腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:50

RET変異甲状腺髄様がん、セルペルカチニブvs.マルチキナーゼ阻害薬/NEJM

 RET変異甲状腺髄様がん治療において、セルペルカチニブはカボザンチニブまたはバンデタニブに比べて、無増悪生存期間(PFS)および治療成功生存期間(FFS)の延長をもたらすことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJulien Hadoux氏らが行った第III相無作為化試験の結果で示された。セルペルカチニブは、選択性が高く強力なRET阻害薬で、第I・II相試験で進行RET変異甲状腺髄様がんに対する有効性が示されていたが、マルチキナーゼ阻害薬と比較した場合の有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年10月21日号掲載の報告。

オンコマインDx、カプマチニブのMETエクソン14スキッピング非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断として追加申請/サーモフィッシャー

 サーモフィッシャーは、オンコマインTM Dx Target Test マルチ CDxシステム(以下、オンコマインDx)について、カプマチニブ塩酸塩水和物(以下、カプマチニブ)のMETエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断として、2023年11月1日付で厚生労働省に医療機器製造販売承認事項一部変更申請を行ったと発表。  カプマチニブに対するコンパニオン診断システムとしての適応追加の承認が得られれば、オンコマインDxは、非小細胞肺がんの7ドライバー遺伝子(BRAF、EGFR、HER2、ALK、ROS1、RET、MET)、甲状腺がんの1ドライバー遺伝子(RET)、甲状腺髄様がんの1ドライバー遺伝子(RET)を網羅するコンパニオン診断システムとなる。

再発高リスク肝細胞がん術後補助療法、アテゾリズマブ+ベバシズマブでRFS改善(IMbrave050)/Lancet

 根治目的の外科的切除または焼灼療法後に再発リスクが依然として高い肝細胞がん患者への術後補助療法として、アテゾリズマブ+ベバシズマブの併用療法はアクティブサーベイランス(経過観察)と比較して無再発生存期間(RFS)を改善したことが、中国・南京中医薬大学のShukui Qin氏ら「IMbrave050試験」研究グループにより報告された。これまで再発リスクの高い肝細胞がん患者への術後補助療法は確立されていなかった。Lancet誌オンライン版2023年10月20日号掲載の報告。  IMbrave050試験は第III相国際非盲検無作為化試験で、世界保健機関(WHO)が定める4地域(欧州、アメリカ大陸、東南アジア、西太平洋地域)の26ヵ国における134の病院および医療センターから、外科的切除や焼灼療法を受けた高リスクの肝細胞がん成人患者を集めて行われた。

デュピルマブによる皮膚T細胞性リンパ腫が疑われた患者の臨床・病理学的特徴

 日常診療でのアトピー性皮膚炎に対するデュピルマブの使用が増加して以降、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)やリンパ球浸潤が生じた症例が報告されているという。そこで、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのCeleste M. Boesjes氏らは、デュピルマブ治療中に臨床的にCTCLが疑われたアトピー性皮膚炎患者の臨床的および病理学的特徴の検討を目的として、後ろ向きケースシリーズ研究を実施した。その結果、デュピルマブによる治療を受けた患者は、特有の病理学的特徴を持ちながら、CTCLに類似した可逆的な良性のリンパ球集簇(lymphoid reaction:LR)が生じる可能性があることが示された。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年10月18日号掲載の報告。

日本人乳がん患者におけるHER2低発現の割合・特徴(RetroBC-HER2L)/日本癌治療学会

 HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)の乳がん患者に対する治療薬の臨床的ベネフィットが示され、その割合や治療パターン、転帰などについて理解を深めることが求められる。HER2陰性転移乳がんにおけるHER2低発現患者の割合を10ヵ国13施設で評価したRetroBC-HER2L試験の日本人解析結果を、昭和大学病院の林 直輝氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。日本からは3施設が参加している。

