精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:121

lecanemabの最新知見をアルツハイマー・パーキンソン病学会で発表/バイオジェン

 エーザイ株式会社とバイオジェン・インクは、早期アルツハイマー病(AD)の治療薬として開発中の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabに関する最新の知見を、3月15日から20日までスペイン・バルセロナおよびバーチャルで開催された「第16回アルツハイマー・パーキンソン病学会(International Conference on Alzheimer’s and Parkinson’s Diseases:AD/PDTM2022)のシンポジウム「ADにおけるAβ標的治療法2」で発表した。

抗うつ薬の漸減・中止に関する診療ガイドラインの推奨~システマティックレビュー

 抗うつ薬の漸減や中止は、うつ病患者のマネジメントを行ううえで重要であり、診療ガイドラインを考慮して進める必要がある。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnders Sorensen氏らは、うつ病に関する主要な診療ガイドラインにおける抗うつ薬の漸減および中止に関するガイダンスの内容や質を評価するため、システマティックレビューを行った。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2022年2月11日号の報告。  英国、米国、カナダ、オーストラリア、シンガポール、アイルランド、ニュージーランドの保健当局および主要な国家的または国際的な専門機関より発行された、うつ病に関する診療ガイドラインをシステマティックにレビューした。2021年5月25日までにPubMed、14件のガイドラインレジストリおよび関連団体のウェブサイトを検索し、診療ガイドラインの抗うつ薬の漸減および中止に関連する推奨事項について評価した。抗うつ薬の漸減および中止に関する診療ガイドラインの質の評価ツールとして、AGREE IIを用いた。

aducanumabの第III相試験結果に関する査読付き論文を発表/バイオジェン

 バイオジェン・インクは2022年3月16日、The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease(JPAD)誌が、早期アルツハイマー病治療薬であるaducanumab(米国での商品名:Aduhelm)点滴静注100mg/mLについて、第III相EMERGE/ENGAGE試験の詳細データに関する査読付き論文を掲載したことを発表した。このaducanumabの論文には臨床試験における主要、副次、3次評価項目をはじめ、安全性情報およびバイオマーカーに関するサブ試験の結果が含まれる。

左房機能低下は認知症発症と関連/JAMA

 心エコーで評価した左房機能の低下は、その後の認知症のリスク増加と有意に関連しており、左房容積は関連していないことを、米国・ミネソタ大学のWendy Wang氏らが、地域住民を対象とした前向きコホート研究「Atherosclerosis Risk in Communities study:ARIC研究」で示した。著者は「今回の所見は、左房機能障害が認知症のリスク因子になり得ることを示唆するものである」とまとめている。左房の機能や大きさの変化が特徴である心房ミオパチーは、心房細動とは無関係に虚血性脳卒中と関連していることが知られる。心房ミオパチーの心電図マーカーは認知症と関連しているが、断層(2D)心エコーで評価した左房機能や大きさが認知症と関連しているかどうかについては不明であった。JAMA誌2022年3月22日・29日号掲載の報告。

小児の乳製品摂取量と片頭痛との関連

 片頭痛は、病因が明らかになっておらず、理解不十分な病態生理学的経路を伴う疾患である。乳製品の摂取量と小児の慢性的な症状および片頭痛との関係についてのデータを充足するため、イラン・テヘラン医科大学のShadi Ariyanfar氏らは本研究を実施した。Iranian Journal of Child Neurology誌2022年冬号の報告。  3次医療圏の頭痛クリニックにおける人口ベースのケースコントロール研究を実施した。対象は7~14歳の小児290例。片頭痛の診断は、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の基準を用いて神経内科医が行った。人口統計学的および人体測定学的特性を収集した。食事摂取量の調査には、検証済みの半構造化された食事摂取頻度調査票(food frequency questionnaire:FFQ)を用いた。  主な結果は以下のとおり。

うつ病の早期寛解の予測因子

 抗うつ薬による治療反応は、患者ごとに大きく異なり、治療前に予測することは困難である。NTT西日本九州健康管理センタの阿竹 聖和氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびミルタザピンの治療反応と相関するサイトカイン、これらサイトカインが各抗うつ薬治療による寛解の予測因子となりうるかについて、調査を行った。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2022年3月9日号の報告。  抗うつ薬治療前の患者95例を対象に、酵素結合免疫吸着測定法を用いて、腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターロイキン(IL)-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の分析を行った。うつ症状の評価は、ハミルトンうつ病評価尺度を用いて4週間調査した。

