腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:82

既治療のNSCLCに対するアテゾリズマブ単剤のリアルワールドデータ(J-TAIL)/日本肺癌学会2022

 既治療の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブの単剤療法は、実臨床においても開発治験と同様の臨床効果を示すことが明らかとなった。  既治療の切除不能NSCLCにおいて、ドセタキセルに対し優越性を示したOAK試験の結果に基づき、アテゾリズマブの単剤療法は2次治療以降の治療選択肢となっている。しかし、開発治験における日本人データは限定されており、日常臨床での再現性は明らかではない。  そこで、日本の実臨床における同レジメンの安全性と有効性を検討する前向き試験J-TAILが行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、松坂市民病院の畑地治氏がJ-TAIL試験の最終解析を発表した。

EGFR陽性T790M陰性NSCLCに対するオシメルチニブの2次治療は有効(WJOG12819L/KISEKI)/日本肺癌学会2022

 第1/2世代EGFR-TKIで増悪したEGFR陽性T70M陰性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、オシメルチニブの2次治療が有効性を示した。  第1/2世代EGFR-TKIのPD症例に対するオシメルチニブの2次治療は、T790M変異陽性例にのみ適用できる。反面、残りの半数のT709M陰性例は、オシメルチニブによる治療の恩恵を受けることができないのが現状である。  そのような中、第1/2世代EGFR-TKIおよびプラチナ化学療法耐性のEGFR陽性T70M陰性NSCLCに対するオシメルチニブ2次治療を評価するWJOG12819L/KISEKI試験が行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、奈良県立医科大学の武田真幸氏が、同試験の初回解析結果を発表した。なお、この試験は、わが国初の患者提案型医師主導試験である。

術前化療で完全奏効のTN or HER2+乳がん、手術省略できるか/Lancet Oncol

 トリプルネガティブ(TN)およびHER2陽性乳がん患者において、術前化学療法により病理学的完全奏効を達成した場合は予後良好とされ、経皮的画像ガイド下吸引補助式乳房組織生検(VACB)により正確に判断することが可能である。今回、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHenry M. Kuerer氏らは、術前化学療法を受けたTNまたはHER2陽性の早期乳がん患者において、画像ガイド下VACBにより病理学的完全奏効と判定された場合に、手術を省略し放射線治療のみにできるかどうか検討した。The Lancet Oncology誌2022年12月号に掲載。  本試験は米国の7施設による多施設共同単群第II相試験で、対象はcT1-2N0-1M0のTNまたはHER2陽性乳がんの妊娠していない40歳以上の女性で、標準的な術前化学療法後に残存病変が画像上2cm未満の患者とした。画像ガイド下VACBで浸潤性・潜在性がんが確認されなかった場合、手術を省略し、標準的な全乳房放射線治療を行った。主要評価項目は、生検による同側乳がん再発率、安全性はVACBを受けた全患者を対象に評価した。  主な結果は以下のとおり。

米FDAが転移性非小細胞肺がんに対する併用療法を承認

 米食品医薬品局(FDA)は11月10日、感作性上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異または未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子を伴わない転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対して、デュルバルマブ(商品名イミフィンジ)とプラチナ製剤による化学療法(以下、化学療法)にトレメリムマブ(商品名Imjudo)を追加する併用療法を承認した。  体重30kg以上の患者で推奨されている併用療法は、トレメリムマブ75mgとデュルバルマブ1,500mgの併用投与と化学療法を3週間おきに4サイクル実施し、その後は4週間ごとにデュルバルマブ1,500mgの投与と維持療法を実施するというもの。トレメリムマブ75mgの5回目の投与は16週後とされている。

中程度の運動で乳がん患者の死亡リスクが60%減!?

 乳がん患者における日常動作以上の身体活動レベルと全死因死亡リスクの関連を評価した結果、中程度の身体活動であっても死亡リスクが60%低いことを、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニアのLie Hong Chen氏らが明らかにした。身体活動による乳がんの発症リスク低減効果は知られているが、乳がんと診断された後の身体活動の効果に関する評価はまだ不十分であった。JAMA Netw Open誌2022年11月17日リサーチレター掲載の報告。  研究グループは、2年以上前に乳がんの診断を受け(生存期間中央値6年)、カリフォルニア州のヘルスケアプランのメンバーであった閉経後乳がん患者のコホート研究を実施した。対象は、1996~2012年に初期の乳がん(TNM分類0~II期)と診断された患者で、調査は2013年8月1日~2015年3月31日に行われ、2022年4月30日または患者死亡まで追跡された。  身体活動レベルと疲労度は、ゴーディン式余暇運動調査票(GSLTPAQ)およびFatigue Severity Inventory(簡易倦怠感尺度)の2つのアンケートによって聞き取った。身体活動レベルと全死因死亡リスクの関連を、年齢、乳がんの病期、疲労度、併存疾患、診断からの年数、人種・民族、不眠症とうつ病の既往、がん治療の種類(内分泌療法、化学療法、放射線治療)によって調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。

