ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:243

小児の百日咳発症にみられたDTaPワクチン防御効果の漸減/JAMA

 米国・カリフォルニア州では2010年に、60歳以上で大規模な百日咳の流行が発生した。疾患負荷は、3種混合(DTaP)ワクチン接種率が高率であったにもかかわらず7~10歳の年齢層で顕著に大きく、ワクチンによる防御効果が漸減する可能性が示された。そこで米国疾病予防管理センター(CDC)のLara K. Misegades氏らは、百日咳発症とDTaPワクチンの5回目までの接種との関連についてケースコントロールによる評価を行った。JAMA誌2012年11月28日号掲載より。

静脈血栓塞栓症に対する4つの新規経口抗凝固薬vs.従来薬/BMJ

 ビタミンK拮抗薬と比較して、新規経口抗凝固薬は急性静脈血栓塞栓症の再発リスクは同程度であり、全死因死亡も同程度であるが、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)については出血リスクを減少することが、カナダ・マギル大学のBenjamin D Fox氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。BMJ誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月13日号)掲載より。

成人一般健診は罹患率や死亡率を低下させない/BMJ

 一般健康診断は新たな病気の発見数を増加したが、全体的にみても心血管系やがんについてみても、罹患率や死亡率は低下していないことが、デンマーク・ノルディックコクランセンターのLasse T Krogsboll氏らによる、無作為化試験対象のコクラン・システマティックレビューとメタ解析の結果、報告された。一般健診は、罹患率や死亡率を抑制するのに効果的であるとみなされ、リスク因子が抑制されるという共通認識および観察結果に基づいて、世界各国でヘルスケアの基本として行われてきた。しかし、一方で罹患率と死亡率に関するベネフィットのエビデンスは不足していた。今回の解析でも、一般健診の重大有害転帰に関する影響については研究も報告もされておらずエビデンスは不明のままとなった。BMJ誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月20日号)掲載より。

がんによる疾病負担、全世界で重く:IARC調査/Lancet

 がんによる疾病負担は世界のどの地域でも重く、深刻なものであることが、国際がん研究機関(IARC、フランス・リヨン市)のIsabelle Soerjomataram氏らの調査で明らかとなった。2008年、世界で760万人ががんで死亡した。保健医療計画の立案には、致死的および非致死的ながんのアウトカムを考慮した国別の比較を要するが、これには障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY)が有用な指標になるという。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年10月16日号)掲載の報告。

アレムツズマブ、再発寛解型多発性硬化症の再発を抑制:CARE-MS I試験/Lancet

 活動性の早期再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の治療において、アレムツズマブ(alemtuzumab:国内未承認)はインターフェロンβ1aに比べ再発を有意に抑制するが、障害の集積の抑制効果には差がないことが、米国・クリーブランド・クリニックのJeffrey A Cohen氏らが行ったCARE-MS I試験で示された。ヒト化抗CD52モノクローナル抗体であるアレムツズマブは、血中のTリンパ球およびBリンパ球を枯渇させ、結果としてその再生を促すことで効力を発揮すると考えられる。未治療RRMSを対象とした第II相試験では、その疾患活動性の抑制効果が確認されている。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月1日号)掲載の報告。

マンモ検診は、過剰診断を増やしただけ?/NEJM

 米国では1980年代からマンモグラフィによるスクリーニングが始まっており、その後の実施率増加とともに早期乳がん罹患率は大幅に増加したが、一方で進行期乳がん罹患率の減少は、ごくわずかであったことが報告された。また、マンモグラフィにより検出された早期乳がんの中には、その後臨床的症状を発症することがなかった、いわゆる過剰診断も多く、その数は過去30年間で130万人に上ると推定されたという。米国・Oregon Health and Science UniversityのArchie Bleyer氏らの調べで明らかになったもので、NEJM誌11月22日号で発表した。

特発性VTE初発患者に対する再発予防のための低用量アスピリン投与/NEJM

 オーストラリア・Prince of Wales HospitalのTimothy A. Brighton氏らが、800人超について行ったプラセボ対照無作為化比較試験の結果、特発性静脈血栓塞栓症(VTE)の初発患者に対し、抗凝固療法後に低用量アスピリン療法を行っても、再発リスクがプラセボと比較して有意に低下しなかったことが報告された。一方で心血管イベント発生リスクについては、およそ3分の2低下し、研究グループは「正味の臨床的改善は示された」と結論した。特発性VTEを発症した人は、抗凝固療法終了後にVTE再発リスクが増大することが知られ、再発予防にアスピリンが有効である可能性があった。NEJM誌2012年11月22日号(オンライン版2012年11月4日号)掲載より。

