腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:237

前立腺がん患者のQOL、性機能とADTの影響に配慮を/Lancet Oncol

 昨今の医療のトピックに「治す医療から支える医療へ」がある。英国・リーズ大学のAmy Downing氏らは集団ベース研究により、進行前立腺がん患者と限局性前立腺がん患者とで、健康関連QOLアウトカムは大きく異なってはいないが、アンドロゲン除去療法を受けた患者ではホルモン機能と疲労に関してかなりの問題を抱えていることを明らかにした。著者は、「性機能障害がよくみられるものの、ほとんどの男性は有益な介入や支援を提供されていない。

国内初のCAR-T「キムリア」が承認/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社は、2019年3月26日、「再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」を対象として、国内で初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法チサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)の製造販売承認を取得しました。  チサゲンレクルユーセルは、患者自身のT細胞を遺伝子導入により改変し、体内に戻すことで、CD19発現B細胞性の腫瘍(B-ALLとDLBCL)を認識して攻撃する新しいがん免疫細胞療法。チサゲンレクルユーセルによる治療は、継続的な投与を必要とせず、投与は一度のみとなる(単回投与)。

アパルタミド、前立腺がんで国内承認/ヤンセン

 ヤンセンファーマ株式会社は、2019年3月26日、前立腺がん治療薬アパルタミド(商品名:アーリーダ)について、「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果とする製造販売承認を取得したと発表。  遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)・アパルタミド併用群(アパルタミド群)とADT・プラセボ群(プラセボ群)を比較した第III相臨床SPARTAN試験では、アパルタミド群の無転移生存期間(MFS)中央値40.51ヵ月に対、プラセボ群では15.70ヵ月、とアパルタミド群で有意に改善した(HR:0.297、95%CI:0.244~0.362、p<0.0001)。

Trop-2に対する抗体と抗がん剤の複合体は転移性のTNBCに有効である可能性を示唆(解説:矢形寛氏)-1020

trophoblast cell-surface antigen 2(Trop-2)は正常組織ではわずかしか発現していないのに対し、がん腫では広く発現していることが知られている。TNBCでは80%以上に発現しているようで、注目すべき標的となっていた。sacituzumab govitecan-hziyは、抗Trop-2抗体にSN-38(化学療法薬イリノテカンの活性代謝物)を結合させた抗体薬物複合体(ADC)であり、乳がん領域ではADCとしてT-DM1がすでに臨床応用されている。本試験は第1/2相試験であり、2レジメン以上の治療を受けたTNBC患者が対象となっている。

前立腺がんの生存率改善に関連するスタチンは?

 スタチン使用が前立腺がんの転帰改善に関連することを示す複数の疫学的研究が報告されている。スタチンの効果を確認するための大規模臨床試験を実施する前に、最も適切な対象患者とスタチンの種類を特定することが必要である。今回、台北医学大学のSzu-Yuan Wu氏らは、後ろ向きコホート研究により「アンドロゲン除去療法を受けている進行前立腺がん患者の生存率改善に、アトルバスタチン、プラバスタチンおよびロスバスタチンが関連することが示唆される」と報告した。European Journal of Cancer誌オンライン版2019年2月28日号に掲載。

NSCLC1次治療のニボルマブ+低用量イピリムマブにおけるORR:PD-L1 1%以上 vs.1%未満(CheckMate-568)/JCO

 転移のある進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、ニボルマブと低用量イピリムマブ併用の効果と安全性を評価した、オープンラベル第II相CheckMate-568試験。  今回、米国・Duke University Medical CenterのNeal Ready氏らによる結果が、Journal of clinical oncology誌オンライン版2019年2月20日号に掲載された。ニボルマブ+低用量イピリムマブは、転移のある進行NSCLCの1次治療として有効かつ忍容性が高いことが示唆された。

最新鋭のがん患者用手引きHPで公開-静岡がんセンター

 近年、がん治療の分野では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新薬が次々に発売されている。また、多剤併用による治療、外来患者の増加により、治療・副作用対策の指導が複雑なものになりつつある。そんな折、2019年2月25日に静岡県立静岡がんセンターは、これらの問題を解決するべく、「処方別がん薬物療法説明書【患者さん向け】」をホームページ上に公表した。  この説明書は、抗がん剤治療の全貌がわかるように作成されている。そして、これを患者に渡すのは医師であり、がん薬物療法の決定後、治療前に患者へ手渡しされる。その後、薬剤師や看護師がその冊子を用いて、必要に応じて説明を行うそうだ。

オピオイド使用障害に持効性ブプレノルフィン注が有用/Lancet

 オピオイド使用障害治療の月1回皮下注薬であるRBP-6000(徐放性ブプレノルフィン:BUP-XR)について、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験の結果、プラセボと比較してオピオイド断薬率が有意に高く、忍容性も良好であることが示された。米国・Indivior社のBarbara R. Haight氏らが報告した。BUP-XRは、月1回投与によりオピオイド乱用の薬物嗜好を遮断するブプレノルフィン血中濃度を維持し、同時に離脱症状や渇望症状をコントロールすることから、医療現場ではBUP-XRの投与が中毒や乱用等も軽減することが期待されていた。Lancet誌2019年2月23日号掲載の報告。

糖尿病患者への禁煙指導/糖尿病学の進歩

 喫煙は、血糖コントロール悪化や糖尿病発症リスク増加、動脈硬化進展、がんリスク増加などの悪影響を及ぼす。禁煙によりこれらのリスクは低下し、死亡リスクも減少することから禁煙指導は重要である。3月1~2日に開催された第53回糖尿病学の進歩において、聖路加国際病院内分泌代謝科の能登 洋氏が「喫煙と糖尿病合併症」と題して講演し、喫煙と糖尿病発症・糖尿病合併症・がんとの関連、禁煙指導について紹介した。  糖尿病患者の喫煙率は、日本の成人における喫煙率とほぼ同様で、男性が31.9%、女性が8.0%と報告されている。男女ともに30代がピークだという。

ごく早期に発現するがん悪液質の食欲不振とグレリンの可能性/JSPEN

 本年(2019年)2月、第34回日本静脈経腸栄養学会学術集会(JSPEN2019)が開催された。その中から、がん悪液質に関する発表について、日本緩和医療学会との合同シンポジウム「悪液質を学ぶ」の伊賀市立上野総合市民病院 三木 誓雄氏、教育講演「がんの悪液質と関連病態」の鹿児島大学大学院 漢方薬理学講座 乾 明夫氏の発表の一部を報告する。  伊賀市立上野総合市民病院 三木 誓雄氏は「がん悪液質の病態評価と治療戦略」の中で次のように発表した。