医療一般|page:251

進行NSCLC1次治療における新規抗CTLA-4抗体quavonlimabとペムブロリズマブの併用(MK-1308-001)/MSD

 Merck社は、2020年10月16日、進行NSCLC患者の1次治療において、同社の新規抗CTLA-4抗体quavonlimabとペムブロリズマブの併用療法が良好な抗腫瘍活性と許容可能な安全性プロファイルが認めたと発表。この試験結果は、北米肺癌学会議(NACLC)において報告された(Poster #TS01.02)。  同試験は、進行NSCLC患者の初回治療として、quavonlimabとペムブロリズマブの併用療法を評価したヒトに対する初めての非盲検多群第I/II相試験。用量確認フェーズでは、quavonlimab(25mgまたは75mg)を3週間ごとまたは6週間ごととペムブロリズマブ(200mgを3週間ごと、最大35サイクル)を併用投与した。

ニボルマブ・イピリムマブ併用、悪性胸膜中皮腫に国内申請/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年10月27日、抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法について、切除不能な進 行・再発の悪性胸膜中皮腫に対する効能又は効果に対する製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。 今回の承認申請は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法をプラチナ製剤を含む標準治療の化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験(CheckMate-743試験)の中間解析の結果に基づいている。

受診控え抑制へ、佐々木希が医療機関の「安心マーク」啓発/日本医師会

 導入に向けた検討が進む初診からのオンライン診療の恒久化について、日本医師会では10月28日の定例記者会見で、導入にあたり明確化すべき点、環境整備が必要な点について考え方を示した。同じく議論されている後期高齢者の患者負担引き上げについては、引き上げには反対の立場を示している。また、受診控え対策として医療機関で掲出する「みんなで安心マーク」の国民への周知を目的としたPR動画の発表が行われた。  中川 俊男会長は日本医師会の基本的なスタンスとして、オンライン診療は解決困難な要因によって医療機関へのアクセスが制限されている場合に、補完的な役割を果たすものという考え方を示した1)。そのうえで、下記の考え方により実施されるのが望ましいとした:

FLT3-ITD変異陽性AML、同種移植後のソラフェニブ維持療法が有用/Lancet Oncol

 FLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者における、同種造血幹細胞移植後のソラフェニブ維持療法について中国で行われた第III相試験の結果が示された。これまでに、移植後ソラフェニブ維持療法が再発を減少することは、後ろ向き研究で示されている。今回、中国・南方医科大学のLi Xuan氏らは、中国国内7施設にて無作為化非盲検試験を行い、移植後のソラフェニブ維持療法は再発を減少させ、忍容性は良好であることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「この戦略は、FLT3-ITD変異陽性AML患者の適切な治療選択肢となりうるだろう」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。

NSCLCに対するペムブロリズマブ・化学療法併用の最長追跡データ(KEYNOTE-021)/MSD

 Merck社は、2020年10月16日、進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者においてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を評価したKEYNOTE-021試験(コホートG)の長期追跡の結果、PD−L1の発現にかかわらず、ペムブロリズマブと化学療法の併用療法による1次治は、化学療法単独と比較して、客観的奏効率の改善、無増悪生存期間の改善が認められたと発表。この試験結果は、北米肺癌学会議(NACLC)において報告された(Featured Poster #OFP01.02)NSCLC患者の1次治療における抗PD-1/L1抗体と化学療法の併用療法を評価した最長のフォローアップデータとなる。

境界性パーソナリティ障害女性の自分の体の評価と小児期の性的虐待の影響

 自分の体を評価するうえで、精神状態は大きく影響する。精神疾患を有する女性患者の身体評価は、健康な女性と比較し、ネガティブに表れる。とくに、境界性パーソナリティ障害(BPD)を含む児童性的虐待(CSA)に関連する問題によって、ネガティブな評価が増加することが示唆されている。しかし、このネガティブな評価が症状寛解後も持続するのか、体の場所(性的に暗示される場所と中立的な場所)に依存するか、CSAに依存するかについてはよくわかっていない。ドイツ・ハイデルベルク大学のNikolaus Kleindienst氏らは、BPD患者の身体評価とCSA歴の影響について、調査を行った。European Journal of Psychotraumatology誌2020年6月25日号の報告。

ER+HER-早期乳がんの長期予後予測、治療前18F-FDG PET/CTのSUVmaxが有用/日本癌治療学会

 乳がんで最も頻度の高いER陽性HER陰性早期乳がんは、10年以上の長期にわたって再発を来すことが知られており、近年は遺伝子検査などによる予後予測が行われている。今回、東京女子医科大学の塚田 弘子氏らによる研究で、治療前18F-FDG PET/CT (以下、PET/CT)での原発巣SUVmax値(maximum standardized uptake values)およびリンパ節転移個数が長期無再発生存期間(RFS)の予測因子であり、原発巣SUVmax値は長期全生存期間(OS)の単独予測因子であることが示唆された。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で報告された。  PET/CTは乳がん診療において2~5年程度の短期予後予測には有用との報告があるが、10年以上のRFSやOSとの相関は示されていない。本研究は、2007年1月~2010年5月に東京女子医科大学病院で治療が開始された原発性乳がんのうちcStage II以下かつER陽性HER陰性浸潤性乳管がん340例を対象とし、患者/腫瘍背景、治療前PET/CTのFDG集積がRFSおよびOSに与える影響をCox回帰比例ハザードモデルで評価した。

