腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

胃がん1次治療、周術期ペムブロリズマブはEFS延長せず(KEYNOTE-585)/ESMO2023

 切除可能な局所進行切除可能な胃・胃食道接合部(G/GEJ)患者における免疫チェックポイント阻害薬の開発が進められているが、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)において術後療法にニボルマブの上乗せを検証したATTRACTION-5試験では上乗せ効果は示されなかった。同じくG/GEJ患者を対象として、術前術後の化学療法にペムブロリズマブの上乗せ効果を検証した無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-585試験においても、イベント生存期間(EFS)に有意な延長は見られなかったことがすでに報告されている。本試験の詳細について、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

多がん早期検出血液検査は、がんスクリーニングで実行可能か/Lancet

 多がん早期検出(multicancer early detection:MCED)血液検査は、腫瘍から循環血中に排出された遊離DNA(cell-free DNA:cfDNA)のがん特異的DNAメチル化パターンを検出し、がんシグナルが確認された場合はその起源(cancer signal origin:CSO)を予測することから、1回の採血で50以上のがん種の検出が可能とされる。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDeb Schrag氏らは、「PATHFINDER研究」にてMCED血液検査を用いたがんスクリーニングは実行可能であることを確認し、今後、臨床的有用性を検証する研究を進める必要があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2023年10月7日号で報告された。

転移乳がんへのDato-DXd、医師選択化療よりPFS延長(TROPION-Breast01)/ESMO2023

 化学療法の前治療歴のある手術不能または転移を有するHR陽性(+)/HER2陰性(-)の乳がん患者を対象とした第III相TROPION-Breast01試験の結果、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)は、医師選択化学療法よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長し、かつGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は半数以下であったことを、米国・Massachussetts General Hospital/Harvard Medical SchoolのAditya Bardia氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)のPresidentialで報告した。

ニボルマブベースの非小細胞肺がん周術期レジメンが有効性示す(CheckMate 77T)/ESMO2023

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)におけるニボルマブベースの周術期レジメンが良好な結果を示した。  欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において米国・MDアンダーソンがんセンターのTina Cascone氏が発表した、同集団に対する術前ニボルマブ+化学療法、術後ニボルマブを評価する無作為化二重盲検第III相CheckMate 77T試験の中間解析の結果である。

切除不能または転移を有する尿路上皮がん1次治療、化療へのニボルマブ追加でOS改善(CheckMate 901)/ESMO2023

 切除不能または転移を有する尿路上皮がんの1次治療として、シスプラチンベースの化学療法へのニボルマブの追加が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相CheckMate 901試験の結果を、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMichiel S. van der Heijden氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。なお本結果は、2023年10月22日にNEJM誌オンライン版へ同時掲載されている。 ・対象:シスプラチン適格、未治療の切除不能または転移を有する尿路上皮がん患者(18歳以上、ECOG PS 0~1)  ・試験群:ニボルマブ(360 mg、1日目)+ゲムシタビン(1,000mg/m2、1日目・8日目)+シスプラチン(70mg/m2、1日目)を3週ごとに最大6サイクルまで→ニボルマブ(480 mg)を4週ごとに疾患進行/許容できない毒性の発現または最大2年まで 304例 ・対照群:ゲムシタビン+シスプラチン 304例 ・評価項目: [主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるOS、PFS [副次評価項目]PD-L1≧1%におけるOS、PFS、健康関連QOL(HRQOL) [探索的評価項目]BICR による奏効率(ORR)、安全性 ・層別化因子:PD-L1発現状況(≧1% vs.

切除可能ALK陽性NSCLC、術後アレクチニブがDFS改善(ALINA)/ESMO2023

 切除可能なStageIB~IIIAのALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する標準治療は、プラチナ製剤を用いた化学療法である。そこで、進行期のALK融合遺伝子陽性NSCLC患者に対する有効性が認められているアレクチニブを術後補助療法として用いた場合の有効性・安全性を検討するALINA試験が実施され、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin Solomon氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で中間解析の結果を発表した。アレクチニブはプラチナ製剤を用いた化学療法と比較して無病生存期間(DFS)が有意に改善したことが示された。

ER+乳がんの術前化療にペムブロリズマブ追加、pCRを有意に改善(KEYNOTE-756)/ESMO2023

 高リスクのER陽性(+)/HER2陰性(-)早期乳がん患者を対象とした第III相KEYNOTE-756試験の結果、術前化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることで、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に改善したことを、ポルトガル・Champalimaud Clinical Centre/Champalimaud FoundationのFatima Cardoso氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。

MSI-H胃がん1次治療のニボルマブ+イピリブマブ、初回奏効率62%(NO LIMIT/WJOG13320G)/ESMO2023

 ニボルマブと低用量イピリムマブの併用は、マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)大腸がんの第1選択療法として有用性を示している。一方、胃・胃食道接合部がん(G/GEJ)におけるMSI-Hの患者は5%程度とされ、同レジメンのMSI-H胃がん1次治療に対する有用性をみた、医師主導、国内単群非盲検第II相NO LIMIT(WJOG13320G/CA209-7W7)試験の初回解析結果を、愛知県がんセンターの室 圭氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

HER2陽性胃がん、トラスツズマブ+化学療法のペムブロリズマブ上乗せは3年時も有用(KEYNOTE-811)/ESMO2023

 進行胃がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の有効性は化学療法との併用においてより効果を発揮することが示唆されており、最適なレジメンが検討されている。第III相KEYNOTE-811試験は、胃・胃食道接合部がん1次治療としてのペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の有用性を示し、この結果を基に米国食品医薬品局(FDA)は2021年5月に本レジメンを承認している。2023年10月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏が本試験の第3回中間解析結果を発表、同日にLancet誌に掲載された。

高リスク早期乳がんへの術後内分泌療法+アベマシクリブ、5年時解析結果(monarchE)/ESMO2023

 再発リスクの高いHR+/HER2-リンパ節転移陽性の高リスク早期乳がんにおける術後内分泌療法へのアベマシクリブの追加を検討するmonarchE試験では、無浸潤疾患生存期間(iDFS)および無遠隔再発生存期間(DRFS)が有意に改善し、2年間の治療後も持続したことが報告されている。今回、事前に規定されていた中間解析における5年時の有効性について、ドイツ・ミュンヘン大学のNadia Harbeck氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。