腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:77

血清PSAとMRIによる前立腺がんスクリーニングで、標的生検によって得られるメリット(解説:宮嶋哲氏)

前立腺がんスクリーニングにおける問題は、overdiagnosisであり、対策型検診における最も適切なアルゴリズムは確定していない。本研究(GOTEBORG-2 trial)では、50〜60歳の男性3万7,887例を対象に血清PSA(前立腺特異抗原)スクリーニングを施行した。血清PSA値が3ng/mL以上の被験者には前立腺MRIを行い、以下の要領で無作為に割り付けた。1/3の被験者を対照群としてMRIで前立腺がんが疑われる病変に対する標的生検と系統的生検を行い、残りの2/3の被験者は実験群として前立腺がんが疑われる病変にMRI標的生検のみを施行した。主要評価項目はGleason score3+3以下の臨床的に有意でない前立腺がん(insignificant cancer)の検出とし、副次評価項目はGleason score3+4以上の臨床的に意義のある前立腺がんの検出、ならびに安全性と定義した。

mRNA-4157/V940・ペムブロリズマブ併用で悪性黒色腫患者に対する主要評価項目達成/モデルナ・メルク

 Moderna(米国)は2022年12月13日付のプレスリリースで、完全切除後の再発リスクが高いStageIII/IVの悪性黒色腫患者において、研究中の個別化mRNAがんワクチンであるmRNA-4157/V940と抗PD-1治療薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を併用した場合、ペムブロリズマブ単剤療法と比較して、疾患の再発または死亡のリスクが統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示すことが示されたと発表した。

正しいがんの原因への認識、ワクチン拒否・代替医療・陰謀論支持者で低調/BMJ

 がんの原因に対する認識傾向について、スペイン・Catalan Institute of OncologyのSonia Paytubi氏らが、約1,500人を対象に行ったオンライン横断調査の結果、ほぼ半数が「何もかもががんの原因になるように思える」と感じていることが明らかになった。著者は、「大量の情報が、事実に基づく原因と根拠のない原因を見分けることを困難にしていることが浮き彫りになった」と述べている。

TN乳がんへの術前CBDCA+PTXにアテゾリズマブ追加でpCR改善/第II相試験

 StageII/IIIのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の術前療法として、アントラサイクリンを含まないカルボプラチン(CBDCA)+パクリタキセル(PTX)にアテゾリズマブの追加を評価する無作為化第II相試験において、病理学的完全奏効(pCR)率の有意な増加が示された。米国・ワシントン大学のFoluso O. Ademuyiwa氏らが、NPJ Breast Cancer誌2022年12月30日号に報告。  これまで、転移を有するPD-L1陽性TNBCを対象としたIMpassion130試験ではnab-PTXへのアテゾリズマブ追加による無増悪生存期間と全生存期間の改善、また早期TNBCを対象としたIMpassion031試験ではアテゾリズマブとアントラサイクリンおよびタキサンをベースとした術前化学療法によるpCR改善が報告されている。

adagrasib、既治療のKRAS G12C変異陽性大腸がんに有望/NEJM

 治療歴のある転移を有するKRAS G12C変異陽性の大腸がん患者の治療において、経口KRAS G12C阻害薬adagrasibは、単剤療法およびセツキシマブ(抗EGFR抗体)との併用療法のいずれにおいても、抗腫瘍活性が認められ、併用療法では奏効期間が6ヵ月を超えることが、米国・Sloan Kettering記念がんセンターのRona Yaeger氏らが実施した「KRYSTAL-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年1月5日号に掲載された。  KRYSTAL-1試験は、米国で進行中の非盲検非無作為化第I/II相試験であり、今回はadagrasib単剤療法の第II相試験と、セツキシマブとの併用療法の第Ib相試験の結果が報告された(Mirati Therapeuticsの助成を受けた)。

HER2+乳がん脳転移例、tucatinib追加でOSを約9ヵ月延長(HER2CLIMB)/JAMA Oncol

 HER2陽性(ERBB2+)転移乳がん(MBC)患者の最大50%が脳転移を有し、予後不良とされている。脳転移症例を含むHER2+MBCに対するトラスツズマブ、カペシタビンへのtucatinib追加投与の有効性を検討したHER2CLIMB試験について、探索的サブグループ解析の最新フォローアップデータを、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のNancy U. Lin氏らがJAMA Oncology誌オンライン版2022年12月1日号に報告した。

EGFR陽性肺がんオシメルチニブ1次治療の肺臓炎、リアルワールド解析の結果(OSI-FACT)/Chest

 オシメルチニブは、進行EGFR変異陽性肺がん患者(NSCLC) の1次治療として位置付けられている。一方、オシメルチニブの潜在的合併症である薬物関連肺臓炎(DRP)については、信頼できるリアルワールドデータが不足している。  リアルワールドにおけるオシメルチニブ1次治療のDRP発現頻度、特徴を評価する多施設後ろ向きコホート研究が行われた。その結果が、2022年11月のChest誌で発表されている。

悪性新生物の死亡確率、男性3割・女性2割/厚生労働省

 厚生労働省は12月23日、「令和2年都道府県別生命表」を発表した1)。都道府県別生命表は、国勢調査による日本人人口(確定数)と人口動態統計(確定数)による日本における日本人の死亡数、出生数を基に、1965年から5年ごとに作成され、今回が12回目となる。本結果によると、2020年の全国の平均寿命(0歳の平均余命)は、男性が81.49年、女性が87.60年で、2015年よりも男性では0.72年、女性では0.60年延びていた。また、死因別死亡確率では、男女ともに最も多かった死因は、悪性新生物(腫瘍)であり、男性で28.13%、女性で20.05%を占めていた。  2020年の全国の平均寿命は、男性が81.49年、女性が87.60年であった。平均寿命を都道府県別にみると、男性では、滋賀が82.73年で最も長く、次いで長野の82.68年、奈良の82.40年の順となっている。女性では、岡山が88.29年で最も長く、次いで滋賀の88.26年、京都の88.25年の順となっている。また、男女ともに青森が最も短くなっており、男性が79.27年、女性が86.33年であった。平均寿命の最も長い都道府県と最も短い都道府県との差は、男性3.46年、女性1.96年となっている。

アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病の初回治療に承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、アカラブルチニブ(製品名:カルケンス)が、「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応症で厚生労働省より承認されたと発表した。  今回の承認は、国内第I相試験および、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)を対象とした国際共同第III相試験(ELEVATE-TN試験)の結果に基づくもの。  ELEVATE-TN試験では、アカラブルチニブの単剤投与またはアカラブルチニブとオビヌツズマブの併用投与が、標準化学免疫療法であるクロラムブシルとオビヌツズマブの併用投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。本試験の中間解析データは、2020年にThe Lancet誌で発表されている。

肺臓炎発症例、オシメルチニブのリチャレンジの実施可能性/Eur J Cancer

 軽症肺臓炎を発症したEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブのリチャレンジを検証したリアルワールド試験の結果が発表された。  オシメルチニブは、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療の標準だが、治療に影響を及ぼすオシメルチニブの有害事象として、薬剤性肺臓炎が挙げられる。オシメルチニブの適正使用ガイドでは、肺臓炎発症後は全例治療中止が推奨されている。一方、症例報告や後ろ向き試験では、肺臓炎発症後のオシメルチニブリチャレンジの実施可能性や有効性についての報告がある。ただし、リチャレンジの主要評価項目とした多症例の検証はなかった。