医療一般|page:155

塩野義の経口コロナ治療薬、第II/III相Phase 3 partで主要評価項目を達成

 塩野義製薬は9月28日付のプレスリリースにて、同社が開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬のensitrelvir(S-217622)について、第II/III相臨床試験Phase 3 partにおいて良好な結果を得たことを発表した。主な結果として、軽症/中等症患者において、重症化リスク因子の有無にかかわらず、オミクロン株に特徴的なCOVID-19の5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、倦怠感[疲労感])が消失するまでの時間(発症前の状態に戻るまでの時間)を、プラセボに対して有意に短縮することなどが認められたという。

認知症リスク低下に寄与する1日当たりの歩数

 認知症予防ガイドラインでは身体活動を推奨しているが、認知症の発症と歩数やその強度との関連は明らかになっていない。南デンマーク大学のBorja Del Pozo Cruz氏らは、英国成人を対象に毎日の歩数やその強度とすべての原因による認知症発症との関連を調査した。その結果、歩数が多いほどすべての原因による認知症発症リスクが低く、1日当たり1万歩を少し下回る程度の歩数が、最も効果的であることが示唆された。JAMA Neurology誌オンライン版2022年9月6日号の報告。  UK Biobankの集団ベース・プロスペクティブコホート研究(2013年2月~2015年12月)を実施し、フォローアップ期間は6.9年、データ分析は2022年5月に行った。10万3,684人中、有効な歩数データを有する40~79歳の成人7万8,430人を分析対象に含め、認知症発症はレジストリベースで2021年10月までに確認した。歩数計から得られた1日の歩数、1分当たり40歩未満の偶発的な歩数、1分当たり40歩以上の意図的な歩数、1日の最も歩数の多い30分間(ピーク30分間)における1分当たりの歩数(必ずしも連続とは限らない)を分析した。主要アウトカムは、致死的および非致死的な認知症の発症とし、入院記録またはプライマリケア記録と関連付けて収集するか、死亡記録の死因を参照した。歩数との用量反応関連を評価するため、Spline Cox回帰を用いた。

乳房温存手術後の遠隔再発と局所再発を最小にするマージンを検討/BMJ

 早期浸潤性乳がんの乳房温存手術においてマージン状態が遠隔再発と関連するかどうか、また局所再発リスクと遠隔再発リスクの両方を最小にするために必要なマージンについて、英国・リーズ大学のJames R. Bundred氏らが系統的レビューとメタ解析により検討し報告した。BMJ誌2022年9月21日号に掲載。  本研究では、Medline(PubMed)、Embase、Proquestのデータベースから、乳房温存手術(StageI~III)を受けた乳がん患者を対象にマージン状況との関連でアウトカムを推定可能な追跡期間60ヵ月以上の研究を検索した。非浸潤性乳管がん(DCIS)の患者、術前化学療法を受けた患者、乳房切除術を受けた患者を除外し、断端陽性(tumour on ink)、断端近接(no tumour on inkだが2mm未満)、断端陰性(2mm以上)に分類した。

dMMR大腸がん術前療法としてニボルマブとイピリムマブの併用が有用な可能性(NICHE-2)/ESMO2022

 DNAミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の大腸がんに対する術前療法としてのニボルマブ・イピリムマブ併用療法の有用性が、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMyriam Chalabi氏から、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。  2020年にNICHE-1試験において両剤併用の術前療法としての有用性は報告されている。今回は同様にオランダ国内で実施されたNICHE-2試験の結果も統合しての解析結果発表である。 ・対象:他臓器転移のないdMMR大腸がん(T3以上またはN+)(112例) ・試験群:ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kgを1回投与、その2週間後にニボルマブ3mg/kgを1回投与 初回投薬から6週以内に手術を施行

プラチナダブレット不適NSCLCに対するアテゾリズマブ1次療法の有用性(IPSOS試験)/ESMO2022

 プラチナ化学療法の1次治療が不適格な進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、アテゾリズマブは単剤化学療法(ビノレルビンまたはゲムシタビン)よりも全生存期間(OS)を有意に延長した。  NSCLCの実臨床では、複数の合併症を持つなど治療忍容性の低い高齢者が多い。また40%以上がPS≧2と全身状態不良の患者である。実臨床で多いこれらの患者はほとんどの臨床試験から除外されており、新たな治療選択肢を検討する研究への医学的なニーズは高い。  そのような中、これらの患者を対象とした、多施設オープンラベル無作為化第III相試験IPSOSが行われている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)では、英国・ロンドン大学のSiow Ming Lee氏がその試験結果を報告した。

ペムブロリズマブ、高リスク早期TN乳がんへの術前・術後療法に適応拡大/MSD

 MSD株式会社は2022年9月26日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法」の効能または効果で、国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。  今回の承認は、ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの周術期の乳がん患者1,174例(日本人76例を含む)を対象とし、術前薬物療法としてのペムブロリズマブと化学療法との併用療法、および術後薬物療法としてのペムブロリズマブ単独療法の有効性と安全性を、術前薬物療法としてのプラセボと化学療法との併用療法、および術後薬物療法としてのプラセボ投与を対照として評価した国際共同第III相試験(KEYNOTE-522試験)の結果に基づいている。

