腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:76

内分泌療法+CDK4/6阻害薬が有効でない転移乳がん患者を予測するゲノム的特徴

 内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用療法で効果のない患者を特定するマーカーを探索するため、米国・Washington University in St. Louis School of MedicineのAndrew A. Davis氏らは治療抵抗性を予測するゲノム的特徴について循環腫瘍DNA(ctDNA)解析によって検討した。その結果、血中腫瘍変異負荷(bTMB)と血中コピー数負荷(bCNB)の非侵襲的プロファイリングで検出されたゲノムの複雑さが予後不良を予測し、画像診断前に増悪が確認された。Clinical Cancer Research誌オンライン版2023年1月24日号に掲載。

mobocertinib、EGFR exon20挿入NSCLCに中国で承認/武田

 武田薬品工業は、2023年1月13日、プラチナベース化学療法で進行したEGFR exon20挿入変異陽性(exon20 ins)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療に対するmobocertinibの適応を、中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)が承認したと発表。  mobocertinibは、exon20挿入変異を標的として設計された経口TKIで、NMPAのブレークスルーセラピーとして審査された。

HER2陽性進行乳がん2次治療におけるトラスツズマブ・デルクステカンがOSを延長(解説:下村昭彦氏)

2022年末のサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表され、Lancet誌に同時掲載されたDESTINY-Breast03試験の全生存期間(OS)の解析で、トラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)のトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)に対する優越性が統計学的に示された。DESTINY-Breast03試験は、HER2陽性乳がん2次治療におけるトラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)とトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)を直接比較した第III相試験である。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、OS解析時点で28.8ヵ月vs.6.8ヵ月(ハザード比[HR]:0.33、95%信頼区間[CI]:0.26~0.43)と、イベントが集まってきたことでT-DXd群のPFS中央値が明らかとなった(初回の解析時点ではT-DXd群のPFSは未到達であった)。副次評価項目の全生存期間(OS)はいずれの群も変わらず未到達であったが、OSのHR:0.64(95%CI:0.47~0.87、p=0.0037)であり、統計学的有意にT-DXd群で良好であった(前回の解析時点では有意差が示されなかった)。サブグループ解析でもすべてのサブグループでT-DXd群で良好な傾向を示し、T-DXdがHER2陽性乳がん2次治療の標準治療として確立した。

マクロファージは裏切り者!?肺がんの増殖を促進か/大阪大

 大阪大学大学院医学系研究科の石井 優氏らの研究グループは、肺胞マクロファージが、細胞の増殖および分化の調節、神経細胞の生存など、さまざまな生物活性を有するサイトカイン「アクチビンA」を介して、肺がんの増殖を促進させる悪循環を形成していることを初めて明らかにした。肺胞マクロファージは、正常の肺では最も数の多い免疫細胞の1つで、肺機能の維持に重要な役割を果たしていると考えられている。一方、肺がん細胞と肺胞マクロファージとの詳細な関係については、これまでほとんど解明されていなかった。本研究結果はNature Communications誌2023年1月17日号に掲載された。

対側乳がんリスク、生殖細胞変異で違いは?/JCO

 乳がん女性における対側乳がんリスクは年間0.5%と推定され、生殖細胞変異の有無、人種/民族、診断時年齢、閉経状態が大きく影響する。今回、米国・Mayo ClinicのSiddhartha Yadav氏らが、ATM、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2の生殖細胞系列病的変異を有する女性における対側乳がんリスクを推定したところ、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2の変異を有する女性でリスクがかなり高いことがわかった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月9日号に掲載。

KRAS G12C陽性肺がんの大規模な臨床ゲノムプロファイル:LC-SCRUM-Asia研究より/Lung Cancer

  ターゲット治療薬の開発で、肺がん領域でも注目されているKRAS G12C変異。2022年末、アジア人KRAS G12C陽性非小細胞肺がん(NSCLC)のリアルワールド解析が発表された。  KRAS G12Cは、白色人種のNSCLCでは約14%に発現するとの報告があるが、アジア人ではどの程度なのか。また、同集団に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の有効性が報告されているが、アジア人患者でも効果は示されるのか。

