腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:47

EGFR変異陽性NSCLC脳転移例、ダコミチニブの奏効率97%

 ダコミチニブは第2世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であり、進行または転移を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、第1世代EGFR-TKIのゲフィチニブと比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を改善したことが報告されている1,2)。しかし、脳転移を有するNSCLC患者に対するダコミチニブの有用性は明らかになっていない。そこで韓国・成均館大学のHyun Ae Jung氏らの研究グループは脳転移を有する進行NSCLC患者におけるダコミチニブの有効性を検討した。その結果、ダコミチニブの頭蓋内奏効率(iORR)およびORRは共に96.7%であり、無増悪生存期間(PFS)中央値も17.5ヵ月と良好であった。

糖尿病の合併症があると大腸がんの予後がより不良に

 糖尿病患者が大腸がんを発症した場合、糖尿病のない人に比べて予後が良くない傾向があり、糖尿病の合併症が起きている場合はその傾向がより強いことを示唆するデータが報告された。国立台湾大学のKuo-Liong Chien氏らの研究によるもので、詳細は「Cancer」に10月23日掲載された。  糖尿病は大腸がん予後不良因子の一つだが、糖尿病の合併症の有無で予後への影響が異なるか否かは明らかになっていない。Chien氏らはこの点について、台湾のがん登録データベースを用いた後方視的コホート研究により検討。2007~2015年にデータ登録されていた症例のうち、ステージ(TNM分類)1~3で根治的切除術を受けた患者5万9,202人を、糖尿病の有無、糖尿病の合併症の有無で分類し、Cox回帰分析にて、全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、がん特異的生存率(CSS)、再発リスクなどを比較した。なお、全死亡(あらゆる原因による死亡)は2万1,031人、治療後の再発は9,448人だった。

喫煙はがんの抑制に関わる遺伝子の変異と関連

 喫煙ががんの主因であることは周知の事実だが、喫煙によりがんが発生する機序の一端を解き明かす研究結果が、カナダの研究グループにより発表された。この研究によると、喫煙は、DNAのストップゲイン変異と呼ばれる危険な変異と関連しており、この変異が特に、がん抑制遺伝子で多く認められることが明らかになったという。オンタリオがん研究所(OICR、カナダ)のJuri Reimand氏らによるこの研究の詳細は、「Science Advances」に11月3日掲載された。  ストップゲイン変異では、DNA塩基の変異によりアミノ酸をコードする部分がタンパク質合成を終結させる終止コドンと呼ばれるコードに置き換わってしまう。その結果、正常なタンパク質が作られず、そのタンパク質が本来持つはずの機能を発揮できなくなる可能性がある。Reimand氏は、「われわれの研究により、喫煙が、がん抑制遺伝子の変異と関連することが明らかになった。がん抑制因子が作られなければ、細胞の防御機能が働かずに異常な細胞が増殖し続け、がんが発生しやすくなる」とOICRのニュースリリースで説明している。

医師数が少なく検査機器数が多い日本の医療/OECD

 経済協力開発機構(OECD/本部:フランス・パリ)から加盟38ヵ国に関する医療レポートが、11月7日に公表された。レポートでは、新型コロナ感染症(COVID-19)が与えた各国への影響のほか、医療費、医療の質などの関する内容が記載されている。平均寿命はOECDの中で84.5歳と1番長いが、受診率の多さ、医師数、電子化の遅れなど他の国との差もあり、今後の課題も提示されている。