75歳以上/PS2以上の局所進行NSCLCにもCRT後のデュルバルマブ地固めは有用か?/ESMO2023

 化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法は、切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する標準治療である。しかし、75歳以上またはperformance status(PS)2以上の切除不能な局所進行NSCLC患者における臨床的意義については明らかになっていない。そこで、この集団におけるCRT後のデュルバルマブ地固め療法の有用性を検討したNEJ039A試験が実施され、その結果を静岡県立静岡がんセンターの高 遼氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。 試験デザイン:国内第II相単群試験 対象:StageIIIの切除不能NSCLC患者のうち、PS 0/1かつ75歳以上の患者73例、PS 2以上かつ75歳未満の患者13例(計86例) 試験群:CRT(30分割で合計60Gyを照射。最初の20回は、放射線照射の1時間前に低用量カルボプラチン[30mg/m2]を毎回投与)→デュルバルマブ(10mg/kgを2週ごと、1年間)

AI耐性HR+進行乳がんへのフルベストラント+capivasertib、日本人解析結果(CAPItello-291)/日本癌治療学会

 アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)進行乳がん(切除不能の局所進行もしくは転移・再発乳がん)に対するフルベストラントへのAKT阻害薬capivasertibの上乗せ効果を検討した第III相CAPItello-291試験の日本人サブグループ解析結果を、九州がんセンターの徳永 えり子氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。 ・対象:閉経前/後の女性もしくは男性のHR+/HER2-の進行乳がん患者(AI投与中/後に再発・進行、進行がんに対して2ライン以下の内分泌療法・1ライン以下の化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも許容、SERD・mTOR阻害薬・PI3K阻害薬・AKT阻害薬の治療歴は不可、HbA1c 8.0%未満) ・試験群(capi群):capivasertib(400mg1日2回、4日間投与、3日間休薬)+フルベストラント(500mg) 37例(グローバル:355例) ・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント 41例(353例) ・評価項目: [主要評価項目]全体集団およびAKT経路(PIK3CA、AKT1、PTENのいずれか1つ以上)に変異のある患者集団における無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]全体集団およびAKT経路に変異のある患者集団における全生存期間(OS)、奏効率(ORR)など [層別化因子]CDK4/6阻害薬治療歴の有無、肝転移の有無など

進行腎細胞がんへの経口HIF-2α阻害薬belzutifan、エベロリムスと比較してPFS改善(LITESPARK-005)/ESMO2023

 免疫チェックポイント阻害薬とVEGFチロシンキナーゼ阻害薬(VEGF-TKI)を含む治療歴のある進行淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)において、経口HIF-2α阻害薬belzutifanがエベロリムスと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、増悪または死亡のリスクを25%低減した。日本を含む世界172施設で実施された第III相LITESPARK-005試験の結果を、フランス・Gustave RoussyのLaurence Albiges氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。 ・対象:抗PD-1/PD-L1抗体とVEGF-TKIを含む1~3レジメンの治療歴のある、切除不能・局所進行または転移を有するccRCC患者(Karnofsky performance statusスコア70%以上) ・試験群(belzutifan群):belzutifan(120mg、1日1回経口投与) 374例 ・対照群(エベロリムス群):エベロリムス(10mg、1日1回経口投与) 372例

HER2+胃がん1次治療、ペムブロリズマブ上乗せでPFS改善(KEYNOTE-811)/Lancet

 未治療の転移のあるHER2陽性胃・食道胃接合部腺がん患者において、1次治療であるトラスツズマブおよび化学療法へのペムブロリズマブ上乗せ併用は、プラセボと比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、とくにPD-L1陽性(CPS 1以上)患者で顕著であった。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏らが、20ヵ国168施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「KEYNOTE-811試験」の第2回および第3回の中間解析結果を報告した。KEYNOTE-811試験の第1回中間解析では、奏効率に関してペムブロリズマブ群のプラセボ群に対する優越性が示されていた。Lancet誌オンライン版2023年10月20日号掲載の報告。

小児がんの薬剤開発、何が進んだか、次に何をすべきか/日本小児血液・がん学会

 2022年11月に開催された前回の学術集会で、小児がんの薬剤開発に関する課題の共有や抜本的な制度改革への必要性が提言されて以降、さまざまな場で具体的な方策についての検討が行われてきた。その進捗について、第65回日本小児血液・がん学会学術集会の学会特別企画「『小児がんの薬剤開発を考える』何が進んだか、次に何をすべきか」にて、小川 千登世氏(国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)と鹿野 真弓氏(東京理科大学 薬学部)から、それぞれ報告があった。