眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:22

小児の弱視治療にiPadゲーム療法は有効か

 近年、不同視弱視や斜視弱視の治療について両眼アプローチが提唱され、小規模試験で有望との結果が示されている。それを受けて米国・メイヨークリニックのJonathan M. Holmes氏らは、大規模無作為化試験により、弱視小児の視力改善について、両眼アプローチとしてiPadを用いたゲーム療法と、従来の定時的なアイパッチ療法を比較する検討を行った。

侮ってはいけない糖尿病網膜症とそのリスク

 糖尿病を発症した患者は、血糖コントロールや食事制限には意識的に取り組むが、網膜症のリスクがあることにはどれだけ自覚的だろうか。今月2日、都内で「糖尿病網膜症をとりまく日本の患者・医療の実態」と題したプレスセミナーが開かれた(主催:バイエル薬品株式会社)。14日は世界糖尿病デーであり、制定から10周年となる今年のテーマは“Eyes on Diabetes(糖尿病を見る眼)”。網膜症をはじめとする眼合併症のスクリーニング検査の重要性について、世界的に啓発が行われている中、セミナーに登壇した川崎 良氏(山形大学大学院医学系研究科 公衆衛生学講座准教授)は、「糖尿病治療に当たる医師と眼科医の速やかかつ継続的な連携が、糖尿病網膜症の早期発見と治療には重要だ」と強調した。

網膜中心動脈閉塞の発症に大気汚染が関連

 網膜中心動脈閉塞(CRAO)の発症に、環境大気汚染が関連していることが示唆された。台湾・国立陽明大学のHui-Chen Cheng氏らが行った地域住民ベースの後ろ向きコホート研究の結果、とくに糖尿病、高血圧患者および65歳以上の高齢者では、大気汚染とCRAO発症リスク増加との間に有意な関連が認められたという。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月13日号掲載の報告。

緑内障の視野障害の重症度、網膜血管密度の減少と関連

 近年、光干渉断層計血管造影(OCT-A)により網膜の微小血管の評価が可能となっている。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAdeleh Yarmohammadi氏らは、OCT-Aを用いて測定した血管密度の減少が、原発開放隅角緑内障における視野障害の重症度と、構造異常にかかわらず有意に関連していることを明らかにした。著者は、「OCT-Aは緑内障の管理において有用な技術であり、疾患の病態生理における血管系の役割について理解を深めることができる」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月7日号掲載の報告。

緑内障発症に関連するリスクアレルを特定

 原発開放隅角緑内障(POAG)は失明や視覚障害の主な原因で、POAGと視神経機能に関連するいくつかの遺伝的リスク因子が確認されている。米国・アイオワ大学のTodd E. Scheetz氏らは、Ocular Hypertension Treatment Study(OHTS)の参加者を対象に、それら遺伝的リスク因子が緑内障発症に及ぼす影響について検討した。その結果、非ヒスパニック系白人集団においてはTMCO1遺伝子型が、既知の臨床的な予測因子と同程度に緑内障と関連していることを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月1日号の掲載の報告。

緑内障治療に革新、ラタノプロスト持続溶出コンタクトレンズ

 ラタノプロスト持続溶出コンタクトレンズの開発が進められている。米国ハーバード・メディカル・スクールのJoseph B. Ciolino氏らは、カニクイザル緑内障モデルを用いて薬効薬理試験を行い、コンタクトレンズを介したラタノプロストの持続送達は、毎日点眼と比較して同等以上の眼圧低下効果があることを明らかにした。

最も近い眼科まで車で何分?

 米国・ワシントン大学のCecilia S. Lee氏らは、人口調査をベースとしたアプローチを用いて、走行ルートと走行時間を計算して、“近場の眼科”を定量化する検討を行った。結果、地域によって差はあるが、概して、米国のメディケア受給者集団の90%以上が、眼科医まで車で30分、検眼士まで15分以内のところに住んでいることが明らかになったという。Ophthalmology誌オンライン版2016年9月12日号掲載の報告。

高齢者の視力低下、認知障害と関連

 視力障害と認知障害は共に高齢者のQOLを左右する重要な問題であるが、両者には関連があるのだろうか。奈良県立医科大学眼科学教室の峯 正志氏らは、奈良県在住の65歳以上の高齢者を対象としたコホート研究「藤原京スタディ」を行い、認知障害は視力障害と有意に関連していることを明らかにした。著者は、「認知障害のリスクを減らすためには良好な視力を維持することが重要である」とまとめている。BioResearch Open Access誌2016年8月1日号掲載の報告。

感覚トリックで患者の半数の眼周囲ジストニア症状が緩和

 良性本態性眼瞼痙攣患者や片側顔面痙攣患者の中には、感覚トリックを利用して症状を緩和させている患者もいることが知られている。感覚トリックの利用と重症度およびボツリヌス毒素療法との関連はわかっていなかったが、英国・St Mary's HospitalのCaroline L. S. Kilduff氏らによる前向き横断観察研究の結果、患者の半数は感覚トリックを利用しており、それは重症度と関連していたがボツリヌス毒素療法とは関連していないことが明らかとなったと報告した。今回の研究について著者は、「今後、たとえば感覚トリックの使用についてアドバイスしたり装置を作ったり、治療方針を考えるうえで役に立つかもしれない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2016年9月8日号の掲載の報告。