腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:228

食道がん3次治療以降、ペムブロリズマブの効果持続(KEYNOTE-180)/ASCO2019

 2レジメン以上の治療歴のある進行および転移のある食道扁平上皮がん、食道腺がん、食道胃接合部領域がん患者121例を対象にペムブロリズマブの単剤療法を行ったオープンラベル第II相試験KEYNOTE-180の長期追跡結果を、国立がん研究センター中央病院消化菅内科の加藤 健氏がシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告した。

肺がん患者の7割が合併。食欲不振など悪液質の実態

 がん悪液質は、がん克服の重要な課題の1つとされており、肺がんでは死亡率上昇との関連も指摘されている。悪液質の定義と分類については2011年に、主に体重減少、サルコペニア(骨格筋量減少)、炎症および食欲不振に基づくものとの国際的なコンセンサスが発表されているが、フランス・パリ・サクレー大学のSami Antoun氏らは、非小細胞肺がん患者について初となるFearon基準に基づく分類を試みた。その結果、Fearon悪液質ステージ分類と、QOLの機能尺度および身体活動レベルはリンクしており、早期の悪液質を臨床的に検出するのに役立つ可能性が示されたという。Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle誌オンライン版2019年4月1日号掲載の報告。

HER2陽性乳がん術前療法、T-DM1 vs.HPD(PREDIX HER2)/ASCO2019

 HER2陽性の乳がん患者を対象とした、術前療法としてのトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と、トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル併用(HPD)療法との比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJonas C. S. Bergh氏より発表された。これはオープンラベルの第II相無作為化比較試験である。

適切な乳がん補助化学療法のためのガイド情報が明らかに/NEJM

 乳がん患者において、21遺伝子アッセイに基づく再発スコアに臨床的な再発リスク層別化の予後情報を加味すると、治療による恩恵効果が高い閉経前女性の特定が可能であることが示された。米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のJoseph A. Sparano氏らが、21遺伝子アッセイの有用性を検証したTrial Assigning Individualized Options for Treatment(TAILORx試験)の副次的解析結果を報告した。乳がん患者への補助化学療法の必要性は、臨床病理学的因子とオンコタイプDXによる再発リスクを確定するための21遺伝子アッセイに基づく再発スコアによって判断できる可能性が示されていたが、再発スコアに臨床的な再発リスクのレベル情報を追加する意義については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2019年6月3日号掲載の報告。

転移ホルモン感受性前立腺がん、標準治療+エンザルタミドが有効/NEJM

 新規アンドロゲン受容体標的薬エンザルタミド(商品名:イクスタンジ)は、転移を伴うホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)患者において、標準治療と比較し無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に延長した。ただし、エンザルタミド群では、とくに初期にドセタキセルの治療を受けた患者において、痙攣発作や他の有害事象が多くみられた。オーストラリア・モナッシュ大学のIan D. Davis氏らが、mHSPCの1次治療としてテストステロン抑制±ドセタキセルへのエンザルタミド併用の有効性および安全性を検証した、無作為化非盲検第III相試験「Enzalutamide in First Line Androgen Deprivation Therapy for Metastatic Prostate Cancer trial:ENZAMET試験」の結果を報告した。エンザルタミドは、去勢抵抗性前立腺がん患者のOSを改善することが示唆されていたが、ドセタキセルの有無にかかわらずテストステロン抑制とエンザルタミドとの併用がmHSPC患者のOSを改善するかは不明であった。NEJM誌オンライン版2019年6月2日号掲載の報告。

乳がん化学療法、望ましいアントラサイクリンは?

 アントラサイクリン系抗がん剤の心毒性は古くから知られており、抗腫瘍効果との兼ね合いがよく話題に上る。中国・上海中医薬大学のZhujun Mao氏らは、乳がんに対するアントラサイクリン系薬の有用性はなお議論の的であり結論が得られていないとして、無作為化臨床試験のネットワークメタ解析を行った。その結果、心毒性と抗腫瘍効果を考慮すると乳がんの化学療法に適したアントラサイクリン系薬は、ドキソルビシンリポソームまたはエピルビシン+デクスラゾキサンであることが示されたという。Oncology Research and Treatment誌オンライン版2019年5月17日号掲載の報告。

胃がん、ペムブロリズマブによる1次治療の結果(KEYNOTE-062)/ASCO2019

 国内の進行・再発胃がんでの免疫チェックポイント阻害薬の使用は、化学療法無効後のニボルマブ、同じく化学療法無効後の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)例に対するペムブロリズマブがそれぞれ単剤療法で承認されている。ただ、現時点ではこうした進行・再発胃がんでの1次治療で承認されている免疫チェックポイント阻害薬は存在しない。  そうした中、進行胃・胃食道接合部腺がんに対する1次治療での抗PD-1抗体ペムブロリズマブの有効性を評価した第III相試験「KEYNOTE-062」の結果から、PD-L1陽性(CPS1以上)の患者で、ペムブロリズマブ単独療法は標準治療の化学療法に対して、全生存期間(OS)で非劣性、CPS10以上では臨床的に意義のある改善を示すことがわかった。また、ペムブロリズマブと化学療法の併用は、化学療法単独に対してOSで優越性を示せなかった。スペインVall d’Hebron University Hospital and Institute of OncologyのJosep Taberneroがシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告した。

MET阻害薬tepotinibのMETΔex14変異NSCLCに対する効果(VISION)/ASCO2019

 METエクソン14スキッピング変異(METΔex14)は非小細胞肺がん(NSCLC)の3~4%にみられる。tepotinibはMET受容体チロシンキナーゼ(c-MET)に高い選択性を有するMET-TKIであり、わが国でも非小細胞肺がんに対する先駆け審査指定制度対象品目に指定されている。VISION試験は、MET遺伝子変異を有するNSCLCに対するtepotinibの第II相シングルアーム試験で、コホートA(MET△ex14対象)とコホートB(MET増幅対象)に分かれる。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)ではコホートAの結果について発表された。

アパルタミド、転移去勢感受性前立腺がんのPFS、OSを改善/NEJM

 転移を伴う去勢感受性前立腺がんの患者に対し、アンドロゲン除去療法(ADT)+アパルタミド(商品名:アーリーダ)の併用は、ADT単独と比べて2年後の放射線学的無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)は、いずれも有意に改善したことが示された。副作用プロファイルは両群でほとんど異ならなかった。カナダ・BC Cancer and Vancouver Prostate CentreのKim N. Chi氏らが1,052例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版5月31日号で発表された。被験者には、局所前立腺がん治療歴やドセタキセル投与歴のある人も含まれていたという。アパルタミドは、経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬で、本邦では5月30日に発売が開始された。