医療一般|page:290

食物繊維とヨーグルト、肺がんの発症リスクを低下?/JAMA Oncol

 いわゆる善玉菌の栄養源である「プレバイオティクス」と、善玉菌を含む食品である「プロバイオティクス」の摂取は、いずれも有益なのか。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのJae Jeong Yang氏らは、代表的な食品成分として、プレバイオティクスの「食物繊維」と、プロバイオティクスの「ヨーグルト」の摂取と肺がんリスクとの関連を調べた。欧米およびアジアで実施された前向きコホート研究10件のプール解析の結果、食物繊維とヨーグルトの摂取は、既知のリスク因子調整後および非喫煙者において、肺がんリスクの低下と関連することが示されたという。

飲酒・喫煙と家族性乳がんリスクの関連

 飲酒および喫煙は乳がんリスクの増加と関連しているが、家族性乳がんのリスクによってその関連性は変わるのだろうか。今回、米国コロンビア大学のNur Zeinomar氏らが検討したところ、適度な飲酒は、とくにエストロゲン受容体(ER)陽性乳がんの女性において乳がんリスクの増加と関連するが、それは家族性乳がんリスクが低いと予測される女性においてのみであることがわかった。また、家族性乳がんリスクが高く、飲酒する女性では、現在の喫煙が乳がんリスク増加と関連することが示された。Breast Cancer Research誌2019年11月28日号に掲載。

アスピリン、日本人の女性糖尿病患者で認知症リスク42%減

 低用量アスピリンに認知症予防効果を期待できるのか? 兵庫医科大学の松本 知沙氏らは、日本人2型糖尿病患者の認知症予防における低用量アスピリンの長期使用の有効性を、JPAD試験の追跡コホート研究により検討した。Diabetes Care誌オンライン版2019年12月4日号掲載の報告より。  JPAD試験は、日本人2型糖尿病患者を対象に、低用量アスピリンによる心血管疾患の一次予防効果を検討した多施設共同の大規模臨床試験。今回の研究では、2002~17年にJPAD試験に登録された2,536例を追跡した。被験者は低用量アスピリン服用群(81~100mg/日)と非服用群に無作為に割り付けられ、主要評価項目は認知症の発症とされた。認知症の発症有無は抗認知症薬の処方と、認知症による入院により定義された。

薬剤耐性菌の菌血症による死亡、国内で年8千例超

 これまで、わが国における薬剤耐性による死亡者数は明らかになっていなかった。今回、国立国際医療研究センター病院の都築 慎也氏らは、薬剤耐性菌の中でも頻度が高いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とフルオロキノロン耐性大腸菌(FQREC)について、日本におけるそれらの菌血症による死亡数を検討した。その結果、MRSA菌血症の死亡は減少している一方で、FQREC菌血症による死亡が増加していること、2017年には合わせて8,000例以上が死亡していたことがわかった。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2019年12月1日号に掲載。

インフル予防、エタノール消毒だけでは不十分なケースも?

 エタノールベースの擦式手指消毒薬は広く普及し、医療機関や学校など多くの場所で手指衛生・接触感染予防を目的に使われている。しかし以前の研究で、粘液中の病原体に対してエタノール消毒の有効性が低下する可能性が示唆されている。京都府立医科大学の廣瀬 亮平氏らは、エタノール消毒薬による季節性インフルエンザAウイルス(IAV)の不活性化メカニズムを調べ、その効果が手指に付着した感染性粘液が完全に乾燥するまでの間は大幅に低下することを明らかにした。一方、手洗いによる手指衛生は、乾燥および非乾燥の感染性粘液に対してともに効果的であることが確認された。mSphere誌オンライン版9月18日号への報告より。なお、本研究については、11月27日にmSphere誌オンライン上でレターが掲載され、議論が行われている。

統合失調症患者のインスリン抵抗性有病率とその特徴

 いくつかの研究において、統合失調症患者は、インスリン抵抗性リスクが高いことが示唆されている。中国・北京大学のChen Lin氏らは、中国人統合失調症入院患者におけるインスリン抵抗性の有病率および臨床的相関について調査を行った。Comprehensive Psychiatry誌オンライン版2019年11月7日号の報告。  対象は、統合失調症患者193例(男性:113例、女性:80例)。血漿グルコースおよび脂質レベルに関するデータを含む人口統計および臨床データを収集した。認知機能の評価には、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(RBANS)、精神症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。インスリン抵抗性を評価するHOMA-IRのカットオフ値は、1.7に設定した。