乳がん内分泌療法中のホットフラッシュに有効な新規薬剤/Lancet

 新規非ホルモン性小分子化合物Q-122は、乳がん後に経口内分泌療法中の女性患者において、ホットフラッシュや発汗など血管運動神経症状の改善に有効で忍容性は良好であることが、オーストラリア・QUE OncologyのAmanda Vrselja氏らが、オーストラリア、ニュージーランド、米国の18施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照概念実証試験の結果、示された。血管運動神経症状は、経口内分泌療法中の乳がん女性の3分の2以上にみられるが、安全で有効な治療法はない。Q-122は、視床下部にあるエストロゲンに反応するKNDyニューロンの活性化を減少することにより、血管運動神経症状を抑制する可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、Q-122の大規模かつ長期的な試験の実施を支持するものであり、更年期のホルモン療法に代わる治療を必要としている閉経後女性にも使用できる可能性もある」とまとめている。Lancet誌2022年11月12日号掲載の報告。

ドキソルビシン、乳がん併用療法での休薬期間短縮可能に/サンドファーマ

 サンドファーマ株式会社は2022年11月24日、ドキソルビシン(一般名:アドリアシン注用10、同注用50)について、乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍薬との併用療法の場合、シクロホスファミド水和物との併用において、用法及び用量の医薬品製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。 <製品概要> ・販売名: アドリアシン注用10 アドリアシン注用50 ・一般名:ドキソルビシン塩酸塩 ・効能・効果:変更なし ・用法・用量: <乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法> シクロホスファミド水和物との併用において、標準的なドキソルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、1日量、ドキソルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を日局注射用水または日局生理食塩液に溶解し、1日1回静脈内投与後、13日間又は20日間休薬する。 この方法を1クールとし、4クール繰り返す。 なお、年齢、症状により適宜減量する。またドキソルビシン塩酸塩の総

TS-1、ER+HER2-乳がん術後療法に適応拡大/大鵬

 大鵬薬品工業は2022年11月24日、経口抗がん薬TS-1(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、商品名:ティーエスワン配合カプセルT20・T25/ティーエスワン配合顆粒T20・T25/ティーエスワン配合OD錠T20・T25)について、新たな適応として「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。  今回の承認は、医師主導臨床試験である「エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するTS-1術後療法」(POTENT試験)の結果に基づく。同試験では、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法において、標準的な治療法である内分泌療法(5年間)を対照群とし、この内分泌療法(5年間)とTS-1(1年間)を併用する治療法を試験群として、再発抑制効果が高まることを無作為化比較第III相試験により検証することが目的とされた。主な評価項目は、浸潤性疾患のない生存期間、全生存期間および安全性などで、2012年2月~2016年2月の症例登録期間中に全国の乳がん専門施設139施設から1,959例が登録された。

肺がんの放射線治療期間の延長は患者の死亡リスクを上げる

 肺がん患者が放射線療法を予定通りに受けなかった場合、治療の延長期間が長くなるほど早期死亡リスクが高まるが、一部の患者では、放射線量を上げて治療することでそれを埋め合わせることができる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。米フォックスチェイスがんセンターのPeter Lee氏らによるこの研究結果は、米国放射線腫瘍学会年次総会(ASTRO Annual Meeting 2022、10月23〜26日、米サンアントニオ)で発表された。  この研究では、2004年から2017年の間に化学療法と標準的な線量(59.4〜66.6Gy)での放射線療法を同時に受けたステージIIIの非小細胞肺がん患者2万6,101人のデータが解析された。患者は、全治療期間(OTT)の延長日数によって、延長なし、1〜3日、4〜6日、7〜9日、10〜12日、13〜15日、16日以上に分類された。

T-DXd、HER2陽性乳がん2次治療に適応拡大/第一三共

 第一三共株式会社は2022年11月24日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)について、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌」の効能又は効果に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  本適応は、HER2陽性の再発・転移乳がん患者への2次治療を対象としたグローバル第III相臨床試験(DESTINY-Breast03)の結果に基づくもので、2021年12月に国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行っていた。