医療一般|page:325

抗精神病薬持効性注射剤の治療継続に影響を及ぼす因子の検討

 抗精神病薬持効性注射剤(LAI)は、統合失調症患者の症状を軽減し、再発・再燃を防ぐための薬物治療として用いられる。藤田医科大学の谷口 美紘氏らは、LAIの治療継続に影響を及ぼす因子について検討を行った。Biological & Pharmaceutical Bulletin誌2019年第7号の報告。  対象は、2009年10月~2017年6月までに藤田保健衛生大学(現、藤田医科大学)においてリスペリドン、パリペリドン、アリピプラゾールを含むLAI治療を受けている統合失調症患者。6ヵ月間のLAI治療継続率を評価し、患者背景や投薬歴などの特徴を収集した。さらに、これまでの研究に基づき、LAI導入理由により、対象患者を2つのクラスターに分類した。

日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」Webサイトに糖尿病専門医の働き方と生活現状調査の結果を公開

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」Webサイトでは、同学会[女性糖尿病医をpromoteする委員会]が2017年に実施した「糖尿病医のキャリアにおける現状調査と今後の展望に向けたアンケート」の結果として、糖尿病専門医の働き方と生活現状について公開した。  同調査はWebアンケートにより糖尿病専門医1,566名から回答を得たもので、同学会 会誌「糖尿病」 62巻5号(2019)に委員会報告として掲載された。  内容については、以下関連リンクより閲覧可能。

本邦初、心房細動による脳卒中を予防する「WATCHMAN左心耳閉鎖システム」発売

 ボストン・サイエンティフィック ジャパンは、本邦初となる左心耳閉鎖システム「WATCHMAN左心耳閉鎖システム」を2019年9月2日に発売した。本製品は、非弁膜症性心房細動による血栓形成の主な原因とされる「左心耳」を閉鎖し、脳卒中を予防する医療機器である。非弁膜症性心房細動で長期間の抗凝固薬の服用ができない患者に対して、1回の手技で心房細動による脳卒中を予防するという、新しい治療の選択肢を提供する。

人工関節治療の“侵襲”を最小限へ-Makoシステム

 日本では、年間約8万例の人工膝関節置換術、5万例以上の人工股関節全置換術が行われている。患者がこの人工関節置換術に期待するのは、痛みからの開放はもちろん、術後のQOLやADLを、いかにこれまでの生活水準に近づけられるかどうかということである。  2019年8月6日、「整形外科領域における日本初のロボティックアーム手術支援システム『Makoシステム』が変える人工関節治療~人工関節置換術の革新性~」と題したプレスセミナーが開催(主催:日本ストライカー株式会社)された。セミナーでは、柴沼 均氏(神戸海星病院リウマチ・人工関節センター)が「Mako(メイコー)システム」(Mako)の臨床での有用性について解説し、デモンストレーションを行った。

不眠症とがんリスク~メタ解析

 近年、最も一般的な睡眠障害の1つである不眠症とがんとの関連について新たな研究が発表されているが、それらの結果は一貫していない。社会の発展や生活スピードの加速により、不眠症を経験する人は増加している。中国・Anhui Medical UniversityのTingting Shi氏らは、不眠症とがんとの関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。Journal of Sleep Research誌オンライン版2019年7月28日号の報告。  関連文献は、7つのデータベースおよび補足検索により収集した。厳密なスクリーニング後、対象者57万8,809例とがんイベント7,451件を含む8つのコホート研究(プロスペクティブ研究:7件、レトロスペクティブ研究:1件)が抽出され、分析に組み込まれた。

2次予防のアスピリン、投与すべき患者は?~MAGIC試験

 心血管イベントの再発予防のための低用量アスピリンの使用は、リスク-ベネフィットのバランスに基づくべきである。今回、国際医療福祉大学臨床医学研究センター/山王病院・山王メディカルセンター脳血管センターの内山 真一郎氏らが、わが国の全国規模の多施設共同前向き研究であるMAGIC試験において、心血管疾患の既往のある患者のアスピリン長期使用による心血管イベントと出血イベントの発生率を調査した。その結果、虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作、冠動脈疾患、複数の心血管疾患の既往のある患者ではベネフィットがリスクを上回っていたが、心房細動または静脈血栓塞栓症の既往のある患者ではリスクとベネフィットが同等であった。

全国の医療施設、災害対策の実情はいかに!?

