吸入薬の使い方、効果発現の要は舌を下げること 気管支喘息治療の根幹はステロイド薬を中心とした吸入薬であり、正しい吸入操作を行うことが必要不可欠である。今回、藤田保健衛生大学の堀口 高彦氏らは、吸入デバイスの操作だけでなく、目に見えない口腔内の状況、とくに舌に焦点を当て、吸入薬使用時の望ましい舌の位置について検討を行った。その結果、舌を下げて吸入薬の通り道をつくることで、より多くの薬剤が咽頭に到達し、気管方向に流入していく様子が確認できた。舌が吸入薬の流入経路の妨げにならないよう、舌と舌根をなるべく下げ、喉の奥を広げるよう患者に指導することが望ましい。今回の結果は、The journal of allergy and clinical immunology:In practice誌2018年5~6月号に掲載された。
主観的な睡眠の質は認知症と関連せず 睡眠と認知症リスクは関連しているが、主観的な睡眠の質との関連ははっきりしない。今回、オランダ・エラスムス医療センターのThom S. Lysen氏らがロッテルダム研究で検討したところ、主観的な睡眠の質の低さと認知症リスクの関連は認められなかったという。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2018年5月31日号に掲載。
思春期の双極I型障害における睡眠変動と衝動性の関連 睡眠障害と衝動性は、双極性障害(BD)の経過を予測する重要な因子である。睡眠障害は衝動性を強めることが示唆されており、これら2つの要因が、BDにおいてどのような相互作用を有するかについての研究は、あまり行われていない。思春期は、BD発症において非常に重要な時期であり、衝動性の増大や実質的な睡眠の変化と関連することが多い。米国・スタンフォード大学のAnda Gershon氏らは、睡眠障害が思春期の衝動性を高めること、その作用がBD患者においてより顕著であるとの仮説の検証を試みた。Bipolar disorders誌オンライン版2018年5月20日号の報告。
RSV感染症はインフルエンザよりも怖い? 2018年6月7日、アッヴィ合同会社は、RSウイルス(RSV)感染症メディアセミナーを都内で開催した。RSV感染症は、2歳までにほぼ100%が初感染を経験するといわれており、乳幼児における呼吸器疾患の主な原因(肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%)として報告されている。セミナーでは、「乳幼児の保護者は何を知らなければいけないか? 変動するRSウイルスの流行期とその課題と対策」をテーマに講演が行われた。
EGFR変異肺がん1次治療、ゲフィチニブと化療併用でPFS、OSともに延長(NEJ009)/ASCO2018 EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療においては、EGFR-TKIと化学療法を十分に使用することで、さらなる全生存期間(OS)の改善が期待できると考えられる。NEJ005試験では、ゲフィチニブとカルボプラチン+ペメトレキセドの併用が有効性を示した。とくに、両者の逐次使用に比べ、同時使用は、30.7ヵ月に対し、41.9ヵ月とOSを改善した。
日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性 CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、日本人急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの有効性、安全性、忍容性について、プラセボと比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年5月18日号の報告。
扁平上皮肺がん1次治療、アテゾリズマブ+化学療法でPFS延長。高PD-L1群で顕著(IMpower131)/ASCO2018 Stage IV扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療に対するアテゾリズマブと化学療法の併用に関する第III相試験IMpower131の結果が、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。
認知症リスクが高い睡眠時間は?~久山町研究 日本人高齢者において、「睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上」「睡眠薬の使用」が、認知症や死亡の危険因子であることが示唆された。九州大学の小原 知之氏らが久山町研究での調査結果をJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2018年6月6日号に報告。
ベンゾジアゼピン耐性アルコール離脱症状に対するケタミン補助療法 ベンゾジアゼピン(BZD)治療抵抗性アルコール離脱は、利用可能な薬剤に関するエビデンスが限定的であるため、多くの施設において課題となっている。現在、アルコール離脱に対して、NMDA受容体アンタゴニストであるケタミンを用いた研究が報告されている。米国・Advocate Christ Medical CenterのPoorvi Shah氏らは、ICU(集中治療室)におけるBZD治療抵抗性アルコール離脱患者への、症状コントロールに対する補助的なケタミン持続点滴療法の効果およびロラゼパム静注の必要性について評価を行った。Journal of medical toxicology誌オンライン版2018年5月10日号の報告。
世界のがん患者、10年で28%増加/JAMA Oncology 世界におけるがん患者が2016年までの10年間で28%増加したことを、世界のがんの疾病負担を調査するGlobal Burden of Disease(GBD)studyの研究グループが報告した。一方、平均年齢調整死亡率は世界195の国や地域のうち143で減少したという。JAMA Oncology誌オンライン版2018年6月2日号に掲載。