PD-L1高発現の進行NSCLCに対する1次治療として、3年間にわたり抗PD-1抗体cemiplimabが有効(EMPOWER-Lung1試験)/ESMO2022

 PD-L1発現50%以上の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗PD-1抗体cemiplimabの1次治療は、3年間の追跡期間においてもプラチナダブレットと比べ、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意な改善を示した。トルコ・Istanbul University-CerrahpasaのMustafa Ozguroglu氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)で報告した。

FTD/TPI+BEV、切除不能大腸がんのOS延長(SUNLIGHT)/大鵬

 大鵬薬品工業、米国・大鵬オンコロジー、セルヴィエ社は、切除不能な進行・再発の大腸がん患者を対象とした第III相臨床試験SUNLIGHTの結果、トリフルリジン・チピラシル(商品名:ロンサーフ、以下FTD/TPI)とベバシズマブの併用群が、主要評価項目である全生存期間(OS)を延長したことを発表。  SUNLIGHT 試験は、2つの前治療を行った切除不能な進行・再発の大腸がんを対象に、FTD/TPI+BEV単剤と同剤とベバシズマブの併用を比較した国際第III相試験である。

第2世代抗精神病薬のLAIによる日本人統合失調症入院患者の身体拘束リスクへの影響

 第2世代抗精神病薬(SGA)の長時間作用型注射剤(LAI)が、経口抗精神病薬と比較し、再発時の精神症状の軽減に有用であるかは、よくわかっていない。福島県立医科大学の堀越 翔氏らは、日本の単一医療施設における4年間のレトロスペクティブミラーイメージ観察研究を実施し、統合失調症入院患者への隔離・身体拘束といった制限的介入の頻度(時間)に対するSGA-LAIの有用性を検討した。その結果、SGA-LAI使用により制限的介入の頻度および措置入院回数の減少が認められ、著者らは、SGA-LAIは再発時の精神症状の軽減につながる可能性があることを報告した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2022年9月5日号の報告。

低用量メトトレキサート、悪性黒色腫リスク増大と関連?

 メトトレキサート(MTX)は関節リウマチを含む炎症性疾患の治療で幅広く使用されているが、低用量MTX曝露は悪性黒色腫のリスク増大と関連することが、オーストラリア・アルフレッド病院のMabel K. Yan氏らが行ったシステマティック・レビューとメタ解析の結果、示された。ただし、著者は結果を踏まえて、「リスク増大の絶対値は取るに足らないもので、現実的な影響は無視できるものだ」としている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年8月31日号掲載の報告。

夜間ブルーライトカット眼鏡による片頭痛予防効果

 片頭痛は有病率の高い一次性頭痛であり、現役世代で発症しやすいことから、生産性の低下による社会的損失につながることが問題視されている。国際頭痛分類第3版(ICHD-3、ベータ版)の診断基準では、片頭痛の発作時には過敏、とくに光過敏が認められ、光が頭痛の誘発因子であることが示唆されている。獨協医科大学の辰元 宗人氏らは、片頭痛発作の悪化につながる内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)への光刺激を減少させる夜間のブルーライトカット(Blue Cut for Night:BCN)眼鏡を開発し、その効果を検証した。その結果、ipRGCへの光刺激を減少するBCN眼鏡の使用は、片頭痛発作の軽減に有用である可能性が示唆された。Internal Medicine誌オンライン版2022年8月20日号の報告。

KRASG12C阻害薬ソトラシブ、パニツムマブ併用でmCRC患者に有用性示す(CodeBreaK101)/ESMO2022

 CodeBreaK100試験によって、KRASG12変異のある固形がん患者に対するKRASG12C阻害薬ソトラシブの有用性が報告されている。CodeBreaK101試験は、KRASG12変異陽性で転移のある大腸がん(mCRC)患者を対象に、ソトラシブ単剤療法およびほかの抗がん療法と併用した場合の安全性、忍容性、薬物動態、および有効性を評価することを目的としている。大腸がんにおいてはKRASG12変異のある患者は全体の3%ほどとなっている。

閉経後乳がん術後内分泌療法の延長、6年vs.3年(DATA)/ESMO2022

 術後に2~3年のタモキシフェン投与を受け、無病状態にあったホルモン受容体(HR)陽性の閉経後乳がん患者において、続いてアナストロゾールを投与した場合の延長効果を複数の期間で検討した結果が報告された。オランダ・マーストリヒト大学病院のVivianne Tjan-Heijnen氏が、第III相非盲検無作為化比較試験(DATA試験)の最終解析結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。 ・対象:ER+および/またはPR+、2~3年の術後タモキシフェン投与を受け、再発のない閉経後乳がん患者1,660例

