精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:38

日本人治療抵抗性うつ病患者に対するブレクスピプラゾール2mg補助療法の長期有用性

 うつ病患者では、抗うつ薬単独療法で治療反応が不十分な場合が少なくない。治療抵抗性うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法の有効性および安全性は、プラセボ対照ランダム化多施設共同並行群間第II/III相試験であるBLESS試験において確認されている。BLESS試験は、抗うつ薬単独療法で効果不十分であった日本人治療抵抗性うつ病患者740例を対象に、補助療法として6週間のブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日をプラセボと比較した試験である。関西医科大学の加藤 正樹氏らは、日本人治療抵抗性うつ病患者に対するブレクスピプラゾール2mg補助療法の52週間にわたる長期安全性および有効性を評価するため、本検討を行った。CNS Drugs誌オンライン版2024年10月18日号の報告。

日本人の認知機能にはEPA/DHAに加えARAも重要―脳トレとの組合せでの縦断的検討

 パズルやクイズなどの“脳トレ”を行う頻度の高さと、アラキドン酸(ARA)やドコサヘキサエン酸(DHA)という長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)の摂取量の多さが、加齢に伴う認知機能低下抑制という点で、相加的に働く可能性を示唆するデータが報告された。また3種類のLCPUFAの中で最も強い関連が見られたのは、DHAやエイコサペンタエン酸(EPA)ではなくARAだという。サントリーウエルネス(株)生命科学研究所の得田久敬氏、国立長寿医療研究センター研究所の大塚礼氏らの研究結果であり、詳細は「Frontiers in Aging Neuroscience」に8月7日掲載された。  認知機能の維持には、食習慣や運動習慣、脳を使うトレーニング“脳トレ”などを組み合わせた、多面的なアプローチが効果的であると考えられている。ただ、それらを並行して行った場合の認知機能に対する影響を、縦断的に追跡した研究報告は少ない。得田氏らは、栄養関連で比較的エビデンスの多いLCPUFAと脳トレの組み合わせが、加齢に伴う認知機能低下を抑制するのではないかとの仮説の下、以下の検討を行った。

早期初潮がうつ病と関連〜メタ解析

 早期初潮とうつ病との関連におけるエビデンスには、一貫性がない。中国・北京師範大学のLing Jiang氏らは、早期初潮とうつ病との関連性を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年10月9日号の報告。  2024年6月17日までに公表された研究を複数のデータベースより検索した。プールされたエフェクトサイズを算出するため、ランダム効果モデルを用いた。

大半の米国人が睡眠不足で日中の眠気に悩まされている

 米国成人の大半が睡眠不足であるという実態を示すデータが報告された。日中の眠気のために、仕事や人間関係に悪影響が生じたり、自動車運転時の反応速度にも負の影響が起きたりしている懸念があるという。米国睡眠医学会(AASM)が行った大規模な調査の結果であり、10月1日に同学会からプレスリリースが発行された。  この調査は、米国中の成人2,006人を対象に、2024年5月16~24日にオンラインで実施された。結果を解析したところ、米国成人の54%が「睡眠が足りない」と考えていることが明らかになった。さらに、10人中8人(82%)が日中に眠気を感じていて、そのことによって仕事、気分、人間関係などのうちの少なくとも一つに支障が生じていると回答した。

早期アルツハイマー病治療薬ケサンラの臨床的意義とは/リリー

 日本イーライリリーは2024年10月29日、「ケサンラ承認メディアセミナー ~早期アルツハイマー病の当事者の方々が、自分らしく生活できる時間を伸ばす~」と題したメディアセミナーを開催した。早期アルツハイマー病(AD)治療薬「ケサンラ点滴静注液350mg」(一般名:ドナネマブ)は、同年9月24日に「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能または効果として日本における製造販売承認を取得している。本セミナーの冒頭では、日本イーライリリーの片桐 秀晃氏(研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部)が同社の取り組みとして、「世界中の人々のより豊かな人生のため、革新的医薬品に思いやりを込めて」という使命をもとに、認知症への理解促進と治療アクセスの向上に努め、共生社会の実現に向けて尽力していく意向を示した。

