精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:122

摂食障害患者における境界性パーソナリティ障害症状

 オーストラリア・St Vincent's HospitalのPrudence Vivarini氏らは、摂食障害(ED)外来患者における境界性パーソナリティ障害(BPD)症状の有症率を調査し、BPD症状とその重症度、苦痛、機能との関連を評価した。その結果、ED外来患者はBPD症状の有症率が高いことが示唆され、著者らはED患者に対するBPDスクリーニングの必要性を報告した。Personality and Mental Health誌オンライン版2022年8月29日号の報告。  対象は、ED外来患者119例。境界性パーソナリティ障害のMcLeanスクリーニング尺度(MSI-BPD)を用い(カットオフ値:7)、BPD症状が高い群(高BPD群)と低い群(低BPD群)に分類した。ED診断、ED発症年齢、評価時の年齢、罹病期間、BMI、ED症状、心理的苦痛、心理社会的機能について両群間で比較した。BPD症状とこれら変数との関係を評価するため、相関分析を行った。

認知症と肥満・糖尿病

 米国では、肥満、糖尿病、認知症などの慢性疾患が増加している。これら慢性疾患の予防や適切なマネジメント戦術に関する知見は、疾患予防のうえで重大かつ緊要である。米国・テキサス工科大学のAshley Selman氏らは、認知症と肥満および糖尿病との関連についての理解を深めるため、それぞれの役割を解説し、新たな治療法についての情報を紹介した。International Journal of Molecular Sciences誌2022年8月17日号の報告。  主な内容は以下のとおり。 ・肥満、糖尿病、認知症の相互関係は、さらに解明されつつある。 ・肥満、糖尿病、認知症の発症に関連する炎症状態の一因として、加齢、性別、遺伝的要因、後天的要因、うつ病、高脂質の西洋型食生活が挙げられる。 ・この炎症状態は、食物摂取の調節不全およびインスリン抵抗性につながる可能性がある。 ・肥満は糖尿病発症につながる基礎疾患であり、後に、2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus:T2DM)の場合には“3型(type 3 diabetes mellitus:T3DM)”すなわちアルツハイマー病へ進行する可能性がある。

統合失調症や双極性障害の興奮症状に対するデクスメデトミジン舌下投与の有用性

 米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏らは、統合失調症または双極性障害に関連する興奮症状を伴う成人患者において、デクスメデトミジンの臨床的有効性および忍容性を評価するため、治療必要数(NNT)、有害必要数(NNH)、likelihood to be helped or harmed(LHH)を用いた評価を行った。その結果、統合失調症または双極性障害に関連する急性興奮症状に対し、デクスメデトミジン舌下投与は良好なベネフィット-リスクプロファイルを有する治療であることが確認された。Advances in Therapy誌オンライン版2022年8月24日号の報告。

薬剤誘発性QT延長とトルサードドポアント~日本のリアルワールドデータ分析

 新規作用機序を有する薬剤が次々と開発されているが、前臨床および承認前の臨床試験において、該当医薬品がQT延長やトルサードドポアント(TdP)を誘発するかどうかを把握することは困難である。東京慈恵会医科大学のMayu Uchikawa氏らは、日本のリアルワールドデータベースを用いて、各薬剤の薬剤誘発性QT延長/TdPを評価した。その結果、抗不整脈薬、カルシウム感知受容体アゴニスト、低分子標的薬、中枢神経系用薬が、QT延長やTdPと関連する薬剤群であることが示唆された。Drugs - Real World Outcomes誌オンライン版2022年8月22日号の報告。

日本人高齢者における片頭痛有病率~糸魚川翡翠研究

 新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、日本人高齢者の頭痛、片頭痛、慢性連日性頭痛、痛み止めの使い過ぎによる頭痛(薬剤の使用過多による頭痛、薬物乱用頭痛)の有病率を調査するためアンケート調査を実施し、3ヵ月間の頭痛の有病率とその特徴を明らかにしようと試みた。結果を踏まえ著者らは、日本人高齢者の頭痛有病率は諸外国と比較し、決して高いものではないが、片頭痛による社会経済的損失は重大であり、疾患の理解、適切な治療や予防などが重要であると報告している。また、高齢者は、さまざまな併存疾患に関連する重度な頭痛といった特徴を持つ可能性が示唆された。Journal of Clinical Medicine誌2022年8月11日号掲載の報告。

