精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:66

実臨床における片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の有用性~メタ解析

 片頭痛は、中等度~高度な頭痛エピソードを特徴とする神経疾患である。カルシトニン遺伝子に特異的なモノクローナル抗体由来の新規薬剤の開発により、従来治療で効果不十分であった片頭痛患者にとって、新たな治療選択肢がもたらされた。ブラジル・パラナ連邦大学のVinicius L. Ferreira氏らは、片頭痛予防に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド抗体(抗CGRP抗体)の実臨床での効果を評価するため、観察コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の使用に関する実臨床を反映した観察研究のメタ解析の結果は、これまでのランダム化比較試験で報告された結果と同様であり、抗CGRP抗体の有効性が確認された。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2023年9月4日号の報告。

趣味がうつ病の予防に役立つ可能性

 趣味を持つこと、例えば編み針や絵筆を手に取ったり、あるいは好きな小説を読んだりすることは、高齢者の抑うつ症状の軽減につながるという研究結果が発表された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)疫学・ヘルスケア研究所のHei Wan Mak氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に9月11日掲載された。  この研究は、米国、日本、中国、英国、その他のヨーロッパ諸国(オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フランス、ドイツ、イタリア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス)の計16カ国に及ぶ5件の研究データを用いて、65歳以上の高齢者9万3,263人(各国対象者の平均年齢71.7〜75.9歳)を対象に行われた。趣味は、「余暇に楽しみとして取り組む活動」と定義され、ガーデニング、ゲーム、美術工芸、ボランティア活動、読書、サークル活動など、多岐にわたるものが含まれた。

医療従事者、職種ごとの自殺リスク/JAMA

 米国の非医療従事者と比較した医療従事者の自殺のリスクについて、正看護師、医療技術者、ヘルスケア支援従事者の同リスクが高いことを、米国・コロンビア大学のMark Olfson氏らがコホート研究の結果で報告した。歴史的に医師の自殺リスクは高かったが、この数十年で減少した可能性が指摘されていた。一方で、他の医療従事者の自殺リスクに関する情報は、依然として不足していた。今回の結果を踏まえて著者は、「米国の医療従事者のメンタルヘルスを守るため、新たな計画への取り組みが必要である」とまとめている。JAMA誌2023年9月26日号掲載の報告。

30年間のADHD実態調査~世界疾病負担研究の再分析

 注意欠如多動症(ADHD)の罹患率、有病率、負担に関するデータは、臨床医、患者およびステークホルダーにとって非常に重要である。英国・サウサンプトン大学のSamuele Cortese氏らは、1990~2019年の世界および各国のADHD罹患率、有病率、負担を調査した世界疾病負担研究(GBD)のデータについて、再分析を実施した。その結果、GBDはADHDの罹患率、有病率、負担に関する時間的傾向、地理的傾向、性差の最も詳細なエビデンスを示しているが、ADHDの有病率および負担については過少評価している可能性が示唆された。Molecular Psychiatry誌オンライン版2023年9月8日号の報告。

COVID-19パンデミックによる面会制限は産後うつ病リスクと関連するか

 COVID-19パンデミックによる面会制限は産後うつ病のリスク因子であるかどうかを明らかにするため、舞鶴共済病院の工藤 渉氏らは調査を行った。その結果、著者らは「COVID-19パンデミック中に出産した女性は、入院期間中の家族面会制限が行われていたものの、産後1ヵ月のエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)スクリーニングスコアの悪化が認められず、一部の女性では、精神状態の安定が認められた」としている。BMC Pregnancy and Childbirth誌2023年9月9日号の報告。  COVID-19パンデミック中に出産した女性(面会制限群)とパンデミック前に出産した女性(対照群)を比較したケースコントロール研究を実施した。産後うつ病の評価には、EPDSを用いた。出産後2週間、1ヵ月時点でのEPDSを評価した。

自殺関連ツイート急増後に自殺した人の特徴

 マスメディアやソーシャルメディアでの自殺関連情報が、自殺リスクの高い人の自殺行動を促してしまう懸念が指摘される中、ツイッター(現:エックス)に自殺関連ツイート(同:ポスト)が急増した数日後に自殺に至った人の特徴を検討した研究結果が報告された。40歳以下、男性、失業中、都市生活者などは、ツイート件数増加後にハイリスクとなる可能性があるという。岡山大学病院新医療研究開発センターの三橋利晴氏の研究によるもので、詳細は「JMIR formative research」に8月10日掲載された。

認知症治療支援保険、東京海上日動とエーザイが共同開発

 東京海上日動火災保険とエーザイは認知症の早期発見や早期治療について経済的に支援するための「認知症治療支援保険」を共同で開発したことを、9月28日のプレスリリースにて発表した。アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症に特化した補償は業界初となる。  9月25日に、エーザイとバイオジェンが共同開発したヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体レカネマブが、日本において「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果において厚生労働省より承認を取得した。

実臨床における日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療

 片頭痛治療に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体フレマネズマブの有効性は、ランダム化比較試験で実証されているものの、実臨床での研究結果は、いまだ限られている。獨協医科大学の鈴木 紫布氏らは、リアルワールドにおける日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療の有効性および忍容性を明らかにするため、単一施設観察研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2023年7月6日号の報告。  対象は、6ヵ月間、毎月または四半期ごとにフレマネズマブ投与を行った反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)患者。主要アウトカムは、フレマネズマブ治療後の1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)および治療反応率の変化とした。副次的アウトカムは、治療6ヵ月時点での治療反応患者の予測因子を特定とした。また、他の抗CGRP抗体から切り替えを行った患者におけるフレマネズマブ治療の有効性を評価し、毎月投与群と四半期投与群におけるフレマネズマブの有効性を比較した。MMDは、頭痛日誌を用いて評価した。

統合失調症とうつ病の治療ガイドライン普及に対するEGUIDEプロジェクトの効果

 国立精神・神経医療研究センターの長谷川 尚美氏らは、「精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)」を活用することによる、精神疾患の診療ガイドラインに関する教育のリアルワールドにおける効果を検証するため、本研究を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年9月8日号の報告。  EGUIDEプロジェクトは、「統合失調症薬物治療ガイドライン」と「うつ病治療ガイドライン」を日本国内で実践するための全国的なプロスペクティブ研究である。2016~19年、精神科病棟を有する176施設に所属する精神科医782人がプロジェクトに参加し、診療ガイドラインに関する講義を受講した。プロジェクト参加病院の統合失調症患者7,405例およびうつ病患者3,794例を対象に、ガイドラインが推奨する治療の実施割合を、プロジェクト参加者と非参加者から治療を受けている患者間で比較した。プロジェクト参加病院より毎年4~9月に退院する患者の臨床データおよび処方データも分析した。

他の母親が実施する心理療法が産後うつ病の症状を軽減

 カナダのオンタリオ州ブラント郡に住むLee-Anne Mosselman-Clarkeさんは、産後のメンタルヘルス危機との闘いがどのようなものかを、身をもって知っている。なぜなら、Mosselman-Clarkeさん自身が、2人の子どもの出産後にそれを経験したからだ。「私には11歳と9歳の子どもがいるが、上の子のときには自分が不安を感じていることに気が付いていなかった。2人目を妊娠したときに初めて、助産師から『産後うつ病を再発するリスクがあるので誰かに相談してほしい』と言われた」と振り返る。