 地震大国の日本において、異常気象の常態化によるスコール、それに伴う洪水・土砂災害などが後を絶たない。このような災害時には、DMAT(災害急性期に活動できる機動性を持った トレーニングを受けた医療チーム)と呼ばれる災害派遣医療チームにより医療支援が行われる場合がある。しかし、医療者一人ひとりが日頃から災害を意識し準備を行っていなければ、家族や患者、ましてや自らの命は救えないだろう。  そこで、ケアネットでは2019年7月に会員医師約200名を対象とし、「院内の災害対策」に関するアンケート調査を実施。医師たちの災害に対する意識や対策状況などの実態について、実情や意見を聞いた。

スクリーンタイムとうつ病との関連

 スクリーンを見ている時間(スクリーンタイム)の増加は、抑うつ症状増加と関連していることがわかっているが、縦断的研究が不足している。カナダ・モントリオール大学のElroy Boers氏らは、スクリーンタイムとうつ病との関連を繰り返し測定し、3つの説明仮説(超越性、上方社会比較、スパイラル強化)について検証を行った。JAMA Pediatrics誌オンライン版2019年7月15日号の報告。  パーソナリティーをターゲットとした薬物とアルコール予防介入の4年間の有効性を評価したランダム化臨床試験のデータを用いて、2次解析を行った。本研究では、グレーターモントリオール地区の31校に入学した7年生を対象に年次調査を行い、4年間のスクリーンタイムとうつ病を評価した。

赤肉と鶏肉、乳がんリスクはどちらが高い?/Int J Cancer

 肉を食べると乳がん発症リスクは上昇するのか。これまで因果関係が言われながらも、一貫性のあるエビデンスが示されていなかった肉と乳がんの関係について、米国・Columbia Mailman School of Public HealthのJamie J. Lo氏らが、4万2,000例超の女性を平均7.6年間追跡した調査結果を発表した。赤肉(red meat)の摂取量が最も多い群は最も少ない群に比べて浸潤性乳がんのリスクが1.23倍高く、一方で鶏肉は最も多く食べる群が最も少ない群に比べて同リスクは0.85倍と低く、赤肉の代わりに鶏肉を食べることで乳がんリスクが低下する可能性があることが示唆されたという。なお調理法についての関連性は観察されなかったとしている。International Journal of Cancer誌オンライン版2019年8月6日号掲載の報告。

アナフィラキシーには周囲の理解が必要

 2019年8月21日、マイランEPD合同会社は、9月1日の「防災の日」を前に「災害時の食物アレルギー対策とは」をテーマにしたアナフィラキシー啓発のメディアセミナーを開催した。セミナーでは、アナフィラキシー症状についての講演のほか、患児の親の声も紹介された。  セミナーでは、佐藤さくら氏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部)を講師に迎え、「アナフィラキシーの基礎知識とガイドラインに基づく正しい治療法について」をテーマに講演を行った。

悪性黒色腫におけるBRAF阻害薬・MEK阻害薬併用の心血管リスク

 悪性黒色腫患者の治療におけるBRAF阻害薬・MEK阻害薬併用療法による心血管有害事象の特徴が明らかになった。ドイツ・エッセン大学病院のRaluca I. Mincu氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、BRAF阻害薬・MEK阻害薬併用療法はBRAF阻害薬単独療法と比較し心血管有害事象のリスクが高いことが示された。著者は「今回の結果は、悪性黒色腫治療の有益性と、心血管疾患の発症および死亡とのバランスをとるのに役立つと思われる」とまとめている。JAMA Network Open誌2019年8月2日号掲載の報告。

日本の医療現場におけるリスペリドンLAIとジェネリックの選択モデリング

 日本では、統合失調症で入院する患者に対し、早期退院と地域ケアの提供を国として推奨している。ヤンセンファーマの中村 祐輔氏らは、日本の精神科病院における異なる退院計画の臨床的および経済的アウトカムについて分析を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2019年8月10日号の報告。  さまざまな退院計画について、患者の再発と病院の収入を比較するためシミュレーションを行った。4つの異なる退院計画(1、2、3ヵ月または4ヵ月以上)と病院の収入をモデル化する、異なるマルコフ連鎖からなる決定木を構築した。退院計画の一環としての外来患者に対する治療レジメンの変動もシミュレーションに含めた。とくに、リスペリドン持効性注射剤(RLAI)とリスペリドンのジェネリック医薬品(RIS GE)について検討を行った。

医療・介護・福祉のMIRAIをテーマに開催【ご案内】

 医療機関のパートナーとして医療の質を向上させる基礎を育み医療機関の健全経営を図る、認定登録医業経営コンサルタントの研究発表と養成を兼ねた第23回日本医業経営コンサルタント学会が名古屋で開催される(主催:公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会)。  「医療・介護・福祉のMIRAI-少子高齢化社会への挑戦-」をテーマに、少子高齢化に必須のロボットやAIなど新規技術の専門家ならびに医療機関による講演、産業振興のための国・愛知県の取組み紹介など、参加者にとっても有意義となるような内容を届ける。