青年期の学力向上と抑うつ症状との関連

 シンガポール国立大学のRyan Y. Hong氏らは、青年期の学力向上と抑うつ症状との長期的な関連性を調査した。その結果、学力構築の維持を目的とした介入が、抑うつ症状の悪化を予防する可能性が示唆された。Development and Psychopathology誌オンライン版2022年8月12日号の報告。  対象は、シンガポールの青年741人。学業成績と抑うつ症状に関する過去の研究を拡張し、1学年度にわたる3-wave縦断的研究を行い、学力低下仮説(学力構築における過去の問題がその後の抑うつ症状に影響を及ぼす)および適応浸食仮説(過去の抑うつ症状がその後の能力構築に悪影響を及ぼす)の2つの競合する仮説を検証した。高次能力構築因子(複数の構成要素の動機付け変数を用いて操作可能)と抑うつ症状との関連性を評価するため、ランダムインターセプトとクロス遅延パネルモデルを用いた。

認知症の興奮症状に対するモンテッソーリケアの有効性~メタ解析

 子供の主体性や尊厳を尊重する幼児教育理論であるモンテッソーリ教育を、高齢者や認知症介護に取り入れたモンテッソーリケアは、西欧諸国において興奮症状の治療に有用な非薬理学的介入であることが報告されている。しかし、アジア人を対象とした研究のほとんどはサンプルサイズが小さく一貫性が認められていないため、その結果の信頼性は制限されている。中国・The Third Hospital of QuzhouのLingyan Xu氏らは、アジア人認知症患者における認知症関連興奮症状に対するモンテッソーリケアの有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、アジア人認知症患者に対するモンテッソーリケアは、標準ケアと比較し、とくに身体的攻撃性による興奮症状を減少させる可能性が示唆された。しかし著者らは、本研究では、身体的非攻撃行動や言葉による攻撃行動に対する有効性が認められなかったことから、身体的攻撃性に対する効果の信頼性についても、今後のさらなる検討が求められるとしている。Medicine誌2022年8月12日号の報告。

不安症やうつ病の心理的再発予防介入~メタ解析

 不安症またはうつ病から寛解した患者に対する介入として、抗うつ薬の継続または中止と組み合わせた、心理的再発予防介入の有効性を評価するため、オランダ・アムステルダム自由大学のEsther Krijnen-de Bruin氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、寛解期うつ病患者では、心理的再発予防介入により、再発/再燃リスクの有意な減少が確認された。PLOS ONE誌2022年8月12日号の報告。  心理的再発予防介入と通常ケアを比較したランダム化比較試験(RCT)において再発/再燃の割合や期間を臨床アウトカムとして評価した研究を、PubMed、PsycINFO、Embaseより検索した。

統合失調症患者のメタボリックシンドロームリスクに対する抗精神病薬の影響

 抗精神病薬が統合失調症患者のメタボリックシンドローム(MetS)発症に影響していることが、多くの研究で示唆されている。セルビア・クラグイェバツ大学のAleksandra Koricanac氏らは、抗精神病薬治療を受けている統合失調症患者におけるMetSの発症リスクおよび発症しやすい患者像を明らかにするため、検討を行った。その結果、リスペリドン治療患者およびクロザピン治療患者は、アリピプラゾール治療患者よりも、MetS発症リスクが高い可能性が示唆された。また、リスペリドン治療患者は、健康対照群と比較し、TNF-αとTGF-βの値に統計学的に有意な差が認められた。Frontiers in Psychiatry誌2022年7月25日号の報告。

COVID-19パンデミック中のスマホ依存症とその後の自殺リスク

 COVID-19パンデミックによるロックダウン中、青少年のスマートフォン依存症や自殺率の増加が認められた。しかし、スマートフォン依存症と自殺リスクとの関係、その根底にある心理的メカニズムについてはよくわかっていない。中国・四川大学のGangqin Li氏らは、ロックダウンの最初の1ヵ月間における青少年のスマートフォン依存症と、その後5ヵ月間の自殺リスクとの関連を評価した。その結果、スマートフォン依存症の青少年における自殺リスクを減少するためには、日中の眠気や抑うつ症状の改善を目的とした介入プログラムがとくに有用である可能性が示唆された。BMC Public Health誌2022年8月12日号の報告。