外傷性脳損傷に対するシチコリン、身体・認知機能改善に結びつかず/JAMA

 外傷性脳損傷(TBI)に対するシチコリン(商品名:シチコリン、ニコリンほか)の投与は、プラセボと比較し90日時点で、身体機能および認知機能の改善に結びつかなかったことが示された。米国・ハーバードメディカルスクールのRoss D. Zafonte氏らによる無作為化試験の結果、報告された。TBIについては今のところ転帰を改善する治療法がない。シチリコンには、損傷神経修復の促進と同様の潜在的な神経保護作用があり、世界59ヵ国で承認されていた。JAMA誌2012年11月21日号掲載報告より。

心房細動の脳卒中予防について新規抗凝固薬3剤を間接比較/BMJ

 心房細動患者の脳卒中予防について、新規抗凝固薬の間接的な比較解析が、デンマーク・Aalborg UniversityのLars Hvilsted Rasmussen氏らによって行われた。検討されたのは、アピキサバンとダビガトラン(商品名:プラザキサ)またはリバーロキサバン(同:イグザレルト)との比較、リバーロキサバンとダビガトランの比較についてで、相互間の相対的な有効性と安全性について、主として2次予防に焦点を当てて解析が行われた。BMJ誌2012年11月17日号(オンライン版2012年11月5日号)掲載より。

表面置換型人工股関節置換術、とくに女性で再置換率が高い/Lancet

 表面置換型人工股関節置換術のインプラント残存率は、大腿骨頭径が大きな男性では全置換型人工股関節置換術とほぼ同等だが、それ以外の患者では全般に不良で、とくに女性で劣ることが、英国ブリストル大学のAlison J Smith氏らの検討で示された。従来の全置換型人工股関節のインプラント残存率は年齢が若い患者で不良なことが多いという。そのため、個々の患者の大腿骨頭に合わせた種々のサイズがある表面置換型の人工股関節など、新たなインプラントの開発が進められている。Lancet誌2012年11月17日号(オンライン版2012年10月2日号)掲載の報告。

糖尿病高リスク者のプライマリ・ケア・ベースの検診、死亡率低下せず:ADDITION-Cambridge試験/Lancet

 2型糖尿病の高リスク者を対象とした検診でみつかった患者に対し治療を行っても、約10年間の全死因死亡、心血管死、糖尿病関連死のリスクは検診を受けなかった者と変わらないことが、英国ケンブリッジ大学のRebecca K Simmons氏らが行ったADDITION-Cambridge試験で示された。2型糖尿病の有病率の増加は保健医療上の重要課題とされる。2型糖尿病の疾病負担の増大は、地域住民を対象とした検診や早期治療によって抑制される可能性があるが、検診のベネフィットは不明なままだという。Lancet誌2012年11月17日号(オンライン版2012年10月4日号)掲載の報告。

過去10年の院内心停止後の生存率、年率4%で増加の傾向が明らかに/NEJM

 米国における2000~2009年の、院内心停止後の生存率は年率4%の増加傾向を示す一方で、生存者の神経障害発症率は年率2%の減少傾向にあることが明らかにされた。米国・アイオワ大学のSaket Girotra氏らが、約8万5,000人の院内心停止患者を追跡し明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月15日号で発表した。近年、蘇生ケアは改善してきているものの、院内心停止後の生存率や神経障害発症率の改善傾向については明らかではなかった。

ICU患者へのHES使用、90日死亡率は有意差なし、腎代替療法リスクは2割増/NEJM

 ICUの患者に対する輸液蘇生における代用血漿剤のヒドロキシエチルデンプン(HES、商品名:サリンヘスなど)の使用について、生理食塩水を用いた場合と比較した90日死亡率は有意差は認められなかったことが示された。一方で、HESを用いた患者では生理食塩水を用いた場合と比べて腎代替療法を受けるリスクが2割ほど高かった。オーストラリア・George Institute for Global HealthのJohn A. Myburgh氏らが、ICU入室患者7,000人について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月15日号(オンライン版2012年10月17日号)で発表した。

