眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:18

米国成人のドライアイ有病率は約7%

 米国では、1,600万人超の成人がドライアイと推定されると、米国・Shire社のKimberly F. Farrand氏らが、地域住民を対象とした横断研究の結果を報告した。ドライアイの有病率は、男性より女性で高く、年齢とともに増加することも示された。また、著者は「18~34歳の若年者でもドライアイがみられることに注目すべきである」と述べている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年7月10日号掲載の報告。

巨細胞性動脈炎の寛解維持にトシリズマブが有用/NEJM

 巨細胞性動脈炎患者において、26週間のprednisone漸減中にトシリズマブを毎週または隔週で投与した群は、26週間または52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較して、糖質コルチコイドなしでの寛解維持が優れていたことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のJohn H. Stone氏らが行った、糖質コルチコイド漸減中にインターロイキン-6受容体α阻害薬トシリズマブを投与することで、糖質コルチコイドなしで高率の寛解維持が可能かについて検討した、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の1年間の結果で、NEJM誌2017年7月27日号で発表された。巨細胞性動脈炎の寛解維持に糖質コルチコイドは有用だが、長期に使用すると副作用が伴う。しかし、漸減すると再燃が生じるため糖質コルチコイド中断後も寛解維持可能な治療の登場が待たれている。

眼圧計は漂白剤で消毒し、定期的に破損のチェックを

 眼圧計を安全に繰り返し使うための殺菌方法はないか。米国眼科学会を代表して米国・マイアミ大学のAnna K. Junk氏らが、システマティックレビューに基づき検討した結果、眼圧計の次亜塩素酸ナトリウム(希釈漂白剤)による消毒が、一般に眼科診療で院内感染と関連するアデノウイルスや単純ヘルペスウイルス(HSV)に対して効果的な殺菌法となることを報告した。なお、プリオン病の疑いがある患者の診療では使い捨て眼圧計チップの使用が望ましいこと、眼圧計プリズムは定期的に破損の徴候がないか調べる必要があるといった注意喚起も行っている。Ophthalmology誌オンライン版2017年7月11日号掲載の報告。

悪性黒色腫とパーキンソン病、相互に発症リスク高

 米国・メイヨークリニックのLauren A. Dalvin氏らは、ロチェスター疫学プロジェクト(Rochester Epidemiology Project:REP)のデータを解析し、悪性黒色腫(皮膚および結膜、ブドウ膜)患者はパーキンソン病(PD)の、PD患者は悪性黒色腫の発症リスクが高く、両者に関連があることを明らかにした。著者は、「さらなる研究が必要であるが、今回の結果に基づき医師は、悪性黒色腫患者にはPDのリスクについてカウンセリングを行い、PD患者に対しては皮膚および眼の悪性黒色腫についてサーベイランスを行うことを検討すべきだろう」とまとめている。Mayo Clinic Proceedings誌2017年7月号掲載の報告。

新規経口抗凝固薬、眼内出血リスクはワルファリンの5分の1

 眼内出血リスクは、新規経口抗凝固薬でワルファリンの約5分の1に低下することが、オーストラリア・アデレード大学のMichelle T. Sun氏らによるメタ解析の結果、明らかとなった。新規経口抗凝固薬のベネフィットは、心房細動患者と静脈血栓塞栓症患者とで類似していた。今回の結果は、自然発生的な網膜または網膜下出血の高リスク患者にとってとくに問題であり、著者は、「周術期には新規経口抗凝固薬を使用したほうが良いかもしれないことが示唆された。今後、眼疾患と心血管疾患の両方を有する患者の最適な管理についての研究が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年7月6日号掲載の報告。

加齢黄斑変性リスク、骨髄増殖性腫瘍患者で上昇

 デンマーク・コペンハーゲン大学のMarie Bak氏らによるコホート研究の結果、骨髄増殖性腫瘍(MPN)患者は加齢黄斑変性(AMD)のリスクが高いことが確認された。著者は、「全身性炎症がAMDの発症に関与している可能性が支持された」とまとめている。先行研究で、AMDのリスクは、全身性炎症により高まることが示唆されており、MPNでは慢性の免疫修飾が起きていることから、AMDのリスクが高いのではないかと推測されていた。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年6月22日号掲載の報告。

レーベル遺伝性視神経症、遺伝子治療が有望

 レーベル遺伝性視神経症(LHON)患者を対象とした低~中用量のAAV2(Y444,500,730F)-P1ND4v2単回硝子体内注射の安全性および有効性を検討する非盲検臨床試験が行われ、LHONに対する遺伝子治療は安全で外側網膜神経線維層に悪影響を及ぼさないことが認められた。検討を行った米国・マイアミ大学ミラー医学校のJohn Guy氏らは、「本剤の高用量での臨床試験への道が開かれた」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月21日号掲載の報告。

脈絡膜新生血管は積極的な早期治療がカギ

 米国眼科学会(AAO)によるIRIS(Intelligent Research in Sight)レジストリを用いた後ろ向きコホート研究の結果、未治療の近視性脈絡膜新生血管(mCNV)に対する初回治療としては、抗VEGF硝子体内注射が最も多く行われており、治療により視力の改善が得られているが、一方で4人に1人は経過観察のみで治療が行われず、視力が低下していたことが明らかとなった。著者の米国・UC Davis Medical Center のJeffrey Willis氏らは、「mCNVを有する患者への抗VEGF療法の実施を取り巻く社会的障壁や医療制度上の制約を明らかにするために、さらなる研究を行う必要がある」とまとめている。Ophthalmology誌2017年7月号(オンライン版2017年3月31日号)掲載の報告。

アトピー性皮膚炎、重症度に応じ眼合併症リスク増

 アトピー性皮膚炎において、疾患そのものに伴って、または薬物療法の結果として眼疾患がみられることが知られている。これまで成人アトピー性皮膚炎における眼合併症の有病率に関する大規模な疫学データはなかったが、デンマーク・国立アレルギー研究センターのJacob P. Thyssen氏らは、国内の登録データを用いて調査を行い、成人アトピー性皮膚炎は有意に、かつ重症度に依存して、結膜炎、角膜炎および円錐角膜の発症リスク増加と関連していることを明らかにした。なお、著者は「観察研究であり、因果関係を明らかにすることはできない」と研究の限界を述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。

緑内障手術、線維柱帯切除術 vs.低侵襲ステント留置

 近年、緑内障手術ではステント状のデバイスを埋め込む低侵襲の手術が注目され、海外ではさまざまなデバイスが開発されている。カナダ・トロント大学のMatthew B. Schlenker氏らは、ab interno(眼の内側からの)ゼラチンマイクロステント留置の有効性および安全性について、線維柱帯切除術と比較する国際多施設後ろ向き介入コホート研究を行い、両者の間で失敗のリスクや安全性プロファイルに大きな差はないことを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。