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アルツハイマー病が回復する可能性

 アルツハイマー病では、脳内にアミロイドベータ(Aβ)が蓄積することにより神経細胞に異常が現れると考えられている。最近、Aβの集合体(Aβオリゴマー)がこれらの病態の引き金になることが明らかになってきたが、この引き起こされた神経細胞の障害が回復する可能性について明確な実証はなされていなかった。今回、国立精神・神経医療研究センターなどの研究グループが、ラット由来の神経細胞モデルを用いて検討した結果、Aβオリゴマーによって引き起こされる神経細胞の障害は、Aβオリゴマーを除去することによって回復可能であることを初めて実証した。Molecular Brain誌オンライン版2017年1月31日号に掲載。

TAVR患者における左心耳血栓の評価と心臓CTの役割

 心房細動(AF)はTAVR(経カテーテル大動脈弁置換術)を受ける患者においてよく認められ、心房細動と関連がある左心耳血栓は、周術期の脳梗塞の原因となりうる。TAVRの患者群における左心耳血栓の発生率とその臨床的な影響は報告されていない。また、左心耳血栓を診断するうえでどの画像診断が最適であるかも明確になっていない。そこで、英国のThe James Cook University HospitalのSonny Palmer氏らは、TAVRを受ける患者群において、左心耳の血栓の発生率と臨床的な影響と心臓CTの役割を評価した。JACC Cardiovascular Intervention誌2017年1月号に掲載。

抗精神病薬のスイッチング、一括置換 vs.漸減漸増:慶應義塾大

 抗精神病薬の切り替えは、臨床現場では日常的に行われているが、一括置換法と漸減漸増法のどちらが好ましいスイッチング法であるかは不明である。一括置換法は、リバウンドや離脱症状の出現や増悪と関連しているのに対し、漸減漸増法はクロスオーバーアプローチで用いられる場合、相加的または相乗的な副作用リスクをきたすと考えられる。慶應義塾大学(カナダ・オタワ大学)の竹内 啓善氏らは、抗精神病薬のスイッチング戦略について検討を行った。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2017年1月1日号の報告。

女性眼科医の報酬が男性より低い理由は?

 女性眼科医の数は増加しているが、彼女らの臨床活動や報酬についてはわかっていない。米国ジョンズ・ホプキンス大学のAshvini K Reddy氏らの分析の結果、2012年および2013年におけるメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)からの報酬は、女性眼科医による請求の提出が少なく、男性眼科医と女性眼科医とでまったく異なっていた。著者は、「臨床活動は類似しており機会は公平でありながら差があることについて、その根本原因をさらに調査する必要がある」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年1月19日号掲載の報告。

うつ病、男女間で異なる特徴とは

 いくつかの研究によると、男女間でうつ病に関連した異なる症状が報告されているが、この関連を分析したシステマティックレビューやメタアナリシスはパブリッシュされていない。オーストラリア・Illawarra Health & Medical Research InstituteのAnna Cavanagh氏らは、うつ病に関連する症状の性差のエビデンスをレビューした。Harvard review of psychiatry誌2017年1・2月号の報告。

エンパグリフロジンの心血管イベント減少アジア人でも

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)と日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:パトリック・ジョンソン)は2017年2月2日、エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)によるEMPA-REG OUTCOME試験のアジア人サブグループ解析の結果が、1月25日Circulation Journalに掲載されたと発表した。

アトピー性皮膚炎での入院患者は健康な人より短命?

