2011年、米国のNLST試験(National Lung Screening Trial)では、低線量CT(LDCT)スクリーニングによる前/現喫煙者における肺がん死亡率の低下が示された。また、イタリアのMulticentric Italian Lung Detection(MILD)試験では、長期のLDCTスクリーニングが、肺がん死亡率を39%減少させることを示している。イタリア・Istituto Nazionale Dei TumoriのPastorino氏らは、MILD試験をさらに毎年と隔年のスクリーニングに分け、スクリーニング強度が10年後の全死亡および肺がん特異的死亡にもたらす影響を評価した。European Journal of Cancer誌2019年9月号掲載の報告。
MILD試験は2005年に開始された無作為化比較試験で、対象は5年以内にがんの既往のない49~75歳の前/現喫煙者。主要評価項目は10年の全死亡率と肺がん特異的死亡率。副次評価項目は進行期肺がんおよび中間期がんの頻度。
主な結果は以下のとおり。
・2005~2018年にかけて、前向きに登録した2,376名を、毎年スクリーニング群(n=1,190)と隔年スクリーニング群(n=1,186)に無作為に割り付けた。
・スクリーニング期間中央値は6.2年、追跡は2万3,083人年であった。
・隔年スクリーニング群では、毎年スクリーニング群と同等の10年全死亡率(HR:0.80、95%CI:0.57~1.12)と肺がん特異的死亡率(HR 1.10、95%CI 0.59~2.05)が示された。
・LDCTの繰り返しは、隔年スクリーニングにより、全集団では38%、ベースラインLDCT陰性の被験者では44%減少した
・Stage II~IVまたは中間がんの発生は隔年スクリーニング群で増加することはなかった。
(ケアネット 細田 雅之)