HPVワクチン接種でCIN2+の再発リスクが低減する可能性

 ヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチン接種は、グレード2以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN2+)の再発リスクを低減すると考えられることが、「The BMJ」に8月3日掲載されたレビューで示された。  英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のKonstantinos S. Kechagias氏らは、局所手術後のCIN2+の再発リスクを検討するため、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。22件の試験が選択基準を満たし、うち18件はワクチン非接種群からのデータも報告していたことから、メタアナリシスに組み入れた。

アセトアミノフェン含有製剤、薬剤性過敏症症候群を重大な副作用に追加/厚労省

 アセトアミノフェン含有製剤の添付文書について、2023年1月17日、厚生労働省が改訂を指示した。改訂内容は『重大な副作用』の項への「薬剤性過敏症症候群」の追記で、薬剤性過敏症症候群の国内症例を評価したことに基づく。症例の因果関係評価および使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と薬剤性過敏症症候群との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。

米FDAが高リスク筋層非浸潤性膀胱がんの遺伝子治療薬を承認

 米食品医薬品局(FDA)は2022年12月16日、高リスク膀胱がんの新たな治療選択肢としてAdstiladrin(一般名nadofaragene firadenovec-vncg)と呼ばれる遺伝子治療薬を承認した。適応は、標準治療であるBCG(Bacillus Calmette-Guerin)が奏効しない、上皮がん(CIS)を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)の成人患者で、乳頭状腫瘍の有無は問わない。ただしFDAは、免疫抑制や免疫不全の患者にはAdstiladrinを投与すべきではないとしている。  新たに診断される膀胱がんの約75~80%は、がんが膀胱の内層を越えるが筋層までは浸潤していないNMIBCである。NMIBCの約30~80%は再発して、浸潤がんや転移がんになるリスクがある。高リスクNMIBCに対する一般的な治療法は、腫瘍を切除し、主に結核予防のためのワクチンとして使用されているBCGにより再発リスクの低減を図るというもの。しかし、BCGが奏効しない患者に対しては、これまで効果的な治療選択肢がほとんどなかった。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では年間に男性約5万7,000人、女性約1万8,000人が膀胱がんと診断され、男性約1万2,000人、女性約4,700人が同がんにより死亡している。

「All of Us」プログラム、健康に関わる遺伝子情報を15万人以上の参加者に提供

 米国立衛生研究所(NIH)は12月13日に発表したニュースリリースで、NIHが進める大規模な遺伝子研究プログラム「All of Us Research Program」(以下、All of Usプログラム)の参加者のうち、すでに15万5,000人以上が自身の健康に関わるゲノム解析の結果を受け取っていることを報じた。この解析結果を見れば、自分が特定の疾患を発症するリスクが高いのかどうかが分かるという。  All of Usプログラムは、個別化医療の研究開発を推し進めるために、米国の100万人以上の人から健康関連の情報を集めてデータベースを構築することを目的としている。All of Usプログラムのチーフエグゼクティブオフィサーを務めるJosh Denny氏は、「“知は力なり”というように、物事を深く知ることは大きな力となる。健康に関わるDNA情報をプログラム参加者に提供することで、われわれは研究のパラダイムを変えようとしている。つまり、われわれが科学的な発見を得るだけでなく、参加者も自分の健康維持に役立つ遺伝情報を得るという、双方向的な関係を築こうとしているのだ」と説明。同氏はさらに、「プログラム参加者と結ぶこのようなパートナーシップは、信用を築き、全ての人に有意義な洞察を提供するという、われわれが自身に課した責任を果たすためには不可欠だ」とNIHのニュースリリースで語っている。