腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:180

ASCO作成COVID-19流行下のがん治療の指針、和訳版を公開/日本癌治療学会

 日本癌治療学会は7月9日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が作成した「ASCOスペシャルレポート:COVID-19の世界的流行下におけるがん治療の実施に関する指針」をホームページ上で公開した。この指針は、COVID-19 の世界的大流行への対応を継続する中で患者および医療スタッフの安全性を保護するため、がん診療で実施可能な即時および短期の措置についてASCOが世界的視野に立ち作成、5月19日に発表されたもの。  和訳版は全22ページからなり、下記20項目について知見がまとめられている

進行胃がんに対する薬物療法が大きく変わる―免疫チェックポイント阻害薬と抗体薬物複合体(解説:上村直実氏)-1260

本論文では既治療に対して抵抗性のHER2陽性進行胃がんを対象として、抗HER2抗体であるトラスツズマブに新規トポイソメラーゼI阻害薬のデルクステカンを結合させた抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカンの有効性が示されている。すなわち、抗体薬物複合体により薬物の抗腫瘍効果を大きく引き上げることが証明された研究成果は特筆される。最近、わが国における手術不能の進行胃がんに対する薬物療法が大きく変化している。TS-1を用いる1次治療の効果が少ない患者に対して行う、第2次・第3次治療におけるニボルマブ(商品名:オプジーボ)などの免疫チェックポイント阻害薬と抗体薬物複合体の登場により、従来と大きく異なる成果すなわち生存率の延長や完全寛解を示す患者を認めるようになっている。

早期乳がんの全乳房5分割照射、10年後の結果(FAST)/JCO

 早期乳がんに対する術後寡分割放射線療法において、従来の50Gy/25回/5週レジメンの晩期有害事象の軽減の観点から、総線量を減らした週1回5分割レジメンを検討した多施設無作為化第III相FAST試験。今回、放射線治療後5年の乳房の外観変化と10年の正常組織への影響(NTE)と腫瘍アウトカムについて、英国・University Hospitals of North Midlands NHS TrustのAdrian Murray Brunt氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年7月14日号に掲載。  本試験では、50歳以上の低リスク浸潤性乳がん(pT1-2 pN0)の女性を、乳房温存手術後の全乳房照射のレジメンを、50Gy/25回/5週、30Gy/5回/5週(週1回6.0Gy)、28.5Gy/5回/5週(週1回5.7Gy)の3群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、2年後と5年後の写真での乳房外観の変化、副次評価項目は医師によるNTE評価と局所腫瘍制御であった。縦断的分析によるオッズ比(OR)でレジメンを比較した。

日医・中川会長「身体が震えるほどの怒り」、乳腺外科医の控訴審判決

 15日、日本医師会の記者会見で、今村 聡副会長が乳腺外科医の控訴審判決に関する日医の見解について言及した。  手術直後の女性患者への準強制わいせつ罪に問われた執刀医が、逮捕勾留・起訴された事件では、一審で無罪判決が言い渡されたが、検察は控訴。7月13日に控訴審判決が行われた。東京高等裁判所は、一審の無罪判決を破棄し、懲役2年の実刑判決を言い渡した。  報道によれば、控訴審判決ではせん妄の診断基準について、学術的にコンセンサスが得られているDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)に当てはめずに、独自の基準でせん妄や幻覚の可能性を否定した医師の見解が採用されたというという。

日本初の試み「患者提案型医師主導治験」がスタート

 患者が要望し、医師が主導するという新たな形態の臨床試験がスタートする。7月9日に行われたWebセミナー「今ある薬を、使えるようにするために―Wanna Be a part of History ?―」では、日本初となるこの「患者提案型医師主導治験」の実現までの道筋や背景が説明された。  今回の治験「WJOG12819L」は、非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの適応拡大を目指す目的で行われる第II相試験。オシメルチニブの添付文書では「他のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による治療歴を有し、病勢進行が確認されている患者では、EGFR T790M変異が確認された患者に投与すること」とされている。

扁平上皮肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法による1次治療の最終解析(KEYNOTE-407)/JTO

