、既知のリスク因子の影響を調整してもIHD発症リスクが有意に高いという。札幌医科大学循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の宮森大輔氏、田中希尚氏、古橋眞人氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に7月8日掲載された。

デュピルマブによる皮膚T細胞性リンパ腫が疑われた患者の臨床・病理学的特徴

 日常診療でのアトピー性皮膚炎に対するデュピルマブの使用が増加して以降、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)やリンパ球浸潤が生じた症例が報告されているという。そこで、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのCeleste M. Boesjes氏らは、デュピルマブ治療中に臨床的にCTCLが疑われたアトピー性皮膚炎患者の臨床的および病理学的特徴の検討を目的として、後ろ向きケースシリーズ研究を実施した。その結果、デュピルマブによる治療を受けた患者は、特有の病理学的特徴を持ちながら、CTCLに類似した可逆的な良性のリンパ球集簇(lymphoid reaction:LR)が生じる可能性があることが示された。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年10月18日号掲載の報告。

日本人乳がん患者におけるHER2低発現の割合・特徴(RetroBC-HER2L)/日本癌治療学会

 HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)の乳がん患者に対する治療薬の臨床的ベネフィットが示され、その割合や治療パターン、転帰などについて理解を深めることが求められる。HER2陰性転移乳がんにおけるHER2低発現患者の割合を10ヵ国13施設で評価したRetroBC-HER2L試験の日本人解析結果を、昭和大学病院の林 直輝氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。日本からは3施設が参加している。

75歳以上/PS2以上の局所進行NSCLCにもCRT後のデュルバルマブ地固めは有用か?/ESMO2023

 化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法は、切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する標準治療である。しかし、75歳以上またはperformance status(PS)2以上の切除不能な局所進行NSCLC患者における臨床的意義については明らかになっていない。そこで、この集団におけるCRT後のデュルバルマブ地固め療法の有用性を検討したNEJ039A試験が実施され、その結果を静岡県立静岡がんセンターの高 遼氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。 試験デザイン:国内第II相単群試験 対象:StageIIIの切除不能NSCLC患者のうち、PS 0/1かつ75歳以上の患者73例、PS 2以上かつ75歳未満の患者13例(計86例) 試験群:CRT(30分割で合計60Gyを照射。最初の20回は、放射線照射の1時間前に低用量カルボプラチン[30mg/m2]を毎回投与)→デュルバルマブ(10mg/kgを2週ごと、1年間)

日本の医療従事者による薬物使用者へのスティグマ~依存症専門医療機関での調査

 医療現場のスティグマは、薬物使用者の生活に大きな影響を及ぼす。日本の医療現場での薬物使用者に対するスティグマに関して、定量的なデータは不足しており、その要因もよくわかっていない。横浜市こころの健康相談センターの片山 宗紀氏らは、薬物使用者に対するスティグマの現状とその要因について調査を行った。その結果、依存症専門医療機関の専門家が、薬物使用者に対して強いスティグマを示していることが明らかになったという。著者らは、スティグマへの対処および軽減には、包括的な教育プログラムや大規模な啓発キャンペーンが必要であると述べている。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年10月9日号の報告。

動脈硬化予防のための階段利用、何段が効果的?

 健康のために階段昇降が推奨されるが、いったい何段くらいを目安に上ると何に効果的なのだろうか―。今回、中国・北京大学のZimin Song氏らが検証した結果、階段昇降を毎日5回より多く行う(段数にして約50段)とアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクが20%以上低下する一方で、ベースラインと再調査の間に階段昇降を止めた人では、階段昇降をまったくしなかった人と比較して、ASCVDリスクが高くなることが明らかになった。

AI耐性HR+進行乳がんへのフルベストラント+capivasertib、日本人解析結果(CAPItello-291)/日本癌治療学会

 アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)進行乳がん(切除不能の局所進行もしくは転移・再発乳がん)に対するフルベストラントへのAKT阻害薬capivasertibの上乗せ効果を検討した第III相CAPItello-291試験の日本人サブグループ解析結果を、九州がんセンターの徳永 えり子氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。 ・対象:閉経前/後の女性もしくは男性のHR+/HER2-の進行乳がん患者(AI投与中/後に再発・進行、進行がんに対して2ライン以下の内分泌療法・1ライン以下の化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも許容、SERD・mTOR阻害薬・PI3K阻害薬・AKT阻害薬の治療歴は不可、HbA1c 8.0%未満) ・試験群(capi群):capivasertib(400mg1日2回、4日間投与、3日間休薬)+フルベストラント(500mg) 37例(グローバル:355例) ・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント 41例(353例) ・評価項目: [主要評価項目]全体集団およびAKT経路(PIK3CA、AKT1、PTENのいずれか1つ以上)に変異のある患者集団における無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]全体集団およびAKT経路に変異のある患者集団における全生存期間(OS)、奏効率(ORR)など [層別化因子]CDK4/6阻害薬治療歴の有無、肝転移の有無など

低体重のままの人や体重が減った人、死亡リスク高い~日本人集団

 成人後の体重変化が、高い死亡リスクと関連することが最近の研究でわかっている。今回、日本の前向きコホート研究であるJPHC前向き研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)のデータで20歳以降のBMIの変化と死亡リスクとの関連を調べたところ、低体重のままの人と体重が減少した人では、正常体重の範囲内で体重が増加した人よりも死亡リスクが高いことがわかった。International Journal of Epidemiology誌オンライン版2023年10月25日号に掲載。  本研究では、40~69歳の参加者を20年追跡したJPHC前向き研究から6万5,520人のデータを分析した。BMIの変化により参加者を、低体重のまま(第1群)、正常低BMI→正常高BMI(第2群)、正常高BMI→正常低BMI(第3群)、正常BMI→過体重(第4群)、過体重→正常BMI(第5群)、正常BMI→肥満(第6群)の6つの群に分類した。

進行腎細胞がんへの経口HIF-2α阻害薬belzutifan、エベロリムスと比較してPFS改善(LITESPARK-005)/ESMO2023

 免疫チェックポイント阻害薬とVEGFチロシンキナーゼ阻害薬(VEGF-TKI)を含む治療歴のある進行淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)において、経口HIF-2α阻害薬belzutifanがエベロリムスと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、増悪または死亡のリスクを25%低減した。日本を含む世界172施設で実施された第III相LITESPARK-005試験の結果を、フランス・Gustave RoussyのLaurence Albiges氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。 ・対象:抗PD-1/PD-L1抗体とVEGF-TKIを含む1~3レジメンの治療歴のある、切除不能・局所進行または転移を有するccRCC患者(Karnofsky performance statusスコア70%以上) ・試験群(belzutifan群):belzutifan(120mg、1日1回経口投与) 374例 ・対照群(エベロリムス群):エベロリムス(10mg、1日1回経口投与) 372例