精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:118

抗精神病薬への治療反応と皮質厚との関係

 統合失調症では、クロザピン以外の抗精神病薬による治療で十分な効果が得られない治療抵抗性患者が一定数存在し、その割合は3分の1程度であるといわれている。昭和大学の板橋 貴史氏らは、治療抵抗性患者と治療反応患者において、異なる病態生理学的特徴が存在するかを調査した。NeuroImage: Clinical誌オンライン版2021年10月7日号の報告。  対象は、統合失調症患者110例(治療反応群:46例、治療抵抗性群:64例)および健康対照群52例。皮質厚に焦点を当て、MRIの国際マルチサイト断面データを用いて分析した。治療反応群または治療抵抗性群のいずれかに関連する脳領域を発見するため、L1正則化ロジスティック回帰を用いた。ネストされた10分割交差検証を行い、鑑別精度および曲線下面積(AUC)を算出した。次に、分類子の交換可能性を調査するため、治療反応群または治療抵抗性群の分類子をもう一方の群に適用させた。

統合失調症の抗精神病薬関連代謝異常~最新レビュー

 代謝異常や肥満は、統合失調症患者の主な心血管イベントのリスク因子である。その結果として、統合失調症患者は、そうでない人と比較し、死亡率が高く、平均寿命が短くなる。統合失調症と代謝異常との関係は、特定の遺伝学的または病理学的リスクが影響している可能性もあるが、抗精神病薬(とくに第2世代抗精神病薬)が体重増加や代謝異常リスクを上昇させていると考えられる。台湾・台北医学大学のShen-Chieh Chang氏らは、抗精神病薬に関連する体重増加や代謝異常、それらのメカニズム、モニタリングガイドライン、介入に関する文献のレビューを行った。World Journal of Psychiatry誌2021年10月19日号の報告。

日本人統合失調症患者における抗精神病薬の製剤満足度調査

 藤田医科大学の波多野 正和氏らは、服薬アドヒアランスに影響を及ぼす因子を特定するため、統合失調症患者を対象に処方された抗精神病薬の製剤に関する主観的なアンケート調査を実施した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2021年11月30日号の報告。  処方された抗精神病薬の製剤に対する患者の満足度および不満度を評価するため、薬に対する構えの評価尺度(DAI-10)を用いた。対象患者は、同一成分、同一製剤の抗精神病薬を1ヵ月以上服用している20~75歳の統合失調症患者とした。

日本人高齢者におけるコーヒー、緑茶、カフェインと認知症リスク

 コーヒー、緑茶、カフェインは、高齢者の認知症予防の潜在的な因子といわれているが、根拠となるエビデンスは十分ではない。新潟大学のNana Matsushita氏らは、中高年の認知症リスクとコーヒー、緑茶、カフェインの摂取との関連を調査した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2021年10月8日号の報告。  本研究は、8年間フォローアップを行ったコホート研究である。対象者は、40~74歳の日本の地域住民1万3,757人。2011~13年に自己記入式のアンケート調査を実施した。予測因子は、コーヒー、緑茶の消費量とし、そこからカフェインの摂取量を推定した。アウトカムは、介護保険データベースより抽出した認知症発症とした。調整済みハザード比(HR)の算出には、Cox比例ハザードモデル、遅延組み入れCoxモデルを用いた。

精神病性うつ病の疾患経過に影響を及ぼす因子

 精神病性うつ病は、重度の症状や疾患経過を伴う疾患であるが、いまだ十分に研究されていない。フィンランド・トゥルク大学のMiika Nietola氏らは、精神病性うつ病の発症年齢や疾患経過に対する性別および精神医学的併存疾患の影響について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年10月8日号の報告。  本研究は、1966年フィンランド北部の出生コホートに基づき実施された。精神医学的診断歴、入院歴、発症年齢、障害年金受給率、死亡率に関するデータを収集した。精神病性うつ病患者58例において、性別およびアルコール使用障害またはパーソナリティ障害の合併に基づくサブグループ間における疾患経過を比較した。

他の抗CGRP抗体への切り替えによる片頭痛予防効果

 ある抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体に反応しなかった片頭痛患者に対する他の抗CGRP抗体への切り替えは治療選択肢の1つとなりうる可能性があるが、現時点ではデータが不足している。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のLucas Hendrik Overeem氏らは、抗CGRP受容体モノクローナル抗体であるエレヌマブによる治療で有効性または安全性の懸念が認められた患者に対する他の抗CGRP抗体による治療反応を評価した。Cephalalgia誌オンライン版2021年10月13日号の報告。  対象は、ドイツの頭痛センター4施設において、効果不十分または継続しがたい副作用により他のCGRP抗体へ切り替えを行った片頭痛患者78例。対象患者の頭痛日誌をレトロスペクティブに分析した。対象患者のうちエレヌマブによる3サイクルの治療に反応が認められず(1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少が30%未満)、他のCGRP抗体治療開始1ヵ月前および治療中に完全な頭痛データが得られた25例を特定した。主要評価項目は、ガルカネズマブまたはフレマネズマブ切り替え3ヵ月後における30%以上の治療反応率とした。副次的評価項目は、50%以上の治療反応率、1ヵ月当たりの片頭痛日数、1ヵ月当たりの急性頭痛薬の使用日数とした。対象患者を頭痛頻度が毎日(9例)または非毎日(16例)で層別化し、探索的サブグループ解析を行った。

