精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:135

2018年西日本豪雨がベンゾジアゼピン使用に及ぼした影響

 自然災害は、メンタルヘルスに重大な影響を及ぼす。2018年7月の西日本豪雨は、日本で発生した最大級の洪水災害の1つである。広島大学の岡崎 悠治氏らは、災害前後のベンゾジアゼピン処方の変化について評価を行った。その結果、被災者における災害後のベンゾジアゼピン処方率が上昇し、その影響は1年以上継続していたことを報告した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2022年4月26日号の報告。  西日本豪雨による洪水被災地における、2017年7月~2019年6月のレセプト情報データベースに基づき、レトロスペクティブコホート研究を実施した。被災地域住民を、地方自治体の認定により被災者と非被災者に分類した。次に、災害前のベンゾジアゼピン使用状況に基づき、非使用者、頓服使用者、継続使用者の3群に分類した。災害前後のベンゾジアゼピン処方状況を比較し、被災地域住民における災害の影響を推定するため、ロジスティック回帰モデルを用いた差分の差分法(DID)分析を実施した。

五月病の原因は人間関係がトップ/アイスタット

 学校や会社が始まり、緊張した4月が過ぎ、大型連休が終わったころに出現するのがいわゆる「五月病」*である。  新入生や新社会人に多いとされるこの五月病について、どの程度経験があり、原因は何か、メンタルとの関係はあるのかなどについて、株式会社アイスタットは、5月11日にアンケートを実施した。  アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~59歳の有職者300人が対象。 *五月病:医学的な病名ではなく、「5月の連休後に憂鬱になる」「なんとなく体調が悪い」「会社に行きたくない」などの軽いうつ的な気分に見舞われる症状のこと

アルツハイマー病に対する抗認知症薬の安全性・有効性の比較~ネットワークメタ解析

 カナダ・トロント大学のAreti Angeliki Veroniki氏らは、アルツハイマー病(AD)のマネジメントにおいて、患者の特徴による抗認知症薬の有効性および安全性について、比較検討を行った。その結果、抗認知症薬の治療選択において、患者の特徴を十分に考慮する必要があることを報告した。BMJ Open誌2022年4月26日号の報告。  システマティックレビューおよび患者個々のデータ(IPD)を集めたネットワークメタ解析(NMA)を実施した。MEDLINE、Embase、Cochrane Methodology Register、CINAHL、AgeLine、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索した(~2016年3月)。成人AD患者2万1,138例を含む80件のRCTおよび6,906例のIPDを含む12件のRCTが抽出された。治療内容は、抗認知症薬(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン)の単独または他の抗認知症薬やプラセボとの併用であった。著者、スポンサー、データ提供プラットフォームにIPDの提供を依頼した。IPDが利用できない場合には、集計データを用いた。研究の質の評価には、Cochraneのバイアスリスクツールを用いた。2段階ランダム効果IPD-NMAを実施し、結果の評価にはCINeMA(Confidence in Network Meta-Analysis)を用いた。主要アウトカムおよび副次アウトカムは、ミニメンタルステート検査(MMSE)による認知機能の評価および有害事象とした。

自閉スペクトラム症の感情調整や過敏性に対する薬理学的介入の有効性~メタ解析

 感情調節不全や過敏性は、自閉スペクトラム症(ASD)でよくみられる症状である。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのGonzalo Salazar de Pablo氏らは、ASDの感情調節不全や過敏性に対する薬理学的介入の有効性および治療反応の予測因子を評価する、初めてのメタ解析を実施した。その結果、いくつかの薬理学的介入(とくにアリピプラゾールとリスペリドン)は、ASD患者の感情調節不全や過敏性の短期的治療に有効であることが証明されており、忍容性プロファイルと家族の考えなども考慮し、複数の形式による治療を計画するうえで検討すべきであると報告した。Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry誌オンライン版2022年4月22日号の報告。

