医療一般|page:193

週末のキャッチアップ睡眠とうつ病との関係

 週末のキャッチアップ睡眠とうつ病との関係を検討するため、韓国・延世大学校医科大学のKyung Min Kim氏らは、調査を行った。Sleep Medicine誌オンライン版2021年9月1日号の報告。  2016年の第7回韓国国民健康栄養調査のデータを用いて検討を行った。うつ病の定義は、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコア10以上とした。キャッチアップ睡眠の時間は、0時間以下、0~1時間、1~2時間、2時間以上で分類した。  主な結果は以下のとおり。

ブレークスルー感染、重症化因子に肥満や心疾患

 ブレークスルー感染で重症化する患者の特性は何か。米国で行われた研究結果がThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版9月7日号に掲載された。  イエール医科大学のPrerak V. Juthani氏らはイエール大学のヘルスケアシステムのデータを使い、SARS-CoV-2感染が確認された入院患者を対象としたシステマティックレビューを行った。2021年3月23日~7月1日にSARS-CoV-2で入院した患者(入院時にPCR検査で陽性)を対象とした。接種したワクチンはmRNA-1273(モデルナ製)、BNT162b2(ファイザー製)、Ad.26.COV2.S(Janssen製)で、ワクチンの完全接種は症状発現または検査陽性より少なくとも14日前にワクチン接種を完了(モデルナ・ファイザー製は2回、Janssen製は1回)していること、とした。

うつ病ケアに対する薬剤師介入の影響

 うつ病は、健康に重大な影響を及ぼす疾患である。うつ病患者の健康アウトカムを改善するために、薬剤師が関与した診療が役立つ可能性がある。タイ・シラパコーン大学のWaranee Bunchuailua氏らは、うつ病患者に対する薬剤師介入の影響を評価するため、ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2021年8月29日号の報告。  2019年12月までに報告された研究を国際データベース4件、国内データベース3件よりシステマティックに検索した。事前に定義した包括基準に基づき研究を選択し、バイアスリスク基準を用いて品質評価を行った。プールした推定値を分析し、相対リスク(RR)および標準平均差(SMD)を算出した。メタ解析において、研究間の不均一性が認められた場合には、変量効果モデルを用いた。

統合失調症と肥満~メタ解析

 統合失調症および抗精神病薬と代謝調整不全との関係は、現在十分に確立された知見が示されているが、肥満に対する影響についてはよくわかっていない。カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのEmily Smith氏らは、肥満測定画像技術の所見を統合することにより、統合失調症患者の病状や治療に対する肥満の影響を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年8月30日号の報告。  2021年2月までに報告されたケースコントロール研究およびプロスペクティブ縦断研究を、MEDLINE、EMBASE、PsychINFO、Scopusより検索した。主要アウトカムは、体脂肪率、皮下脂肪、内臓脂肪を含む肥満関連の測定値とした。

尿路上皮がんに対する抗FGFR阻害薬とPD-1抗体の併用は有用な可能性(NORSE)/ESMO2021

 転移を有する尿路上皮がん(mUC)に対するerdafitinibとcetrelimabの併用は、erdafitinib単独よりも有用であることが、英国・Queen Mary University St. Bartholomew's HospitalのThomas Powles氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。  erdafitinibは線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の遺伝子異常を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬で、2019年に米国で転移のある尿路上皮がんに対して迅速承認されている。一方、cetrelimabは抗PD-1抗体である(両剤ともに本邦未発売)。今回の発表はこの2剤併用の有用性を検討する第II相比較試験の中間解析結果。

新型コロナの日本初のレプリコン(次世代mRNA)ワクチン、第I相試験開始/VLPセラピューティクス・ジャパン

 新型コロナウイルス感染症に対する日本初となるレプリコン(次世代mRNA)ワクチン(VLPCOV-01)の第I相試験を開始したことを、VLP Therapeutics Japan合同会社(以下、VLPセラピューティクス・ジャパン)が12日、発表した。  レプリコン(次世代mRNA)ワクチンとは、少量の接種で十分な抗体が作られる自己増殖型のmRNAワクチン。現行のmRNAワクチンの10~100分の1程度の接種量となることから、短期間で日本の全人口分の製造が可能となることや、副反応の低減が期待される。現行のワクチンは新型コロナウイルス表面にある突起状のSタンパク質全体を抗原とするが、レプリコンワクチンはSタンパク質のうちウイルスが人の細胞に結合して感染する受容体結合部位(RBD)のみを抗原にしている。そのため、不要な抗体を作らないことによる高い安全性、多様なRBDへの抗体産生による変異株への効果も期待されるという。