高血糖の進行に影響を及ぼす抗精神病薬の関連因子

 抗精神病薬は、高血糖リスクを高める危険性がある。高血糖の進行に影響を及ぼす因子として、抗精神病薬の種類、1日投与量、数量などが挙げられているが、これらとの関連を調査した研究は少ない。北海道大学の石川 修平氏らは、高血糖の進行に関連すると考えられる背景因子で調整した後、高血糖の進行に影響を及ぼす抗精神病薬治療の関連因子について調査を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年10月9日号の報告。  新規に抗精神病薬治療を開始した患者を対象に高血糖の発生率を12ヵ月間調査した全国多施設共同プロスペクティブ研究を実施した。ベースライン時に正常な血糖値であった患者631例を対象に人口統計データ、処方歴、血液検査値を収集した。主要評価項目は、高血糖の発生率(正常状態から糖尿病予備軍または糖尿病が疑われる状態への進行)とし、統合失調症患者を対象とした日本のモニタリングガイダンスに基づき評価を行った。経時的なグルコース代謝に対する抗精神病薬の影響を調査するため、各抗精神病薬治療開始3、6、12ヵ月後のHbA1cレベルの変化を調査した。

精神神経疾患や発達障害に対する音楽療法の有効性

 音楽療法は、身体的、感情的、精神的な健康を維持・回復・促進するために用いられる。オーストリア・AIHTAのLucia Gassner氏らは、自閉スペクトラム症(ASD)、認知症、うつ病、不眠症、統合失調症に対する音楽療法の有効性を評価した。European Journal of Public Health誌オンライン版2021年10月1日号の報告。  システマティックレビューおよび医療技術評価レポートの検索により、139件の文献が抽出された。コクランレビューが利用可能な5疾患の診断グループに焦点を当てた。第2検索は4つのデータベースを用いて実施した。独立した2人のレビュアーが、研究の選択、データ抽出、方法論的質の評価を行った。バイアスリスクが中~低の試験のみを選択した。

非がん性疼痛に対するオピオイド処方、注射薬物使用との関連は?/BMJ

 非がん性疼痛に対し慢性的にオピオイド薬の処方を受けている人において、注射薬物の使用(injection drug use:IDU)を始める割合は全体ではまれであるが(5年以内で3~4%)、オピオイド未使用者と比較すると約8倍であった。カナダ・ブリティッシュコロンビア疾病管理センターのJames Wilton氏らが、カナダの行政データを用いた大規模後ろ向きコホート研究の解析結果を報告した。オピオイド処方と違法薬物または注射薬物の使用開始との関連性については、これまで観察研究などが数件あるが、大規模な追跡研究はほとんどなかった。著者は、「今回の研究で得られた知見は、IDUの開始やそれに伴う2次的な害を防止する戦略や政策に役立つと考えられるが、長期処方オピオイド治療の不適切な減量や中止の理由にしてはならない」とまとめている。BMJ誌2021年11月18日号掲載の報告。  研究グループは、British Columbia Hepatitis Testers Cohortとして知られている大規模な行政データ、Integrated Data and Evaluative Analytics(IDEAs)を用いてデータを解析した。IDEAsのコホートには、1992~2015年にブリティッシュコロンビア州でC型肝炎ウイルスまたはHIVの検査を受けた約170万人が含まれ、これらのデータは、医療機関の受診、入院、救急受診、がんの診断、死亡、および薬局での調剤のデータと連携している。

肉の消費とメンタルヘルス

 肉の消費や制限がうつ病や不安症に及ぼす影響を明らかにするため、米国・サザンインディアナ大学のUrska Dobersek氏らは、これらの定量的な関連を評価した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2021年10月6日号の報告。  2020年6月、5つのオンラインデータベースを検索し、肉の摂取を制限している人と消費している人を明確に区分し、うつ病および不安症の有病率を調査した初期研究を抽出した。バイアス補正(Hedges's gエフェクトサイズ)を用いて、肉消費群と肉制限群の間の影響の大きさを計算した(高スコアおよび正のスコアが肉消費群にとって良好な結果であったことを示す)。