若~中年での高血圧、大腸がん死亡リスクが増加~NIPPON DATA80

 高血圧とがんリスクとの関連についての報告は一貫していない。今回、岡山大学の久松 隆史氏らが、日本人の前向きコホートNIPPON DATA80において、高血圧と胃がん、肺がん、大腸がん、肝がん、膵がんによる死亡リスクとの関連を調査したところ、30~49歳における高血圧は、後年における大腸がん死亡リスクと独立して関連していることがわかった。Hypertension Research誌オンライン版2023年11月22日号に掲載。  研究グループは、NIPPON DATA80(厚生労働省の循環器疾患基礎調査1980年)において、ベースライン時に心血管系疾患や降圧薬服用のなかった8,088人(平均年齢48.2歳、女性56.0%)を2009年まで追跡。喫煙、飲酒、肥満、糖尿病などの交絡因子で調整したFine-Gray競合リスク回帰を用いて、血圧が10mmHg上昇した場合のハザード比(HR)を推定した。また、逆の因果関係を考慮し、追跡開始後5年以内の死亡を除外して解析した。

大腸がんの新しい非侵襲的検査、便潜血より良好な検出感度/JAMA

 マルチターゲット便中RNA(mt-sRNA)検査(ColoSense)は、大腸がんおよび進行腺腫の検出感度が高く、従来の免疫便潜血検査(FIT)と比較し感度を有意に改善することが認められた。また、大腸内視鏡検査で病変が認められない特異度は、既存の非侵襲的な分子スクリーニング検査と同等であった。米国・ワシントン大学のErica K. Barnell氏らが、医療機器クラスIIIとしての承認申請を行うために、平均的リスクの45歳以上を対象に実施された盲検化第III相試験「CRC-PREVENT試験」の結果を報告した。JAMA誌2023年11月14日号掲載の報告。

がん遺伝子パネル検査のアノテーションにAIを活用開始

 聖マリアンナ医科大学は、2023年11月13日、同学附属大学病院でのがん遺伝子パネル検査において、ゲノムデータの解析(アノテーション)にAIでデータ解析を行うことができる「MH Guide」を活用する取り組みを開始した。  MH Guideは、ドイツ・Molecular Health社が開発したAIシステムで、遺伝子パネル検査から得られるデータを解釈し、エビデンスに基づいた治療方針決定を支援する解析ソフトウェアである。

がん患者の死亡リスクを低減させるビタミンD濃度は?

 ビタミンDサプリメント(2,000IU/日)の連日服用により、がん種に関係なくがん死亡率が減少したことが報告されている。今回、中国・北京大学のYu Bai氏らががん患者におけるビタミンD濃度と全死因死亡およびがん特異的死亡との関連を調査した結果、一定値以上のビタミンD濃度まで高くなるとそれらのリスクが大幅に減少することが明らかになった。Nutrition and Cancer誌オンライン版2023年11月18日号掲載の報告。  研究グループは、2007~18年の米国疾病予防管理センター(CDC)の国民健康栄養調査から入手した成人のがん患者2,463例のデータを解析し、2019年12月31日までの国民死亡記録と関連付けた。人口統計学的特徴、生活様式、食事因子、血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)の検査期間、がん種について多変量調整を行った。

米国がん協会、肺がん検診の対象枠を拡大

 米国がん協会(ACS)は、前回の2013年から10年ぶりに改訂された肺がん検診ガイドラインに関するレポートを、「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に11月1日発表した。改訂版のガイドラインでは、検診対象者の年齢と喫煙歴の基準が変更され、また、喫煙をやめてからの経過年数にかかわりなく喫煙歴のある全ての人に対する年1回の検診実施が推奨されている。  米国では、肺がんはがんによる死亡原因として最も多く、また、男女ともに、がんの診断件数としても2番目に多い。ACSは、2023年には23万8,340人(男性11万7,550人、女性12万790人)が新たに肺がんと診断され、12万7,070人(男性6万7,160人、女性5万9,910人)が肺がんにより死亡すると予測している。

再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫治療薬エプコリタマブ販売開始/ジェンマブ

 ジェンマブは2023年11月22日、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、および再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)を効能又は効果とする治療薬として二重特異性抗体エプコリタマブ(商品名:エプキンリ皮下注4mg、同48mg)を販売開始したと発表した。