腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

尿路上皮がんへのペムブロリズマブ、日本における市販後調査データ

 ペムブロリズマブはプラチナ製剤不応性の進行尿路上皮がん患者に対する2次治療として、本邦では2017年に保険承認されている。承認の根拠となった国際共同治験KEYNOTE-045試験では日本人の参加者数に限りがあったことから、日本人への有用性のデータが待たれていた。今回、筑波大学附属病院 腎泌尿器外科・西山 博之氏らによる全国規模の全例市販後調査(PMS)の結果が、BMC Cancer誌2023年6月20日号に掲載された。

進行NSCLC、治療開始前に遺伝子検査結果があるとOS良好

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された患者において、がん遺伝子検査が推奨されているが、1次治療開始前における遺伝子検査の結果の有無と全生存期間(OS)との関連は明らかになっていない。そこで、米国・ペンシルベニア大学のCharu Aggarwal氏らは、転移を有する非扁平上皮NSCLC患者を対象に、1次治療開始前における遺伝子パネル検査の結果の有無とOSとの関連を検討した。その結果、1次治療開始前に遺伝子パネル検査の結果が得られている患者はOSが良好であり、分子標的薬による治療を受けていない患者集団においても、同様の結果が得られた。本研究結果は、JCO Precision Oncology誌2023年7月27日号で報告された。

肝細胞がん1次治療、camrelizumab+rivoceranibがPFS改善/Lancet

 切除不能な肝細胞がんの1次治療において、抗PD-1抗体camrelizumabとVEGFR-2を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)rivoceranibの併用療法は、標準治療であるソラフェニブと比較して、無増悪生存期間(PFS)が有意に長く、全生存期間(OS)も延長しており、安全性は管理可能で新たな安全性シグナルは確認されなかったことが、中国・Nanjing Medical UniversityのShukui Qin氏らが実施した「CARES-310試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月24日号に掲載された。  CARES-310試験は、13の国と地域の95施設で実施された非盲検無作為化第III相試験であり、2019年6月28日~2021年3月24日に参加者の無作為化が行われた(中国・Jiangsu Hengrui Pharmaceuticalsと米国・Elevar Therapeuticsの助成を受けた)。

睡眠の質が食道がんリスクと関連?

 米国における食道腺がん(EAC)の罹患率は1960年代から増加しており、2007年には10万人年当たり0.41人から5.31人となったが、この要因は明らかになっていない。睡眠の質と食道がんの発症リスクとの関連について調べた、ワシントン大学セントルイス校のXiaoyan Wang氏らによる研究の結果がCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版2023年8月1日号に掲載された。

新たながんゲノムプロファイリングシステム「GenMineTOP」発売/コニカミノルタ

 コニカミノルタおよびグループ会社であるコニカミノルタREALMは8月1日のプレスリリースにて、GenMineTOPがんゲノムプロファイリングシステム(以下、本システム)の発売を発表した。同日より保険適用され、LSIメディエンスを通じ検査受託を開始している。  本システムは、2019年6月から開始した東京大学、国立がん研究センター研究所およびコニカミノルタの次世代がん遺伝子パネルに関する共同研究開発の成果であり、固形がん患者の腫瘍組織検体から抽出したDNAおよびRNA、ならびに同一患者由来の非腫瘍細胞(がん細胞ではない正常な細胞。本検査では血液を用いる)から抽出したDNAを用いて遺伝子変異情報(データ)を解析するプログラムとして、2022年7月13日に厚生労働省より製造販売承認を取得した。

日本人NSCLCへのICI、PPI使用者は化学療法の併用が必要か/京都府立医大ほか

 現在、PD-L1高発現の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する初回治療の選択肢として、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)単剤療法、複合免疫療法が用いられている。しかし、その使い分けの方法は明らかになっていない。また、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、抗菌薬の使用歴があるNSCLC患者は、ICI単剤療法の効果が減弱する可能性が指摘されている。そこで、京都府立医科大学大学院の河内 勇人氏らは、ペムブロリズマブ単剤療法、複合免疫療法の効果と各薬剤の使用歴の関係について検討した。その結果、PPIの使用歴がある患者は、複合免疫療法の効果がペムブロリズマブ単剤療法と比較して良好であった。一方、PPIの使用歴がない場合は、治療効果に有意差は認められなかった。本研究結果は、JAMA Network Open誌2023年7月11日号で報告された。  国内13施設において、初回治療としてペムブロリズマブ単剤療法(単剤療法群)またはペムブロリズマブと化学療法の併用療法(併用療法群)を受けたPD-L1高発現(TPS≧50%)のNSCLC患者425例を後ろ向きに追跡し、治療開始時の薬剤使用歴(PPI、抗菌薬、ステロイド)を含む患者背景と治療効果の関連を検討した。単剤療法群と併用療法群の比較は、傾向スコアマッチングにより背景因子を揃えて行った。

未治療の早期NSCLC、定位放射線+ニボルマブが有効/Lancet

 未治療の早期非小細胞肺がん(NSCLC)およびリンパ節転移陰性の孤立性肺実質再発NSCLC患者の治療において、定位放射線治療(SABR)+ニボルマブの併用(I-SABR)はSABR単独と比較して、4年無イベント生存率が有意に優れ、毒性は忍容可能であることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJoe Y. Chang氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月18日号に掲載された。  本研究は、米国テキサス州の3つの病院で実施された非盲検無作為化第II相試験であり、2017年6月~2022年3月の期間に参加者の無作為化が行われた(Bristol-Myers SquibbとMDアンダーソンがんセンターの提携機関などの助成を受けた)。

適量の飲酒、非飲酒より死亡率低い?~女性コホート

 女性の中年期のアルコール摂取量と全死亡率およびがん死亡率の関連について、オーストラリア・メルボルン大学のYi Yang氏らが持続的仮説的介入で検討した結果、全死亡率はまったくアルコールを摂取していなかった場合よりもある程度の量(エタノール30g/日以下)を摂取していたほうが低くなっていた可能性が示唆された。一方、がん死亡率では明らかではなかった。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2023年7月24日号に掲載。  本研究は、1996~2016年に定期的に収集されたAustralian Longitudinal Study on Women's Health 1946~51年出生コホートのデータを用いた。ベースライン時に女性をさまざまなアルコール摂取量(エタノール0~30g/日超、または30g/日超の場合は20g/日以下に減量)に割り付け、摂取量を継続した場合の全死亡率およびがん死亡率を推定した。

包括的がんゲノムプロファイリングリキッドバイオプシーGuardant360 CDx がん遺伝子パネル販売開始

 ガーダントヘルスジャパンは、固形がん患者を対象とした包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)用リキッドバイオプシー Guardant360 CDx がん遺伝子パネル(以下、Guardant 360 CDx)について、2023年7月24日より保険償還が開始され、同日より販売すると発表した。併せて、エスアールエルによる検査の受託が開始される。  Guardant 360 CDxは、血中循環腫瘍DNA (ctDNA) を次世代シークエンサーによって解析するがん遺伝子パネル検査として、2022年3月10日に厚生労働省より承認されている。固形がん患者の血液検体から、がんに関連の74遺伝子を網羅的に調べることが可能。

乳がん診断から手術までの期間、生存率への影響は?

 乳がん診断から手術までの期間が2週間を超えた患者では生存率が低かったことが、中国・上海交通大学医学部のSiji Zhu氏らの研究で示された。著者らは「今回の結果は、生存率を改善するためにできるだけ診断後早期に治療を開始する努力が必要であることを示唆している」と述べている。Scientific Reports誌2023年7月26日号に掲載。