 アトピー性皮膚炎と乾癬はいずれも慢性炎症性皮膚疾患で、乾癬では死亡リスクが高まることが知られている。アトピー性皮膚炎については死亡率に関する研究がほとんどなかったが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAlexander Egeberg氏らは、デンマークの全国登録を用いて調査を行い、アトピー性皮膚炎による入院後の死亡率を調べた。

非喫煙者では飲酒量と肺がんリスクが逆相関

 飲酒量と肺がんリスクとの関連は、喫煙による交絡の可能性があり研究の解釈を複雑にしている。カナダのルーネンフェルト・タネンバウム研究所のGordon Fehringer氏らは、プールされた大規模なサンプルで、生涯非喫煙者のみの解析によって喫煙による潜在的な交絡を最小限に抑え、飲酒量と肺がんリスクとの関連を調査したところ、とくに飲酒量が低~中等度の人では、飲酒量と肺がんに負の相関を認めた。また、この関連はワインと蒸留酒において示され、ビールでは認められなかったという。International journal of cancer誌オンライン版2017年1月24日号に掲載。

認知症ドライバーの運転停止を促すためには

 認知症ドライバーの数は、今後十数年にわたって増加すると予測される。認知症は事故の高リスクと関連しているため、疾患の進行に伴い運転停止が必然となるが、認知症を抱える多くの人々は運転を停止することに抵抗を感じる。カナダ・サニーブルック研究所のNicolette Baines氏らは、認知症ドライバーの運転停止の普及率と発生率に性差があるかどうか、認知症の有無による性差パターンを比較するため、メタ解析を行った。The journals of gerontology誌オンライン版2016年12月26日号の報告。

エボロクマブ FOURIER試験のエンドポイント達成か

 アムジェン社(THOUSAND OAKS, カリフォルニア)は2017年2月2日、アテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)に対するエボロクマブ(商品名:レパーサ)のイベントリスク抑制を評価するFOURIER(Further Cardiovascular OUtcomes Research with PCSK9 Inhibition in Subjects with Elevated Risk)試験において、複合主要評価項目(心血管死、非致死心筋梗塞、非致死的脳卒中、不安定狭心症または冠動脈再建術の入院)および副次的評価項目(心血管死、非致死心筋梗塞または非致死的脳卒中)を達成し、新たな安全性の問題も認められなかった、と発表した。

OAの痛みは「炎症性の痛み」+「痛みのブレーキ機能の減弱」

 2017年1月26日(木)、塩野義製薬株式会社/日本イーライリリー株式会社主催のプレスセミナー「変形性関節症に伴う痛みの治療戦略―今までとこれから―」が開催された。まず、島根大学医学部整形外科学教室 教授の内尾 祐司氏より、変形性関節症(OA)に伴う痛みが患者の日常生活に与える実態について、医師と患者を対象に実施された全国意識調査の結果を中心に語られた。続いて、日本イーライリリー株式会社 臨床開発医師 榎本 宏之氏より、デュロキセチン(商品名:サインバルタ)の「変形性関節症に伴う疼痛」への適応症追加について語られた。

パニック障害 + うつ病、副作用と治療経過の関係は

 抗うつ薬の副作用は治療の有効性に影響を及ぼす。しかし、副作用が発現する患者や患者の副作用を予測することは困難である。米国・イリノイ大学シカゴ校のStewart A Shankman氏らは、パニック障害合併の有無による、うつ病患者の副作用発現状況を調査した。また、副作用により治療経過を予測可能かも検討した。これらの影響の特異性を調査するため、分析では不安障害、社交不安障害、全般性不安障害(GAD)を調査した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2017年1月3日号の報告。

アジア人で眼圧上昇と血糖降下薬の関連を示唆

 眼圧は全身薬物療法と関連しているのだろうか。シンガポール・国立眼科センターのHenrietta Ho氏らは、中国人、インド人およびマレー人を対象としたシンガポール眼疾患疫学研究の事後解析を行い、β遮断薬は眼圧低値と、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、スタチンおよびスルホニル尿素(SU)薬は眼圧高値と関連が示唆されることを明らかにした。

ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析

 ベンゾジアゼピン(BZP)は、先進国のとくに高齢の患者に対し広く用いられている。しかし、BZPは記憶および認知機能に影響を及ぼし、認知症リスクを高める可能性があることが知られている。台湾・台北医学大学のMd Mohaimenul Islam氏らは、BZPと認知症リスクとの関連を評価した観察研究をレビューした。Neuroepidemiology誌オンライン版2016年12月24日号の報告。