精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:123

抗CGRP抗体中止後の片頭痛の経過

 ドイツ国内および国際的なガイドラインにおいて、抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体による6~12ヵ月の治療で片頭痛の予防を達成した後、薬剤の使用中止が推奨されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBianca Raffaelli氏らは、抗CGRP(受容体)抗体中止4ヵ月後の片頭痛の経過を分析した。Cephalalgia誌オンライン版2021年9月27日号の報告。  抗CGRP(受容体)抗体を8ヵ月以上使用した後に中止した片頭痛患者を対象に、縦断的コホート研究を実施した。治療開始4週間前(ベースライン)、最終治療の前月、最終治療5~8週間後および13~16週間後の頭痛データを分析した。主要エンドポイントは、最終治療の前月から13~16週間後までの1ヵ月当たりの片頭痛日数の変化とした。副次的エンドポイントは、1ヵ月当たりの片頭痛日数および急性期治療薬使用日数の変化とした。  主な結果は以下のとおり。

双極性障害患者の躁状態に対するCOVID-19パンデミックの影響

 COVID-19パンデミックは、人々の日常生活に支障を来し、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすと考えられる。しかし、双極性障害患者の気分症状への影響およびパンデミック前の症状重症度との関連はよくわかっていない。オランダ・ライデン大学のManja Koenders氏らは、双極性障害患者の症状に対するCOVID-19パンデミックの影響について検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2021年9月23日号の報告。  2020年4月~9月に双極I型障害および双極II型障害と診断された患者を対象に症状やウェルビーイングを評価したBipolar Netherlands Cohort(BINCO)研究を実施した。質問票には、躁症状および抑うつ症状(YMRS、ASRM、QIDS)、心配性(PSWQ)、ストレス(PSS)、孤独、睡眠、COVID-19への恐怖、積極的な対処、物質使用に関する内容を含めた。躁症状、抑うつ症状、ストレスのレベルは、COVID-19パンデミック前に評価し、ロックダウン中の軌跡は混合モデルを用いて推定した。  主な結果は以下のとおり。

アトピー性皮膚炎の精神面への影響、4歳児でも

 英国の小児1万1千例超を長期10年にわたって追跡したコホート研究で、小児におけるアトピー性皮膚炎(AD)とメンタルヘルスの関連が明らかにされた。重症ADは、小児期のうつ症状および内在化症状を呈する可能性を約2倍増大することが、また、軽症~中等症ADはうつ症状との関連は認められなかったが、4歳という早い時期に内在化問題行動との関連が認められたという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のChloe Kern氏らが報告した。  先行研究で成人におけるADとメンタルヘルス状態の関連は明らかにされているが、小児に関しては、世界中でADの大きな負荷が問題になっているが、メンタルヘルス併存疾患の発症に関する文献は限られている。JAMA Dermatology誌2021年10月号掲載の報告。

日本人と米国人の認知症リスクを比較

 アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブでは、一般集団において日本人は米国人よりも脳のAβ負荷が有意に低いことが示唆されている。米国・ピッツバーグ大学のChendi Cui氏らは、認知機能が正常な高齢の日本人と米国人の血管疾患負荷、Aβ負荷、神経変性について比較を行うため、横断的研究を実施した。Brain Sciences誌2021年9月8日号の報告。  日本人と米国人の対象者は、年齢、性別、アポリポ蛋白E(APOE)遺伝子型でマッチさせた。脳血管疾患負荷は白質病変(WML)、脳Aβ負荷は11C-labeled Pittsburgh Compound B(PiB)を用いて評価した。神経変性は、海馬体積と皮質厚で評価した。  主な結果は以下のとおり。 ・調査対象は、日本人95人と米国人95人(男性の割合:50.5%、平均年齢:82歳)。 ・日本人は、米国人と比較し、WMLが大きかったが、全体的なAβ standardized uptake value ratio(SUVR)、皮質厚、海馬体積に有意な違いは認められなかった。 ・日本人は、腹側線条体、後帯状皮質、楔前部における局所のAβ SUVRが有意に低かった。

抗精神病薬の最小有効維持用量への挑戦~10年間のフォローアップ調査

 初回エピソード精神疾患に対する抗精神病薬による長期治療の必要性については議論の余地がある。台湾・国立台湾大学のChen-Chung Liu氏らは、抗精神病薬治療の継続か、投与中止かの2つの案を超えた代替案があるかを調査した。Frontiers in Psychiatry誌2021年9月7日号の報告。  本レトロスペクティブ観察研究では、2006年スタートの早期精神疾患研究に参加した患者のカルテデータを分析した。低用量の抗精神病薬投与で良好な機能を達成できている患者にとくに注目した。  主な結果は以下のとおり。

