ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:199

臨床ガイドラインは複数疾患併存患者への考慮を/BMJ

 英国・ダンディー大学のSiobhan Dumbreck氏らは、英国立医療技術評価機構(NICE)の12の臨床ガイドラインにおける複数疾患を有する患者に関する潜在的に重篤な薬物-疾患(drug-disease)および薬物間(drug-drug)相互作用の記述について、システマティックレビューを行った。その結果、患者が慢性腎臓病(CKD)を併存している場合を除き薬物-疾患相互作用の記述はまれにしかみられない一方、薬物間相互作用については多くの記述がみられたこと、ただしいずれもガイドラインでは強調されていないことを明らかにした。臨床ガイドラインを、複数疾患を併存する患者についてより考慮したものにすべきとの認識が増している。しかし、研究グループは「多くのガイドラインで薬物療法を推奨しているが、そのような患者を設定した薬物-疾患および薬物間相互作用に関する勧告はあまりみられないと思われる」として本レビューを行った。BMJ誌オンライン版2015年3月11日号掲載の報告より。

ビタミンK拮抗薬の急速中和製剤(4F-PCC)の効果は?/Lancet

 緊急の外科的・侵襲的手技においてビタミンK拮抗薬(VKA)投与を必要とする患者について、4因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤(4F-PCC)の血漿製剤に対する、急速VKA中和および止血効果に関する非劣性と優越性が確認された。米国・マサチューセッツ総合病院のJoshua N Goldstein氏らによる第IIIb相の非盲検非劣性無作為化試験の結果、示された。VKAによる抗凝固療法は、緊急外科的・侵襲的手技を要する患者に関して迅速中和を必要とする頻度が高い。しかしこれまでその至適な手法について、臨床比較試験による確定は行われていなかったという。Lancet誌オンライン版2015年2月26日号掲載の報告より。

がん検診での過剰検出、人々の許容度は?/BMJ

 がん検診における「過剰検出」(症状がみられず早期死亡を引き起こすことのないがん病変をスクリーニングで検出と定義)について、一般の人々の受け止め方は事前に与えられる情報(死亡率やベネフィット)で大きく異なることが、英国・オックスフォード大学のAnn Van den Bruel氏らによるサーベイの結果、明らかにされた。乳がん、前立腺がん、腸がんスクリーニングの設定で調べたところ、腸がんスクリーニングでの過剰検出に対する許容度が有意に低かったという。著者は、「スクリーニング案内時に過剰検出の可能性やその影響に関する明確な情報を伝え、人々が情報に基づいた選択(インフォームド・チョイス)ができるようにしなければならない」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年3月4日号掲載の報告より。

E型肝炎ワクチン、4.5年の有効率は?/NEJM

 E型肝炎(HEV)ワクチンの予防接種により、防御能4.5年の持続を確認したことが報告された。中国・厦門大学のJun Zhang氏らが、11万例超の成人を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験の延長追跡調査の結果を発表した。試験に用いられたワクチンは2012年から中国で製造販売されているHecolinで、これまで短期有効性については報告されていたが長期有効性については確認されていなかった。NEJM誌2015年3月5日号掲載の報告より。

ドイツ「医薬品市場再編法」、新薬試験結果報告に有用/BMJ

 ドイツで2011年に施行された「医薬品市場再編法(AMNOG)」に則って作成された新薬試験結果の公開資料は、ClinicalTrials.govなどそれ以外の公開資料と比べて、試験方法・結果に関する完全報告の割合が高いことが示された。なかでも、部分母集団の分析結果の報告については、非AMNOGでは完全報告の割合がきわめて低かったという。ドイツ医療品質・効率性研究機構(Institute for Quality and Efficiency in Health Care、IQWiG)のMichael Kohler氏らが分析し発表した。BMJ誌オンライン版2015年2月26日号掲載の報告。

リンパ節転移陽性早期乳がん、dose-dense FEC-Pは有益か/Lancet

 リンパ節陽性早期乳がん患者に対し、エピルビシン、シクロホスファミド、パクリタキセル(EC-P)にフルオロウラシル(F)を追加し投与間隔を短縮して行うdose-dense化学療法としてのFEC-Pは、無病生存率を有意に改善することが示された。一方で、投与間隔を短縮しない場合は、フルオロウラシルを追加しても無病生存アウトカムは改善しなかった。イタリア・IRCCS AOU San Martino-ISTのLucia Del Mastro氏らが、第III相の非盲検2×2因子無作為化試験の結果、報告した。これまで、同患者へのdose-dense化学療法としてのFEC-P療法が有益性を増大するかどうかについては、議論の的となっていた。Lancet誌オンライン版2015年2月27日号掲載の報告より。