HER2陽性固形がんに対するDS-8201aの効果/ASCO2018 HER2標的治療は、HER2陽性の進行乳がんおよび胃がんの生存を改善したが、さらなる改善が必要とされる。DS-8201a(トラスツズマブ・deruxtecan)は、HER2受容体をターゲットとした免疫複合体(ADC)であり、幅広い腫瘍に対して活性を示す。現在、進行固形がんの拡大コホートを用いた大規模な第I相試験が行われている。
皮膚がんの遠隔ダーモスコピー診断による費用対効果は? 遠隔ダーモスコピー診断(teledermoscopy)は、皮膚がん診断の有望な方法となる可能性が報告されているが、経済的な調査はされていなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のCentaine L. Snoswell氏らはオーストラリアでの費用対効果を検討し、遠隔ダーモスコピー診断の利用は、1例当たり54.64オーストラリアドルの追加費用を要するものの、通常の診療情報提供書などによる依頼に比べ、臨床的な解決が26日早まることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「遠隔ダーモスコピー診断の実施を勧告するかどうかは、オーストラリア医療制度の政策決定者が、より低コストか、あるいは臨床的解決までの日数短縮か、どちらを選択するかによる」としたうえで、「臨床的解決の優先が臨床的な意義を果たし、そして患者にとって重要かどうかについての研究を行うことで、遠隔ダーモスコピー診断が推奨されるようになるかもしれない」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年5月9日号掲載の報告。
妊娠中の抗うつ薬使用パターンに関するコホート研究 フランス・Bordeaux Population Health Research CenterのAnne Benard-Laribiere氏らは、妊娠中の抗うつ薬使用パターンについて調査を行った。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2018年4月17日号の報告。
食の欧米化で前立腺がんリスクが高まる 食の欧米化は前立腺がんのリスクを高める可能性があることが、国立がん研究センターのSangah Shin氏らの研究で明らかになった。Cancer Causes & Control誌2018年6月号に掲載。
未熟児網膜症、遠隔医療で正確な診断可能 未熟児網膜症(ROP)は、一般的に双眼倒像鏡眼底検査を用いて診断される。遠隔医療による未熟児網膜症の診断については、これまで、その正確さを対面診断の眼底検査と比較して評価する研究が行われてきた。しかし、対面診断が遠隔診断より本当に正確かどうかはわかっていない。米国・オレゴン健康科学大学のHilal Biten氏らは多施設共同前向きコホート研究を行い、臨床的に意義のあるROPの発見において、対面診断と遠隔診断との間で概して正確さに差はなかったが、平均すると対面診断のほうがzone IIIおよびstage 3 のROPの診断精度はわずかに高いことを明らかにした。ただし著者は、「どちらの診断法も検者によって変数精度があることを警告しつつ、今回の結果は、臨床的に意義のあるROPの診断法として、遠隔医療の利用を支持するものである」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌2018年5月号掲載の報告。
胃がん予防効果が得られるアスピリン投与量は? アスピリンが特定のがんの予防効果を有することが、多くの研究で報告されている。今回、米国・ワイルコーネル医科大学のMin-Hyung Kim氏らは、韓国の一般集団において、アスピリン使用と胃がんの用量反応関係を評価し、胃がん予防効果を得るためのアスピリン累積投与量の閾値を推定した。The American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2018年6月1日号に掲載。
普遍性と独自性の調和を目指す精神医学 2018年6月4日、日本精神神経学会は、「2018年度プレスセミナー」を都内で開催した。セミナーでは、本学会の活動と将来展望、6月21~23日に神戸市で行われる本学会学術総会の概要・注目トピックスをテーマに、2名の演者が講演を行った。
日本における抗認知症薬の処方量に関する研究 2015年時点で、世界で認知症を有する人は4,700万人いるといわれている。認知症の有病者数は、2050年には1億3,200万人に達すると予想されており、そのうちアジア諸国が51%を占めると予想されている。日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最も認知症の有病率が高く、人口の2%(約500万人)が認知症に罹患している。
全粒穀物食は内臓脂肪を減少させる 全粒穀物食を取り入れることによって内臓脂肪が減少することが、株式会社日清製粉グループ本社の菊池 洋介氏らの研究によって明らかになった。Plant Foods for Human Nutrition誌2018年4月18日号に掲載。
進行肺がん1次治療へのアテゾリズマブ併用療法 、OSハザード比0.78(IMpower150)/ASCO2018 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、アテゾリズマブの第III相臨床試験IMpower150における全生存期間(OS)の中間解析結果を、フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏が発表した。IMpower150は、Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのアテゾリズマブ併用療法の有効性と安全性を検討するオープンラベル無作為化多施設共同試験。