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)について、ペムブロリズマブ+化学療法の1次治療は引き続き、予後良好であることが示された。スペイン・Universidad Complutense & CiberoncのLuis Paz-Ares氏らが、化学療法未治療の転移を有する扁平上皮NSCLC患者を対象とした無作為化比較試験「KEYNOTE-407試験」の最終解析のアップデート、および2次治療での進行に関する解析を行った。今回の解析でも、ペムブロリズマブと化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセル)の併用による全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の改善は維持されていた。また、無作為化から2次治療における病勢進行(PD)または死亡までの期間であるPFS-2も、良好であることが示されたという。KEYNOTE-407試験の今回の解析結果を踏まえて著者は、「PFS-2の解析結果からも、転移を有する扁平上皮NSCLCに対する1次治療の標準治療としてペムブロリズマブ+化学療法併用が支持される」とまとめている。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年6月26日号掲載の報告。

身体活動ガイドライン順守で、全死因・原因別死亡リスク減/BMJ

 米国では、「米国人の身体活動ガイドライン2018年版」で推奨されている水準で、余暇に有酸素運動や筋力強化運動を行っている成人は、これを順守していない集団に比べ、全死因および原因別の死亡リスクが大幅に低いことが、中国・山東大学のMin Zhao氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年7月1日号に掲載された。本研究の開始前に、身体活動ガイドラインの推奨を達成することと、全死因死亡や心血管疾患、がんとの関連を評価した研究は4件のみで、その結果は一致していなかった。また、身体活動ガイドラインと他の原因別の死亡(アルツハイマー病や糖尿病などによる死亡)との関連を検討した研究は、それまでなかったという。

男性のBRCA変異、1と2でがん発症に違い/JAMA Oncol

 生殖細胞系列BRCA1/2の病原性変異体(pathogenic variant:PV)を持つ男性のがん早期発見とリスク低減のために、イタリア・Sapienza University of RomeのValentina Silvestri氏らは、BRCA1とBRCA2のそれぞれのPVキャリアにおけるがんスペクトルと頻度を調査した。その結果、がん発症者(とくに乳がん、前立腺がん、膵がん)および複数の原発腫瘍発症者は、BRCA1 PVキャリアよりBRCA2 PVキャリアである可能性が高かった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年7月2日号に掲載。  本研究は後ろ向きコホート研究で、Consortium of Investigators of Modifiers of BRCA1/2(CIMBA)を通じて共同研究している世界33ヵ国53グループにより、1966~2017年にがん遺伝学クリニックで集めた18歳以上の6,902人(BRCA1 PVキャリア3,651人、BRCA2 PVキャリア3,251人)が対象。臨床データと病理学的特徴を収集した。オッズ比(OR)はすべて、年齢、出身国、初回面接の暦年で調整した。

セルメチニブが希少疾病用医薬品に指定/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、セルメチニブ硫酸塩(以下「セルメチニブ」という)が希少遺伝性疾患の神経線維腫症1型(以下「NF1」という)の治療薬として、わが国で希少疾病用医薬品指定*を取得したと発表した。  NF1は3,000~4,000人に1人が罹患する遺伝性疾患。NF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、皮膚あるいは皮下の柔らかい塊(皮膚の神経線維腫)、皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)、および患者の30~50%にみられる叢状神経線維腫(以下「PN」という)を含む多くの症状を伴う。これらのPNは、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの病的状態を引き起こす可能性がある。PNは幼児期に始まり、重症度は多岐にわたる。また、この疾患により、平均余命が8~15年短縮する可能性もある。

ドセタキセルベースの乳がん術後化療、BMIでベネフィットに差/JCO

 タキサンなどの脂溶性薬剤は、脂肪組織に対して高い親和性を持ち、分布容積が増す。大規模アジュバント試験BIG 2-98の再分析が実施され、ベースライン時のBMIにより、乳がん患者におけるドセタキセルベースの術後化学療法のベネフィットが異なる可能性が示唆された。ベルギー・Laboratory for Translational Breast Cancer ResearchのChristine Desmedt氏らが、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年7月2日号に報告した。  BIG 2-98は、リンパ節転移陽性乳がん患者の術後化学療法として、ドセタキセルベースと非ドセタキセルベースの治療法を比較したインターグループ無作為化第III相試験。今回、研究者らは同試験の全患者(2,887例)のデータを後ろ向きに再分析し、ベースライン時のBMI値に従って、ドセタキセルベースの術後化学療法のベネフィットが非ドセタキセルベースの術後化学療法と異なるかどうかを評価した。