糖尿病患者データ管理システム「リブレView」提供開始

 2020年10月29日、アボットジャパン合同会社は、クラウドベースの糖尿病患者データ管理システム「リブレView」を糖尿病患者と医療従事者向けに提供開始したことを発表した。本システムにより、FreeStyleリブレで記録された全グルコースデータを、紙や電子記録でやり取りせずに、安全なクラウドシステムを介して医療従事者と共有可能になる。また、新型コロナウイルス感染症流行下で病院への定期訪問に慎重な患者にも、最新データに基づく患者指導や診療が可能になるという。

日本のAMLの遺伝子プロファイリング/日本血液学会

 包括的遺伝子解析プロファイル検査FoundationOne Heme(F1H)を用い、急性骨髄性白血病(AML)における癌関連ゲノム変化の頻度と特徴の評価を目的とした多施設共同研究HM-SCREEN-Japan 01研究の中間解析の結果が、国立がん研究センター東病院の宮本 憲一氏により発表された。  解析対象は標準治療不適の新規診断AML35例、再発/難治AML患者56例、主要評価項目はF1Hを用いたAMLの遺伝子異常の頻度である。

非G-CSF小分子plinabulinの好中球減少症予防効果/JAMA Oncol

 抗がん作用と好中球減少症予防作用を併せ持つ新しい非顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)小分子plinabulinについて、第II相試験の結果が明らかにされた。米国・スタンフォードがん研究所のDouglas W. Blayney氏らが、ドセタキセルの好中球減少症の予防効果を、非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に行った無作為化非盲検試験で、plinabulinはペグフィルグラスチムと同等の好中球減少症予防効果が得られたという。JAMA Oncology誌オンライン版2020年9月24日号掲載の報告。  試験は、米国、中国、ロシアおよびウクライナのがん治療センター19施設で行われた。試験期間は2017年4月~2018年3月で、2019年8月~2020年2月に解析を行った。

双極性障害患者のラピッドサイクラーと寛解に関連する臨床的特徴

 ラピッドサイクラー(RC)では、双極性障害(BD)の重症度リスクが高まるが、1年後に寛解状態を達成した(one-year euthymia:OYE)患者の予後は良好となる。関西医科大学の加藤 正樹氏らは、精神科クリニックにおけるBDの多施設治療研究(MUSUBI)において、大規模サンプル(2,609例)におけるラピッドサイクラーおよび1年後に寛解状態を達成した患者にある患者の臨床的背景、処方特性について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2020年9月30日号の報告。  MUSUBIは、外来クリニック176施設にアンケートを配布し、BD連続症例のカルテをレトロスペクティブに調査した横断的研究である。患者背景、現在のエピソード、臨床的特徴、処方状況に関するデータをアンケートで収集した。OYEの定義は、12ヵ月以上の正常状態とした。

中等度COVID-19へのトシリズマブ、挿管・死亡リスク低減せず/NEJM

 これまで明らかになっていなかった、人工呼吸器を要しない中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対するIL-6受容体遮断薬トシリズマブの有効性について、挿管または死亡のリスクを低減しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJohn H. Stone氏らが行った、COVID-19入院患者243例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で示された。ただし、有効性比較の信頼区間(CI)値が幅広く、一部の有益性と有害性は排除できないとしている。NEJM誌オンライン版2020年10月21日号掲載の報告。

尿失禁への骨盤底筋トレーニング、筋電図バイオフィードバック併用は?/BMJ

 緊張性・混合性尿失禁の女性に対する、骨盤底筋トレーニング(PFMT)への筋電図バイオフィードバックの併用は、24ヵ月後の尿失禁重症度の改善に対し効果が認められるというエビデンスはないことが示された。英国・Glasgow Caledonian UniversityのSuzanne Hagen氏らが、600例を対象に行った並行群間比較無作為化試験の結果明らかにしたもので、BMJ誌2020年10月14日号で発表した。これまでにコクランレビューでは併用の有益性が示される一方、メタ解析では有益性は認められないとの結果が示され、その後の2件の小規模単施設試験では治療直後の評価では有益性が認められるなどの報告が寄せられていた。今回の大規模試験の結果を踏まえて著者は、「PFMTへの筋電図バイオフィードバックのルーチンの実施は推奨すべきではない。PFMTの効果を最大化する他の方法を検討すべきだ」とまとめている。

