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不眠症重症度質問票(ISI)やアテネ不眠尺度(AIS)に違いはあるか

 不眠症は、現代社会において蔓延している健康愁訴であるが、過小診断され、治療も不十分である。不眠症のリスクを評価するためのスクリーニングツールとして、不眠症重症度質問票(ISI)、アテネ不眠尺度(AIS)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)が広く用いられているが、診断特性は、体系的にまとまっていない。台湾・台北医学大学のHsiao-Yean Chiu氏らは、不眠症スクリーニングのためのISI、AIS、PSQIの診断制度を評価、比較した。Journal of psychosomatic research誌2016年8月号の報告。

長生きしても認知症にならないためにできること

 平均寿命が上昇し続けている現代社会において、晩年の認知機能低下や認知症を予防することができる修正可能なライフスタイルの要因を特定することは、老後の生活の質を維持するうえで重要である。英国・ノッティンガム大学のLauren A Yates氏らは、将来の認知症や認知機能障害のリスクと認知余暇活動について、システマティックレビュー、メタ解析を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年8月9日号の報告。

人工網膜システム、移植から5年後の機能と安全性

 人工網膜システム「Argus II」(Second Sight Medical Products社)は、網膜色素変性症や網膜外層変性で失明した患者の視覚を回復させるために開発された。小型カメラとビデオプロセッサを搭載したメガネをかけ、カメラで捉えた映像を電気信号に変換して人工網膜に送信することで、視覚が得られる。今回、英国・ロンドン大学のLyndon da Cruz氏らは、Argus II移植後5年の臨床試験成績を報告。Argus IIの長期安全性および有効性が確認されたことを明らかにした。Argus IIは、世界初の網膜インプラントとして欧州、米国およびカナダで承認されている。Ophthalmology誌オンライン版2016年7月19日号の掲載報告。

主婦への減塩の料理教室、家族にも好影響

 減塩のための戦略の1つに、日々の食塩摂取量を減らす必要性に関する意識の向上がある。今回、主婦に対する、減塩に焦点を当てた料理教室によって、主婦だけでなく家族の食塩摂取行動にも影響することが、福島県立医科大学白河総合診療アカデミーの高田 俊彦氏らの研究で示唆された。Public health誌オンライン版2016年8月11日号に掲載。

クロザピン誘発性代謝系副作用への有効な介入は

 クロザピン治療患者では、代謝系合併症がよく認められる。この問題の管理に関するレビューは、複数の異なる抗精神病薬により治療を受けた患者を対象とした研究において、薬剤をグループ化することにより見出された結果である。英国・ケンブリッジ大学のJorge Zimbron氏らは、クロザピン誘発性の肥満やメタボリックシンドロームに対する薬理学的、非薬理学的治療についてシステマティックレビューとメタ解析を行った。European neuropsychopharmacology誌2016年9月号の報告。

グラスワインのアルコール換算率は要検討

 近年のワイングラスの大きさとワインのアルコール度数の増大によって、現在の換算率ではワイングラス1杯当たりのアルコール含有量が実際より少なく見積もられている可能性が高く、集団研究における飲酒量の過小評価につながっているかもしれない。英国・ロンドン大学のAnnie Britton氏らは、これによって起こりうる分類の間違いが、飲酒量と死亡リスクとの関連に影響するかどうか調べた。その結果、ワイングラス中のアルコール含有量を高値に設定することにより、死亡リスクの推定値が変わることが示唆された。著者らは、研究者主導のコホート研究においては、より正確なワイングラス中のアルコール含有量推定値に基づいて、換算率を再検討する必要があると提案している。Alcohol and alcoholism誌オンライン版2016年6月3日号に掲載。

警告後、認知症への抗精神病薬処方は減少したのか

 一般的に、認知症の行動症状に対し、抗精神病薬が使用されているにもかかわらず、欧州医薬品庁や英国の医薬品・医療製品規制庁、イタリア医薬品庁の規制当局は、2004年と2009年に認知症への抗精神病薬使用に対する安全性警告を発行した。イタリア・メッシーナ大学のJanet Sultana氏らは、英国とイタリアのデータベースを使用し、両国の認知症者への抗精神病薬使用に対する安全性警告の短期的および長期的な影響を調査した。CNS drugs誌オンライン版2016年7月16日号の報告。

双極性障害と全般性不安障害は高頻度に合併

 不安障害は、単極性うつ病と同様に双極性障害(BD)と高率に合併していることが、最近のデータで示唆されているが、まだあまり注目されていない。全般性不安障害(GAD)は、他の精神疾患と高率で合併する最も一般的な不安障害の1つである。イタリア・カリアリ大学のAntonio Preti氏らは、GADとBDの合併頻度を評価するため、システマティックレビュー、メタ解析を行った。Evidence-based mental health誌2016年8月号の報告。

