腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:95

診察室での会話を基にした対話型AI、BRCA検査への疑問や不安に対応/AZ

 乳がんと診断されてから、患者は治療法選択のほか再建や遺伝子検査を行うかなどたくさんの意思決定を求められる。とくに遺伝子検査については、乳がんと遺伝の関係の理解に加え家族への配慮も必要となるが、外来で説明に十分な時間を設けるのが難しいことも多い。9月27日、アストラゼネカは「乳がんを遺伝子レベルで理解することの重要性~遺伝性乳がん治療における課題とは~」と題したメディアセミナーを開催し、大野 真司氏(相良病院)、乳がん経験者の園田 マイコ氏が登壇。BRCA検査やHBOCについての理解を促す患者向けのサポートツールとして、対話型人工知能WEBアプリ「ブルーカ」が紹介された。

2cm以下の乳がん、センチネルリンパ節生検を省略可能か/JAMA Oncology

 センチネルリンパ節生検(SLNB)は早期乳がんの腋窩リンパ節転移を調べる標準的な方法だが、リンパ節検査のための腋窩手術は治療が目的ではないため、その必要性が問われる場合もある。今回、超音波検査でリンパ節転移の疑いのない腫瘍径2cm以下の乳がん患者における無作為化試験(SOUND試験)で、腋窩手術を受けなかった群の5年遠隔無病生存(DDFS)率がSLNBを受けた群に対して非劣性を示したことを、イタリア・Istituto di Ricovero e Cura a Carattere ScientificoのOreste Davide Gentilini氏らが報告した。JAMA Oncology誌オンライン版2023年9月21日号に掲載。

アントラサイクリン系薬剤による心機能障害をアトルバスタチンは抑制したがプラセボとの差はわずかであった(解説:原田和昌氏)

近年、Onco-cardiologyが注目されており、がん化学療法に伴う心毒性を抑制できる薬剤の探索が行われている。動物実験や小規模なランダム化比較試験では、アントラサイクリン系薬剤による左室駆出率(LVEF)低下に対する、アトルバスタチンの抑制作用が報告されていたが、乳がんを中心としたPREVENT試験では効果を示せなかった(ドキソルビシン換算の中央値、240mg/m2)。リンパ腫患者においてアトルバスタチン(40mg/日)の投与はプラセボと比較して、アントラサイクリン系薬剤に関連する心機能障害を有意に抑制し、心不全の発生には有意な差がないことが、二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験であるSTOP-CA試験で示された(同、300mg/m2)。主要評価項目はLVEFが化学療法前後で絶対値において10%以上低下し、12ヵ月後に55%未満となった患者の割合で、プラセボ群22%対アトルバスタチン群9%であった(p=0.002)。しかし、群全体としてのEF低下幅はスタチン群4.1%で、プラセボ群5.4%との差は1.3%のみであった(p=0.029)。

アピアランスケアとしての乳房再建

 「乳房再建」という言葉自体の一般的な認知度はまだまだ低く、また、米国や韓国と比較して日本における乳房再建率は低いといわれている。そこで、アッヴィ合同会社アラガン・エステティックスは2023年9月27日、乳房再建について、治療の一環のみならず、昨今注目度が高まっている「アピアランスケア」の選択肢の1つとしての側面をより広く周知するために、メディア向けセミナーを開催した。  セミナーでは、3名の演者が、乳がん罹患者を対象としたアピアランスケアに関する調査結果を紹介するとともに、各専門家による乳房再建の治療現場の動向や、乳がん経験者によるアピアランスケアの体験談等を解説した。

血栓高リスクの肺・消化器がん、エノキサパリンによる血栓予防で生存改善(TARGET-TP)

 肺がんや消化器がん患者において、バイオマーカーに基づく血栓リスクの分類と、高リスクに分類された患者に対するエノキサパリンによる血栓予防は、血栓塞栓症の発生を抑制するだけでなく、生存も改善することが報告された。本研究結果は、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのMarliese Alexander氏らによって、JAMA Oncology誌オンライン版2023年9月21日号で報告された。  2018年6月~2021年7月に第III相非盲検無作為化比較試験「Targeted Thromboprophylaxis in Ambulatory Patients Receiving Anticancer Therapies(TARGET-TP)」が実施された。本試験はオーストラリアの5施設において、肺がんまたは消化器がんに対する抗がん剤治療を開始する18歳以上の患者328例が対象となった。