1・2回目ファイザーワクチンなら、3回目はモデルナで感染予防効果増/東大

 ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンによる1次接種(1回目および2回目接種)完了者が、3回目のブースター接種としてファイザー製ワクチンを接種するよりも、モデルナ製ワクチンを接種するほうがその後の新型コロナウイルス感染率が低いことを、東京大学大学院医学系研究科の大野 幸子氏らが発表した。これまで1次接種とブースター接種のワクチンの組み合わせによって効果が異なる可能性が示唆されていたが、実際の感染予防効果の差は明確ではなかった。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2022年9月18日号掲載の報告。

SSRIによる消化器系副作用リスク~ネットワークメタ解析

 うつ病治療では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が広く用いられている。SSRIの最も一般的な副作用は、消化器系に関連する症状であり、うつ病患者のコンプライアンス低下につながる。そのため、消化器系に対するSSRIの安全性を評価することは重要である。これまで、SSRIと他の抗うつ薬における消化器系副作用リスクを比較したいくつかのメタ解析が報告されているが、中国・Inner Mongolia Medical UniversityのZhuoyue Wang氏らは、各SSRIの消化器系副作用リスクを比較するためネットワークメタ解析を実施した。その結果、消化器系副作用リスクについては、fluoxetineが最も明確な利点を示し、セルトラリンは消化器系副作用リスクが最も高い可能性があることを報告した。Therapeutics and Clinical Risk Management誌2022年8月13日号の報告。

シスプラチン不適応の進行尿路上皮がんの1次治療ペムブロリズマブ+エンホルツマブ・ベドチンは有望(EV-103)/ESMO2022

 シスプラチン不適応の局所進行または転移のある尿路上皮がんに(mUC)対する1次治療として、ペムブロリズマブとエンホルツマブ・ベドチン(EV)の併用療法に関する報告が、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのJonathan E. Rosenberg氏から、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。  これは第Ib/II相のEV-103試験(KEYNOTE-869試験)の中から、第II相部分のコホートKの解析結果発表である。

医師のがん検診受診状況は?/1,000人アンケート

 定番ものから自費で受ける最先端のものまで、検査の選択肢が多様化しているがん検診。CareNet.comが行った『がん検診、医師はどの検査を受けている?/医師1,000人アンケート』では、40~60代の会員医師1,000人を対象に、男女別、年代別にがん検診の受診状況や、検査に関する意見を聞いた。その結果、主ながん種別に受ける割合の多い検査が明らかとなったほか、今後受けたい検査、がん検診に感じる負担など、さまざまな角度から意見が寄せられた(2022年8月26~31日実施)。

肝細胞がん1次治療 レンバチニブ+ペムブロリズマブの成績(LEAP-002)/ESMO2022

 切除不能な肝細胞がん(aHCC)に対する1次治療としてのレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は、レンバチニブ単独に比べ、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)ともに統計学的な有意差は認められなかった。  日本も参加した国際共同の二重盲検第III相LEAP-002試験の解析結果である。米国・カリフォルニア大学のRichard S. Finn氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。 ・対象:前治療歴を持たない切除不能なaHCC症例 ・試験群:ペムブロリズマブ3週ごと+レンバチニブを連日投与(Pem群:395例) ・対照群:プラセボ3週ごと+レンバチニブを連日投与(Len群:399例)

理解されない患者の苦悩、新たなガイドライン、治療薬に期待

 2022年9月15日、アレクシオンファーマは「重症筋無力症ガイドライン改訂と適正使用に向けて」と題した重症筋無力症(以下、MG)の現状と新たなガイドラインに関するメディアセミナーを開催し、鈴木 重明氏(慶應義塾大学医学部神経内科 准教授)から「MGの現状」について、村井 弘之氏(国際医療福祉大学医学部 脳神経内科学 主任教授、国際医療福祉大学成田病院 脳神経内科 部長)から「2022年5月のMG診療ガイドラインの改訂ポイントとユルトミリス適応追加の意義」について、それぞれ講演が行われた。

がん患者は血圧140/90未満でも心不全リスク増/東京大学ほか

 がん患者では、国内における正常域血圧の範囲内であっても心不全などの心血管疾患の発症リスクが上昇し、さらに血圧が高くなるほどそれらの発症リスクも高くなることを、東京大学の小室 一成氏、金子 英弘氏、佐賀大学の野出 孝一氏、香川大学の西山 成氏、滋賀医科大学の矢野 裕一朗氏らの研究グループが発表した。これまで、がん患者における高血圧と心血管疾患発症の関係や、どの程度の血圧値が疾患発症と関連するのか明らかではなかった。Journal of clinical oncology誌オンライン版2022年9月8日号掲載の報告。  本研究では、2005年1月~2020年4月までに健診・レセプトデータベースのJMDC Claims Databaseに登録され、乳がん、大腸・直腸がん、胃がんの既往を有する3万3,991例(年齢中央値53歳、34%が男性)を解析対象とした。血圧降下薬を服用中の患者や、心不全を含む心血管疾患の既往がある患者は除外された。主要アウトカムは、心不全の発症であった。