スタチンの効果、遺伝子リスクで異なる/Lancet

 米国ハーバード・メディカル・スクールのJessica L Mega氏らは、JUPITER、CAREなど5試験の被験者データを分析し、冠動脈疾患の初発と再発両リスクを増大する遺伝子型に基づく遺伝リスクスコアを特定した。また、同スコアが最も高い人でスタチン治療の効果が最も大きいことも明らかにした。これまでの検討で、冠動脈疾患リスクと関連する複数の遺伝子型があることが示されていた。Lancet誌オンライン版2015年3月3日号掲載の報告より。

ゴセレリン、乳がん患者の卵巣機能を保護/NEJM

 化学療法中の乳がん患者にゴセレリン(商品名:ゾラデックス)を併用することで、卵巣機能不全を予防し、早期閉経リスクの低下や、妊娠の可能性が向上することが報告された。米国・クリーブランドクリニックのHalle C.F. Moore氏らPOEMS/S0230研究グループによる無作為化試験の結果、示された。卵巣機能不全は、化学療法の頻度の高い毒性作用である。これまでに行われた卵巣機能の保護を目的としたゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)を用いた試験では、混在した結果が示され、妊娠アウトカムについてのデータは不足していた。NEJM誌2015年3月5日号掲載の報告より。

ナトリウム利尿ペプチド、急性心不全診断に有効/BMJ

 2012年に欧州心臓病学会(ESC)が示した、血中B型(脳性)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、NTproBNP、MRproANPの心不全除外診断の推奨閾値は、急性心不全について優良な診断能を有することが明らかにされた。英国・モーズレイ病院のEmmert Roberts氏ら研究グループGuideline Development Group for Acute Heart Failureが、急性期治療設定の試験データについてシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。ただし特異度はばらつきがみられ画像診断による確定が必要だと考察している。また、BNPとNTproBNPの診断精度には統計的な差はみられなかった。これらを踏まえて著者は「急性心不全が疑われる患者を対象とした、ナトリウム利尿ペプチド測定による試験を行うことで、より迅速で正確な除外診断が可能となるだろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年3月4日号掲載の報告より。

抗血栓療法中のNSAIDs、出血・心血管イベント増大/JAMA

 心筋梗塞(MI)後の抗血栓療法中の患者における非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の併用投与は、短期間であっても出血や心血管イベントリスクを増大することが明らかにされた。デンマーク・コペンハーゲン大学ゲントフテ病院のAnne-Marie Schjerning Olsen氏らが、同国患者データ6万1,971例を分析し報告した。著者は、「所見についてはさらなる検討を行い確認する必要があるが、MI後の患者へのNSAIDs処方には注意を払わなくてはならない」とまとめている。JAMA誌2015年2月24日号掲載の報告より。

HCVとHIV重複感染に3D+リバビリンレジメン有効/JAMA

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染患者の治療において、インターフェロン(IFN)フリーの全経口3剤組み合わせ直接作用型抗ウイルス薬(3D)+リバビリン併用レジメンは、治療期間12週または24週についていずれも高い持続性ウイルス学的著効(SVR)率に結び付いたことが示された。米国ジョンズ・ホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らによる非盲検無作為化非対照試験TURQUOISE-Iのパイロット試験パート1aの結果、報告された。3Dレジメンは、オムビタスビル、パリタプレビル(またはリトナビル併用[パリタプレビル/r])、ダサブビルから成る。本検討の結果を受けて著者は、「重複感染患者について本療法の第III相試験を行うべき根拠が示された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2015年2月23日号掲載の報告より。

急性腎障害の自動通知システムは有効か/Lancet

 急性腎障害(AKI)のある入院患者について、AKI発生時に自動的に担当医などに知らせるアラートシステムを導入しても、臨床アウトカムは改善しないことが示された。米国・エール大学のF. Perry Wilson氏らが、約2,400例を対象に行った単盲検並行群間比較無作為化試験の結果、報告した。AKIは早期であれば有効な治療選択肢があるものの、早期に治療を開始できることがほとんどない。研究グループは、発生を自動的に知らせる機器を導入することで、障害の進展を防ぎアウトカムを改善するのかを検討した。Lancet誌オンライン版2015年2月25日号掲載の報告より。

ICDの初移植、除細動テストなしでも転帰同等/Lancet

 植込み型除細動器(ICD)の初移植の際、除細動テストを実施しなくても、実施した場合と比べて、その後のアウトカムについて非劣性であることが明らかにされた。カナダ・マックマスター大学のJeff S Healey氏らが、2,500例について行った単盲検無作為化非劣性試験「SIMPLE」の結果、報告した。除細動テストは広く行われているが、その有効性と安全性について検討した試験はこれまで行われていなかったという。Lancet誌オンライン版2015年2月20日号掲載の報告より。

