精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:124

認知症の焦燥性興奮にミルタザピンの効果は?/Lancet

 ミルタザピンは、欧州で高齢者や認知症患者に最も一般的に処方されているノルアドレナリン作動性/特異的セロトニン作動性抗うつ薬である。英国・プリマス大学のSube Banerjee氏らは、「SYMBAD試験」において、認知症患者の焦燥性興奮の治療におけるミルタザピンの効果について検討し、プラセボと比較して有効性は認められず、確定的ではないものの死亡率を高める可能性があることを示した。研究の詳細は、Lancet誌2021年10月23日号に掲載された。  研究グループは、認知症患者の焦燥性興奮の治療におけるミルタザピンの有効性と安全性の評価を目的に、英国の国民保健サービス(NHS)下の26の施設で二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成を受けた)。  対象は、非薬物療法に反応しない焦燥性興奮がみられるアルツハイマー型認知症(probableまたはpossible)で、コーエン・マンスフィールド焦燥評価票(CMAI)スコアが45点以上の患者であった。

統合失調症症状別の抗精神病薬至適用量~用量反応メタ解析

 統合失調症の急性期治療において抗精神病薬の最適な投与量を決定することは、臨床的に非常に重要なポイントである。また、急性期治療後には維持期治療へ移行するため、陰性症状に対する抗精神病薬の効果を考慮することも求められる。スイス・ジュネーブ大学のMichel Sabe氏らは、急性期統合失調症に対する抗精神病薬の有効性を評価した固定用量ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューに基づき、陰性症状および陽性症状の用量反応メタ解析を実施した。NPJ Schizophrenia誌2021年9月13日号の報告。  主な結果は以下のとおり。

慢性片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の有効性と忍容性~ネットワークメタ解析

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)またはその受容体に作用する4つのモノクローナル抗体は、慢性片頭痛を予防する新たな生物学的製剤として注目されている。台湾・弘光科技大学のChun-Pai Yang氏らは、慢性片頭痛に対する抗CGRP抗体の有効性および安全性について、従来治療薬との比較を行うため、ネットワークメタ解析を実施した。Neurotherapeutics誌オンライン版2021年9月27日号の報告。  慢性片頭痛患者を対象に抗CGRP抗体とA型ボツリヌス毒素製剤、トピラマート(従来治療薬)との比較を行ったランダム化比較試験(RCT)を検索した。すべてのネットワークメタ解析の手順は、frequentist modelを用いて行った。主要アウトカムは、1ヵ月当たりの片頭痛日数の変化および50%治療反応率とした。安全性は、受容性(脱落率)および有害事象の割合で評価した。

日本人双極性障害患者における気分エピソードと就労との関連

 産業医科大学の近野 祐介氏らは、双極性障害患者の就労状況を改善するため、気分エピソードと就労との関係について調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年9月7日号の報告。  2016年9月~10月に日本精神神経科診療所協会の会員クリニック176施設を受診した双極性障害患者のすべてのカルテデータを、2017年9月~10月に調査した。カルテデータの詳細は、就労状況を含む調査シートを用いて収集した。就労状況による気分エピソードのオッズ比(OR)を分析するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。

双極性障害の新規エピソードに対する予防効果~RCTのメタ解析

 双極性障害に対する維持期薬物療法の有効性については、十分明らかとなっておらず、入手可能なデータを更新する必要がある。米国・ニューメキシコ大学のAnastasiya Nestsiarovich氏らは、過去のレビューを更新するため、最新のランダム化比較試験(RCT)を含めたシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2021年9月3日号の報告。  2021年7月までに公表されたリチウム、気分安定薬、抗精神病薬、抗うつ薬、その他の治療法を含む二重盲検RCTをPubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索した。対照群と比較した治療群における新規気分エピソードの発生率は、ランダム効果メタ解析を用いて比較した。各治療による予防効果を表す極性指数(polarity index)を算出した。6ヵ月以上のフォローアップ期間を有する研究を選択した。