統合失調症に対するメタ認知トレーニングの有効性

 メタ認知トレーニング(MCT)は、統合失調症患者の精神症状や認知バイアスを改善するためのグループプログラムであるが、入院中の回復初期段階の統合失調症患者への介入効果は、あまりわかっていない。長野県・千曲荘病院の芳賀 彩織氏らは、日本の精神科救急病棟に入院している統合失調症患者の回復初期段階におけるMCTの有効性を調査した。その結果、MCTは精神症状、自己内省の不良、再入院の予防に有効である可能性が示唆された。Frontiers in Psychology誌2022年4月11日号の報告。

双極性または単極性うつ病患者の季節による臨床的特徴

 双極性障害のうつ症状(双極性うつ病)と単極性うつ病の鑑別は、誤診しないために重要である。中国・上海交通大学のShuqi Kong氏らは、双極性うつ病および単極性うつ病の初回入院患者における季節的な症状および非酵素性酸化ストレスの特徴を調査した。その結果、単極性うつ病患者と比較し、双極性うつ病患者は季節的な特徴を有している可能性が示唆された。著者らは、「季節性の単極性うつ病と双極性うつ病を鑑別するうえで、臨床症状や酸化ストレスの指標は有用である可能性がある」とし、「15~35歳の比較的若い年代では、冬期に双極性うつ病を発症する可能性が高い」と併せて報告している。Frontiers in Psychiatry誌2022年4月6日号の報告。

産後うつ病と母乳育児との関連~メタ解析

 産後うつ病に対する母乳育児の影響については、あまり知られていない。また、産後うつ病のマネジメントにおいて、母乳育児の役割に関連するガイドラインは作成されていない。中国・Taizhou UniversityのMengjie Xia氏らは、産後うつ病と母乳育児との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、母乳育児が産後うつ病リスクの低下に寄与することが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年4月20日号の報告。  産後うつ病と母乳育児との関連について報告した研究をPubMed、Cochrane Library、EMBASE(~2021年12月)より検索した。プールされたオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。

片頭痛と胃腸疾患との関係

 片頭痛は世界中に蔓延している疾患であり、最近の研究によると、胃腸疾患患者において片頭痛の発症率が増加しているとされている。また、前臨床でのエビデンスでは、消化管神経系と脳腸軸などの中枢神経系との双方向性の関係が示唆されている。韓国・同徳女子大学校のJemin Kim氏らは、主要な胃腸疾患と片頭痛との関連を明らかにするため、検討を行った。その結果、胃腸疾患と片頭痛との間に統計学的に有意な関連が認められ、この関連は胃腸疾患の数が多い患者や、片頭痛の予防と急性期治療の両方で片頭痛治療薬を使用している患者において、強い相関が認められることが報告された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年3月28日号の報告。

統合失調症患者の入院率減少に対するセンサー付き錠剤の可能性

 統合失調症患者の精神科病棟への入院は、経済的な負担を引き起こす。そのため、服薬アドヒアランスは重要な因子であるが、依然として難しい問題である。米国・Hassman Research InstituteのElan A. Cohen氏らは、センサー付きアリピプラゾール錠(システムに摂取可能なセンサー、シグナル検出用パッチ、スマートフォンアプリを含む)が、標準的な経口抗精神病薬と比較し、精神科入院数の減少に寄与するかを評価した。その結果、センサー付きアリピプラゾール錠は、標準的な経口抗精神病薬と比較し、軽度から中等度の成人統合失調症患者の精神科入院率を低下させることが示された。本システムにより、統合失調症患者の薬物摂取の支援および症状改善を通じて、急性期治療の必要性を減少させることが期待される。The Journal of Clinical Psychiatry誌2022年4月11日号の報告。

長期的な体重変化とその後の認知症リスク

 中高年期の体重減少は、その後の認知症リスクの上昇と関連しているといわれている。しかし、多くの研究では、身体的フレイル(PF)の潜在的な影響について検討が不十分であり、フォローアップ期間が限られているか、対照が最適化されていないなどの問題がある。中国・浙江大学のJie Shen氏らは、米国の中年期成人および高齢者の体重変化と認知症リスクとの長期的および時間的な関係を調査するため、検討を行った。その結果、中年期成人および高齢者の認知症リスクと体重減少との関連が認められた。この関連は、PFの状態とは無関係であり、最近の体重減少だけでなく、10年以上前の体重減少との関連が確認された。The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌オンライン版2022年4月14日号の報告。