腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:235

IV期NSCLCに対するEGFR-TKIと放射線療法の併用

 EGFR変異を有するIV期の非小細胞肺がん(NSCLC)における1次治療として、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)と胸部放射線療法を組み合わせた有効性と安全性が、前向き研究により検討された。  今回、中国・Xinqiao Hospitalがん研究所のLinPeng Zheng氏らが行った研究結果は、The oncologist誌オンライン版2019年4月30日号に掲載された。末期NSCLCにおける1次治療としてのEGFR-TKIと胸部放射線療法の併用は、原発性肺病変の長期管理を可能にするかもしれない。

早期乳がんへの術前nab-PTX、DFSを改善/JCO

 GeparSepto試験では、早期乳がん患者のネオアジュバント治療として、アルブミン懸濁型パクリタキセルの週1回投与(weekly nab-PTX)が、従来の溶媒型パクリタキセルの週1回投与(weekly sb-PTX)に比べ、病理学的完全寛解率を有意に改善することが示されている。今回、ドイツ・Helios Klinikum Berlin-BuchのMichael Untch氏らは、本試験の長期アウトカムとして、invasive disease-free survival(iDFS)などを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月13日号に掲載。

転移のある腎細胞がんの1次治療、抗PD-L1抗体+VEGF阻害薬が有効/Lancet

 転移を有する腎細胞がんの1次治療において、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法はスニチニブ単剤と比較して、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、安全性プロファイルも良好であることが、米国・クリーブランドクリニックのBrian I. Rini氏らが実施したIMmotion151試験で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年5月9日号に掲載された。過去10年、局所進行・転移を有する腎細胞がんの1次治療では、スニチニブなどの血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬が標準治療とされてきたが、多くの患者が抵抗性を獲得する。アテゾリズマブによるT細胞を介するがん細胞の殺傷効果は、VEGF阻害薬ベバシズマブの併用で増強する可能性が示唆され、PD-L1発現病変を有する患者では、スニチニブ単剤に比べPFS期間および客観的奏効率を改善したと報告されている。

転移の少ない転移性前立腺がんで原発巣への放射線治療は生存期間を延長(解説:宮嶋哲氏)-1053

STAMPEDE試験は、multi-armかつmulti-stageに設定した第III相ランダム化大規模比較臨床試験である。本試験は英国とスイスにおいて新たに診断された転移性前立腺がん2,061例(年齢中央値:68歳)を対象に、原発巣である前立腺への放射線照射が全生存期間延長に寄与するのか検討を行ったSTAMPEDE試験の1つである。本試験では、標準治療群、または標準治療+前立腺への放射線照射併用群の2群にランダム化している。放射線照射は連日照射を4週間(55Gy/20回)、または週に1回照射を6週間(36Gy/6回)継続するプロトコルであった。なお標準治療群はアンドロゲン除去療法であり、早期ドセタキセル導入も可能とした。ただし早期アビラテロン導入の症例は含まれていない。

早期乳がん患者の心血管疾患リスク、運動で低下/JAMA Oncol

 がんサバイバーの心血管疾患による死亡は重大な懸念となっている。米国・南カリフォルニア大学のKyuwan Lee氏らによる前向き無作為化臨床試験の結果、16週間の監視型有酸素運動およびレジスタンス運動の介入により、過体重または肥満の早期乳がん患者におけるFraminghamリスクスコア(FRS)で予測された10年間の心血管疾患発症リスクが、低下することが示された。FRSは、10年間の心血管疾患発症リスクを予測する有効な方法として知られる。早期乳がんで過体重の患者では、同年齢の健康な女性と比較してFRSが高いことが報告されているが、これまでこの患者集団において運動介入によりFRSが低下するかどうかはわかっていなかった。JAMA Oncology誌オンライン版2019年3月28日号掲載の報告。

alpelisib併用群、HR+/HER2-進行乳がんのPFS延長/NEJM

 PIK3CA遺伝子変異を有する内分泌療法歴のあるホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)の進行乳がん患者において、alpelisib+フルベストラント併用療法により無増悪生存期間(PFS)が延長した。フランス・パリ第11大学のFabrice Andre氏らが、国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「SORAR-1(Clinical Studies of Alpelisib in Breast Cancer 1)試験」の結果を報告した。PIK3CA遺伝子変異は、HR+/HER2-乳がん患者の約40%に認められる。PI3Kαを特異的に阻害するalpelisibは、初期の試験で抗腫瘍活性が示唆されていた。NEJM誌2019年5月16日号掲載の報告。

がん患者の喫煙継続で増える治療失敗とコストはどの程度?

 喫煙は、がんの大きなリスク因子といわれているが、がん患者の喫煙継続およびがん1次治療の失敗増は、がん2次治療コストの有意な増大と関連していることが、米国・サウスカロライナ医科大学のGraham W. Warren氏らによる検討の結果、示された。著者は「さらなる調査を行い、コスト増を軽減する最適な方法を明らかにする必要があるだろう」と述べている。先行研究で、がん患者の喫煙継続は全死亡率・がん死亡率や二次原発がんリスク、がん治療の毒性作用を増大することが示唆されていたが、著者らによれば、喫煙によるがん治療の追加コストの推算はこれまでされていなかったという。JAMA Network Open 2019年4月5日号掲載の報告。

大腸がんの便潜血検査、アスピリンで感度は向上するか/JAMA

 アスピリンは免疫学的便潜血検査(FIT)による進行新生物の検出感度を、とくに男性において改善することが、観察研究で示されている。ドイツ・German Cancer Research CenterのHermann Brenner氏らは、この知見を検証するために、大腸内視鏡検査が予定されている40~80歳の男女を対象に無作為化試験を行った。その結果、FITの前にアスピリンを経口投与しても、進行大腸がんの検出感度は上昇しないことが示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年5月7日号に掲載された。FITは、大腸がんの検出において高い特異度を有するが、多くの大腸がんの前駆病変である進行腺腫(advanced adenoma)の検出能は十分でない。特異度を損なわずに感度を向上させることができれば、大腸がんのスクリーニングにおけるFITの検出能が改善される可能性があるという。

IV期NSCLCにおける放射線治療と免疫CP阻害薬の相乗効果

 切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学放射線同時療法の維持治療にデュルバルマブが適応になるなど、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせは相乗効果をもたらすとされる。しかし、IV期NSCLCにおける放射線治療の意義を明確に示した報告は少ない。埼玉医科大学国際医療センターの山口央氏らは、放射線療法(RT)の治療歴がその後のニボルマブ(抗PD-1抗体)の治療効果や予後に影響を与えるかを後方視的に解析した。Thoracic Cancer誌2019年4月号の掲載報告。

進行胆道がん、nab-パクリタキセルの上乗せで生存延長/JAMA Oncol

 進行胆道がんの生存期間改善に有望な治療法が示唆された。現在、進行胆道がんに対する標準治療はゲムシタビン+シスプラチンであるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は8.0ヵ月、全生存期間(OS)は11.7ヵ月である。米国・アリゾナ大学がんセンターのRachna T. Shroff氏らは、ゲムシタビン+シスプラチンへのnab-パクリタキセルの上乗せ効果について検討し、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法により、ヒストリカルコントロール(ゲムシタビン+シスプラチン)の報告と比較し、PFSおよびOSが改善したことを報告した。著者は「今回の結果は、第III相の無作為化臨床試験で検証されることになるだろう」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年4月18日号掲載の報告。