医療一般|page:158

維持期統合失調症に対するアリピプラゾール月1回製剤と経口剤との比較~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、成人の維持期統合失調症治療においてアリピプラゾールの長時間作用型注射剤(アリピプラゾール月1回製剤、AOM)が経口剤(OARI)より有益であるかを検討するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、維持期統合失調症患者に対するAOMとOARIによる治療は、どちらも有効であったが、AOMのほうがより受容性が高いことが示唆された。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2022年7月5日号の報告。  AOM、OARI、プラセボのうち2つを含む二重盲検ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。

大豆と認知症の関連を日本人を対象に調査~JPHC研究

 国立がん研究センターがん対策研究所の村井 詩子氏らは、日本人における大豆製品、個々の大豆食品(納豆、みそ、豆腐)、イソフラボンの摂取量とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、大豆製品の総摂取量と認知症リスク低下との関連は認められなかったが、女性(とくに60歳未満)では、納豆の摂取量と認知症リスク低下との関連が認められたことを報告した。European Journal of Nutrition誌オンライン版2022年7月5日号の報告。  男性1万8,991人、女性2万2,456人を対象に人口ベースのプロスペクティブ研究を実施した。大豆製品およびイソフラボンの摂取量を算出するため、1995年と1998年の調査(対象者の年齢:45~74歳時点)で収集した検証済み食物摂取頻度質問票のデータを参照した。認知症は、2006~16年の要介護認定情報における認知症関連の日常生活障害により定義した。大豆製品、個々の大豆食品、イソフラボンの1日当たりの摂取量を算出して五分位で分類し、対象を5群に分けた。認知症予防に対する多変量ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。

新規抗体薬物複合体DS-7300、小細胞肺がんを対象とした第II相試験開始/第一三共

 第一三共は2022年7月21日、DS-7300(B7-H3を標的とした抗体薬物複合体[ADC])について、前治療歴のある進展型小細胞肺がん患者を対象とした第II相臨床試験の最初の患者への投与を開始したと発表。  同試験は、化学療法による前治療歴のある進展型小細胞肺がん患者を対象に、同剤の有効性と安全性を評価するグローバル第II相臨床試験である。 主要評価項目は客観的奏効率で、副次評価項目には無増悪生存期間、奏効期間、全生存期間、病勢コントロール率、薬物動態、安全性などで、アジア、欧州および北米で約80例の患者を登録する予定だという。

コロナ・インフルワクチン同時接種可、オミクロン株対応ワクチン秋以降に導入へ/厚労省

 これまで新型コロナワクチンの接種は他のワクチン接種と13日以上の間隔を空けて実施することとされていたが、知見等の蓄積をふまえ、インフルエンザワクチンに関しては同時接種も可能とすることが、7月22日に開催された第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。同会ではそのほか、オミクロン株対応ワクチンの接種や4回目接種の対象者拡大等についても議論された。 <同時接種の有効性> ファイザー社・アストラゼネカ社:2回目接種において、ファイザー社またはアストラゼネカ社ワクチン単独接種と比べ、新型コロナウイルス抗スパイクIgG抗体価は有意差がなかった。さらにファイザー社ワクチンとの同時接種においてインフルエンザの一部の株に対するHI抗体価の上昇がみられた。

ICI耐性の非小細胞肺がんに対するラムシルマブ+ペムブロリズマブの2次治療(Lung-MAP S1800A)/JCO

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)耐性となった進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、ラムシルマブとペムブロリズマブの併用による2次治療が有望な成績を示した。  進行NSCLCにおけるICI耐性後の2次治療は化学療法だけであり、今もなお大きなアンメットニーズが残っている。一方、ICIとVEGF阻害薬の併用は、複数のがん種で有望な結果が得られている。ドライバー変異のないICI耐性NSCLCの2次治療に、ICIであるペムブロリズマブとVEGF阻害薬であるラムシルマブの併用を化学療法と比較したLung-MAP S1800Aが行われた。結果は米国臨床がん学会年次集会(ASCO2022)で発表され、同時にJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。

うつ病に対するACT介入~メタ解析

 急性期うつ病の治療において、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性が報告されている。しかし、ACTを個別、グループ、インターネットで効果的に提供する方法やこれらを組み合わせた提供方法については、よくわかっていない。中国・北京大学のYue Sun氏らは、ACTの最も効果的な提供方法を検討するため、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、抑うつ症状に対するACT介入は、個別、グループ、インターネットのいずれにおいても効果的であることが示唆された。著者らは、ACTをさまざまな方法で提供することにより、多様な患者集団に対してACTを実践、普及することが容易になると報告している。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年6月25日号の報告。

