腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:48

TN乳がんの長期アウトカム、BRCA1/2変異の影響は

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者はBRCA1/2遺伝子変異を有する割合が高く、約10〜20%とされている。今回、韓国・Sungkyunkwan University School of MedicineのWoong Ki Park氏らが、TNBC患者の長期アウトカムを後ろ向きに検討したところ、BRCA1/2遺伝子変異が対側乳がん発生のリスク因子であることがわかった。また、対側乳がん発生率は、BRCA1/2変異患者では5年を過ぎても大幅に高かったという。npj Precision Oncology誌オンライン版2024年4月30日号に掲載。

GLP-1受容体作動薬の使用で甲状腺がんリスクは増加する?

 ウゴービやオゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)は、糖尿病治療薬や肥満症治療薬として多くの人に使用されるようになった一方で、長期間の使用が甲状腺がんのリスク増加と関連する可能性が危惧されている。しかし、43万5,000人以上を対象としたスウェーデンの研究で、そのような考えの裏付けとなるエビデンスは見つからなかったことが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBjorn Pasternak氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に4月10日掲載された。

若年世代の老化が加速、がんリスク上昇の可能性

 若い世代での老化が加速しており、それが若年発症型のがんリスクの上昇と関連している可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。1965年以降に生まれた人では、1950年から1954年の間に生まれた人に比べて老化が加速している可能性が17%高く、また、このような老化の加速は、55歳未満の成人における特定のがんリスクの増加と関連していることが示されたという。米ワシントン大学医学部のRuiyi Tian氏らによるこの研究結果は、米国がん学会年次総会(AACR 2024、4月5〜10日、米サンディエゴ)で発表された。

世界中でがんによる死亡者数は増加傾向

 世界的な高齢化が拍車をかけ、がんの患者数は増加の一途をたどり、2050年までに3500万人に達するだろうとの予測が、米国がん協会(ACS)が「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に4月4日発表した「Global Cancer Statistics 2022」の中で示された。この報告書によると、2022年には世界で推定2000万人が新たにがんの診断を受け、970万人ががんにより死亡したという。報告書の共著者である、ACSがんサーベイランス上級主任科学者であるHyuna Sung氏は、「2050年までに予測されるこのがん患者数の増加は、現在の罹患率が変わらないと仮定した場合、人口の高齢化と増加のみに起因するものだ」と説明している。  Sung氏は、「不健康なライフスタイルの選択もまた、新たながん患者の発生に関与し続けるだろう。注目すべきは、不健康な食事、運動不足、多量のアルコール摂取、喫煙などのがんの主要なリスク因子を有する人が世界中で増加していることだ。大規模な介入を施さない限り、将来のがんによる負担を増大させる可能性が高い」とACSのニュースリリースの中で述べている。

PD-L1高発現NSCLCに対するネシツムマブ+ペムブロリズマブの可能性(K-TAIL-202)/AACR2024

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療となっている。KEYNOTE-024試験でみられるように、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)はPD-L1発現≧50%の進行NSCLCにおいてPFS(無増悪生存期間)とOS(全生存期間)を有意に延長している。しかし、PD-L1陽性であってもICIが奏効しない症例は依然として存在する。  EGFRの発現はPD-L1のグリコシル化を介しPD-L1の発現を安定化させ、PD-1とPD-L1の結合を強化することが報告されており、抗EGFR抗体ネシツムマブと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法は新しい治療コンセプトとして期待されている。

免疫療法+個別化ワクチン、肝細胞がんの新治療法として有望

 標準的な免疫療法にオーダーメイドの抗腫瘍ワクチン(以下、個別化がんワクチン)を追加することで、肝細胞がんが縮小する患者の割合が、免疫療法のみを受けた場合の約2倍になることが、新たな研究で示された。米ジョンズ・ホプキンス・キンメルがんセンターの副所長であるElizabeth Jaffee氏らによるこの研究結果は、米国がん学会年次総会(AACR 2024、4月5〜10日、米サンディエゴ)で発表されるとともに、「Nature Medicine」に4月7日掲載された。研究グループは、肝細胞がんの診断後、5年間生存する患者の割合は10人に1人未満であるため、このワクチンは患者の生存の延長に役立つ可能性があると話している。

若年乳がんサバイバーにおける2次原発性乳がんのリスク因子/JAMA Oncol

 40歳以下の原発性乳がんの女性は、それ以降に発症した女性よりも2次原発性乳がんのリスクが高いことが、過去のデータから示唆されている。今回、米国・Harvard T. H. Chan School of Public HealthのKristen D. Brantley氏らが、片側乳房切除術または乳房温存術を受けた40歳以下の乳がん患者を対象に検討したところ、生殖細胞系列遺伝子に病的変異がない女性では2次原発性乳がんの10年発症リスクが約2%であったのに対し、病的変異がある女性では約9%と高かったことが示された。JAMA Oncology誌オンライン版2024年4月11日号に掲載。

アレクチニブによるALK陽性肺がん術後補助療法をFDAが承認/中外

 中外製薬は2024年4月19日、ALK阻害薬アレクチニブ(商品名:アレセンサ)について、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する腫瘍切除後の補助療法として、FDAより承認を取得したと発表。  今回の承認は、完全切除ALK陽性NSCLCの術後補助療法を対象とした国際第III相臨床試験であるALINA試験の成績に基づいている。

切除不能StageIIIのNSCLCにおけるCRTとデュルバルマブの同時併用の成績(PACIFIC-2)/ELCC2024

 切除不能StageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)におけるデュルバルマブと化学放射線療法(CRT)の併用は主要評価項目を達成できなかった。  切除不能StageIIIのNSCLCに対するCRT+デュルバルマブ地固め療法は、第III相PACIFIC試験において、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の持続的な改善をもたらした。現在、PACIFICレジメンは切除不能なStageIIIのNSCLCにおける標準治療となっている。PACIFIC-2は同対象に対して、PACIFICレジメンの初回治療をデュルバルマブ+CRTとした治療シークエンスを評価する第III相試験である。欧州肺がん学会(ELCC2024)で最終結果が発表された。

食事からのメラトニン摂取、肝がんのリスク低下と関連

 食事からのメラトニン摂取と肝がん罹患との関連を評価する研究が、3万人以上の日本人を対象に行われた。その結果、メラトニンの摂取量が多いほど肝がんのリスクが低下することが明らかとなった。岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野の和田恵子氏らによる研究結果であり、「Cancer Science」に2月14日掲載された。  メラトニンは、概日リズムを調整し、睡眠を促す内因性ホルモンである。主に脳の松果体で生成されるが、体内組織に広く分布し、抗酸化、抗炎症、免疫調節などにも関与している。メラトニンは肝臓でも合成・代謝され、細胞保護や発がん予防などの作用があることも示されている。