腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:79

ペムブロリズマブの去勢抵抗性前立腺がんおよびEGFR陽性非小細胞がんの第III相試験/MSD

 Merck社は2023年2月28日、第III相試験KEYNOTE-641およびKEYNOTE-789の最新情報を公開。転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびアンドロゲン除去療法(ADT)との併用を評価する第III相KEYNOTE-641試験については、独立データモニタリング委員会の勧告に基づき中止する。中間解析において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびADTの併用療法では、プラセボ+エンザルタミドおよびADTと比較して、2つの主要評価項目である画像上の無増悪生存期間(rPFS)または全生存期間(OS)の改善が確認されず、OSについては事前に設定した無益性の境界(futility boundary)を超えた。

新薬追加のWeb版「GIST診療ガイドライン」、診療経験少ない非専門医にも

 日本癌治療学会は稀少腫瘍研究会の協力のもと、「GIST診療ガイドライン2022年4月改訂 第4版」を発刊し、2023年3月4日、本学会ホームページにWeb版を公開した。GIST(Gastrointestinal stromal tumor、消化管間質腫瘍)は、全消化管に発生する間葉系腫瘍で、疫学的には10万人に1~2人と消化器系の稀少がんであるため、患者の診療経験が少ない臨床医も多い。そのため、本ガイドライン(GL)に目を通し、いざという時のために備えていただきたい。そこで、今回、本GL改訂ワーキンググループ委員長の廣田 誠一氏(兵庫医科大学病院 主任教授/診療部長)に、本書の目的やおさえておく内容について話を聞いた。

BRCA1/2遺伝子変異のある女性では50歳以降もがんリスクが高い

 女性でのBRCA1またはBRCA2遺伝子の変異は、乳がんおよび卵巣がんの若年での発症リスクを高めることが知られている。しかし、これらの遺伝子変異を有する女性では、50歳以降も乳がんや卵巣がんを中心とするがんの発症リスクが高いことが、新たな研究で明らかにされた。このリスク上昇は、がんの既往歴がなくても認められたという。トロント大学(カナダ)看護学分野のKelly Metcalfe氏らによるこの研究の詳細は、「Cancer」3月15日号に掲載された。

世界最大のがんゲノム解析、スキルス含む日本人胃がんの治療標的を同定/国立がん研究センター

 国立がん研究センターは、2023年3月24日、世界最大の胃がんゲノム解析により、日本人胃がんの治療標的を同定したと発表。  同センターがんゲノミクス研究分野分野長 柴田龍弘氏を中心とする研究チームが、国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC-ARGO)における国際共同研究として、日本人胃がん症例697例を含む総計1,457例の世界最大となる胃がんゲノム解析を行い、新たな治療標的として有望なものも含めこれまでで最大の75個のドライバー遺伝子を発見した。

DOAC時代のVTE診療の国内大規模研究、再発リスクの層別化評価と出血リスク評価の重要性が明らかに/日本循環器学会

 日本では過去に静脈血栓塞栓症 (肺塞栓症および深部静脈血栓症、以下VTE)の患者を対象とした多施設共同の大規模観察研究:COMMAND VTE Registry(期間:2010年1月~2014年8月、対象:3,024例)が報告されていた。しかしながら、同研究はワルファリン時代のデータベースであり、抗凝固薬の88%がワルファリンであった。現在はVTE患者の治療には直接経口抗凝固薬(DOAC)が広く普及しており、そこでDOAC時代における日本のVTE診療の実態を明らかにすることを目的としたCOMMAND VTE Registry-2が実施され、3月10~12日に開催された第87回日本循環器学会学術集会の「Late Breaking Cohort Studies Session」にて、同研究班の金田 和久氏(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)が、その主解析の結果を報告した。

EU・英国の2023年がん死亡率、肺がんは減少も女性で増加の国あり/Ann Oncol

 イタリア・ミラノ大学のMatteo Malvezzi氏らは、欧州連合(EU)に加盟する27ヵ国全体および、EUのなかで人口が多い5ヵ国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド)、英国の2023年のがん死亡率の予測を発表した。本調査は毎年実施され、2023年の重点調査は肺がんとされた。EU加盟27ヵ国における2023年のがん死亡率は、2018年と比べて男性では6.5%、女性では3.7%減少すると予測された。また、EU加盟27ヵ国における2023年の肺がんによる死亡率は、2018年と比べて男性では10.2%減少すると予測されたが、女性では1.2%増加すると予測された。本調査結果は、Annals of Oncology誌オンライン版2023年3月5日号に掲載された。

治療前の抗菌薬で免疫チェックポイント阻害薬の有効性が低下/JCO

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療前の抗生物質曝露は、腸内細菌叢の変化を通じて転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、大規模な評価は不足している。ICI開始前の抗生物質が全生存期間(OS)に与える影響を評価したカナダ・プリンセスマーガレットがんセンターのLawson Eng氏らによるレトロスペクティブ・コホート研究の結果が、 Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年2月24日号に掲載された。著者らは、カナダのオンタリオ州で2012年6月~2018年10月にICIによる治療を開始した65歳以上のがん患者を、全身療法投与データを用いて特定した。

進行悪性黒色腫、術前・術後のペムブロリズマブは有効か/NEJM

 切除可能なIII/IV期の悪性黒色腫患者の治療では、ペムブロリズマブの投与を術前と術後の双方で受けた患者は、術後補助療法のみを受けた患者と比較して、無イベント生存期間が有意に長く、新たな毒性作用は検出されなかった。米国・テキサス大学MD AndersonがんセンターのSapna P. Patel氏らが実施した第II相無作為化試験「S1801試験」で示された。NEJM誌2023年3月2日号掲載の報告。  S1801試験は、米国の90施設で実施され、2019年2月~2022年5月の期間に患者の登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]とMerck Sharp and Dohmeの助成を受けた)。

EGFR陽性NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブがOS延長(ADAURA)/AZ

 アストラゼネカは、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相試験(ADAURA試験)において、EGFR遺伝子変異陽性の病理病期IB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する完全切除後の補助療法としてのオシメルチニブの投与により、全生存期間(OS)が有意に改善したことを2023年3月10日のプレスリリースで発表した。  国際共同第III相比較試験ADAURA試験は、EGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)の病理病期IB~IIIAのNSCLC患者のうち、腫瘍が完全切除された患者を対象とした試験。

新規ADC telisotuzumab vedotinが先駆的医薬品の対象に/アッヴィ

 2023年3月7日、アッヴィは非小細胞肺がん治療薬として同社が開発中の抗体薬物複合体(ADC)telisotuzumab vedotinが、厚生労働省より「先駆的医薬品指定制度」の対象品目に指定されたと発表した。  telisotuzumab vedotinは、がん細胞表面で発現する、細胞表面受容体c-Metを特異的標的とするADCである。c-Metの過剰発現は予後不良だが、その標的治療法は現時点で確立されていない。