腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:79

CDK4/6阻害薬+ETで増悪したHR+/HER2-転移乳がん、パルボシクリブ継続投与は有効か(PACE)/SABCS2022

 CDK4/6阻害薬+内分泌療法(ET)による治療で増悪した、ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)転移乳がん(MBC)患者において、CDK4/6阻害薬を継続投与すべきかは明らかでない。増悪後、フルベストラントへの変更を伴うパルボシクリブの継続が、フルベストラント単独への変更よりも転帰を改善するかどうかを前向きに評価し、パルボシクリブ・フルベストラント・アベルマブの3剤投与の活性を探る第II相PACE試験の結果を、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のErica L. Mayer氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。 ・対象:CDK4/6阻害薬+ETで増悪したHR+/HER2-MBC患者(MBCに対するETが≦2ライン/化学療法が0~1ライン、フルベストラント治療歴なし) ・試験群 フルベストラント+パルボシクリブ群(F+P群):フルベストラント 500mg+パルボシクリブ 125mg 111例 フルベストラント+パルボシクリブ+アベルマブ群(F+P+A群):フルベストラント 500mg+パルボシクリブ 125mg+アベルマブ 10mg/kg 54例 ・対照群(F群):フルベストラント 500mg 55例 ・評価項目:

薬価4億8300万円超の血友病Bの遺伝子治療薬をFDAが承認

 米食品医薬品局(FDA)は11月22日、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた血友病Bの遺伝子治療薬Hemgenix(一般名etranacogene dezaparvovec)を承認した。同薬剤による治療は1回の投与で完了するが、価格は1回当たり350万ドル(1ドル138円換算で約4億8300万円)に上るという。投与の対象は、現在、第IX因子製剤による補充療法を受けている成人患者、現在または過去に命に関わる出血を経験したか、重症の自然出血エピソードが繰り返し生じている成人患者である。

CAR-T liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に承認/BMS

ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年12月20日、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、製品名:ブレヤンジ)について、自家造血幹細胞移植への適応の有無にかかわらず、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療として、再生医療等製品製造販売承認事項一部変更承認を取得した。  今回の承認は、自家造血幹細胞移植適応患者を対象とした国際共同第III相試験(JCAR017-BCM-003試験)、自家造血幹細胞移植非適応患者を対象とした海外第II相試験(017006試験)および国際共同第II相試験(JCAR017-BCM-001試験)コホート2を含む、1次治療後の再発・難治性のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者を対象とした臨床試験の成績に基づいている。

二重抗体薬glofitamab、再発難治DLBCLの39%が完全寛解/NEJM

 CD20/CD3二重特異性モノクローナル抗体のglofitamabは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に有効性を示したものの、患者の半数以上にGrade3以上の有害事象が発現したことが、オーストラリア・メルボルン大学のMichael J. Dickinson氏らによる第II相試験で示された。DLBCLの標準的な1次治療はR-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone)であるが、同患者の35~40%は再発/難治性で、その予後は不良であった。NEJM誌2022年12月15日号掲載の報告。  研究グループは、2ライン以上の治療歴のある18歳以上の再発/難治性DLBCL患者を登録し、サイトカイン放出症候群軽減のためオビヌツズマブ(1,000mg)による前治療後、glofitamabを1サイクルの8日目に2.5mg、15日目に10mg、2~12サイクルの1日目に30mgを投与した(1サイクル21日間)。

ニボルマブのNSCLCネオアジュバント、日本人でも有効(CheckMate 816)/日本肺癌学会2022

 ニボルマブの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前補助療法(ネオアジュバント)は、日本人でもグローバルと同様の良好な結果を示した。  この結果はニボルマブのNSCLCネオアジュバントの第III相試験CheckMate 816の日本人サブセットの解析によるもので、第63回日本肺癌学会学術集会で近畿大学の光冨 徹哉氏が発表した。

再発・難治ATLLにバレメトスタット発売/第一三共

 第一三共株は、バレメトスタット(製品名:エザルミア)について、2022年12月20日、国内で新発売したと発表。  同剤は、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)患者を対象とした国内第II相臨床試験の結果に基づき、2021年11月に希少疾病用医薬品の指定を受け、2022年9月に「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」を適応として国内製造販売承認を取得した。

わが国の非小細胞肺がんの遺伝子検査は本当に普及しているのか?(WJOG15421L/REVEAL)/日本肺癌学会2022

 わが国の肺がん遺伝子検査、初回治療前のマルチ遺伝子検査が十分行われていない可能性が示唆された。  非小細胞肺がんでは、バイオマーカー検査の結果に基づき治療を選択する。近年、RET、KRAS、NTRK遺伝子が検査項目に加えられ、バイオマーカー検査はシングルプレックスからマルチプレックスに移行しつつある。西日本がん研究機構(WJOG)では、わが国の肺がん約1,500例のバイオマーカー検査の実施状況と治療の実態を調査し、肺がん診療の問題点を可視化することを目的とした後ろ向き調査WJOG15421L(REVEAL)試験を実施している。

進行悪性黒色腫、TIL療法でPFSが延長/NEJM

 進行悪性黒色腫の治療において、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いた養子免疫細胞療法は、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)抗体であるイピリムマブと比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させ、病勢進行と死亡のリスクが半減したとの研究結果が、オランダがん研究所(NKI)のMaartje W. Rohaan氏らによって報告された。研究の成果は、NEJM誌2022年12月8日号に掲載された。  本研究は、進行悪性黒色腫の1次または2次治療におけるTILとイピリムマブの有用性の比較を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2014年9月~2022年3月の期間に、2施設(NKI、デンマーク国立がん免疫療法センター[CCIT-DK])で参加者の登録が行われた(Dutch Cancer Societyなどの助成を受けた)。

capivasertib+フルベストラント、CDK4/6治療歴によらずAI耐性進行乳がんでPFS延長(CAPItello-291)/SABCS2022

 アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のエスロトゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性進行・再発(ABC)乳がん患者において、AKT阻害薬capivasertib+フルベストラントが、プラセボ+フルベストラントと比較して無増悪生存期間(PFS)を約2倍に延長した。日本を含むグローバル第III相CAPItello-291試験の結果を、英国・王立マーズデン病院のNicholas Turner氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。なお、本療法については第II相FAKTION試験で閉経後女性患者において全生存期間(OS)とPFSを有意に改善したことが報告されているが、CDK4/6阻害薬治療歴のある患者は含まれていなかった。

CTスクリーニング検査で肺がんの転帰が劇的に改善

 喫煙者が年1回の肺がんスクリーニング検査を受けることで、肺がん生存率を大幅に改善できる見込みのあることが、国際的な大規模研究で明らかにされた。低線量CTスクリーニング検査で早期段階の肺がんが発見された場合の患者の20年生存率は80%であり、がんの種類によっては100%であることが示されたという。この知見は、北米放射線学会年次学術集会(RSNA 2022、11月27日〜12月1日、米シカゴ)で発表された。  米国肺協会(ALA)によると、肺がんの平均的な5年生存率は18.6%、早期発見される肺がんは全体の16%にとどまり、患者の半数以上が診断から1年以内に死亡するという。肺がんは、がんが小さいうちに発見、治療することで長期にわたる生存が見込める。しかし、肺がんのスクリーニング検査は十分に活用されているとはいえないと研究グループは話す。最近のALAの報告では、対象となる米国人のうちスクリーニング検査を受けているのは6%にとどまり、州によっては受診率が1%とかなり低い。