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海藻摂取と甲状腺がん発症に関連認めず

 ヨウ素の過剰摂取は甲状腺がんのリスク因子と考えられている。わが国では主に海藻からヨウ素を摂取し、その量は世界的にみても多い。国内のこれまでの疫学的研究では、海藻を毎日摂取すると閉経後女性で甲状腺がんリスクが4倍高くなり、それ以外では関連がなかったと報告している。今回、JACC研究(the Japan collaborative cohort study)※グループは、1988~2009年に追跡したJACC研究で、日本女性の海藻摂取頻度と甲状腺がんリスクとの関連を調査した。その結果、閉経前後にかかわらず、海藻摂取と甲状腺がん発症率との関連は認められなかった。European journal of cancer prevention誌オンライン版2015年5月14日号に掲載。

爪真菌症に有用なホウ素含有の新規抗真菌薬

 爪真菌症は生活の質に影響を与える。ホウ素を含有する新しいクラスの抗真菌薬タバボロール(tavaborole、国内未承認)は、足の爪真菌症に対して優れた臨床効果を発揮するとともに安全性プロファイルは良好であることが、米国・アラバマ大学バーミンガム校のBoni E. Elewski氏らによる2件の第III相試験の結果、確認された。タバボロールは爪真菌症に対する新たな治療選択肢として期待される。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2015年5月5日号の掲載報告。

本当だった!? 血液型による性格の違い

 日本の健常人において、ABO式血液型の遺伝子型と性格特性には有意な関連が認められることが、弘前大学の土嶺 章子氏らの研究により明らかになった。しかし、ABO式血液型の遺伝子型と持続性形質との間の関連が比較的弱い可能性があるため、本研究結果は注意して解釈するべきであるとのこと。PLoS One誌オンライン版2015年5月15日号の報告。

出生地が双極性障害発症時期に影響

 出生直後の環境条件は、概日システムの刷り込みや、その後の環境応答に影響するかもしれない。ドイツ・カールグスタフ・カールス大学病院のMichael Bauer氏らは以前、とくに気分障害の家族歴を持つ人において、春の日射量の増加が双極性障害の発症年齢と関連することを報告していた。本研究では、出生地の日照時間がこの関連に影響を与えているかどうかを検討した。Journal of psychiatric research誌2015年5月号(オンライン版2015年3月27日号)の報告。

てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか

 米国・ホフストラ・ノースショアLIJ医科大学のPuja Appasaheb Naik氏らは、米国神経学会のガイドラインに準じてシステマティックレビューを行った。その結果、てんかんを有するドライバーと一般集団における交通事故率の違いに関するエビデンスは矛盾しており、結論は得られないことを報告した。Epilepsy&Behavior誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。

1回の健診で26年後の心疾患やがんを予測可能?

 1回の健康診断の結果から、26年後の心血管疾患やがん、糖尿病を予測することは可能だろうか。スウェーデン・Habo健康管理センターのLars-Goran Persson氏らは、ベースライン時33~42歳の若年男性のコホートにおいて、1回の健康診断で得られた生活習慣および生物学的リスクマーカーの結果と26年後の心血管疾患やがんの罹患率・死亡率、糖尿病の罹患率との関連を検討した。その結果、1回の検査で確認されたリスク因子(とくに喫煙、BMI、血清コレステロール)により、26年後における心血管疾患、がん、糖尿病を予測できる可能性が報告された。BMJ Open誌2015年5月6日号に掲載。

第4回 臨床研修医・医学生のための救急セミナー【ご案内】

 日本救急医学会は、本年も臨床研修医・医学生を対象に救急医学の魅力を伝えるセミナーを開催する。救急医の活躍する場は、ER、ICU、手術室、災害医療と多岐にわたる。当日はさまざまな現場で働く現役の救急医が参加し、症例検討、クイズ、ディスカッションを通じて参加者との交流を図る。を身に着けてきた来場者にプレゼントも用意されている。

精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い

 米国・バージニア大学のPaula A. Aduen氏らは、注意欠如・多動症(ADHD)、うつ病を有するドライバーと、精神疾患のないドライバーを比較し、衝突事故等との関連を調べた。結果、ADHDドライバーとうつ病ドライバーでは交通違反や衝突事故リスクが異なり、ADHDは多様な衝突事故や違反、衝突関連の障害と特異的に関連している一方、うつ病は自己報告による衝突後の受傷と関連していると思われる所見が示されたという。Psychiatric Research誌2015年5月号の掲載報告。