低線量CT肺がんスクリーニング、毎年と隔年の比較/Eur J Cancer

 2011年、米国のNLST試験では、低線量CT(LDCT)スクリーニングによる前/現喫煙者における肺がん死亡率の低下が示された。また、イタリアのMulticentric Italian Lung Detection(MILD)試験では、長期のLDCTスクリーニングが、肺がん死亡率を39%減少させることを示している。イタリア・Istituto Nazionale Dei TumoriのPastorino氏らは、MILD試験をさらに毎年と隔年のスクリーニングに分け、スクリーニング強度が10年後の全死亡および肺がん特異的死亡にもたらす影響を評価した。European Journal of Cancer誌2019年9月号掲載の報告。

日本人てんかん患者に対するレベチラセタムの有効性と安全性

 レベチラセタムは、焦点性てんかんおよびてんかん重積状態の急性期治療に使用される忍容性の高い抗てんかん薬であり、随伴症状を伴う患者において第1選択薬として使用される。しかし、日本人てんかん患者におけるレベチラセタムの有効性および安全性に、血中レベチラセタム濃度がどのような影響を及ぼすかはよくわかっていない。神戸医療センターの関本 裕美氏らは、日本人てんかん患者におけるレベチラセタムの有効性と安全性に対する血中濃度の影響について分析を行った。Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics誌オンライン版2019年8月10日号の報告。

日本糖尿病学会 「女性糖尿病医サポートの取り組み」Webサイトに「キラリ☆女性医師!特別版―イクボス・イクメンからのひとこと」を公開中

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」Webサイトでは、「キラリ☆女性医師!特別版―イクボス・イクメンからのひとこと」を公開している。  同Webサイトでは様々な女性医師を紹介するコーナーとして「キラリ☆女性医師!」を2015年4月に開設し、2018年4月までに27名の記事を掲載しているが、男性医師からの寄稿記事掲載コーナーも開設している。  第1回として 大倉 毅 氏(鳥取大学医学部附属病院)、第2回として 福井 道明 氏(京都府立医科大学大学院)の記事を掲載しており、以下関連リンクより閲覧可能。

ダパグリフロジンがHFrEF患者で主要評価項目達成、同クラスで初/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者:パスカル・ソリオ)は2019年8月26日までに、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の心不全に対する有効性を検討した第III相DAPA-HF試験において、主要評価項目を達成したことを発表した。2型糖尿病合併の有無を問わず、心不全患者の標準治療への追加治療として、SGLT2阻害薬の有効性および安全性が実証されたのは初となる。  第III相DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。

日本の小中学生におけるインフル予防接種の有効性

 インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの発症予防や発症後の重症化の予防に一定の効果があるとされている。今回、東北大学の國吉 保孝氏らが、地域の小中学生における季節性不活化インフルエンザワクチン接種(IIV)の有効性について2シーズンで評価した結果が報告された。Human Vaccines & Immunotherapeutics誌オンライン版2019年8月19日号に掲載。  本研究は、公立小中学校の生徒における2012/13年および2014/15年シーズンのデータでの横断調査。調査地域における対象学年の全員にアンケートを配布し、得られた7,945人の回答を分析した。予防接種状況とインフルエンザ発症は、両親または保護者による自己申告式アンケートにより判断した。一般化線形混合モデルを用いて、学校および個人の共変量におけるクラスタリングを調整し、予防接種状況とインフルエンザ発症との関連についてオッズ比および95%信頼区間(CI)を計算した。

小児抑うつ尺度-日本語版の信頼性と妥当性

 うつ病は、個人だけでなく社会に大きな悪影響を及ぼす疾患であり、早期発見のための心理学的な評価ツールが求められる。久留米大学の大園 秀一氏らは、アップデートされた小児抑うつ尺度-日本語版(CDI-J)の信頼性および妥当性を評価し、うつ病検出のカットオフ値を設定するため検討を行った。Pediatrics international誌オンライン版2019年7月25日号の報告。  対象は、7~17歳の子供・青年465人。小・中学校の生徒および病院スタッフの子供たちより集められた群を対照群、小児心身外来および思春期精神科外来患者を外来患者群とした。両群のCDI-Jスコアを、バリマックス回転を用いた因子分析の対象とし、その後、測定不変性分析を行った。妥当性を評価するため、Youth Self Report(YSR)を実施した。外来患者群には、現在の抑うつ症状を診断するため、精神疾患簡易構造化面接法を実施した。うつ病発見のパフォーマンスを評価し、うつ病検出のカットオフ値を設定するため、ROC解析を実施した。