腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:183

食道がん患者1次治療、ペムブロリズマブ+化学療法に期待(KEYNOTE-590)/ESMO2020

 国立がん研究センター中央病院の加藤 健氏は 、切除不能な局所進行・転移性食道がん・食道胃接合部がん患者に対する1次治療としてプラチナ化学療法と化学療法とペムブロリズマブの併用療法を比較する無作為化二重盲検第Ⅲ相KEYNOTE-590試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。化学療法単独と比較してペムブロリズマブ併用が無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善したと報告した。

乳がん術前/術後化学療法時の頭皮冷却が毛髪回復を早める/日本乳癌学会

 乳がんの術前/術後化学療法時に脱毛抑制のためにPaxman Scalp Coolingシステムで頭皮冷却した後の毛髪回復状況を長期間、前向きに調査した結果から、化学療法時の頭皮冷却は脱毛を軽減するだけでなく、毛髪の回復を早め、さらに永久脱毛をほとんどなくす可能性が示唆された。国立病院機構四国がんセンターの大住 省三氏が第28回日本乳癌学会学術総会で発表した。  本研究の対象は、Paxman Scalp Coolingシステムによる術前/術後化学療法時の脱毛研究に参加し、頭皮冷却を1回以上受け、予定していた化学療法を完遂し、脱毛状況の評価が可能だった乳がん患者122例。最後の化学療法後1、4、7、10、13ヵ月時の頭髪状況について、客観的評価(5方向からの撮影写真を医師と看護師2名で評価)でのGrade(0:まったく脱毛なし、1:1~25%脱毛、2:26~50%脱毛、3:>50%脱毛)および主観的評価(患者にかつらまたは帽子の使用を質問)でのGrade(0:まったく使っていない、1:時々使用、2:ほとんど常に使用)で分類した。全例での評価のほか、頭皮冷却を全サイクルで完遂した患者79例(A群)と、途中で頭皮冷却を中止した43例(ほとんどは1サイクルで中止)(B群)の結果を比較した。

進行または転移のある尿路上皮がんに対するアベルマブ維持療法(解説:宮嶋哲氏)-1299

アベルマブはヒトPD-L1に対する抗体であり、2017年にFDAはプラチナ製剤を含む化学療法施行中または施行後に病勢進行を認めた局所進行または転移のある尿路上皮がんの治療薬としてアベルマブの適応を承認している。わが国では、根治切除不能または転移のある腎細胞がんを適応症として分子標的薬であるアキシチニブと併用で適応が承認されている。プラチナ製剤主体の抗がん化学療法は進行尿路上皮がんの標準的1次療法であるが、無増悪生存期間と全生存期間はがん細胞の化学療法耐性獲得によって、その効果は限定的である。本研究はJAVELIN Bladder 100試験の第III相試験で、切除不能な局所進行または転移のある尿路上皮がんを有し、1次化学療法(ゲムシタビンとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用を4~6サイクル)で病勢進行を認めなかった患者を、best supportive care(BSC)に加えてアベルマブによる維持療法を行う群と行わないBSCのみのコントロール群に無作為に割り付けたものである。主要評価項目は全生存率(OS)とし無作為化された全患者(集団全体)とPD-L1陽性腫瘍を有する患者群で評価を行い、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)と安全性である。

PD-L1高発現NSCLC1次治療、抗PD-1抗体cemiplimab vs.化学療法(EMPOWER-Lung1)/ESMO2020

 トルコ・Baskent大学のAhmet Sezer氏は、未治療でPD-L1発現率が50%以上の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗PD-1抗体cemiplimabとプラチナダブレット化学療法を比較した無作為化非盲検第III相EMPOWER-Lung1試験の2回目の中間解析の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO VIrtual Congress2020)で発表。cemiplimabは併用化学療法に比べ、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したと報告した。

EGFR陽性肺がんに対するamivantamab+lazertinibの成績(CHRYSALIS)/ESMO2020

 韓国・延世がんセンターのByoung Chul Cho氏は進行期EGFR変異陽性NSCLCに対するEGFRとMETの二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFR-TKIであるlazertinibの併用療法の第I相CHRYSALIS試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。この併用療法は安全性が高く、EGFR-TKIオシメルチニブによる再発した患者にも有効であると報告した。  amivantamabはEGFRとMETを標的とする完全ヒト二重特異性抗体で、米FDAからEGFR陽性NSCLCのexon20挿入変異に対するブレークスルーセラピー指定を受けており、lazertinibは第1世代EGFR-TKIの獲得耐性であるT790Mへも有効であることが報告されている。CHRYSALIS用量漸増コホートと拡大コホートの2つから構成されている。