飲酒と喫煙に対する健康政策はがん死を減らせるのか

 長期の飲酒と喫煙はがんの危険因子として認識されているが、飲酒と喫煙に対する公衆衛生政策ががんの死亡率に与える影響は検討されていない。今回、オーストラリア・メルボルン大学のHeng Jiang氏らが、オーストラリアにおける1950年代~2013年の飲酒および喫煙に関する政策とがん死亡率の変化との関連を検討した結果、いくつかの政策変更が飲酒・喫煙の変化とその後20年間のがん死亡率の変化に関連することが示された。BMC Medicine誌2019年11月号に掲載。

プライマリケアにおけるベンゾジアゼピン減量戦略

 ベンゾジアゼピンは一般的な医療用医薬品であり、成人の約10%において、過去1年間で使用されている。これらの薬剤は依存性があり、多くの患者に対し長期間使用され、長期的な副作用も認められている。英国・NHS Greater Glasgow & ClydeのStephen Davidson氏らは、ジアゼパムを繰り返し使用している患者の処方を見直し、必要に応じて減量および中止が可能か、また、それらの変化が24ヵ月継続するかについて調査を行った。Korean Journal of Family Medicine誌オンライン版2019年11月6日号の報告。

AI活用、24時間顧客問い合わせ対応のシステム導入/塩野義製薬

 塩野義製薬株式会社は、人工知能(AI)を活用した自動会話プログラムで製品に関する問合わせに回答するAIチャットボット「DI chat (Drug Information Chatbot)」を導入し、2019年12月2日より運用を開始したと発表した。  今回導入したDI chatは、木村情報技術株式会社が、IBM Watson日本語版を活用したAIチャットボットに、塩野義製薬が作成したQ&Aを学習させることで、一問一答形式での回答を実現したAI顧客問い合わせ対応システムである。医療関係者からの問い合わせをAIが理解し、最も質問の意図に近い回答を自動的に提示する。

デュピルマブ、中等症~重症の思春期アトピー性皮膚炎への第III相試験結果

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する初の生物学的製剤であるデュピルマブについて、コントロール不良で中等症~重症の思春期(中央値14.5歳)AD患者に対する第III相の無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果が報告された。米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らによる検討で、16週間の治療により、プラセボと比較して症状やQOLの面で有意な改善がみられ、安全面でも忍容性が認められたという。著者は、「プラセボ調整後のデュピルマブの有効性と安全性は、思春期と成人で同等であった」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年11月6日号掲載の報告。

うつ症状に対するポリフェノールの影響~システマティックレビュー

 うつ病は、世界中で3億5,000万人が罹患している気分障害である。最近の研究では、うつ病に対して食事が保護的な役割を果たすことが示唆されている。いくつかのシステマティックレビューでは、うつ症状の軽減に地中海スタイルの食事パターンが有望であることが報告されている。これは、食事の中に一般的に含まれるポリフェノールの含有量が多いことが要因であると推測されている。オーストラリア・シドニー工科大学のJessica Bayes氏らは、うつ症状に対する地中海スタイルの食事に含まれるポリフェノールの影響について評価を行った。Advances in Nutrition誌オンライン版2019年11月5日号の報告。

出産歴による乳がん検診開始年齢を検討/Eur J Cancer

 乳がんリスクに出産歴が影響することは認識されているが、現在の乳がん検診ガイドラインはこの因子によるリスクの違いが考慮されていない。乳がんリスクが高い女性は早期の検診が必要であることから、ドイツ・German Cancer Research CenterのTrasias Mukama氏らは、生殖プロファイルに基づくリスクに合った検診開始年齢を検討した。European Journal of Cancer誌オンライン版2019年11月21日号に掲載。  本研究は、1931年以降に生まれた509万9,172人のスウェーデン人女性の全国コホート研究。参加者におけるSwedish Cancer Registry、Multi-generation Register、Cause of Death Register、および国勢調査(1958~2015)の記録をリンクさせた。

再発・難治性慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫治療薬、ベネトクラクス発売/アッヴィ

 アッヴィ合同会社は、2019年11月22日、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)を発売した。  ベネトクラクスはファーストインクラスの経口BCL-2阻害薬で、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用がある。

ゾフルーザ耐性ウイルスの特性を解明、小児で高頻度に出現

 東京大学医科学研究所の河岡 義浩氏ら研究チームが、2018/2019シーズンに採取したA型インフルエンザ検体の遺伝子を解析したところ、バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)を服用した12歳未満のA型インフルエンザ患者において、ゾフルーザ耐性ウイルスが高頻度で出現することが明らかになった。また、患者から分離した耐性ウイルスを動物に感染させ、感受性ウイルスと比較したところ、耐性ウイルスの増殖性および病原性は、感受性ウイルスと同等であることもわかった。Nature Microbiology誌オンライン版2019年11月25日号に掲載。