抗凝固薬による脳内出血、血腫増大の分岐点/JAMA

 抗凝固療法の合併症で脳内出血を発症した人は、4時間以内の国際標準比(INR)が1.3未満で、収縮期血圧が160mmHg未満だと、血腫増大リスク、院内死亡リスクともに減少することが明らかにされた。オッズ比はそれぞれ0.28、0.60であった。ドイツ・エアランゲン-ニュルンベルク大学のJoji B. Kuramatsu氏らが、約1,200例の患者について行った後ろ向きコホート試験の結果、明らかにした。同発症患者について、経口抗凝固薬の再開についても分析した結果、再開は虚血イベントの低下につながることが示されたという。なお、これらの結果について著者は、前向き試験での再現性と評価の必要性を指摘している。JAMA誌2015年2月24日号掲載の報告より。

5歳までのピーナッツ摂取でアレルギー回避?/NEJM

 ピーナッツアレルギー高リスクの小児は、早期よりピーナッツに曝露されたほうが、同アレルギー発症頻度が有意に低減することが、英国キングス・カレッジ・ロンドンのGeorge Du Toit氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。西欧諸国では、ピーナッツアレルギーの子供の有病率は、過去10年間で2倍になっており、またアフリカやアジアでも出現してきているという。研究グループは、アレルギーリスクが高い乳児でピーナッツアレルギーを発症させないための最も効果的な戦略を確立するために、ピーナッツの摂取と回避の戦略を検討した。NEJM誌2015年2月26日号(オンライン版2015年2月23日)掲載の報告より。

糖尿病予防の介入、リスク別が効果的/BMJ

 先行研究の無作為化試験で、メトホルミンと生活習慣改善の介入による糖尿病予防プログラムは糖尿病の発症を減少することが示されていたが、その介入効果は糖尿病発症リスクが高い人と低い人では異なることが明らかにされた。米国・ミシガン大学のJeremy B Sussman氏らによる事後分析の結果、メトホルミンの介入効果は高リスクの人に集中してみられること、また生活習慣への介入は両リスクの人にみられるが、四分位範囲で最高リスクの人が最低リスクの人の6倍だった。結果を踏まえて著者は、「予防的治療はリスク層別化をすることで、より効果的に行うことができる」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年2月19日号掲載の報告より。

糖尿病黄斑浮腫、VEGF阻害薬3剤を比較/NEJM

 糖尿病黄斑浮腫に対する、眼科用VEGF阻害薬のアフリベルセプト(商品名:アイリーア)、ベバシズマブ(アバスチン、日本では眼科用は未承認)、ラニビズマブ(ルセンティス)の有効性、安全性を比較する多施設共同無作為化試験が米国で行われた。Jaeb Center for Health ResearchのAdam R. Glassman氏ら研究グループ(Diabetic Retinopathy Clinical Research Network)が米国内89ヵ所の協力を得て行った同試験の結果、3剤ともに視力の改善効果は認められるが、相対的効果は治療開始時の視力に依存し、開始時の視力障害が軽度であれば改善効果は3剤間で明らかな差はないが、障害が重度の場合はアフリベルセプトの改善効果が有意に高かったことを報告した。NEJM誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。

抗うつ薬の違いによる自殺リスクを検討/BMJ

 うつ病患者の抗うつ薬使用と自殺、自殺企図・自傷行為リスクは、SSRIと三環系薬では有意な差はないことが、英国・ノッティンガム大学のCarol Coupland氏らによるコホート研究の結果、明らかにされた。また、服用開始後28日間および中止後の28日間にリスクが最も高いことも判明し、研究グループは、「同期間は注意深いモニタリングが必要である」と指摘している。うつ病患者における自殺・自殺企図について、これまで抗うつ薬の違いにより発生率にばらつきがあるのかどうかは不明であった。BMJ誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。

今すぐやめられない喫煙者にもバレニクリン有効/JAMA

 1ヵ月以内にすぐにとはいかないが、3ヵ月以内に減煙・禁煙をしたいという意思のある喫煙者に対し、バレニクリン(商品名:チャンピックス)を24週間投与することで、長期の禁煙効果があることが示された。禁煙率は治療終了時、および1年後も介入群で有意に高率であった。米国・メイヨークリニックのJon O. Ebbert氏らが、1,510例の喫煙者を対象に行った多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。JAMA誌2015年2月17日号で発表した。