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うつ病と双極性障害、脳の感情調節メカニズムが異なる

 うつ病および双極性障害は、抑うつ期あるいは寛解期において臨床的な鑑別が困難である。この2つの気分障害は感情調節障害により特徴付けられるが、それぞれの感情制御の相違に関してはほとんど知られていない。オランダ・アムステルダム大学のMaria M. Rive氏らは、うつ病および双極性障害患者の抑うつ期および寛解期における感情調節の相違について、核磁気共鳴画像(MRI)を用いて検討した。その結果、抑うつ期と寛解期のいずれにおいても、happyあるいはsadという感情を調節している際の脳活性が両疾患の間で異なることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年5月6日号の掲載報告。

スマホアプリで日焼け予防!?

 スマートフォンではアプリケーション(スマホアプリ)を利用し、ユーザーに応じた健康情報を提供することができる。米国・Klein Buendel社のDavid B. Buller氏らは、リアルタイムで日焼け防止のアドバイスを配信するスマホアプリの有用性を評価する無作為化臨床試験を行った。その結果、スマホアプリの使用する人が予想より低かったものの日焼け防止策を実践する人は増えたことを報告した。著者は「太陽下にいる時間と場所に応じて個人的にアドバイスを提供することは、日光曝露の減少に役立つだろう」とまとめている。JAMA Dermatology誌2015年5月号の掲載報告。

拒食に対する抗精神病薬増強療法の効果は

 神経性やせ症は生命に危険を及ぼすことがあり、あらゆる精神障害のうち最も死亡率が高く、治療が難しい精神疾患である。イタリア・トリノ大学のEnrica Marzola氏らは、神経性やせ症入院患者のカルテを後ろ向きに評価し、非定型抗精神病薬による増強療法について、アリピプラゾールが有望であることを報告した。今回の所見について、著者らは「無作為化試験での確認に値する有望な知見であった」と述べている。PLoS One誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。

認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか

 認知症は治癒が望めない疾患であり、治癒または回復に向かわせる治療法は存在しない。現在の治療は、認知または機能的アウトカムの改善を目的としたものである。米国・ブラウン大学のJacob S. Buckley氏らは、認知症および軽度認知障害(MCI)の治療に関する研究をレビューし、治療のベネフィットとリスクを評価した。その結果、コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)によるベネフィットは小さく、経過とともに効果が減弱すること、用量依存的に有害事象が増加すること、またメマンチン単剤療法はベネフィット、リスクともに小さいことが明らかになったと報告した。Drugs & Aging誌オンライン版2015年5月5日号の掲載報告。

慢性腰痛に耳ツボ指圧は有効?

 慢性腰痛に対して耳指圧療法が有効であることが、米国・ピッツバーグ大学のChao Hsing Yehらが行った無作為化比較試験で示された。耳指圧療法は非侵襲的であり患者自身による自己治療も可能で、慢性腰痛の治療として期待される。ただし今回の研究は、疼痛日誌に記録された疼痛スコアに基づいており、疼痛スコアは日々変動することから、著者は「他の治療パラメータを用いる研究デザインが必要」とも述べている。Pain Medicine誌オンライン版2015年5月19日号の掲載報告。

海藻摂取と甲状腺がん発症に関連認めず

 ヨウ素の過剰摂取は甲状腺がんのリスク因子と考えられている。わが国では主に海藻からヨウ素を摂取し、その量は世界的にみても多い。国内のこれまでの疫学的研究では、海藻を毎日摂取すると閉経後女性で甲状腺がんリスクが4倍高くなり、それ以外では関連がなかったと報告している。今回、JACC研究(the Japan collaborative cohort study)※グループは、1988~2009年に追跡したJACC研究で、日本女性の海藻摂取頻度と甲状腺がんリスクとの関連を調査した。その結果、閉経前後にかかわらず、海藻摂取と甲状腺がん発症率との関連は認められなかった。European journal of cancer prevention誌オンライン版2015年5月14日号に掲載。

爪真菌症に有用なホウ素含有の新規抗真菌薬

 爪真菌症は生活の質に影響を与える。ホウ素を含有する新しいクラスの抗真菌薬タバボロール(tavaborole、国内未承認)は、足の爪真菌症に対して優れた臨床効果を発揮するとともに安全性プロファイルは良好であることが、米国・アラバマ大学バーミンガム校のBoni E. Elewski氏らによる2件の第III相試験の結果、確認された。タバボロールは爪真菌症に対する新たな治療選択肢として期待される。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2015年5月5日号の掲載報告。

本当だった!? 血液型による性格の違い

 日本の健常人において、ABO式血液型の遺伝子型と性格特性には有意な関連が認められることが、弘前大学の土嶺 章子氏らの研究により明らかになった。しかし、ABO式血液型の遺伝子型と持続性形質との間の関連が比較的弱い可能性があるため、本研究結果は注意して解釈するべきであるとのこと。PLoS One誌オンライン版2015年5月15日号の報告。

出生地が双極性障害発症時期に影響

 出生直後の環境条件は、概日システムの刷り込みや、その後の環境応答に影響するかもしれない。ドイツ・カールグスタフ・カールス大学病院のMichael Bauer氏らは以前、とくに気分障害の家族歴を持つ人において、春の日射量の増加が双極性障害の発症年齢と関連することを報告していた。本研究では、出生地の日照時間がこの関連に影響を与えているかどうかを検討した。Journal of psychiatric research誌2015年5月号(オンライン版2015年3月27日号)の報告。

てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか

 米国・ホフストラ・ノースショアLIJ医科大学のPuja Appasaheb Naik氏らは、米国神経学会のガイドラインに準じてシステマティックレビューを行った。その結果、てんかんを有するドライバーと一般集団における交通事故率の違いに関するエビデンスは矛盾しており、結論は得られないことを報告した。Epilepsy&Behavior誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。

1回の健診で26年後の心疾患やがんを予測可能?

