眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

アジア人の加齢黄斑変性、視機能低下に民族性が関与

 加齢黄斑変性(AMD)と視機能(vision-specific functioning:VSF)に、民族性が関与していることが示唆された。シンガポール・国立眼科センターのEva K Fenwick氏らによる中国人、マレー人およびインド人を対象とした住民ベースの横断研究において、中国人ではAMDがVSFに負の影響を及ぼしたが、マレー人およびインド人では影響がみられなかったという。今回の結果は多民族的なアジア人において、民族性が疾患とVSFとの関連に影響する独立した因子であることを示唆するものであり、著者は、「AMDの発症や進行を遅らせるためには、民族性に基づいた戦略が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月30日号掲載の報告。

近見視力障害の非矯正者は35歳以上で約半数:中国

 中国・中山大学のXiaotong Han氏らは35歳以上の中国人成人について、近見視力低下・障害の進行および発生率を前向き試験で調査した。その結果、非矯正の両眼近見視力障害(UCNVI)の人は6年で約半数であったこと、その大半は眼鏡で矯正可能などの実態を報告した。検討結果を踏まえて著者は、「これらリスク集団に眼鏡を提供するという費用対効果が高いと考えられる戦略について、さらに検討する必要がある」と述べている。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月20日号掲載の報告。

糖尿病網膜症の白内障手術後、ネパフェナクが有用

 糖尿病網膜症を有する患者における白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与は、予期せぬ安全性に関わるイベントの発生を伴うことなく、術後黄斑浮腫のリスクを低下し、視力改善にも寄与することが示された。米国・クリーブランドクリニックのRishi P Singh氏らが、2件の第III相無作為化臨床試験の結果を分析し報告した。「試験の結果は、同患者の白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与について、臨床的ベネフィットがあることを示すものであった」と報告している。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月4日号掲載の報告。

感冒薬による薬疹の重篤化に特定の遺伝子が関与

 感冒薬によるスティーブンス・ジョンソン症候群/中毒性表皮壊死症(CM-SJS/TEN)において、重篤な眼合併症の発症には特定の遺伝的素因が関与していることが示された。ブラジル・サンパウロ連邦大学のTais H Wakamatsu氏らによる研究の結果で、ブラジル人ではHLA-A*66:01が重篤な眼合併症を伴うCM-SJS/TENのマーカーであることが示唆されたという。また、HLA-B*44:03とHLA-C*12:03はヨーロッパ系ブラジル人においてのみ、HLA-A*11:01は疾患抵抗性のマーカーである可能性も示された。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月9日号掲載の報告。

増殖性硝子体網膜症へのデキサメタゾンの有用性

 徐放性デキサメタゾン硝子体内インプラントは、増殖性硝子体網膜症(PVR)の硝子体手術後のアウトカムを改善するのか。英国・Moorfields Eye HospitalのPhilip J Banerjee氏らによる140例を対象とした前向き無作為化試験の結果、主要評価項目とした解剖学的改善を示した患者割合は、標準ケア群と同程度で有意差は示されなかった。試験結果を踏まえて著者は、「さらなる臨床試験によって解剖学的および視覚的アウトカムの改善が示唆されている。一方で、今回の試験では徐放性デキサメタゾン投与を受けた手術眼では、6ヵ月時点で嚢胞様黄斑浮腫(CMO)がより少なかったことが示された」としている。Ophthalmology誌オンライン版2017年2月22日号掲載の報告。

硝子体黄斑癒着は、加齢黄斑変性の原因ではなく結果?

 硝子体黄斑癒着(VMA)が、滲出型加齢黄斑変性(AMD)や脈絡膜新生血管(CNV)形成と関連しているのかを検討した、イタリア・Sacrocuore HospitalのEmilia Maggio氏らによる後ろ向き横断的研究ならびに縦断的コホート研究の結果、VMAの頻度はAMD眼と非AMD眼とで差はなく、CNVの新規発生頻度もVMAの有無で差はないことが示された。ただし、滲出型AMD眼では、経過中にVMAの自然解離が起こることは少なかった。著者は、「VMAは、CNVの発生原因というよりもむしろ結果であるかもしれない」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年2月14日号掲載の報告。

ラニビズマブ、PRPより増殖糖尿病網膜症の悪化抑制

 増殖糖尿病網膜症(PDR)に対する汎網膜光凝固(PRP)またはラニビズマブによる治療の有用性について、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のSusan B Bressler氏らは、PDR悪化の観点から評価した。その結果、ラニビズマブはPRPと比較してPDRの増悪が少なく、とくに中心窩に及ぶ糖尿病黄斑浮腫を認めなかった眼において顕著であることが示された。著者は、「抗VEGF療法はPRPより頻繁に通院する必要があるが、PDRに対し、少なくとも2年はPRPの代替療法としてラニビズマブを使用することを支持するさらなるエビデンスが得られた」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年2月1日号掲載の報告。

EPA、DHAは加齢黄斑変性の予防に効果的

 エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取量は、加齢黄斑変性(AMD)と関連しているのか。看護師健康調査(Nurses' Health Study)および医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)を基に、米国・ハーバード公衆衛生大学院のJuan Wu氏らが行った検討の結果、EPAやDHAを多く摂取することは中期AMDの発症を予防または遅延させる可能性があることが示唆された。ただし、進行期AMDとの関連は認められなかったという。EPAおよびDHAの摂取量が進行期AMDにどのように関連するかは、現在のところ一致したエビデンスは得られていない。Ophthalmology誌オンライン版2017年1月30日号掲載の報告。

アセタゾラミド術前投与で緑内障眼の白内障術後における眼圧上昇を抑制

 経口アセタゾラミド内服による、緑内障眼の白内障術後の眼圧上昇予防効果は認められるのか。福岡県・林眼科病院の林研氏らが、その有効性と適切な投与時期について無作為化試験にて検討した。その結果、原発開放隅角緑内障(POAG)眼では水晶体超音波乳化吸引術後3~7時間に眼圧上昇が認められ、手術1時間前のアセタゾラミド経口投与は非投与および手術3時間後投与と比較して、眼圧上昇を抑制することを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2017年1月19日号掲載の報告。