降圧薬と認知症リスク~メタ解析

 認知症は、予防や治療戦略が難しい健康問題である。認知症を予防するうえで、特定の降圧薬使用が、認知症リスクを低下させるともいわれている。米国・国立衛生研究所のJie Ding氏らは、特定の降圧薬による血圧低下が認知症リスクに及ぼす影響について検討を行った。The Lancet. Neurology誌オンライン版2019年11月6日号の報告。  1980年1月1日~2019年1月1日までに公表された適格な観察研究より参加者データを収集し、メタ解析を実施した。適格基準は、コミュニティーの成人を対象としたプロスペクティブコホート研究、参加者2,000人超、5年以上の認知症イベントデータの収集、血圧測定および降圧薬の使用、認知症イベントに関する追加データを収集するための対面試験、死亡率のフォローアップを含む研究とした。ベースライン時の高血圧(SBP140mmHg以上またはDBP90mmHg以上)および正常血圧において、5つの降圧薬クラスを用いて、認知症やアルツハイマー病との関連を評価した。降圧薬服用確率に関連する交絡因子を制御するため、傾向スコアを用いた。研究固有の効果推定値は、変量効果のメタ解析を用いてプールした。

アテゾリズマブ 840mgを発売、トリプルネガティブ乳がん適応に対し/中外

 中外製薬株式会社は、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)840mg製剤が、2019年11月27日、薬価収載および発売となった旨を発表。アテゾリズマブ840 mg製剤は、本年9月20日に承認を取得したPD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌の適応に対する用法・用量となる2週間間隔投与に対する至適用量製剤である。

ダメージは不可逆、頭痛の裏に失明リスクのある眼疾患/日本頭痛学会

 眼の痛みがあったとしても診断時にその訴えがあるとは限らず、併存疾患の多い高齢者ではとくに鑑別が困難だが、頭痛診療で頭に留めておきたい眼疾患がある。第47回日本頭痛学会(11月15~16日)の「頭痛診療のクロストーク・連携」と題したワークショップで、川崎医科大学附属病院眼科の家木 良彰氏が頭痛診療と眼疾患について講演した。  はじめに家木氏は、突然の嘔吐と頭痛を訴え受診した80代女性の症例を紹介した。精査加療のため入院し、他疾患による頭痛として退院。退院後も吐き気、頭痛、眼痛が持続するため、10日以上経過後に初めて眼科を受診した。眼圧を測定したところ右眼圧60mmHgで、急性閉塞隅角緑内障と診断。同日中に白内障手術が施行された。

血液1滴で13種のがん検出、2時間以内に99%の精度で―東芝

 東芝は11月25日、血液中のマイクロRNAを使ったがん検出技術を開発したと発表した。同社によると、独自のマイクロRNA検出技術を使った健康診断などの血液検査により、生存率の高いStage 0の段階でがんの有無を識別することが期待できるという。早期の社会実装に向け、来年から実証試験を進めていく。  リキッドバイオプシーの解析対象となるマイクロRNAを巡っては、2014年に「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクト」が始動。国立がん研究センターや国立長寿医療研究センターが保有するバイオバンクを活用し、膨大な患者血清などの検体を臨床情報と紐づけて解析。血中マイクロRNAをマーカーとした検査システムの開発が進んでいる。この研究成果をベースに、国内メーカー4社が、日本人に多い13種のがんについて、血液検体から全自動で検出するための機器や検査用試薬、測定器キットなどの開発に取り組んでいる最中だ。

PD-L1高発現NSCLC、ペムブロリズマブ単剤の5年生存率は25%以上(KEYNOTE-001)/JCO

 PD-L1陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ単剤療法の長期5年の追跡結果が示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のEdward B. Garon氏らは、第Ib相KEYNOTE-001試験の結果で、未治療および既治療の進行NSCLC患者におけるペムブロリズマブ単剤療法による5年全生存率は高く、とくにPD-L1高発現患者(TPS≧50%)では25%以上で、長期安全性プロファイルは良好であることを明らかにした。ペムブロリズマブ単剤療法は、PD-L1陽性進行NSCLCに対し持続的な抗腫瘍活性を発揮することが示されていた。Journal of Clinical Oncology誌2019年10月号掲載の報告。

青年期うつ病の治療中および治療後の軌跡

 英国・ケンブリッジ大学のSian Emma Davies氏らは、UK IMPACT試験に参加した青年期うつ病患者を症状変化の軌跡によって分類し、その予測因子および治療反応の定義との比較を行った。Journal of Child Psychology and Psychiatry誌オンライン版2019年10月24日号の報告。  本研究は、成長混合モデリング(GMM)を用いた2次データ分析である。欠損データは補完された。対象患者465例について、86週間の6つの時点におけるスコアを用いて、自己報告された抑うつ症状の軌跡を作図した。