限局性前立腺がん、積極的初回治療がQOL低下の引き金に/BMJ

 限局性前立腺がんに対して、積極的な初回治療を受けた患者は前立腺がんの診断を受けていない男性に比べ、概して自己申告QOLが長期にわたり低下しており、根治的前立腺摘出術を受けた男性はとくに性機能のアウトカムが不良であった。オーストラリア・Cancer Council New South WalesのCarolyn G. Mazariego氏らが、同国で最も人口の多いニューサウスウェールズ州で実施された大規模前向きコホート研究「New South Wales Prostate Cancer Care and Outcomes Study:PCOS」の解析結果を報告した。限局性前立腺がんは、過去20年にわたって診断後の生存率が増加してきているが、治療に関連した長期的なQOLアウトカムに関する研究はほとんどなかった。著者は、「医師および患者は、治療法を決定する際にこれら長期的なQOLのアウトカムを考慮する必要がある」とまとめている。BMJ誌2020年10月7日号掲載の報告。

HER2+進行乳がんへのT-DXd、第I相/第II相試験の併合解析と日本人解析/日本乳癌学会

 抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)のFirst-in-human第I相試験であるJ101試験および非盲検国際多施設共同第II相試験であるDESTINY-Breast01試験において、承認用量で投与されたHER2陽性乳がん患者での併合解析と日本人集団におけるサブセット解析を行った結果、奏効率(ORR)は全体で58.3%、日本人集団で64.7%と日本人で高い一方、血液毒性の頻度が日本人で高い傾向であったことが示された。島根大学医学部附属病院 先端がん治療センターの田村 研治氏が第28回日本乳癌学会学術総会で発表した。  第I相J101試験でのORRは59.5%(95%CI:49.7~68.7)、第II相DESTINY-Breast01試験では60.9%(同:53.4~68.0)と高い値が報告されている。今回、これらの試験において、HER2陽性進行乳がん(T-DM1に抵抗性あるいは耐容不可)で承認用量(5.4 mg/kg、3週ごと)を投与された患者の併合解析を行い、さらに日本人集団におけるサブセット解析を実施した。

非小細胞肺がん、デュルバルマブ術前補助療法の成績/ESMO2020

 早期非小細胞肺がん(NSCLC)における免疫チェックポイント阻害薬の術前補助療法は、すでに幾つかの試験で検討され、有望な結果が得られている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、デュルバルマブの術前補助療法を評価する第II相多施設共同治試験(IFCT-1601 IONESCO)の中間解析の結果を、フランス・Cochin病院のMarie Wislez氏が発表した。

アバター活用など、がんチーム医療教育に新たな取り組み/J-TOP

 一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクトによるジャパンチームオンコロジープログラム (J-TOP) は、The 4th Team Science Oncology Workshopとして、従来3日間で行ってきたオンサイト・ワークショップを、オンラインに変更し、Part 1からPart 3までの3つの期間に分けて実施する。  がん医療で、専門分野に加え必要なスキル、リーダーとして求められる資質、患者満足度の高い医療を提供するためのチームの有機的な動き、などを学ぶ。

非転移性去勢抵抗性前立腺がんでダロルタミドは転移無再発期間を延長(解説:宮嶋哲氏)-1297

ダロルタミドは独自の化学構造を持つアンドロゲン受容体阻害薬であり、非転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として承認されている。本報告は、二重盲検プラセボ対照試験で1,509例を、アンドロゲン除去療法を継続しながらダロルタミドを投与する群(955例)とプラセボ投与群(554例)に2:1の割合で無作為に割り付けるARAMIS試験の主要解析に注目している。第III相試験で計画されていた主要解析では転移無再発期間中央値がダロルタミド群で40.4ヵ月とプラセボ群(18.4ヵ月)よりも有意に延長していた。主要評価項目の結果が肯定的であることが判明した後、治療割り付けの盲検を解除し、プラセボ群からダロルタミドの非盲検投与へのクロスオーバーを許可している。最終解析は約240例が死亡した後に行うこととし、その時点で全生存期間とその他の副次評価項目を評価した。