片頭痛と脳病変進行、女性の深部白質病変を除き有意な関連みられず/JAMA

 片頭痛を有する男女のMRI所見を9年前のものと比べて比較した結果、女性では深部白質病変の発生が高率にみられたが、その他のMRIで確認されていた脳病変の進行は有意にはみられなかったことが、また男性ではあらゆるMRI既往脳病変の進行との関連がみられなかったことが報告された。オランダ・ライデン大学医療センターのInge H. Palm-Meinders氏らが、先行研究で片頭痛とMRI脳虚血病変との関連が示されていたことを踏まえて行った検討で、結果について著者は、「脳血管の構造的変化に果たす片頭痛の役割について疑問を呈する所見となった」と述べている。JAMA誌2012年11月14日号掲載報告より。

毎日のマルチビタミン剤服用、がんリスク抑制効果はわずか/JAMA

 毎日のマルチビタミン剤服用の効果は、総合的にみたがんリスク抑制については、わずかであるが有意であることが示された。しかし個別にみると有意差はなく、またがん死亡の抑制も有意差は示されなかった。ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバードメディカルスクールのJ. Michael Gaziano氏らが、米国男性(医師コホート)を10年間追跡した無作為化試験「Physicians' Health Study II」の結果、報告した。マルチビタミン剤は最も一般的な栄養補助食品で米国では成人の3人に1人が服用しているという。しかしこれまで、マルチビタミン剤摂取と、総合的あるいは特異的がんの発生率および死亡率との関連を検討した観察研究は行われていなかった。JAMA誌2012年11月14日号掲載報告より。

子宮頸がん治療後のフォローアップではHPV検査の実施が有効で費用対効果あり/BMJ

 子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)治療後に行うヒトパピローマウイルス(HPV)検査の費用対効果について、英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのRosa Legood氏らによる経済解析の結果、フォローアップでの実施は有効であり、細胞診のみによるフォローアップと比べてコスト削減につながることを報告した。先行研究では見解が一致しておらず、研究グループは、国民保健サービス(NHS)のSentinel Sites Studyのデータを用いて解析を行った。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月31日号)掲載より。

ハイリスク群へのPCV13接種の費用対効果は?/BMJ

 多くの国で侵襲性肺炎球菌感染症のハイリスク患者には23価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV23)の予防的投与が推奨されているが、欧州委員会は最近、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の適応を50歳以上の成人まで拡大した。オランダ・フローニンゲン大学のMark H Rozenbaum氏らは、ハイリスク患者に対するPCV13接種の費用対効果について検証した。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月26日号)掲載より。

糖尿病よりCKDが死亡・末期腎不全に関連性大/Lancet

 糖尿病患者は死亡および末期腎不全のリスクが高いが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度でみた場合、その相対リスクは非糖尿病患者と変わらないことが明らかにされた。米国・NHLBIフラミンガム研究グループのCaroline S Fox氏らがメタ解析の結果、報告した。慢性腎臓病(CKD)は、低eGFR値、高アルブミン値によって特色づけられ、それらの値と重大転帰とが関連している。そのリスクが糖尿病の有無によって影響があるのかはこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。

死亡・末期腎不全との関連、高血圧よりもeGFR、ACRが重大/Lancet

 高血圧症のない人もある人と同様に、死亡および末期腎不全のリスクとして慢性腎臓病(CKD)を考慮すべきであることが示された。米国・ジョンズ・ホピキンスブルームバーグ公衆衛生校のBakhtawar K Mahmoodi氏らが、メタ解析の結果、報告した。高血圧症は、CKD患者では最もよくみられる共存症だが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度と、死亡や末期腎不全との関連を高血圧症の状態別でみた場合の影響はこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。

スタチンを服用していた人は、がん発症後もがん関連死が低い/NEJM

 がん患者におけるスタチン服用が、がん関連死低下と関連していることが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のSune F. Nielsen氏らがデンマーク国民について検討した結果、報告したもので、NEJM誌2012年11月8日号で発表した。これまで、体内に取り込むコレステロール量の減少は、がん細胞の増殖や転移を減じる可能性が示されており、研究グループは、スタチンをがんと診断される前から服用していた人ではがん関連死亡率が低くなるとの仮説を立て、検証を行った。