ベンゾジアゼピン中止戦略、マスクした漸減+行動介入の効果

 ベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動性催眠薬(BZD睡眠薬)の臨床試験では、プラセボ効果が観察される。臨床ガイドラインでは、とくに高齢者においてBZD睡眠薬を中止し、不眠症の第1選択治療として不眠症の認知行動療法(CBT-I)が推奨されている。BZD睡眠薬の減量中に1日投与量をマスクし、プラセボ効果のメカニズムを活用してCBT-Iを強化する新たな介入方法が、BZD睡眠薬中止を促進するかは、不明である。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のConstance H. Fung氏らは、BZD睡眠薬のマスクした減量と増強CBT-Iを併用した介入は、BZD睡眠薬の長期中止に寄与するかを検討するため、ランダム化臨床試験を実施した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年10月7日号の報告。

成人ADHDに対するメチルフェニデート+SSRI併用療法

 うつ病は、成人の注意欠如多動症(ADHD)の一般的な併存疾患であるため、このような患者には、メチルフェニデート(MPH)と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用療法が行われる。しかし、成人ADHDにおけるMPHとSSRI併用療法の安全性に関する臨床的エビデンスは、限られている。韓国・亜洲大学のDong Yun Lee氏らは、うつ病を併発した成人ADHD患者に対するMPHとSSRI併用療法の安全性を評価した。JAMA Network Open誌2024年10月1日号の報告。

オピオイド使用障害、治療中止リスクが低い薬剤は?/JAMA

 オピオイド使用障害(OUD)に対するオピオイド作動薬治療(OAT)のレジメンに関する国際的なガイドラインでは、競合する治療選択肢の有効性の比較に関するエビデンスが限られているため、依然として意見が分かれているという。カナダ・サイモンフレーザー大学のBohdan Nosyk氏らは、メサドンと比較してブプレノルフィン/ナロキソンは、治療中止のリスクが高く、死亡率は両群で同程度であることを示した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年10月17日号で報告された。  研究グループは、OUDの治療におけるブプレノルフィン/ナロキソンとメサドンの有用性を比較評価する目的で、住民ベースの後ろ向きコホート研究を行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]などの助成を受けた)。

精神科病床数はどのくらい必要なのか〜メタ解析

 チリ・ディエゴポルタレス大学のAdrian P. Mundt氏らは、精神科病床の必要数を推定し、これが時間経過とともにどのように変化したかを調査したうえで、実際の病床数との比較を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2024年9月26日号の報告。  2022年9月13日までに公表された研究を、PubMed、Embase classic、Embase、PsycINFO、PsycIndex、Open Grey、Google Scholar、Global Health EBSCO、Proquest Dissertationsより検索した。対象研究には、精神科入院病床の必要数の推定を検討した研究を含めた。必要推定値、入院期間、推定年を抽出した。必要推定値は、中央値および四分位範囲(IQR)を用いて統合した。また、同じ時間と場所における必要推定値と実際の病床普及率を算出した。

不十分な情報でも「自分は正しい」と思い込むのはなぜか

 人は、実際には全体像の一部しか把握していないにもかかわらず、決断を下すのに十分な情報を持っていると思い込みがちであることが、新たな研究で明らかになった。米オハイオ州立大学英語学教授のAngus Fletcher氏らによるこの研究結果は、「PLOS ONE」に10月9日掲載された。Fletcher氏は、「本研究により、人は概して、情報に基づいた意思決定をするために、他にも役立つ情報があるかどうかを検討してみようとはしないことが分かった」と述べている。  把握している情報量が実際には不十分であるにもかかわらず十分だと信じてしまう現象を、「情報の十分性の錯覚(illusion of information adequacy)」という。Fletcher氏らは、この概念は、限定的で偏った情報源から情報を得ているに過ぎない場合でも、人がいかに確固とした強い意見を持ち得るのかを説明するのに役立つと述べている。Fletcher氏は、「人に、一見矛盾しないと思われる情報をいくつか与えれば、ほとんどの人は『それは正しいようだ』と言って、それに従うだろう」と述べている。