腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:150

ペムブロリズマブ+化学療法の食道がん1次治療、日本人の結果(KEYNOTE-590)/日本臨床腫瘍学会

 切除不能な局所進行または転移のある食道腺がん、食道扁平上皮がん、Siewert I型食道胃接合部腺がん患者に対する1次治療として化学療法とペムブロリズマブの併用療法と化学療法を比較する無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-590試験の日本人集団における結果を第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO VIrtual2021)で、埼玉県立がんセンターの原 浩樹氏が発表した。

がん遺伝子パネル検査のスタート半年、「エキスパートパネル」の評価は?/日本臨床腫瘍学会

 2019年6月に保険適用となったがんゲノムプロファイリング(CGP)検査。その実施は、がんゲノム医療中核拠点病院、拠点病院、連携病院に限定され、検査結果は中核拠点病院、拠点病院で実施される専門家会議「エキスパートパネル」での検討が必須とされている。  ここでの方針がCGP検査を受けた患者の治療に直結するが、各エキスパートパネルの現状や判断の差異については評価されていなかった。そこで、中核拠点病院11施設での2019年6月~2020年1月における、エキスパートパネルの実績(全検討症例数および、遺伝子異常に合った投薬や遺伝相談外来の受診に結び付いた症例数)を調査するとともに、模擬症例2例を用いて各エキスパートパネル間で推奨治療に差があるかどうかを検証する研究を行った。

進行乳がんのエリブリン治療、リンパ球数と病勢進行の関連は(EMBRACE)/日本臨床腫瘍学会

 第III相EMBRACE試験において、非タキサン系の微小管阻害薬エリブリンは進行乳がんの生存期間(OS)を有意に延長した。同試験のPost-Hoc解析では、ベースライン時のリンパ球絶対数(ALC)がエリブリン治療によるOS延長の独立した予測因子であることが示唆されている。今回、エリブリン治療によるOS延長におけるALCと病勢進行(PD)の関係が調べられた。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)において、静岡がんセンターの渡邉 純一郎氏がその結果を発表した。

MSI-H/dMMR大腸がん1次治療のペムブロリズマブ、アジア人でも有用性を確認/日本臨床腫瘍学会

 DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する転移のある大腸がん患者を対象に、1次治療としてのペムブロリズマブの有用性を見るKEYNOTE-177試験。昨年発表された第2回中間解析では、ペムブロリズマブは化学療法と比較して全集団における無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。2月に行われた第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)のPresidential Session1において、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院)が、本試験におけるアジア人サブセットの解析結果を発表した。

非小細胞肺がんに対するKRASG12C阻害薬sotorasib第II相試験の成績(CodeBreaK 100)/日本臨床腫瘍学会

 KRASG12C阻害薬sotorasibは非小細胞肺がん(NSCLC)の第I相試験で奏効率(ORR)32.2%、疾患コントロール率(DCR)奏効期間(DoR)10.9ヵ月、無増悪生存期間(PFS)6.3ヵ月という成績を示した。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO VIrtual2021)では、初となる第II相試験の結果を静岡県立静岡がんセンターの高橋 利明氏が発表した。 対象:KRAS p.G12C変異を有する既治療(3ライン以下)の局所進行または転移のあるNSCLC 介入:sotorasib960mg/日、PDとなるまで投与 評価項目: [主要評価項目」BICR評価の奏効率 「副次評価項目]DoR、DCR、初回奏効までの期間(TTR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など [探索的研究]バイオマーカー  主な結果は以下のとおり。

乳がん手術療法のDe-escalation、検討中の4つの方向性/日本臨床腫瘍学会

 乳がん治療における手術療法はHalsted手術以降、一貫して縮小してきており、早期乳がんに対する胸筋温存、乳房温存などが一般的に実施されている。腋窩リンパ節郭清に関してもセンチネルリンパ節生検が広く行われるようになり、その後、センチネルリンパ節に転移を認めても条件を満たせば郭清を省略するようになっている。現在、さらなる手術縮小の可能性が前向きに検討されているが、具体的な4つの方向性について現在進行中の試験を含めて、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)におけるシンポジウム「乳がん治療におけるDe-escalationを考える」の中で、岡山大学の枝園 忠彦氏が紹介した。

StageIV大腸がん、無症状の原発巣切除は標準治療と見なすべき?(JCOG1007)/JCO

 切除不能の遠隔転移を有するが原発巣に起因する症状がないStageIV大腸がんの初回治療について、原発巣切除(PTR)+化学療法は化学療法単独と比較して生存率改善に寄与しないことが、日本で行われた第III相無作為化試験「JCOG1007; iPACS試験」の結果、示された。国立がん研究センター中央病院の金光 幸秀氏らが報告した。同Stage IV大腸がんに対しては、PTRが標準治療として行われているが、その意義については議論の的になっていた。結果を踏まえて著者は、「原発巣に起因する症状がない切除不能の転移を有する大腸がん患者において、PTRは標準治療と見なすべきではない」とまとめている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2021年2月9日号掲載の報告。

EGFR変異肺がん、エルロチニブ+ベバシズマブ1次治療の全生存期間とリキッド検査の結果(NEJ026)/日本臨床腫瘍学会

 NEJ026試験はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にベバシ ズマブとエルロチニブの併用療法をエルロチニブ単剤療法と比較した第III相試験である。2018年に無増悪生存期間(PFS)において、ベバシ ズマブとエルロチニブの併用の統計学的有意が報告された。18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、全生存期間(OS)、および血漿EGFR変異検査に関する結果が宮城県立がんセンターの福原 達郎氏により発表された。

COVID-19重症化防止に抗がん剤ベバシズマブが有効である可能性

 重症のCOVID-19患者に抗がん剤ベバシズマブを投与することで、死亡率が低下し、回復が早まる可能性があることが、イタリアと中国で行われた小規模な試験によって明らかになった。Nature Communication誌2月5日オンライン版掲載の報告。  シングルアームの本試験は、2020年2月15日~4月5日に中国とイタリアの2施設において26例の成人患者が登録され、28日間のフォローアップが行われた。COVD-19感染はPCR検査で判定され、重症度は呼吸数が30回/分以上、安静時の酸素飽和度が93%以上、動脈酸素分圧/吸入酸素濃度(PaO2/FiO2)が100mm~300mmHg、胸部画像のびまん性肺炎によって判断した。適格となった参加者には標準治療に加え、100mLの生理食塩水に溶解したベバシズマブ(500mg)を90分以内に単回投与し、投与後1日目と7日目のデータを比較した。

カボザンチニブ、転移乳頭状腎がんでPFS延長(SWOG1500)/Lancet

 転移のある乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者において、カボザンチニブはスニチニブと比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが示された。米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta K. Pal氏らが、米国およびカナダの65施設で実施した、METキナーゼ阻害薬カボザンチニブ、クリゾチニブおよびsavolitinibとスニチニブを比較する無作為化非盲検第II相試験「SWOG 1500試験」の結果を報告した。METシグナル伝達経路はPRCCの重要なドライバーであるが、転移のあるPRCCに対する最適な治療は存在していなかった。Lancet誌2021年2月20日号掲載の報告。