腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:236

日本人における糖尿病とがんリスクを検証~JPHC研究

 日本人集団における糖尿病とがんリスクについて、多目的コホート研究(JPHC研究)での前向きメンデルランダム化解析により、これらの関連を裏付ける強いエビデンスは見いだされなかったことを、国立がん研究センターの後藤 温氏らが報告した。従来の回帰モデルを用いたコホート研究では、2型糖尿病患者のがんリスク増加が一貫して示されていた。しかし、因果の逆転や糖尿病とがんに共通する危険因子による残余交絡が存在する可能性があり、糖尿病そのものががん発症に寄与しているかどうかは不明であった。International Journal of Cancer誌オンライン版2019年3月30日号に掲載。

「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」発表/日本循環器学会

 「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」が、2019年3月29日に発表された。本ガイドラインは「肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)」および2011年発表の「拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン」の統合・改訂版。第83回日本循環器学会学術集会(3月29~31日、横浜)において、心筋症診療ガイドライン作成の合同研究班班長を務めた北岡 裕章氏(高知大学医学部 老年病・循環器内科学)が、その内容について講演した。

ラムシルマブ+エルロチニブ、EGFR陽性NSCLCの1次治療で主要評価項目を達成/リリー

 イーライリリーアンドカンパニーは、2019年3月12日、ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)の第III相試験(RELAY)で、サイラムザ+エルロチニブ併用療法がプラセボ+エルロチニブの併用に比べ、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長したことを発表。本試験は、転移のあるEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)  患者の1次治療で、サイラムザ+エルロチニブの併用療法をプラセボ+エルロチニブの併用と比較している。

「がん患者におけるせん妄ガイドライン」が発刊!

 「せん妄」と聞くと、術後せん妄や高齢者をイメージすることが多いのではないだろうか。しかし、がん自体やその治療の副作用に伴う痛みや不安・不眠を取り除くために使用するオピオイド、ならびに精神安定薬の使用も、せん妄の大きな要因の一つになっているという。このような現状を踏まえ、2019年2月27日、日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会が協力し、「がん患者におけるせん妄ガイドライン」を発刊した。

肺がんの予後、正常組織の肺マイクロバイオームと関連

 腸内フローラなどとともに注目されている“ヒトマイクロバイオーム”が、肺がん予後に関わるという興味深い知見が示された。ヒトマイクロバイオームは、局所の発がんまたはがん進行に寄与する可能性のある多くの機能を有しているが、これまで肺がんの予後と肺マイクロバイオームとの関連は知られていなかった。米国・ニューヨーク大学のBrandilyn A. Peters氏らは、予備研究として少数例で解析を行い、正常な肺マイクロバイオームが肺がんの予後と潜在的に関連していることを初めて明らかにした。

転移乳がん、アナストロゾール単剤vs.フルべストラント併用/NEJM

 米国・カリフォルニア大学アーバイン医療センターのRita S. Mehta氏らは、閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がんに対する、アロマターゼ阻害薬アナストロゾールと選択的エストロゲン受容体調節薬フルベストラントの併用療法の有効性および安全性を検証した、多施設共同無作為化非盲検試験「S0226試験」の全生存期間(OS)に関する最終解析結果を報告した。アナストロゾール+フルベストラント併用投与群はアナストロゾール単独投与群と比較して、OS延長の有意な効果が長期にわたり維持されていたことが示されたという。一方で、アナストロゾール単独投与群の患者の約半数は増悪後にフルベストラントの投与(クロスオーバー)が行われた。本試験について研究グループは2012年に、閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がんに対する1次治療としてのアナストロゾール+フルベストラント併用療法は、アナストロゾール単独投与群と比較し、無増悪生存期間を有意に延長し、OSも有意ではあるもののわずかに延長することを報告していた。NEJM誌2019年3月28日号掲載の報告。

がんサバイバーのオピオイド使用、米国での実態/JCO

 オピオイド依存が深刻な米国では、疼痛マネジメントへの懸念も高いようだ。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのTalya Salz氏らは、「がんサバイバーは、オピオイド関連被害を受けるリスクが高い可能性がある」として、オピオイドの継続的使用と高用量使用について、大腸がん、肺がん、乳がんの高齢がんサバイバーと非がん対照集団の比較解析を行った。これまで、診断後のオピオイド使用の経時的傾向は知られていなかったという。

タファミジス、ATTR-心アミロイドーシスに適応追加/ファイザー

 ファイザー株式会社は、2019年3月26日、タファミジス(商品名:ビンダケル)に関して、新たな適応症として「トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)に対する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。  ATTR-心アミロイドーシスは、トランスサイレチン(TTR)という4量体のタンパク質が加齢(野生型)や遺伝変異(変異型)により単量体に解離して変性が起こることによりアミロイド線維が形成され、全身の組織内へ沈着することが原因で障害が生じる疾患。

NSCLC:ニボルマブ治療後のドセタキセル・ラムシルマブ併用の有効性

 免疫療法後の化学療法による有効性を評価した論文が、わが国で初めて報告された。  今回、埼玉医科大学国際医療センターの塩野 文子氏らによる後ろ向き研究では、非小細胞肺がん(NSCLC)患者における抗PD-1抗体ニボルマブの非奏効例に対し、ドセタキセルとラムシルマブを併用投与した場合、ニボルマブ投与なしのレジメンと比較して高い奏効率が得られた。Thoracic Cancer誌オンライン版2019年2月27日号に掲載。

良性の卵巣腫瘍、保存的治療2年で自然消退2割、悪性化リスクは低い/Lancet Oncol

 付属器腫瘤は、産婦人科において最も頻繁に遭遇する疾患の1つといわれる。これまで長期追跡した大規模前向き研究はほとんどなかったが、ベルギー・ルーベン大学病院のWouter Froyman氏らが、国際共同前向きコホート研究「International Ovarian Tumor Analysis Phase 5:IOTA5」の中間解析を行い、超音波検査で最初に良性と診断された付属器腫瘤を保存的に治療しても悪性腫瘍や急性合併症の発生リスクは低いと報告した。