腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:52

HER2低発現乳がんへのT-DXd、32ヵ月でのOS・PFS・安全性(DESTINY-Breast04)/ESMO2023

 化学療法歴を有するHER2低発現の切除不能または転移のある乳がん患者に対して、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択による化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast04試験において、より長い追跡期間(中央値32ヵ月)で評価した全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、安全性を、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

Uncommon EGFR変異陽性NSCLC、アファチニブがPFS改善(ACHILLES/TORG1834)/ESMO2023

 EGFR遺伝子変異は多様であり、多くのuncommon変異やcompound変異(EGFRチロシンキナーゼ部位に複数の変異を有する)が存在する。これらの多様な変異に対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)が有効性を示す可能性を示唆する報告はあるが、結論は得られていない。そこで、EGFR-TKIの活性が低いとされるexon20挿入変異やT790M変異を除くuncommon変異をsensitizing uncommon変異と定義し、EGFR遺伝子にsensitizing uncommon変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象として、アファチニブと化学療法を比較する第III相試験(ACHILLES/TORG1834試験)が実施された。その結果、アファチニブは化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善した。本結果は、新潟県立がんセンター新潟病院の三浦 理氏によって欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表された。

尿路上皮がん1次治療、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブでOSが倍増(EV-302/KEYNOTE-A39)/アステラス

 アステラス製薬は2023年10月23日付のプレスリリースにて、治療歴のない局所進行/転移尿路上皮がん(la/mUC)患者を対象とした第III相EV-302/KEYNOTE-A39試験において、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法が、化学療法と比較して、死亡リスクを53%減少、全生存期間の中央値を15ヵ月以上延長したと発表した。本結果は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告された。  主な結果は以下のとおり。  EV-302試験で、エンホルツマブ ベドチン(商品名:パドセブ)+ペムブロリズマブ併用療法群(以下、「併用療法群」)は、白金製剤+ゲムシタビンを用いた化学療法群と比較して、OSおよび無増悪生存期間(PFS)を延長し、主要評価項目を達成した。

AYA世代ER+/HER2-乳がんの臨床学的・病理学的特徴/日本癌治療学会

 15~39歳の思春期・若年成人(adolescent and young adult:AYA)世代のがんは、ほかの世代のがんと比べて予後不良であることが多く、異なる特性を有することが指摘されている。そこで、横浜市立大学附属病院の押 正徳氏は、AYA世代のER陽性HER2陰性乳がん患者の特徴を検討し、その結果を第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。なお、本演題は同学会の優秀演題に選定されている。  AYA世代の乳がんの特徴として、ホルモン受容体陰性やHER2陽性、トリプルネガティブの割合が高いこと、浸潤やリンパ節転移を伴っていること多いことなど挙げられている。しかし、年齢別の臨床学的・病理学的特徴については依然として不明な点が多い。そこで押氏らは、乳がん患者をAYA世代(40歳未満)、閉経期世代(40~55歳未満)、更年期世代(55~65歳未満)、高齢世代(65歳以上)の4つの年齢群に分類し、その特徴を分析した。

KRAS G12C変異大腸がん、ソトラシブ+パニツブマブが第III相試験でPFS延長(CodeBreaK 300)/ESMO2023

 KRAS G12C遺伝子変異を有する進行固形がんに対する、KRASG12C阻害薬ソトラシブの有用性をみる大規模バスケットCodeBreaK試験。第I相CodeBreaK 101試験ではKRAS G12C変異の転移大腸がん(mCRC)コホートにおいて、ソトラシブ+抗EGFR抗体パニツムマブ併用療法が30%の客観的奏効率(ORR)を示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)のPresidentialセッションでは、イタリアのFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのFilippo Pietrantonio氏が、第III相CodeBreaK 300試験の初回解析結果を発表した。

PSMA標的治療薬ルテチウム-177、タキサン未治療の転移を有する去勢抵抗性前立腺がんでrPFS改善(PSMAfore)/ESMO2023

 タキサン未治療でアンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)治療歴のある、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性の転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、ルテチウム-177[177Lu]Lu-PSMA-617は別のARPIによる治療と比較して画像上の無増悪生存期間(rPFS)を改善し、良好な安全性プロファイルを示した。米国・メイヨー・クリニックのOliver Sartor氏が第III相PSMAfore試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。同試験については1次解析において主要評価項目(rPFS)の達成が報告されており(ハザード比[HR]:0.41、95%信頼区間[CI]:0.29~0.56、p<0.0001)、今回は2次解析結果となる。

EGFR変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブへのラムシルマブ上乗せは有用か?(OSIRAM-1)/ESMO2023

 第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)とVEGF阻害薬ラムシルマブの併用はEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に有用であることが報告されているが、第3世代EGFR-TKIとの併用の有用性は明らかになっていない。そこで、第3世代EGFR-TKIのオシメルチニブとVEGF阻害薬ラムシルマブの併用療法の有用性を評価するOSIRAM-1試験が実施された。本試験の結果を北里大学病院/神奈川県立がんセンターの中原 善朗氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブによるEFS改善、5年後も持続(KEYNOTE-522)/ESMO2023

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対して、術前および術後補助療法としてペムブロリズマブの追加を検討したKEYNOTE-522試験では、ペムブロリズマブ追加により病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)が有意かつ臨床的に意味のある改善を示したことがすでに報告されている。今回、第6回中間解析(追跡期間中央値63.1ヵ月)でのEFSを解析した結果、pCRの結果にかかわらず、術前化学療法単独と比べて臨床的に意味のあるEFS改善が持続していたことを、英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University LondonのPeter Schmid氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。全生存期間(OS)の追跡調査は進行中である。

ER+/HER2-乳がんの術前ニボルマブ、pCRを有意に改善(CheckMate 7FL)/ESMO2023

 高リスクのER陽性(+)/HER2陰性(-)早期乳がん患者を対象とした第III相CheckMate 7FL試験の結果、術前化学療法および術後内分泌療法にニボルマブを上乗せすることで、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に改善し、さらにPD-L1陽性集団ではより良好であったことを、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのSherene Loi氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。 ・対象:ER+/HER2-、T1c~2 cN1~2またはT3~4 cN0~2、Grade2(かつER 1~10%)またはGrade3(かつER≧1%)の新たに診断された乳がん患者 510例 ・試験群(ニボルマブ群):ニボルマブ(3週ごと)+パクリタキセル(毎週)→ニボルマブ+AC療法(隔週または3週ごと)→手術→ニボルマブ(4週ごと)+内分泌療法 257例 ・対照群(プラセボ群):プラセボ+パクリタキセル→プラセボ+AC療法→手術→プラセボ+内分泌療法 253例

切除可能NSCLC、周術期ペムブロリズマブ上乗せでOS・EFS改善(KEYNOTE-671)/ESMO2023

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたKEYNOTE-671試験の第1回中間解析において、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法、術後補助療法としてペムブロリズマブを用いた場合、術前補助療法として化学療法を用いた場合と比較して、無イベント生存期間(EFS)が有意に改善したことが報告されている。今回、KEYNOTE-671試験の第2回中間解析の結果が、カナダ・McGill UniversityのJonathan Spicer氏により、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表され、EFSと全生存期間(OS)が有意に改善したことが示された。本試験の結果から、米国食品医薬品局(FDA)は2023年10月16日に切除可能なNSCLC患者に対する術前・術後補助療法としてペムブロリズマブの使用を承認したことを発表している。