妊娠中の抗うつ薬、子供の数学の成績に影響か/JAMA

 妊娠中に抗うつ薬を処方された母親の子供は、処方されなかった母親の子供と比較して、数学のテストの点数は2点低く有意差が認められ、国語のテストの点数には差がなかったことが、デンマーク・オーフス大学のJakob Christensen氏らの調査で示された。結果について著者は、「数学の平均点は曝露群で低かったが、差は小さいことから臨床的な意義は不確実である。この研究結果は、妊娠中の母親にうつ病治療を行うことの利点と比較して検討する必要がある」としている。JAMA誌2021年11月2日号掲載の報告。

血中サイトカインによるうつ病と双極性障害の鑑別

 双極性障害は、うつ病と診断されることも少なくない。その結果、治療が奏効せず、臨床アウトカムが不良となってしまうこともある。現在の双極性障害の診断は、臨床症状の評価に依存しており、これは主にレトロスペクティブであり、記憶バイアスの影響を受ける。フランス・コートダジュール大学のEmanuela Martinuzzi氏らは、うつ状態にある双極性障害患者の鑑別において、うつ病と双極性障害を区別する血液バイオマーカーを特定するため、検討を行った。Brain, Behavior, & Immunity - Health誌2021年3月10日号の報告。  双極性障害またはうつ病の包括基準を満たしたうつ病エピソードを有する患者を対象とした2つの独立した自然主義的コホート研究より臨床データおよび血清サンプルデータを収集した。discovery cohortは462例、replication cohortは133例の患者で構成されていた。患者に対し標準的な診断面接により臨床症状を評価し、現在の治療を含む臨床変数を記録した。採取した血液より31種のサイトカインレベルの評価を行うため、高感度マルチプレックスアッセイを用いた。双極性障害に関連するサイトカインを特定するため、ノンパラメトリックブートストラップ法を組み合わせたペナルティ付きロジスティック回帰モデルを用いた。

うつ病の寛解に対する夜型生活改善の影響

 夜型生活は、うつ病のより悪いアウトカムと関連している。時間生物学的治療による夜型生活の改善の可能性や、その結果がうつ病の長期アウトカムに及ぼす影響については、よくわかっていない。これらの影響を明らかにするため、香港中文大学のJoey Wy Chan氏らは、うつ病治療における夜型生活改善効果について検討を行った。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2021年9月21日号の報告。  5週間の補助的光療法のランダム化比較試験に参加した非季節性単極性うつ病で夜型生活の成人患者91例を対象とし、そのデータを分析した。夜型生活の定義は、朝型夜型質問票(MEQ)スコア41以下とした。治療5週目でのMEQスコア41超を達成した場合を夜型生活の改善とし、治療後5ヵ月目までMEQスコア41超を維持した場合を夜型生活の持続的な改善と定義した。

Webベースの認知症BPSDケアプログラムの普及促進のために

 COVID-19パンデミックとその結果引き起こされたソーシャルディスタンスの順守は、認知症患者の精神神経症状を誘発する可能性があるといわれている。東北大学の中西 三春氏らは、認知症の精神神経症状に対応するためのWebベースの心理社会的介入プログラムの有効性およびWebベースツールを利用する認知症介護者に対するeラーニングトレーニングコースの有用性を評価した。JMIR Medical Education誌2021年10月12日号の報告。  本研究は、東京において準実験的研究として実施された。eラーニングコースは、2020年7月~12月に専門の介護者に対し3回実施した。コースを修了した介護者は、認知症患者の精神神経症状レベルを評価するため、Webベースツールを介したNeuropsychiatric Inventory(NPI)合計スコアを用いた。主要アウトカムは、2021年3月までNPI評価のフォローアップを実施した介護者数およびベースラインから最新の評価までのNPIスコアの変化とした。2019年7月~2020年3月に対面によるトレーニングコースを完了した専門の介護者を対照群とし、情報を入手した。

双極性障害に対するアドヒアランス強化戦略

 双極性障害患者は、服薬アドヒアランスが不良であることが少なくない。米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のMartha Sajatovic氏らは、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬を組み合わせたカスタマイズアドヒアランス強化(CAE)戦略が双極性障害患者のアドヒアランス、症状、機能へ及ぼす影響を評価するため、パイロット研究を実施した。The Primary Care Companion for CNS Disorders誌2021年9月16日号の報告。  アドヒアランスが不良な双極性障害患者30例を対象に、LAI抗精神病薬を組み合わせたCAE戦略の有効性を評価するため6ヵ月間の非対照試験を行った。アドヒアランスの評価にはTablets Routine Questionnaire(TRQ)、症状の評価には簡易精神症状評価尺度(BPRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)、臨床全般印象評価尺度(CGI)を用いた。機能は、社会的職業的機能評定尺度(SOFAS)、機能の全体的評定尺度(GAF)を用いて評価した。評価は、スクリーニング時、ベースライン時、12週目、24週目(6ヵ月後)に実施した。調査期間は、2018年4月~2020年5月であった。