COVID-19患者の26%に半年後も何らかの症状/国立国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の遷延症状は、当初から知られており、地域によっては専門外来が設置されるなど、今後のCOVID-19診療のフォローアップとしても注目されている。  国立国際医療研究センター 国際感染症センターの宮里 悠佑氏らのグループは、COVID-19罹患後の遷延症状に関して、長期的な疫学的情報に加え、遷延症状が出現・遷延するリスクを同定するために、COVID-19罹患後の患者を対象としてアンケート調査を実施し、その結果を「新型コロナウイルス感染症罹患後の遷延症状の記述疫学とその出現・遷延リスク因子に関する報告」として発表した。

うつ病女性に対する運動介入効果~メタ解析

 うつ病は、男性よりも女性の割合が高い疾患である。これは、思春期、月経、妊娠、更年期などにおける女性の生理学的調整が、男性と異なることが原因であると考えられる。そのため、うつ病女性の治療は、健康上の課題となっている。また、うつ病に対する運動介入に関する最近の研究では、薬物療法や心理療法と対照的に、優れた効果が示唆されており、利便性、迅速性、副作用がないこと、短長期的有効性が認められている。中国・広西師範大学のLin-Bo Yan氏らは、抑うつ症状を有する女性に対する運動介入の臨床的な有効性を明らかにするため、システマティックレビューを行った。Medicine誌2021年8月20日号の報告。

アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後アジュバントが米国で承認/ロシュ

 ロシュは、2021年10月15日、米国食品医薬品局(FDA)が、PD-L1≧1%であるStageII-IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の手術後、プラチナベース化学療法後の補助療法としてアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)を承認したと発表した。  IMpower010は、外科的切除後のステージIB-IIIA NSCLC(UICC / AJCC第7版)患者を対象に、アテゾリズマブの有効性と安全性を評価する第III相国際多施設非盲検無作為化試験である。

HER2 exon20変異肺がんにpoziotinibが有力な成績示す(ZENITH20)/ESMO2021

 EGFRおよびHER2のexon20挿入変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の2〜4%である。しかし、その予後は不良かつ治療も困難で、exon20への非特異的な治療の無増悪生存期間(PFS)は3〜7ヵ月とされる。  HER2、EGFR exon20挿入変異陽性NSCLCの新薬開発が進んでいる。EGFR-MET二重特異性抗体amivantamab、ASCO2021では中国のDZD9008、9月にはmobocertinibが米国で迅速承認された。  欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)では、汎HER-TKIであるpoziotinibのマルチコホート試験ZENITH20の一部結果が発表され、HER2 exon20挿入変異への有力な成績が示された。

日本の介護施設の認知症高齢者における向精神薬および抗コリン薬の使用状況

 医療経済研究機構の浜田 将太氏らは、日本の主要な介護施設の1つである介護老人保健施設に入所している認知症高齢者を対象に、向精神薬および抗コリン薬の処方および中止の状況を評価するため、コホート研究を実施した。BMJ Open誌2021年4月8日号の報告。  2015年、日本の介護老人保健施設3,598施設を対象にアンケート調査を実施した(施設ごとにランダムに選択された入所者最大5例)。アンケート回収は、343施設(回答率10%)より得られ、入所者1,201例が含まれた。標準化された尺度を用いて、認知症の有無および重症度を評価した。入所時および入所2ヵ月後の向精神薬および抗コリン薬の処方状況を評価した。入所者のベースライン特性と処方または中止との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。

コロナ感染による抗体持続、飲酒とARB服用で差/神奈川県内科医学会

 神奈川県内科医学会は、新型コロナウイルス感染後の抗体の有無について、無症候性感染者を対象として、抗体の獲得とその継続について調査を行った。2020年5月18日~6月24日に県内65施設において医師・看護師、通院患者、検診受診者など1,603例を対象に抗体検査を行い、検査結果が陽性かつ無症候性であった参加者を対象に、2、4、6ヵ月後に再度抗体検査を行った。

医療クラウドファンディング、コロナ対応スタッフの苦境を救え

 新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから、クラウドファンディングを利用して医療材料などの資金調達を行う医療施設や大学が増加している。先月3日にREADYFOR主催の記者会見を行った医療法人社団 悠翔会もその1つだが、なぜこのような支援方法を選択したのだろうか。同施設は首都圏や沖縄に拠点を設け在宅診療にあたっている。新型コロナ患者対応においては、かかりつけ医を持たず、なおかつ自宅療養を余儀なくされる患者を保健所紹介のもとで積極的に対応しているが、その責任者である佐々木 淳氏(悠翔会理事長・診療部長)が語る、在宅におけるコロナ対応の現状や自施設スタッフのリスク管理とはー。