肛門性器疣贅、高用量の酸性化亜硝酸塩クリームで改善

 肛門性器疣贅は、肉体的・精神的な苦痛と医療費を患者に強いる疾患である。英国スコットランド・アバディーン大学のAnthony D. Ormerod氏らは、亜硝酸塩の酸性化による局所への一酸化窒素送達の有効性を検討する目的でプラセボ対照無作為化試験を行い、肛門性器疣贅の治療において亜硝酸ナトリウム6%+クエン酸9%クリーム1日2回塗布はプラセボより有効であることを明らかにした。主な有害事象は局所刺激性であった。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。

治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か

 強迫症(OCD)患者の多くがセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に対する反応が十分ではなく、抗精神病薬による増強療法が行われることがある。こうした治療抵抗性例に対する抗精神病薬付加の有効性を評価する目的で、オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らが、検討を行った。無作為化二重盲検プラセボ対照試験のメタ解析の結果、SSRI治療抵抗性OCD患者には、抗精神病薬による治療が有効であることが示された。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月4日号の掲載報告。

長期血圧変動性とCKD発症リスク~日本人5万人の調査

 非糖尿病者における長期血圧変動性が、他の血圧パラメータ(平均血圧、血圧への累積曝露など)と代謝プロファイルの変化に関係なく、慢性腎臓病(CKD)の新規発症リスクと関連しているかどうかは、いまだ不明である。今回、米国・ノースウェスタン大学の矢野裕一朗氏らは、糖尿病およびCKDではない中高年の日本人約5万人の調査データから、3年間の長期血圧変動性が、追跡期間中の血圧の曝露(平均もしくは累積)や代謝プロファイルの変化に関係なく、CKDの新規発症リスクと関連していたことを報告した。Hypertension誌オンライン版2015年5月18日号に掲載。

慢性疼痛は健康状態だけでなく経済的損失にも関与~日本人のデータ

 日本人の10~20%は慢性疼痛を有しており、慢性疼痛は健康状態の悪化と関連することが知られている。大阪大学大学院 医学系研究科医療経済産業政策学寄附講座 教授の田倉 智之氏らは、日本人において慢性疼痛が及ぼす経済的影響について調査した。結果、慢性疼痛は健康状態のみならず労働生産性、日常生活活動障害、医療資源の使用および経済的負担と有意に関連していることを明らかにし、「治療率の向上と集学的なアプローチが生活の質を改善し経済的負担を減らす可能性がある」と報告した。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。

小児てんかん、多剤併用療法の悪影響は

 英国・Young EpilepsyのColin Reilly氏らは、小児活動性てんかんにおける全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害について調査した。その結果、とくにワーキングメモリおよび処理スピードの障害が顕著であること、多剤併用療法は全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害に関連していることを報告した。これまで、小児てんかんに特異的な認知プロファイルに関する住民ベースの検討データはなかった。Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology誌2015年5月号の掲載報告。

非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか

 認知症によくみられる神経精神症状の治療に、さまざまな非定型抗精神病薬が広く用いられているが、これらの薬剤の有効性と安全性に関する無作為化比較試験では矛盾する結果が示されている。中国海洋大学のリン・タン氏らは、この問題に取り組むためシステマティックレビューを行った。結果、アリピプラゾールとリスペリドンは、平均12週で認知症の神経精神症状を改善し認知機能の低下を遅らせると結論付けた。ただし、著者は「認知症患者においては、重度の有害事象が非定型抗精神病薬の有効性を相殺する可能性がある」と指摘している。Alzheimer’s Research &Therapy誌オンライン版2015年4月20日号の掲載報告。

呼称変更から12年、統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学

 わが国では2002年、統合失調症に対するスティグマを軽減するため、精神分裂病から統合失調症へと呼称変更が行われた。しかし、その長期的な影響はあまり知られていない。東京大学の小池 進介氏らは、呼称変更から12年でどのような影響があったかを調査した。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2015年5月7日号の報告。

学歴とうつ病の関連は、遺伝か、環境か

 うつ病と低学歴の関連には、遺伝的多面発現効果(pleiotropy)の影響は認められないが、社会経済的状況などの環境因子が関わっている可能性が示唆された。Major Depressive Disorder Working Group of the Psychiatric GWAS ConsortiumのW J Peyrot氏らがドイツ人、エストニア人のうつ病患者のデータを解析し報告した。Molecular Psychiatry誌2015年6月号の掲載報告。