眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:22

ゲーム感覚で小児の視力を自動測定できるタブレット端末

 小児の視力を自動的に測定するタブレット型コンピュータが開発された。ゲームデザインを用いたアプリケーションソフトウェアが搭載されている。英国・マンチェスター大学のTariq M Aslam氏らは、100例以上の小児において検討し、このシステムは眼疾患を有する小児の視力を客観的かつ正確に自動測定できることを示した。将来の実用性が期待される。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年8月17日号掲載の報告。

加齢黄斑変性の抗VEGF療法、心血管イベントとは関連せず

 米国では、2006年に滲出型加齢黄斑変性(AMD)に対し抗VEGF(血管内皮増殖因子)療法が導入された。米国・デューク大学のArseniy P. Yashkin氏らは、メディケア受給者を対象に後ろ向きコホート研究を行い、心血管イベントの発生について5年間の追跡調査を行った。その結果、滲出型AMD患者に対する抗VEGF療法は、急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中または全死亡のリスクを増加しないことが示されたという。Ophthalmology誌オンライン版2016年8月11日号掲載の報告。

人工網膜システム、移植から5年後の機能と安全性

 人工網膜システム「Argus II」(Second Sight Medical Products社)は、網膜色素変性症や網膜外層変性で失明した患者の視覚を回復させるために開発された。小型カメラとビデオプロセッサを搭載したメガネをかけ、カメラで捉えた映像を電気信号に変換して人工網膜に送信することで、視覚が得られる。今回、英国・ロンドン大学のLyndon da Cruz氏らは、Argus II移植後5年の臨床試験成績を報告。Argus IIの長期安全性および有効性が確認されたことを明らかにした。Argus IIは、世界初の網膜インプラントとして欧州、米国およびカナダで承認されている。Ophthalmology誌オンライン版2016年7月19日号の掲載報告。

眼科医 vs.検眼士、緑内障レーザー手術の転帰は?

 米国のオクラホマ州は、検眼士(Optometrist)がレーザー線維柱帯形成術(LTP)を行うことのできる数少ない州の1つで、他の州では検眼士がLTPやその他のレーザー治療を行えるよう特別な認可を得るためにロビー活動を行っている。一方で、検眼士による治療を受けた患者の転帰については不明であった。そこで、米国・ミシガン大学のJoshua D. Stein氏らは、メディケア受益者を対象に後ろ向き縦断コホート研究にて検証。

コンタクトレンズ vs.レーシック、視覚満足度を調査

 コンタクトレンズ装着者とレーシックを受けた人計1,800人に対し、年1回3年にわたる視覚改善に関する満足度調査を行った結果、レーシックは、夜間ドライブを容易なものに改善し、ドライアイ症状の有意な増大もなく、3回の調査とも満足度が高い結果であったことが報告された。米国・Cornea Research Foundation of AmericaのMarianne O. Price氏らが行った多施設共同の前向き並行群間比較調査の結果で、Ophthalmology誌2016年8月号掲載の報告。

HbA1c、糖尿病の有無にかかわらず眼底循環と相関

 レーザースペックルフローグラフィ(LSFG)を用いて視神経乳頭と脈絡膜の血行動態を測定し、糖尿病の有無で血行動態パラメータと空腹時血糖値およびHbA1cとの関連を調べたところ、非糖尿病患者でもHbA1cが視神経乳頭と脈絡膜の血流に影響を及ぼすことを、東邦大学大森病院眼科の柴 智恵子氏らが明らかにした。著者は、「LSFGは無症候性の眼循環異常の検出に有用」とまとめている。Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology誌オンライン版2016年7月20日掲載の報告。

左眼白内障の増大、車のサイドウィンドウが関連?

 紫外線A波(UV-A)と、白内障や皮膚がんリスクとの関連は知られているが、米国・Boxer Wachler視覚研究所のBrian S. Boxer Wachler氏は、自動車のフロントガラスとサイドウィンドウの紫外線A波(UV-A)カット率を比較した。その結果、フロントガラスのUV-Aカット率は車種による差はみられず一貫して高かったが、サイドウィンドウのUV-Aカット率はフロントガラスよりも低く、車種によって差があることが判明したという。

網膜症は、糖尿病の有無に関係なく死亡率増加の予測因子

 網膜症は死亡率と関連していることが示唆されているが、その理由はよくわかっていない。米国国立衛生研究所(NIH)のDiana E. Fisher氏らは、併存疾患を有している高齢者の死亡率に対し網膜症がどのように影響するのか、前向きコホート研究のデータを解析し調べた。結果、網膜症は軽微であっても、高齢者、とくに男性で、糖尿病の状態に関係なく死亡率増加の有意な予測因子であったという。著者は、「網膜症を有するということは、健康状態の綿密な臨床的管理を必要とする根拠となりうる」と指摘している。Ophthalmology誌2016年7月号(オンライン版2016年4月7日号)の掲載報告。

血圧と眼球後方の血行動態は関連している?

 高血圧症を合併する原発開放隅角緑内障(POAG)患者において、血圧は眼球後方の血行動態と関連しているのだろうか。セルビア・ベオグラード大学のIvan Marjanovic氏らは、外来患者を対象とした観察研究で、dipper型の高血圧症を有するPOAG患者では血圧と眼動脈の血管抵抗指数(resistivity index)が有意に関連しており、non-dipper型のPOAG患者と比較してdipper型で眼球後方の血行動態パラメータの低下がみられることを明らかにした。

日本人未成年者のぶどう膜炎の臨床的特徴

 若年者のぶどう膜炎の多くは、両眼性であり、全身性疾患との関連はないことが、東京の3次医療施設における調査で示された。杏林大学の慶野 博氏らが、杏林アイセンターを受診した20歳未満のぶどう膜炎若年患者の臨床的特徴、全身疾患との関連、治療および視力予後を分析したもの。眼炎症のコントロールに全身療法を要した患者は5分の1のみで、視力予後はほとんどの患者で良好であった。