精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:41

統合失調症患者の推定死亡率、男女間での違いは?

 統合失調症患者の早期死亡リスクに対する性差の影響は、不明である。カナダ・オタワ大学のMarco Solmi氏らは、統合失調症患者と性別で層別化した複数の対照群を比較し、すべての原因による死亡リスクおよび特定の死因での死亡リスクの違いを評価した。European Neuropsychopharmacology誌2025年2月号の報告。  統合失調症患者の死亡相対リスク(RR)を性別で比較するため、PRISMA 2020ガイドラインに従い、システマティックレビューおよびランダム効果メタ解析を実施した。出版バイアスの評価には、ニューカッスル・オタワ尺度(NOS)を用いた。

片頭痛の引き金となる食べ物は?

 片頭痛は、激しい頭痛と一時的な運動および感覚障害を呈する神経疾患である。片頭痛の誘因には、発作に影響を及ぼす可能性のある内的および外的因子が関連している。片頭痛患者の中には、特定の食品摂取により発作が発現する患者も存在するが、アイスランドではこれらの関連は、これまで調査されていなかった。アイスランド・Landspitali National University HospitalのHadda Margret Haraldsdottir氏らは、アイスランドにおける片頭痛の症状と特定の食品摂取との関連を示す患者の割合を推定するため、本検討を実施した。Laeknabladid誌2024年12月号の報告。

デジタルワークにストレスを感じているのはあなただけではない

 労働者は、デジタル技術が普及し、常に相手とオンラインでつながっていなければならないという状況に大きな負担を感じていることが、英国の調査で明らかになった。研究グループは、これは世界的な問題だとの考えを示している。論文の筆頭著者である英ノッティンガム大学心理学分野のElizabeth Marsh氏は、「われわれの研究で分かったのは、デジタル技術を活用した仕事(以下、デジタルワーク)には潜在的な負の側面があるということだ。そのような環境で求められる業務上の要求や激しさは労働者に過度の負担を与え、疲労やストレスを引き起こしている可能性がある」と述べている。この研究結果は、「Frontiers in Organizational Psychology」に12月17日掲載された。

生成AIにも認知機能障害!?/BMJ

 主要な大規模言語モデル(LLM)の認知機能についてモントリオール認知評価(MoCA)テストなどを用いて評価した結果、ChatGPT-4oを除いたLLMで軽度認知機能障害の兆候が認められたことを、イスラエル・Hadassah Medical CenterのRoy Dayan氏らが報告した。人間と同様に年齢が認知機能低下の重要な決定要因であり、「高齢」すなわちバージョンが古いチャットボットはMoCAテストの成績が不良である傾向がみられたという。著者は、「これらの結果は、近くAIが人間の医師に取って代わるという想定に疑問を投げ掛けるものであり、主要なチャットボットの認知機能障害は医療診断の信頼性に影響を与え、患者の信頼を損なう可能性がある」と述べている。これまで複数の研究により、LLMはさまざまな診断において人間の医師よりも優れていることが示されているが、AI自体が認知機能低下を来すかどうかは評価されていなかった。BMJ誌2024年12月20日号掲載の報告。

抗精神病薬誘発性体重増加にGLP-1受容体作動薬セマグルチドが有効

 抗精神病薬誘発性体重増加は、患者および臨床医にとって重要な臨床課題であり、抗精神病薬使用患者の体重増加を予防または回復するための適切な介入が求められる。最近、肥満管理の新たなアプローチとしてGLP-1受容体作動薬が大きな注目を集めている。GLP-1受容体作動薬セマグルチドは、顕著な体重減少をもたらすことが明らかとなっている薬剤である。オランダ・マーストリヒト大学のBea Campforts氏らは、抗精神病薬誘発性体重増加に対してもセマグルチドが同等の体重減少効果を示すかを調査した。BMC Psychiatry誌2024年11月30日号の報告。