サル痘感染拡大、4~6月に感染した528例の特徴/NEJM

 2022年4月以降、欧米を中心にサル痘感染が広がっている。7月23日にはWHOが緊急事態を宣言し、日本でも7月25日に感染者が確認された。今回、英国・Queen Mary University of LondonのJohn P. Thornhill氏らの国際共同研究グループ(SHARE-net Clinical Group)が、2022年4月27日~6月24日に16ヵ国43施設でPCR検査によりサル痘と確認・診断された528例について、症状、臨床経過、転帰を調査した結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年7月22日号に掲載。

男女間で異なる不安症状と食物依存症との関連

 不安は、さまざまなケースでみられる症状であり、摂食障害や肥満とも関連しているといわれている。ドイツ・ライプチヒ大学のFelix S. Hussenoeder氏らは、不安症状と食物依存症との関係を分析し、これらの関連性の評価および性差について検討を行った。その結果、食物依存症には、性別やその他の社会人口統計学的因子と関係なく、不安症状に対する長期的な影響が確認された。また、女性における不安症状は、その後の食物依存症に影響を及ぼす可能性が示唆された。このことから著者らは、食物依存症に対する介入は、男女ともに不安症状の軽減につながる可能性があるものの、不安症状に対する介入は、女性の場合のみで、食物依存症の軽減につながることを報告した。Frontiers in Psychiatry誌2022年6月14日号の報告。

双極II型障害の急性うつ病エピソードに対する第2世代抗うつ薬療法~メタ解析

 双極II型障害(BD-II)に関するエビデンスに基づく治療ガイドラインは、限られている。メイヨークリニック医科大学のJin Hong Park氏らは、急性BD-IIうつ病における第2世代抗うつ薬単剤療法の有効性および安全性を推定するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、急性BD-IIうつ病に対する第2世代抗うつ薬単剤療法は、良好な副作用プロファイルを有し、切り替え率の有意な増加を来すことなく、短期的に有効であることが示唆された。Psychopharmacology Bulletin誌2022年5月31日号の報告。

HER2低発現乳がん、HER2ゼロと異なるサブタイプとみなすべきか/JAMA Oncol

 HER2低発現乳がんは、HER2ゼロ乳がんとは異なる生物学的サブタイプとして考えるべきかどうか。米国・Dana-Farber Cancer InstituteのPaolo Tarantino氏らが、Stage I~III乳がんにおけるHER2低発現と臨床病理学的特徴および予後の関連を調べたところ、ホルモン受容体(HR)陽性およびトリプルネガティブ(TN)乳がんにおいて、HER2低発現乳がんを明確な生物学的サブタイプとは解釈できないという結果が示された。JAMA Oncology誌オンライン版2022年6月23日号に掲載。

若年層での3回目接種、オミクロン株流行下も感染率低下/JAMA

 若年層での新型コロナウイルスワクチンのブースター接種の有効性を検討するため、米国の医療情報コンサルティング企業のIQVIAは、全米プロバスケットボール協会(NBA)の選手およびスタッフにおいて、ブースター接種者と未接種者の感染発生率を調査した結果、オミクロン株流行期でも、ブースター接種が感染率を有意に低下させることが示された。本結果は、JAMA誌2022年6月2日号オンライン版のリサーチレターに掲載された。

ノババックス製ワクチン、12歳以上の接種を承認/添付文書改訂

 厚生労働省は7月21日、ノババックス製新型コロナウイルスワクチン「組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン」(商品名:ヌバキソビッド筋注)について添付文書を改訂し、初回免疫(1回目・2回目)の接種対象者の年齢を、18歳以上から12歳以上に引き下げたことを発表した。なお、本ワクチンの3回目の追加接種は、従来どおり18歳以上が対象となっている。また、初回免疫でほかのメーカーのワクチンを接種した者に対しては、ノババックス製ワクチンを3回目に使用した際の有効性と安全性は確立していないとしている。

コロナ疑い熱中症患者への最新対応法/日本救急医学会

 日本救急医学会は『新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)』発刊に関する記者会見を7月15日に行った。初版が発刊されてから2年、今回はとくに“熱中症とマスク着用の関係性”と“蒸散冷却法の使用有無”に焦点が当てられて改訂が行われ、神田 潤氏(帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター/新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症診療に関するワーキンググループ タスクフォース長・編集長)がこれらの根拠などについて解説した。

統合失調症患者における治療開始前後の色彩感覚と認知機能

 統合失調症患者は発症の初期段階で、視覚機能や眼組織構造に有意な変化がみられることが、多くの研究で報告されている。統合失調症の病因における新たな科学的進歩の探求を可能にするには、眼組織や眼機能の潜在的な分野を調査する目的で、脳の構造・機能の従来の研究を変革することが求められる。しかし、虹彩構造と統合失調症との相関関係を調査した研究はほとんどなく、エビデンスは不十分であった。中国・Chengde Medical UniversityのLi Duan氏らは、虹彩構造、色彩感覚、認知機能が、初発統合失調症患者において抗精神病薬治療前後で変化するかを分析し、統合失調症の早期臨床スクリーニングと診断を簡便に測定可能なバイオマーカーの特定を試みた。その結果、統合失調症患者の色彩感覚は、認知機能と共に改善することが示唆された。著者らは、陰窩や色素点を伴う虹彩構造の特徴は、統合失調症の薬物治療効果に大きな影響を及ぼす可能性があり、統合失調症を鑑別する潜在的なバイオマーカーである可能性があることを報告した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2022年6月13日号の報告。