普段から気を付けたい身体診察のうっかり/日本感染症学会

 第94回日本感染症学会総会・学術講演会(会長:館田 一博氏[東邦大学医学部 教授])が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下、8月19日~21日の期日でインターネット配信との併用で東京にて開催された。  本稿では、特別企画「感染症を究める」より徳田 安春氏(群星沖縄臨床研修センター長)の「診察」の概要をお届けする。  「感染症です」と外来に訪れる患者はいない。その多くは「熱っぽい、だるい、寒気がする」などの訴えから医師が知識と経験を通じて総合的に診断をする。徳田氏の講演では、こうした診断の際に忘れがちなポイントや見落としやすい身体部位などについて症例を交え、レクチャーを行った。以下にレクチャーされた症例を抜粋して紹介する。

女性のうつ病と肥満、食糧不安との関連

 栄養精神医学は、新たな研究分野として注目されており、脳機能や精神疾患に対する栄養摂取および肥満の影響について調査が行われている。これまでの研究では、女性の肥満や栄養摂取とうつ病との関連が示唆されている。しかし、この関連に食糧不安がどのように影響しているかは、よくわかっていない。米国・イーストテネシー州立大学のManik Ahuja氏らは、女性のうつ病と肥満や食糧不安との関連について調査を行った。Archives of Public Health誌2020年9月17日号の報告。

4割の人はがんより認知症への罹患に不安、期待される予防策とは?

 日本認知症予防学会と食から認知機能について考える会が9月に「食と認知機能に関する意識調査の結果発表」を公開し、食や食成分による認知機能改善効果を期待する人が5割以上にのぼることを明らかにした。この詳細は、浦上 克哉氏(鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野 教授/日本認知症予防学会 理事長)が食から認知機能について考える会発足記者会見で報告した。  この調査は1)認知症の理解、認知症の予防に対する理解レベルの確認、2)とくに食生活が関与する認知症予防への理解と信頼感の確認、3)認知症予防への関心喚起を目的とし、2020年3月にWebを用いて、30代以上の一般男女1,030名と日本認知症予防学会学会員380名(医師:102名、メディカルスタッフ:278名)に行った。

COVID-19検査法と結果どう考えるか/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部 教授])は、10月12日に「COVID-19検査法および結果の考え方」を提言としてまとめ、同会のホームページで公開した。  提言では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でさまざまな検査法、検査機器の登場により日々新しい情報が次々と発表されて行く中で、遺伝子検査で陽性を示す患者の感染性をどのように評価していくのかが検査の重要な課題として定義。その中でもCt値(Cycle Threshold)が重要な項目の1つとして将来的に遺伝子検査陽性が持続する患者に対し、Ct値や特異抗体の検出などを併用することで、正確に感染性を評価することができるようになると示唆している。  以下に本提言の概要をまとめた。なお、この内容は2020年10月初めの情報であり、今後変更される可能性があることも留意いただきたい。

米国におけるCOVID-19パンデミック前後のうつ病有病率の変化

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)およびこれに関連するソーシャルディスタンスやロックダウンといった制限は、実質的かつ永続的なメンタルヘルスへの影響が懸念される。アイルランド・メイノース大学のMichael Daly氏らは、米国におけるCOVID-19パンデミック前後のうつ病有病率の変化について、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年9月15日号の報告。  米国成人を対象とした2つの代表的な調査において、うつ病を検出するために、Patient Health Questionnaire-2(PHQ-2)を用いた簡易スクリーニングを実施した。パンデミック前のうつ病レベルは、2017~18年の全国健康栄養調査(NHANES)の成人サンプル5,075例より算出した。米国の代表的なサンプルであるUnderstanding America Studyより、2020年3月(6,819例)および4月(5,428例)のうつ病レベルを評価した。

中等~重症アトピー性皮膚炎、バリシチニブ+TCSの有効性・安全性を確認

 経口JAK1/2阻害薬バリシチニブについては、外用コルチコステロイド薬(TCS)で効果不十分な中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)への単独療法の有効性および安全性が、これまでに2件の第III相試験の結果で報告されている。今回、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのKristian Reich氏らは、バリシチニブとTCSの併用療法について検討し、中等症~重症ADに対してバリシチニブ1日1回4mg+TCSが症状を有意に改善することを明らかにした。安全性プロファイルは、バリシチニブのこれまでの試験で既報されているものと変わらなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年9月30日号掲載の報告。

COVID-19拡大下、2型糖尿病血糖コントロールの実態/日本糖尿病学会

 10月5日(月)~16日(金)、Web開催された第63回日本糖尿病学会年次学術集会の緊急特別シンポジウム 「COVID-19~我が国の現状と糖尿病診療との関わり~」において、山﨑 真裕氏(京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学)が「COVID-19感染拡大下における糖尿病診療」と題して、外来における糖尿病患者の行動の変化、入院における糖尿病を持つCOVID-19患者の治療について講演した。  糖尿病患者のストレスや血糖コントロールの悪化は、これまでの台風や地震などの災害時にも報告されてきた。同様にCOVID-19蔓延も糖尿病患者のストレスの要因であり、血糖コントロールや行動への影響が報告されている。