SSRIの副作用プロファイル~自然主義的横断研究

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、最も一般的に使用されている抗うつ薬である。通常の臨床試験では、SSRIの副作用は過少報告されているといわれている。各SSRIの副作用プロファイルを完全に理解するためには、自然主義的な環境で構造化された手法を用いてシステマティックに評価することが求められる。インド・JDT Islam College of PharmacyのK. Anagha氏らは、自然主義的な治療環境で患者の主観的な症状を測定するために設計された自己評価法を用いて、3種類のSSRI(セルトラリン、エスシタロプラム、fluoxetine)によって誘発される副作用の頻度を調査した。The Primary Care Companion for CNS Disorders誌2021年7月29日号の報告。

コロナ治療でイベルメクチン適応外使用に注意喚起/MSD

 MSDは10月12日、医療関係者向けの情報サイトで「COVID-19に対するイベルメクチンの処方について」と題した文書を掲載。腸管糞線虫症または疥癬の経口治療薬として国内承認されているイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)は、COVID-19の治療薬としては承認されていないため適応外使用となることを注意喚起した。  イベルメクチンを巡っては、同剤を開発した米・メルク社が9月、COVID-19治療薬としての有効性と安全性のエビデンスについて分析した結果をステートメントとして発表。▽前臨床試験では新型コロナウイルス感染症に対する治療効果を示す科学的な根拠は示されていない▽新型コロナウイルス感染症患者に対する臨床上の活性または臨床上の有効性について意義のあるエビデンスは存在しない▽大半の臨床試験において安全性に関するデータが不足している―とし、「規制当局によって承認された添付文書に記載されている用法・用量や適応症以外におけるイベルメクチンの安全性と有効性を支持するデータは、現時点では存在しない」との見解を示した。

急性期および治療抵抗性統合失調症に対する抗精神病薬治療戦略~ガイドラインのレビュー

 慶應義塾大学の下村 雄太郎氏らは、急性期および治療抵抗性統合失調症に対する抗精神病薬の治療戦略に関する現状を要約するため、ガイドラインおよびアルゴリズムのシステマティックレビューを実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2021年9月8日号の報告。  急性期および治療抵抗性統合失調症に対する抗精神病薬治療に関する臨床ガイドラインおよびアルゴリズムを特定するため、MEDLINEおよびEmbaseを用いて、システマティックに文献検索を行った。治療反応不良(抗精神病薬の増量や切り替えなど)や治療抵抗性を含む抗精神病薬治療戦略の推奨事項に関する情報を収集した。

スルペラゾンに使用上の注意改訂指示、アレルギー反応に伴う急性冠症候群を追記

 セフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウム(商品名:スルペラゾンなど)の使用上の注意について、「重要な基本的注意」の項のショック、アナフィラキシーに関する注意喚起に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」を、また「重大な副作用」の「ショック、アナフィラキシー(呼吸困難等)」の項に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」を追記するよう、厚生労働省より2021年10月12日付けで改訂指示が発出された。

切除不能転移大腸がん1次治療、FOLFOXIRI+ベバシズマブへのアテゾリズマブ上乗せ(AtezoTRIBE)/ESMO2021

 未治療の切除不能転移大腸がん(mCRC)に対し、FOLFOXIRI+ベバシズマブ(BEV)+アテゾリズマブはFOLFOXIRI+BEVと比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、Gruppo Oncologico del Nord-Ovest(GONO)グループによる「AtezoTRIBE試験」で示された。イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  AtezoTRIBE試験はGONOによる無作為化非盲検第II相試験で、mCRCの1次治療における第1選択であるFOLFOXIRI+BEVに、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブを併用することにより、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)の有無にかかわらず患者の予後を改善できるかを検証したもの。  

ワクチンパスポート賛成は過半数を超える/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言下、多くの事務職はテレワークに代替され、不要不急の外出も制限されている。家にこもる日々が1年以上に渡るが、身体にどのような変化があったのであろうか。  「ワクチンパスポート」をテーマに、株式会社アイスタットは10月4日にアンケートを行った。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~79 歳の300人が対象。

治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療がQOLや生産性に及ぼす影響

 片頭痛は、うつ病のみならず、QOLや仕事の生産性へ影響を及ぼす疾患である。ヒト化モノクローナル抗体であるフレマネズマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした薬剤であり、片頭痛の予防的治療に対する有効性が認められている。米国・Boston Headache Institute & MedVadis Research CorporationのEgilius L. H. Spierings氏らは、第IIIb相FOCUS試験のオープンラベル延長試験において患者が報告したアウトカムを、経時的に評価した。Headache誌オンライン版2021年8月10日号の報告。