ロルラチニブのALK肺がん1次治療、3年追跡PFSのHR0.27、脳転移進行のHR0.02(CROWN)/Cancer Res

 未治療のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)におけるロルラチニブの第III相CROWN試験の3年追跡の結果が、米国がん研究協会年次総会(AACR 2022)で発表され、良好な生存ベネフィットとともに、脳転移例に対して強力な有効性を示した。  ALK陽性肺がんに適応を有するALK阻害薬は、現在わが国で5種類承認されており、いずれも良好な成績を示す。近年は各薬剤の1次治療の成績が発表されている。その中で最もALK阻害作用が強いロルラチニブの1次治療を評価するCROWN試験の結果が注目される。

認知症患者とその介護者に対する遠隔医療介入効果~メタ解析

 遠隔医療機器を用いた医療介入は、COVID-19パンデミックにより必要性が高まっていることや、テクノロジーを通じ、医療提供者、患者、その家族のインフラおよび快適性が向上したことから、世界中で標準的な医療行為になりつつある。しかし、認知症患者の家族に対する遠隔医療介入の有効性はよくわかっていない。そのため、単なる便利なツールというだけでなく、エビデンスベースの遠隔医療介入を開発していくための調査が求められている。台湾・高雄医学大学のIta Daryanti Saragih氏らは、認知症患者およびその介護者に対する遠隔医療の心理教育的および行動的な介入の影響と有効性を調査する目的で、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、遠隔医療介入は、認知症患者のうつ病を軽減するとともに、介護者の知覚能力を向上させることが示唆された。Journal of Nursing Scholarship誌オンライン版2022年6月29日号の報告。

妊娠中のビタミンD補充、児のアトピー性皮膚炎を予防?

 母体へのビタミンD補充が、出生児の4歳時までのアトピー性湿疹リスクを減少させたことが、英国・サウサンプトン大学のSarah El-Heis氏らによる無作為化試験「UK Maternal Vitamin D Osteoporosis Study(MAVIDOS)」で示された。これまで、母体へのビタミンD補充と出生児のアトピー性湿疹リスクとを関連付けるエビデンスは一貫しておらず、大半が観察試験のデータに基づくものであった。著者は、「今回のデータは、乳児のアトピー性湿疹リスクに対する胎児期のビタミンD(コレカルシフェロール)補充の保護効果に関する無作為化試験初のエビデンスであり、保護効果が母乳中のコレカルシフェロール値上昇による可能性を示唆するものであった」と述べ、「所見は、アトピー性湿疹への発育上の影響と、アトピー性湿疹への周産期の影響は修正可能であることを支持するものである」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2022年6月28日号掲載の報告。  研究グループは、二重盲検無作為化プラセボ対照試験「MAVIDOS」の被験者データを用いて、妊娠中の母体へのコレカルシフェロール補充と、出産児のアトピー性湿疹リスクへの影響を月齢12、24、48ヵ月の時点で調べる検討を行った。

コロナPCR検査等の誤判定、日本での要因は?

 新型コロナウイルス感染症の診断において、PCRをはじめとする核酸検査には高い信頼性が求められており、厚生労働省では、その測定性能や施設の能力の違いの実態把握と改善を目的として、2年にわたり「新型コロナウイルス感染症のPCR検査等にかかる精度管理調査業務」委託事業を行っている。今回、令和3年度調査結果について報告書がまとめられ、日本臨床検査薬協会(臨薬協)と日本分析機器工業会(分析工)がメディア勉強会を開催。同調査を実施、報告をとりまとめた宮地 勇人氏(新渡戸文化短期大学 副学長)が講演した。

テオフィリン鼻洗浄でコロナの嗅覚障害は改善するか

 気管支喘息治療薬でおなじみのテオフィリンは、細胞内のcAMP濃度を上昇させることで神経の興奮性を高める作用があり、これを利用した嗅覚の改善効果が以前より立証されている。また、最近の研究では生理食塩水鼻洗浄(SNI)にテオフィリンを追加することで、新型コロナウイルス感染後の嗅覚機能障害(OD:olfactory dysfunction)の効果的な治療になり得ることが示唆されている。  そこで、米国・ワシントン大学・セントルイス校のShruti Gupta氏らは新型コロナウイルス関連のODに対し、テオフィリン鼻洗浄の有効性と安全性を評価した。その結果、テオフィリン鼻洗浄の臨床的利点は決定的ではないことが示唆された。JAMA Otolaryngology-Head&Neck Surgery誌オンライン版2022年7月7日号掲載の報告。