統合失調症と双極性障害患者における脳容積の違い

 統合失調症と双極性障害は、重複するポリジーン構造や臨床的類似性が認められるものの、臨床的には非類似の特性を有する別疾患である。両疾患において、皮質下容積の特定の違い、皮質下の違いによる臨床的特徴への影響については、不明なままである。岐阜大学の大井 一高氏らは、統合失調症患者、双極性障害患者、健康対照者における皮質下容積の違いについて検討を行った。また、統合失調症と双極性障害の患者における特定の皮質下容積に対する臨床的特徴への影響についても、併せて調査した。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌2022年3月1日号の報告。  単一施設の単一スキャナを用いて、対象患者413例(統合失調症:157例、双極性障害:51例、健康対照:205例)より、3T MRIにおけるT1強調画像を収集した。T1強調画像の処理、皮質下脳容積をセグメント化するため、FreeSurfer ver. 6.0を用いた。7つの皮質下領域(視床、尾状核、被殻、淡蒼球、海馬、扁桃体、側坐核)の違いについて、群間比較を行った。また、統合失調症と双極性障害の患者における皮質下容積と臨床的特徴との相関についても調査した。

インターネット・ゲーム依存に対する治療の有効性比較~メタ解析

 インターネット・ゲーム依存は、小児や若年成人に負の影響を及ぼす可能性のある精神疾患の1つである。台湾・中央研究院のChuan-Hsin Chang氏らは、インターネット・ゲーム依存に対する薬物療法および心理社会的介入の推定効果を包括的に比較するため、ランダム化比較試験や最新メタ解析を用いて、メタ回帰分析を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年2月24日号の報告。  インターネット依存およびインターネット・ゲーム依存に対する介入を検討した研究(2000~17年)をPubMed、MEDLINE、Cochrane Library、Airiti Libraryより検索した。選択された29論文より124研究が抽出された。対象は、小児、若年成人のインターネット依存およびインターネット・ゲーム依存患者5,601例。

急性期双極性うつ病に対する補助的抗うつ薬治療~メタ解析

 双極性障害のうつ病相は、重篤な機能障害や疾患負荷の原因となる。双極性うつ病治療における抗うつ薬の有効性および安全性は、長年にわたり議論の対象となっている。中国・上海交通大学医学院のYuliang Hu氏らは、急性期双極性うつ病に対する、気分安定薬または抗精神病薬の単独療法と抗うつ薬の併用療法において、有効性、躁転リスク、忍容性を比較した研究についてのメタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2022年2月22日号の報告。  18歳以上の急性期双極性うつ病患者を対象に、補助的抗うつ薬治療を用いた場合とそうでなかった場合における有効性および有害事象を比較した、非盲検および二重盲検のランダム化比較試験を複数のデータベースより検索した。バイアスリスクとアウトカムの評価には、コクランバイアスリスクツールを用いた。

抗精神病薬の選択戦略

 抗精神病薬の選択戦略と精神疾患患者の治療順守における臨床的および社会心理学的因子との関連について、ロシア・Bekhterev National Research Center for Psychiatry and NeurologyのM. Yu Sorokin氏らが調査を行った。Zhurnal Nevrologii i Psikhiatrii Imeni S.S. Korsakova誌2022年(122[1. Vyp. 2])号の報告。  本試験には、統合失調症スペクトラム障害(F20-29:67%)、気分(感情)障害(F30-39:15%)、神経症性障害およびパーソナリティ障害(F40-48+F60-69:9%)、器質性精神障害(F00-09:9%)の入院患者83例を含めた。患者の主観的な重症度を評価するVAS、locus control test、精神障がい者の内面化したスティグマ尺度(ISMI)、Treatment motivation assessment questionnaire(TMAQ)、Medication Compliance Scale(MCS)、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、陰性症状評価尺度(SANS)、機能の全体的評定(GAF)尺度を用いて評価した。分析には、分散分析(p≦0.05)、エフェクトサイズ(Cohen's d/Cramer's V)を用いた。