 1回の健康診断の結果から、26年後の心血管疾患やがん、糖尿病を予測することは可能だろうか。スウェーデン・Habo健康管理センターのLars-Goran Persson氏らは、ベースライン時33~42歳の若年男性のコホートにおいて、1回の健康診断で得られた生活習慣および生物学的リスクマーカーの結果と26年後の心血管疾患やがんの罹患率・死亡率、糖尿病の罹患率との関連を検討した。その結果、1回の検査で確認されたリスク因子(とくに喫煙、BMI、血清コレステロール)により、26年後における心血管疾患、がん、糖尿病を予測できる可能性が報告された。BMJ Open誌2015年5月6日号に掲載。

第4回 臨床研修医・医学生のための救急セミナー【ご案内】

 日本救急医学会は、本年も臨床研修医・医学生を対象に救急医学の魅力を伝えるセミナーを開催する。救急医の活躍する場は、ER、ICU、手術室、災害医療と多岐にわたる。当日はさまざまな現場で働く現役の救急医が参加し、症例検討、クイズ、ディスカッションを通じて参加者との交流を図る。を身に着けてきた来場者にプレゼントも用意されている。

精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い

 米国・バージニア大学のPaula A. Aduen氏らは、注意欠如・多動症(ADHD)、うつ病を有するドライバーと、精神疾患のないドライバーを比較し、衝突事故等との関連を調べた。結果、ADHDドライバーとうつ病ドライバーでは交通違反や衝突事故リスクが異なり、ADHDは多様な衝突事故や違反、衝突関連の障害と特異的に関連している一方、うつ病は自己報告による衝突後の受傷と関連していると思われる所見が示されたという。Psychiatric Research誌2015年5月号の掲載報告。

肛門性器疣贅、高用量の酸性化亜硝酸塩クリームで改善

 肛門性器疣贅は、肉体的・精神的な苦痛と医療費を患者に強いる疾患である。英国スコットランド・アバディーン大学のAnthony D. Ormerod氏らは、亜硝酸塩の酸性化による局所への一酸化窒素送達の有効性を検討する目的でプラセボ対照無作為化試験を行い、肛門性器疣贅の治療において亜硝酸ナトリウム6%+クエン酸9%クリーム1日2回塗布はプラセボより有効であることを明らかにした。主な有害事象は局所刺激性であった。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。

治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か

 強迫症(OCD)患者の多くがセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に対する反応が十分ではなく、抗精神病薬による増強療法が行われることがある。こうした治療抵抗性例に対する抗精神病薬付加の有効性を評価する目的で、オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らが、検討を行った。無作為化二重盲検プラセボ対照試験のメタ解析の結果、SSRI治療抵抗性OCD患者には、抗精神病薬による治療が有効であることが示された。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月4日号の掲載報告。

長期血圧変動性とCKD発症リスク~日本人5万人の調査

 非糖尿病者における長期血圧変動性が、他の血圧パラメータ(平均血圧、血圧への累積曝露など)と代謝プロファイルの変化に関係なく、慢性腎臓病(CKD)の新規発症リスクと関連しているかどうかは、いまだ不明である。今回、米国・ノースウェスタン大学の矢野裕一朗氏らは、糖尿病およびCKDではない中高年の日本人約5万人の調査データから、3年間の長期血圧変動性が、追跡期間中の血圧の曝露(平均もしくは累積)や代謝プロファイルの変化に関係なく、CKDの新規発症リスクと関連していたことを報告した。Hypertension誌オンライン版2015年5月18日号に掲載。

慢性疼痛は健康状態だけでなく経済的損失にも関与~日本人のデータ

 日本人の10~20%は慢性疼痛を有しており、慢性疼痛は健康状態の悪化と関連することが知られている。大阪大学大学院 医学系研究科医療経済産業政策学寄附講座 教授の田倉 智之氏らは、日本人において慢性疼痛が及ぼす経済的影響について調査した。結果、慢性疼痛は健康状態のみならず労働生産性、日常生活活動障害、医療資源の使用および経済的負担と有意に関連していることを明らかにし、「治療率の向上と集学的なアプローチが生活の質を改善し経済的負担を減らす可能性がある」と報告した。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。

小児てんかん、多剤併用療法の悪影響は

 英国・Young EpilepsyのColin Reilly氏らは、小児活動性てんかんにおける全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害について調査した。その結果、とくにワーキングメモリおよび処理スピードの障害が顕著であること、多剤併用療法は全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害に関連していることを報告した。これまで、小児てんかんに特異的な認知プロファイルに関する住民ベースの検討データはなかった。Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology誌2015年5月号の掲載報告。