HER3-DXd、EGFR-TKIおよび化療耐性のEGFR陽性NSCLCに良好な抗腫瘍活性(HERTHENA-Lung01)/WCLC2023

 抗HER3抗体薬物複合体patritumab deruxtecan(HER3-DXd)のEGFR-TKI、プラチナ化学療法耐性のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する有効性が発表された。  EGFR‐TKIはEGFR変異のある進行期NSCLCの標準治療であるが、最終的に耐性が発現する。EGFR‐TKI耐性後はプラチナベースの化学療法が用いられるが、その効果は限定的である。  HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるHER3-DXdは、第I相結果でEGFR‐TKI に対する多様な耐性機構を持つEGFR変異陽性NSCLC において、管理可能な安全性と抗腫瘍活性が示されている。

カボザンチニブ+アテゾリズマブ、去勢抵抗性前立腺がんのPFSを有意に改善/武田

 武田薬品工業は、既治療の転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、カボザンチニブ(商品名:カボメティクス)とアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の併用療法を評価する第III相CONTACT-02試験において、同併用療法が主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したと発表した。  CONTACT-02試験は、1種類の新規ホルモン療法による1回の前治療歴があるmCRPCを対象に、カボザンチニブとアテゾリズマブの併用投与を、2剤目の新規ホルモン療法(アビラテロン+プレドニゾンまたはエンザルタミド)と比較検討する国際共同臨床第III相ランダム化非盲検比較対照試験。主要評価項目はPFSおよびOSである。

小細胞肺がん、アテゾリズマブ+化学療法の5年生存率(IMpower133/IMbrella A)

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対するアテゾリズマブ+化学療法の1次治療による5年生存率は12%であると示された。  世界肺癌学会(WCLC2023)で、米国・ジョージタウン大学のStephen V. Liu氏らが発表した、第III相IMpower133試験と第4相IMbrella A試験の統合解析で明らかになった。小細胞肺がんに対する免疫治療の長期生存データが示されたのは初めて。  既報での化学療法単独の5年全生存(OS)率は約2%、OS中央値は約12ヵ月とされる。  IMbrella A試験は、オープンラベル非無作為化多施設長期観察試験。対象は、IMpower133試験におけるアテリズマブ+化学療法(カルボプラチン+エトポシド)群の中で、アテゾリズマブ継続または生存追跡が行われていた患者18例。

非びらん性胃食道逆流症、食道腺がんのリスク因子ではない/BMJ

 非びらん性胃食道逆流症(NERD)患者の食道腺がん発症率は、一般集団と同程度であることを、スウェーデン・カロリンスカ研究所およびカロリンスカ大学病院のDag Holmberg氏らが地域住民を対象としたコホート研究の結果として報告した。胃食道逆流症(GERD) は食道腺がんの主要リスク因子であるが、NERD、すなわち典型的な症状を有するが上部内視鏡検査は正常の場合、食道腺がんのリスクが高いかどうかは不明であった。著者は、「今回の結果は、内視鏡的に確認されたNERD患者は食道腺がんを発症しにくく、内視鏡検査によるモニタリングは必要ないことを示唆している」とまとめている。BMJ誌2023年9月13日号掲載の報告。

日本人NSCLCのオシメルチニブ早期減量は脳転移の発生/進行リスク

 肺がんは初診時に脳転移が発生していることも多く、非小細胞肺がん(NSCLC)患者のうち20~40%は治療経過中に脳転移が発生するとされている1,2)。EGFR変異はNSCLC患者はEGFR変異があると脳転移のリスクが上昇するとされており、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の脳転移制御に対する役割が注目されている。そこで、日本医科大学付属病院の戸塚 猛大氏らの研究グループは、オシメルチニブの早期減量が脳転移に及ぼす影響を検討した。その結果、オシメルチニブの早期減量は脳転移の発生または進行のリスクであり、治療開始前に脳転移がある患者、75歳以下の患者でリスクが高かった。本研究結果は、Cancer Medicine誌オンライン版2023年9月11日号に掲載された。