日本人アルツハイマー病患者の経済状況と死亡率との関係

 さまざまな国においてアルツハイマー病(AD)への対策が実施されており、アルツハイマー病患者における経済状況と死亡率との関係についての知見もアップデートすることが望まれている。神戸大学の小野 玲氏らは、レセプトデータを用いて日本人アルツハイマー病患者の死亡率に対する経済状況の影響を調査するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2021年9月15日号の報告。  LIFE研究(Longevity Improvement and Fair Evidence study)に参加した13の地方都市より収集した2014年4月~2019年3月のレセプトデータを分析した。対象は、研究期間中に新たにアルツハイマー病と診断された65歳以上の患者とした。アウトカムは、フォローアップ期間中の死亡とした。経済状況は、家計収入により中高所得と低所得で評価した。低所得状況の指標となるデータは、アルツハイマー病診断時における限度額適用認定および標準負担額減額認定(医療費軽減カード)の利用より収集した。経済状況と死亡率との関連を調査するため、年齢、性別、チャールソン併存疾患指数、抗認知症薬の使用で調整し、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて分析した。

日本人双極I型障害患者に対するルラシドンの長期安全性試験

 日本うつ病センターの樋口 輝彦氏らは、日本人双極I型障害患者に対するルラシドン治療(リチウムまたはバルプロ酸の有無にかかわらず)の長期(52週間)安全性と有用性について評価を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2021年8月2日号の報告。  本研究は、オープンラベルで行われたルラシドンのフレキシブルドーズ試験(20~120mg/日)である。対象は、6週間のルラシドン二重盲検プラセボ対照試験を完了したうつ病エピソードを有する患者(うつ群)および長期試験へのエントリーを同意した躁病、軽躁病、混合性エピソードを有する患者(非うつ群)。有害事象と安全性については、治療に起因する有害事象、バイタルサイン、体重、心電図、臨床検査値、自殺傾向、錐体外路症状を測定した。症状改善効果の測定には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を用いた。

統合失調症における呼吸器系疾患の有病率~メタ解析

 統合失調症患者は、死亡リスクが高く、その主な原因は呼吸器系疾患であるにもかかわらず、有病率などの調査は十分に行われていない。オーストラリア・クイーンズランド大学のShuichi Suetani氏らは、統合失調症患者における呼吸器系疾患の有病率を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2021年9月11日号の報告。  2020年4月27日までに公表された統合失調症患者(可能であれば対照群を含む)の呼吸器系疾患について調査した研究を、主要な電子データベースより検索した。分析では、ランダム効果メタ解析を実施した。

双極性障害が日本人の健康関連QOLや労働生産性に及ぼす影響

 これまでの研究では、双極性障害患者は、対人関係、教育または就業に問題を抱えて、QOLが低下しているといわれている。順天堂大学の加藤 忠史氏らは、健康関連QOL、労働生産性およびそれらに関連するコストに対する双極性障害の影響を推定するため、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年8月1日号の報告。  オンライン調査National Health and Wellness Surveyの2019年のデータを用いて、検討を行った。双極性障害患者179例、うつ病患者1,549例、対照群(双極性障害、うつ病、統合失調症でない人)2万7,485例について比較を行った。

コロナ禍で子供の神経性やせ症が増加/成育医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛は社会経済上、多大な負の影響を及ぼした。また、子供たちはおいては学校に登校できない、当たり前にできていた運動会や修学旅行などの学校行事の中止や延期などでつらい時間を過ごしている。こうしたCOVID-19による社会変動は、子供たちにどのような影響を及ぼしているのであろう。  国立成育医療研究センター(理事長:五十嵐隆)は、子供の心の診療ネットワーク事業の一環で、「新型コロナウイルス感染症流行下の子供の心の実態調査」を実施。その結果を10月21日に発表した。