うつ病や不安症の予防に有効な飲み物を年齢別に分析

 メンタルヘルスには食習慣が関連しており、独立したリスク因子であることが示唆されている。しかし、飲料摂取とメンタルヘルスとの関連を年齢別に評価したエビデンスは限られている。中国・温州医科大学のJiali Xie氏らは、6種類の飲料とうつ病および不安症との関連を推定するため、UKバイオバンクのデータを用いて検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年11月23日号の報告。  食事に関するアンケートを1回以上回答したベースライン時にうつ病および不安症でなかった参加者18万8,355人をUKバイオバンクデータより抽出した。分析には、Cox比例ハザードモデルおよび置換分析を用いた。

高齢者の術後せん妄予防に最も効果的な薬剤は〜ネットワークメタ解析

 高齢患者における術後せん妄の発生率および死亡率は高く、予防戦略の必要性が求められている。さまざまな薬理学的予防戦略が有効であることが報告されているものの、高齢者を対象としたベネフィットや安全性は、依然として明らかになっていない。台湾・Chi Mei Medical CenterのTing-Hui Liu氏らは、高齢者患者における術後せん妄予防に対するさまざまな薬理学的介入の有効性をシステマティックに評価し、ランク付けするため、ネットワークメタ解析を実施した。Journal of Psychiatric Research誌2025年1月号の報告。

各向精神薬の投与量は死亡リスクとどのように関連しているか

 抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピンの使用は、統合失調症患者の死亡リスクに影響を及ぼす可能性がある。しかし、多くの観察研究では、向精神薬投与患者が必然的に生存している期間(フォローアップ開始から薬物治療開始までの期間)がある場合の不死時間バイアス(immortal time bias:ITB)は考慮されておらず、ITBを考慮しないと、向精神薬と死亡率との関連の解釈を誤認する可能性がある。カナダ・ラバル大学のSebastien Brodeur氏らは、抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピンの累積投与量と統合失調症患者の死亡リスクとの関連を調査し、ITBを考慮しない場合の潜在的な影響についても評価した。JAMA Network Open誌2024年11月22日号の報告。

体脂肪率が片頭痛の重症度と関連、とくに女性で顕著

 片頭痛は、悪心、光恐怖症、音恐怖症を頻繁に伴う反復性頭痛を特徴する疾患であり、その有病理は非常に高く、社会経済的負担の増大と関連している。近年、一般人口における肥満の割合は増加しているが、体脂肪率と重度の頭痛や片頭痛の発症率との関連は、あまり研究されていなかった。中国・重慶医科大学のRongjiang Xu氏らは、この課題を明らかにするため、体脂肪率と重度の頭痛または片頭痛の発生率との関連を調査した。Cureus誌2024年10月26日号の報告。  対象は、1999〜2004年の米国国民健康栄養調査(NHANES)より抽出した5,060例。性別、貧困所得比(PIR)、学歴、喫煙状況、中程度の身体活動、高血圧で調整した後、制限付き3次スプライン(RCS)曲線およびロジスティック回帰を用いて、体脂肪率と重度の頭痛または片頭痛の発生率との関連を調査した。

不規則な睡眠は肥満に関連する肝疾患の特徴?

 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、夜中の頻回な覚醒や、入眠後の覚醒時間の延長など、睡眠の断片化に関連していることが、新たな研究で明らかになった。バーゼル大学消化器・肝疾患センター(スイス)のSofia Schaeffer氏らによるこの研究の詳細は、「Frontiers in Network Physiology」に12月4日掲載された。Schaeffer氏は、「MASLD患者は、頻回な覚醒や覚醒時間の延長により、夜間の睡眠が著しく断片化していることが明らかになった」と話している。  MASLDは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積する病態をいう。通常は、肥満や2型糖尿病と関連して生じ、肝臓に炎症や瘢痕化をもたらし、重症化すると肝不全に至る可能性がある。MASLDの世界的な有病率は25%程度と推定されている。マウスモデルを用いた過去の研究では、概日リズムの乱れが肝臓を含む複数の臓器の代謝に影響を与え、MASLDの発症に関与する可能性が示唆されている。また、睡眠に関する質問票を用いた研究では、MASLD患者における睡眠覚醒リズムの乱れも確認されている。