精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:65

仕事依存症になりやすい人の特徴

 リトアニア・ビータウタス・マグヌス大学のModesta Morkeviciute氏らは、完璧主義・タイプA性格・仕事依存症の関係性を、仕事に対する外因性のモチベーション、親の仕事依存度および要求が厳しい組織の影響を介し調査した。その結果、仕事依存症は個人の性格的な要因を発端とし、家族や組織の状況などが個人の性格的な要因の表出を高め、仕事依存症の発現を促進する可能性が示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年3月4日号の報告。

うつ病に対する遠隔医療介入の有用性~メタ解析

 うつ病患者の抑うつ症状、QOL、仕事や社会的機能に対する遠隔医療介入の治療効果を明らかにするため、台湾・亜洲大学のYin-Hwa Shih氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、遠隔医療介入はうつ病患者の抑うつ症状の軽減やQOL向上に効果的であることが報告された。Annals of Medicine誌2023年12月号の報告。  2021年3月までに公表された文献を、6つの電子データベース(MEDLINE、PubMed、PsycINFO、Scopus、Embase、CINAHL)でシステマティックに検索した。各文献のリファレンスリストは手動で検索した。対象は、うつ病と診断された患者の遠隔医療介入の治療効果を調査したランダム化比較試験。質的評価には、Joanna Briggs Instituteのチェックリストを用いた。

リチウム濃度の高い水道水を摂取した母親の子どもは自閉症リスクが高い

 リチウム含有量が多い地域の水道水を摂取していた妊婦では、含有量が少ない地域の水道水を摂取していた妊婦と比べて、子どもが自閉症(ASD)になる確率が高いとする研究結果が報告された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)David Geffen School of Medicine神経学教授のBeate Ritz氏らが実施したこの研究は、「JAMA Pediatrics」に4月3日掲載された。  リチウムはアルカリ金属元素に分類される元素で、地殻内部に広範に分布している。リチウムには精神安定作用があることから、うつ病や双極性障害の治療に用いられることもある。しかし、妊娠中の女性に対する使用については、流産や子どもに先天性の異常が生じるリスクが否定できないことから、統一見解が得られていない。

ミトコンドリアはアルツハイマー病の予防や治療の新たな扉を開くか

 アルツハイマー病リスクが高い人の特定は、予後や早期介入に重要である。縦断的な疫学研究では、脳の不均一性と加齢による認知機能低下が観察されている。また、脳の回復力は、予想以上の認知機能として説明されてきた。この「回復力(resilience)」の構造は遺伝的要因や年齢などの個人的特性と相関することが示唆されている。さらに、アルツハイマー病の病因とミトコンドリアの関連がこれまでのエビデンスで確認されているが、遺伝学的指標(とくにミトコンドリア関連遺伝子座)を通じて脳の回復力を評価することは難しかった。

実臨床におけるアリピプラゾール月1回製剤の評価~REACT研究

 統合失調症患者に対する長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬による治療は、さまざまなベネフィットをもたらす可能性がある。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らは、実臨床におけるアリピプラゾール月1回製剤(AOM)の有用性を評価するため、ドイツとカナダで実施された2つの非介入研究の結果を分析した。その結果、AOM治療は、性別、年齢、罹病期間、疾患重症度を問わず、幅広い患者に有効な治療法である可能性が示唆された。BMC Psychiatry誌2023年3月14日号の報告。

身体活動が少なすぎ/多すぎの双方がメンタルヘルス不良と関連―日本人での横断研究

 身体活動の量や時間とメンタルヘルスとの間に、U字型の関連があるとする研究結果が報告された。東京医科大学精神医学分野の志村哲祥氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Psychology」に1月13日掲載された。  スポーツや運動、または仕事や家事なども含む「身体活動」は、一般的にはメンタルヘルスに良い影響を与えると考えられている。ただし、身体活動が多ければ多いほどメンタルヘルスがより良好になるのかという用量反応関係は不明。多すぎる身体活動がメンタルヘルスの悪化と関連しているとする報告もあるが、検証が十分行われておらず、最適な身体活動レベルも明らかになっていない。志村氏らはこのような状況を背景として、自記式アンケートを用いた日本人成人を対象とする研究を行った。

ビタミンD不足で認知症リスク上昇~コホート研究

 ビタミンD活性代謝物は、神経免疫調節や神経保護特性を有する。しかし、ヒドロキシビタミンDの血清レベルの低さと認知症リスク上昇の潜在的な関連については、いまだ議論の的である。イスラエル・ヘブライ大学のDavid Kiderman氏らは、25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)の血清レベルの異なるカットオフ値において、ビタミンD欠乏症と認知症との関連を調査した。その結果、不十分なビタミンDレベルは認知症との関連が認められ、ビタミンDが不足または欠乏している患者においては、より若年で認知症と診断される可能性が示唆された。Journal of Geriatric Psychiatry and Neurology誌オンライン版2023年3月8日号の報告。

統合失調症患者が地域社会で生活し続けるためには

 地域在住の統合失調症患者における身体的、精神的、社会的な併存症は、日常生活を妨げ、再入院リスクを上昇させる可能性がある。しかし、日本において、統合失調症患者の併存症に関する調査は、包括的に行われていない。藤田医科大学の松永 眞章氏らは、日本人統合失調症患者のさまざまな併存症の有病率を調査するため、有病率ケースコントロール研究を実施した。その結果、統合失調症患者が地域社会で生活し続けるためには、身体的、精神的、社会的な併存症を管理する効果的な介入が必要であることが示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年2月28日号の報告。

社会的孤立と糖尿病を含む既知のアルツハイマー型認知症リスク因子が関連

 社会的な孤立が、アルツハイマー型認知症を予防するための修正可能なリスク因子の可能性があるとする、マギル大学(カナダ)のKimia Shafighi氏らの研究結果が「PLOS ONE」に2月1日掲載された。社会的孤立や周囲からのサポートの欠如と、糖尿病を含む身体疾患をはじめとする、アルツハイマー病の種々のリスク因子との関連が明らかになったという。  アルツハイマー病とそれに関連する認知症(alzheimer’s disease and related dementias;ADRD)の増加は、多くの国で公衆衛生上の重要な課題となっている。ADRDの治療法はいまだ確立されていないが、予防に関しては、修正可能なリスク因子の管理によって、最大40%程度、発症を抑制できる可能性が報告されている。

大気汚染と認知症リスク (解説:岡村毅氏)

黄砂の飛来がニュースになっているが、タイムリーに大気汚染が認知症発症とも関連するかもしれないという報告だ。喫煙等と比べると認知症発症に与える影響は小さいが、何せ逃げることができないリスクなので、人々への影響は大きい。なお本論文では主にPM2.5を扱っているが、これは大気中に浮遊している直径2.5μm以下の小さな粒子を指し、化石燃料をはじめとする工業活動で排出されるものである。黄砂とは中国やモンゴルの乾燥域から偏西風に乗って飛んでくる砂塵であり、その大きさは4μm程度であるからほとんどがPM2.5ではない。