腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:98

NSCLCに対するペムブロリズマブ術後補助療法の第III相試験サブグループ解析(KEYNOTE-091/PEARLS)/ASCO2022

 KEYNOTE-091試験(EORTC-1416-LCG/ETOP-8-15-PEARLS)のサブグループ解析から、ペムブロリズマブの非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法は、術式や腫瘍サイズ、リンパ節転移や術前補助療法などを問わずに有用であることが示された。英国・The Royal Marsden NHS Foundation TrustのMary E.R. O'Brien氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  KEYNOTE-091試験は、Stage IB~IIIAの切除後NSCLCに対する術後補助療法としてのペムブロリズマブの有用性を評価した無作為化第III相試験である。中間解析においてPD-L1の発現状態に関わらず無病生存期間(DFS)を有意に延長した一方、TPS≧50%集団では有意な差を認めなかったことがプレスリリースで発表されている。今回は、術式、がんの状態、術前補助療法の有無などのサブグループ解析とともに具体的な結果も示されている。

再発難治DLBCLに対する二重抗体薬glofitamabの有効性/ASCO2022

 再発・難治のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(R/R DLBCL)は近年、CAR-T細胞療法や薬物複合体であるポラツズマブ ベドチンなどの新薬が登場し、治療成績は向上しているが、それらの治療を経ても再発・難治となる場合もあり、さらなる新薬の開発が望まれている。新たに開発されているglofitamabは、CD20(B細胞)に二価性、CD3(T細胞)に一価性を与える新たな2:1構成のT細胞結合二重特異性抗体薬である。このglofitamabの第II相試験の結果について、オーストラリア・メルボルン大学のMichael Dickinson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。

移植適応のある高リスク多発性骨髄腫に対する4剤併用による寛解導入療法(Dara-KRd)の効果/ASCO2022

 ダラツムマブ(Dara)とカルフィルゾミブ/レナリドミド/デキサメタゾン(KRd)併用による4剤導入療法(Dara-KRd)は、高リスクな新規に診断された移植適応のある多発性骨髄腫(TE-NDMM)患者に対する寛解導入療法として有用であることが、第II相試験(IFM 2018-04)から示された。フランス・University Hospital Hotel-DieuのCyrille Touzeau氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。

NSCLC1次治療でのLAG-3タンパク+ペムブロリズマブの効果(TACTI-002)/ASCO2022

 LAG-3タンパクeftilagimod alpha(efti)とペムブロリズマブとの併用は、PD-L1の発現状態にかかわらず非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療に有効である可能性が示された。スペイン・Vall d’Hebron Institute of OncologyのEnriqueta Felip氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  eftiは、MHCクラスII分子のサブセットに結合して抗原提示細胞(APC)の活性化とCD8T細胞の活性化を仲介する可溶性LAG-3タンパクで、抗PD-1抗体薬とは異なる免疫チェックポイント阻害薬として注目されている。eftiの併用によるAPCの刺激とT細胞の活性化は、抗PD-1抗体薬の単独療法よりも強い抗腫瘍効果をもたらす可能性がある。そこで、NSCLC患者を対象にeftiとペムブロリズマブとの併用効果について評価する第II相試験(TACTI-002)が現在進行している。今回は、同試験におけるPD-L1の発現状態を問わないコホート集団の結果から、両薬剤の併用効果について評価した。

ctDNAは再発率を上げずに結腸がんの術後補助療法を減らせるか(DYNAMIC)/ASCO2022

 StageII結腸がんの術後補助療法において、循環腫瘍DNA(ctDNA)ガイド下でのアプローチは、標準アプローチと比べ、再発リスクの非劣性を示すとともに、同療法の実施率を減らすことが示された。オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのJeanne Tie氏が米国臨床腫瘍学会年次集会(ASCO2022)で発表した。  StageII結腸がんは手術のみで80%が治癒する。一方、術後補助療法については生存ベネフィットが明らかでないため、ガイドラインでは高リスク症例に考慮するよう推めている。しかし、高リスク症例では術後補助療法の成績は良好ではない。そのため、再発リスクをより正確に予測し、術後補助療法の恩恵が高い症例を明らかにしていくことが求められている。同時に恩恵が低い症例には不必要な治療を回避することも重要だとされる。

新規抗体薬teclistamab、再発・難治性多発性骨髄腫に有効/NEJM

 新規の抗体製剤teclistamabは、3クラスの薬剤(免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体)の投与歴がある再発・難治性多発性骨髄腫の治療において、深く持続的な奏効を高率にもたらし、安全性も良好であることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施した「MajesTEC-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年6月5日号に掲載された。teclistamabは、T細胞表面に発現しているCD3と、骨髄腫細胞表面に発現しているB細胞成熟抗原(BCMA)の双方を標的とし、T細胞の活性化とそれに続くBCMA発現骨髄腫細胞の溶解を誘導するT細胞再指向型二重特異性抗体で、本試験の用量設定第I相試験で有望な有効性が確認されていた。

進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の効果はQOLと関連(CheckMate 214)/ASCO2022

 進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブの併用療法(Nivo-Ipi)の生存に及ぼす効果と健康関連QOL(HRQoL)の関連が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏より報告された。  これはNivo-Ipiとスニチニブを比較した国際共同の第III相CheckMate 214試験の結果で、過去にNivo-Ipiの無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)の有意な延長効果が報告されている。今回はそれらとHRQoLの相関をみた報告である。

85歳以上に皮膚がんモース手術は適切か?

 比較的低侵襲で術後の再発率が低いことが報告されているモース手術について、米国において85歳以上の超高齢患者に対する施術を担当医が選択した理由を調べる多施設共同前向きコホート研究が行われた。モース手術を受けた高齢患者は、機能状態が高度である一方、リスクの高い腫瘍を顔面に有している割合が高いことが明らかになったという。  今回の検討は、余命が限られている患者に対する皮膚がんのモース手術は、不必要なリスクと不快な思いが伴う可能性と、医療費を増大させる可能性があると示唆されていることを背景として行われたものであったが、結果を踏まえて著者は、「腫瘍が悪性かつ痛みを伴い、外見を損ない、そして不安を誘発する可能性があることを考慮すると、高齢患者にはタイムリーな手術治療は適切である可能性が示唆された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年5月25日号掲載の報告。

進展型小細胞肺がんの1次治療におけるアテゾリズマブ+化学療法へのtiragolumabの併用効果(SKYSCRAPER-02)/ASCO2022

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)への抗TIGIT抗体tiragolumabの併用による全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の延長は見られなかった。 同報告は、日本も参加した国際共同第III相試験SKYSCRAPER-02の初回解析結果で、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのCharles M. Rudin氏から報告された。

カペシタビン+テモゾロミド併用療法(CAPTEM)が膵神経内分泌腫瘍のPFSを延長(E2211)/ASCO2022

 進行膵神経内分泌腫瘍(pNET)を対象にしたカペシタビン+テモゾロミド併用療法の有効性を評価するE2211試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国Yale Cancer CenterのPamela L.Kunz氏から発表された。  同試験(E2211試験)は、米国で実施された多施設共同の無作為化第II相試験で、2018年に初回解析結果が発表されており、今回はその最終解析結果である。