メディケア・アカデミー 第2回セミナー「認知症の妻を介護してきた医師」【開催のご案内】

 さいたま市市民活動グループのメディカルアシスト(代表 笹岡 大史氏)は、9月18日(日)に、メディケア・アカデミー 第2回セミナー「認知症の妻を介護してきた医師」を開催する。ヒューマンドキュメンタリー映画『妻の病 ―レビー小体型認知症―』の主人公であり、小児科医の石本 浩市氏が登壇する。石本氏は、レビー小体型認知症の妻の介護を通して、介護家族の体験と認知症当事者としての気持ちを詳細に書き留めてきた。

主観年齢が高いと認知症になりやすい

 主観年齢は、高齢者のアウトカム変動に関連する加齢の生物心理社会学的マーカーである。認知領域においては、高齢者が実年齢よりも高齢だと感じることが、低認知能力や急激な認知機能低下と関連するといわれている。フランス・モンペリエ大学のYannick Stephan氏らは、主観年齢と認知障害や認知症リスクとの関連を検討した。The journals of gerontology誌オンライン版2016年7月19日号の報告。

ラムシルマブは肺がん治療に新たな可能性をもたらすか?

 2016年8月4日、イーライリリー主催のプレスセミナー「肺がんに新たな治療選択肢『サイラムザ』登場」が開催された。そのなかで、神奈川県立がんセンター 呼吸器内科医長の加藤 晃史氏は「進行・再発非小細胞肺がん治療におけるサイラムザの位置づけ」と題し、ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)の肺がんに対する新たな知見を紹介した。

眼科医 vs.検眼士、緑内障レーザー手術の転帰は?

 米国のオクラホマ州は、検眼士(Optometrist)がレーザー線維柱帯形成術(LTP)を行うことのできる数少ない州の1つで、他の州では検眼士がLTPやその他のレーザー治療を行えるよう特別な認可を得るためにロビー活動を行っている。一方で、検眼士による治療を受けた患者の転帰については不明であった。そこで、米国・ミシガン大学のJoshua D. Stein氏らは、メディケア受益者を対象に後ろ向き縦断コホート研究にて検証。

スポーツ選手へ最も処方される精神科薬物は?

 アスリートに精神科薬物を処方する場合、副作用や安全上の懸念、そしてアンチドーピングポリシーをとくに考慮することが重要であるものの、アスリートと連携した精神科医の処方設定を解説しているのは2000年の1報だけである。米国・ウィスコンシン・スクール・オブ・メディスン・アンド・パブリック・ヘルス大学のClaudia L Reardon氏らは、アスリートと連携したプライマリケア医、精神科医、その他の臨床医の処方を扶助するため、前述の報告をアップデートした。The Physician and sportsmedicine誌オンライン版2016年8月2日号の報告。

大人のADHD、自覚の次に必要なのは…

 少しずつではあるが、認識が広まりつつある大人のADHD(注意欠如・多動性障害)。8月5日、都内で日本イーライリリー株式会社がプレスセミナーを開催し、専門医によるADHDをめぐる診療の現状についての講演と、ADHD当事者およびその自覚のある著名人を招いたディスカッションを実施した。ディスカッションには、経済評論家の勝間 和代氏と書道家の武田 双雲氏が登壇。診断こそ受けてはいないものの、日常生活に関連してADHDとみられる特徴を自覚しているという両氏は、仲間のサポートの重要性を強調し、そのためには自身の自覚と共に、周囲への説明と理解を促す努力が不可欠であると訴えた。

長期介護施設でのMRSA感染を減らす新規プログラム

 薬剤耐性菌は長期介護施設(LTCF)における課題である。米国・シカゴ大学のLance R Peterson氏らは、日常生活動作や社交を妨げない新規の低侵襲的なプログラムで、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)疾患を減らせるかどうかを、前向きクラスター無作為化非盲検試験で検討した。その結果、ターゲットを絞った除菌を伴う現地でのMRSAサーベイランスにより、LTCF居住者における臨床的MRSA感染を有意に減少させた。American journal of infection control誌オンライン版2016年8月1日号に掲載。

クライオバルーン vs. 高周波、アブレーション比較の2次解析

 今年発表されたFIRE AND ICE試験によって、クライオバルーンアブレーションが高周波(RF)アブレーションと比べて安全性と有効性の面で劣らないことが示された。今回、報告者らは同試験の2次解析によって、日々の患者管理の重要な指標となるアブレーションの再施行、再入院および生活の質(QOL)を評価した。European Heart Journal誌オンライン版2016年7月5日号に掲載の報告。